TMI 中国最新法令情報 ―(2012 年 7 月号)

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TMI 中国最新法令情報
―(2012 年 7 月号)―
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皆様には、日頃より弊事務所へのご厚情を賜り誠にありがとうございます。
お客様の中国ビジネスのご参考までに、「TMI 中国最新法令情報」をお届けします。記事
の内容やテーマについてご要望やご質問がございましたら、ご遠慮なく弊事務所へご連絡下
さい。なお、バックナンバーについては、弊事務所のウェブサイトに掲載させていただきま
すので、併せてご利用下さい。(http://www.tmi.gr.jp/office/china/index.html)
目次
一.中国最新法令
(1) 発明特許出願優先審査管理弁法
(2) 貨物貿易外貨管理制度の改革に関する公告
(3) 中華人民共和国出入国管理法
(4) 危険化学品登記管理弁法(2012 年改正)
二.連載
中国企業法実務/第二弾:各種契約締結の実務(第4回
技術ライセンス契約)
三.上海法務事情
営業税から増値税への転換試行の他地域への拡大
1
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一.中国最新法令(2012 年 6 月中旬~7 月中旬公布分)
(1) 発明特許出願優先審査管理弁法 1
国家知的財産局
①
2012 年 6 月 19 日公布
2012 年 8 月 1 日施行
背景
中国における発明特許の出願は、これまで原則として出願公開された順番に審査が行
われていたが、中国国家知的財産局が公布した「発明特許出願優先審査管理弁法」(以
下「管理弁法」という)の正式施行(2012 年 8 月 1 日)により、上記基本原則と並行
して、経済的又は社会的に重大な影響を有する発明特許、相当な戦略的意義のある新興
産業又は環境技術に関する重要な発明特許が、管理弁法の関連規定に合致すれば、かか
る重要な発明特許の出願について優先審査の請求を行うことができ、迅速に審査結果を
受けることが期待できる。なお、中国特許法によれば、実用新型特許及び外観設計特許
の出願に対しては実質審査を行わないため、管理弁法は、中国における発明特許の出願
だけに適用されることにご留意頂きたい。
②
主な内容
管理弁法第 4 条によれば、優先審査の制度が適用され得る発明特許の種類は以下のと
おりである。
(ア)
省エネルギー環境保護、新世代通信技術、バイオテクノロジー、ハイエンド設備
製造、新エネルギー、新素材、新エネルギー自動車等の技術分野にかかわる重要特
許出願
(イ)
低炭素技術、資源節約等、グリーン開発に寄与する技術にかかわる重要特許出願
(ウ)
同一の主題について先ず中国において特許出願され、その後、他の国家・地域で
特許出願された発明の中国での最初の出願
(エ)
その他、国家又は公共の利益に重大な意義があり、優先審査が必要な特許出願
また、管理弁法によれば、発明特許の優先出願は必ず電子出願の方式を取らなければ
ならず(第 6 条)、各地の知的財産権局が審査し、意見を記入し、公印を捺印した「発
明特許出願優先審査申立書」及び特許検索条件を具備する単位が発行した検査報告(又
は他の国・地域の特許審査機関が発行した検索報告、審査結果、及びその中国語訳文)
を提出しなければならない(第 7 条)。
但し、国家知的財産局が他の国・地域の特許審査機関と締結した両国間又は多国間協
定に基づく優先審査については、それらの関連規定に則って審理され、管理弁法は適用
されない(第 3 条)。
(2) 貨物貿易外貨管理制度の改革に関する公告 2
国家税務総局、税関総署、国家外貨管理局
2012 年 6 月 27 日公布
①
2012 年 8 月 1 日施行
背景
1
《发明专利申请优先审查管理办法》(国家知识产权局令第 65 号)
《关于货物贸易外汇管理制度改革的公告》(国家外汇管理局公告、海关总署、国家税务总局公告 2012 年第 1
号)
2
2
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中国においてこれまで実施してきた貨物貿易に関する基本的な外貨管理制度である
輸出入照合管理制度 3(中国語では「核銷管理制度」)は、国家税務総局、税関総署及び
国家外貨管理局により公布された「貨物貿易外貨管理制度の改革に関する公告」(以下
「公告」という)の正式施行により廃止されることとなる。公告の正式施行により、貨
物貿易の外貨管理制度に関する 1991 年から 2011 年にかけて公布された合計 116 もの法
規定が廃止されることとなる。
②
主な内容
外貨管理局は、企業の貿易外貨管理規定の順守状況及び資金の流れと貨物輸出入の一
致性などに基づき、企業を A、B、C の 3 つに分類する。
A 類企業が、輸入外貨支払いを行う場合、輸入貨物通関申告書、契約書又は領収書(発
票)等取引の真実性を証明できる証票をもって、銀行で直接外貨支払の手続ができ、ま
た、輸出外貨受取りの場合、オンライン照合審査が不要である。B、C 類企業に対して
は、貿易に伴う外貨の受取り又は支払いの証明書類の審査照合、業務類型、決済方式等
の面で厳格な監督・管理を実施する。B 類企業については、金融機関が電子データ照合
審査を実施し、C 類企業については、全ての外貨収支関連業務を外貨管理局へ登記しな
ければならない。また、外貨管理局は、上記 A、B、C 三種類の企業の一定期間におけ
る外貨管理規定の順守状況に従い、企業の分類を調整することができる。
このような三分類による段階的管理は、昨年 12 月から一部の地域で試行されていた
が、これを全国的に本格的に運用するものである。
貨物貿易外貨管理制度における企業の順法状況に応じた対象別の管理方法は、外貨管
理目的の実現とその手続の簡素化の両方を可能にする、バランスの取れた制度設計であ
り、公告正式施行後の実務上の運用に注目すべきである。
(3) 中華人民共和国出入国管理法4
全国人民代表大会常務委員会
①
2012 年 6 月 30 日公布
2013 年 7 月 1 日施行
背景
今年 6 月 30 日に閉幕した全国人民代表大会常務委員会で採択された「中華人民共和
国出入国管理法」(以下「出入国管理法」という)は、同日国家主席令第 57 号により
公布され、来年 7 月 1 日より施行されることになった。また、同法の正式施行により、
1985 年 11 月 22 日に公布され、翌年 2 月 1 日より施行開始となった「中華人民共和国
外国人出入国管理法」及び「中華人民共和国公民出入国管理法」が廃止されることに
なる。これにより、これまで別々に規定されていた中国国民と外国人の出入国管理規
定が統合される。
新しく公布された出入国管理法は、中国出入国管理実務上の経験を踏まえて制定さ
れ、特に以下の4つの特徴が注目されている。即ち、(i)不法入国、不法滞在、不法就
労の外国人に対する処罰の強化、(ii)「人材輸入」という普通ビザの種類の増設、(iii)
当局官公庁間の情報共有プラットフォームの構築に関する規定、(iv)出入国業務におけ
3
輸出入照合管理制度(「核銷管理制度」)とは、外貨管理局が、商務、税関、税務、銀行等の関連部門の協
力のもとで、輸出入貨物の価値、数量、納期等の指標を評価し貨物の輸出入貿易に伴う外貨受け取り又は外
貨支払の真実性に対する審査管理の制度をいう。
4
《中华人民共和国出境入境管理法》(主席令第 57 号)
3
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る政府による管理監督の役割と政府機関のサービス精神強化の両方を重要視する原則
が具体的な条文内容で現れている。
②
主な内容
出入国管理法では、中国国民と外国人の両方の出入国に関する規定が一つの法律に
まとめて規定されているが、ここでは、外国人の出入国に関する一部の重要な内容を、
以下のとおり簡単に紹介する。
(ア)
中国ビザの種類(第 16 条)
出入国管理法によれば、外国人の入国についてはビザ発給機関に対してビザを申
請しなければならず、中国ビザの種類は、外交ビザ、礼遇ビザ、公務ビザ、普通ビ
ザという 4 種類に分かれており、外交ビザ、礼遇ビザ、公務ビザの発給範囲及び方
法は外交部が制定し、就労、留学、親族訪問、旅行、商業活動、人材輸入等外交、
公務以外の理由により入国する外国人に対しては普通ビザを発給し、普通ビザの具
体的な種別及び発給方法は国務院が制定する(第 16 条)。
(イ)
不法就労(第 43 条)
出入国管理法に定められている「不法就労」とは、以下の行為である。
(i)
規定に従い就労許可及び就労居留証を取得せずに中国で就労すること。
(ii)
就労許可の範囲を超えて中国で就労すること。
(iii)
外国留学生がアルバイト関連の管理規定に違反し、規定の職種範囲又は時
間を越えて中国で就労すること。
(ウ)
不法滞在及び不法就労に関する行政処罰
外国人が不法滞在する場合、警告を与え、情状が重大な場合には、不法滞在1日
につき 500 元、総額 10,000 元以下の過料に処し、又は 5 日以上 15 日以下の拘留に
処する(第 78 条)。外国人が不法就労する場合、5,000 元以上 20,000 元以下の過料
に処し、情状が重大な場合には、5 日以上 15 日以下の拘留に処し、5,000 元以上 20,000
元以下の過料を併科する(第 80 条)。また、外国人は、不法滞在又は不法就労と認
められれば、退去強制5の命令を受けることがあり、状況次第で退去日より 1 年から
5 年間の間中国への入国ができなくなるので、注意が必要である。
(エ)
外国人の出国禁止
従来の「中華人民共和国外国人出入国管理法」第 23 条では、外国人の出国禁止事
由を定めていたが、新たに公布された出入国管理法では、旧法の同規定をさらに充
実させ、外国人の出国禁止事由について以下のとおり定めている。
刑罰を受けて執行が完了していない、若しくは刑事案件の被告人又は被疑
(i)
者であること。但し、中国と外国の間で締結された協定により刑罰が科され
る者を移管する場合を除く。
(ii)
未決の民事案件があり、人民法院が出国禁止の判断を下した場合。
(iii)
従業員の労働報酬が未払いになっており、国務院関係部門又は省、自治区、
直轄市人民政府の決定により出国が禁止される場合。
5
出入国管理法第 62 条では、不法就労以外の退去強制の事由として、①定められた出国期限内に出国しな
いこと、②入国禁止の理由があること、③不法滞在、不法就労、④その他出入国管理法又は他の法律、行政
法規に違反し退去強制の必要があることが挙げられている。
4
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(4) 危険化学品登記管理弁法(2012 年改正) 6
国家安全生産監督管理総局
①
2012 年 7 月 1 日公布
2012 年 8 月 1 日施行
背景
従来の「危険化学品登記管理弁法」
(国家経済貿易委員会令第 35 号)は、2002 年 10
月 8 日に公布され、同年 11 月 15 日から施行されてきたが、昨年 3 月 2 日に「危険化
学品安全管理条例」(国務院令第 591 号)が改正され、新たに公布されたことに伴い、
同条例の実施を徹底させるための「危険化学品登記管理弁法」の早期改正も必要不可
欠となった。このため、国家安全生産監督管理総局が、今年 7 月 1 日に改正後の「危
険化学品登記管理弁法」
(以下「危険品管理弁法」という)を公布し、同年 8 月 1 日よ
り施行されることになった。
②
主な内容
新たな危険品管理弁法は、全部で 7 章(総則、登記機関、登記の所要時間・内容及び
手続、登記企業の職責、監督管理、法的責任及び雑則)、34 条から構成されており、
「危
険化学品安全管理条例」(以下「条例」という)等の関連法規の枠組みの要求に従い、
危険化学品登記の詳細を定めている。国家安全生産監督管理総局の危険管理弁法の改正
に関する公式意見によれば、以下の 5 つが今回の改正のポイントである。
(ア)
危険化学品登記の主体
条例第 67 条第 1 項によれば、危険化学品の生産企業、輸入企業は国務院安全生産
監督管理部門の危険化学品登記の責任機構で登記を行わなければならない。これに
伴い、危険品管理弁法第 2 条では、危険化学品登記の主体を生産企業、輸入企業と
し、貯蔵者、使用者の登記は不要となった。
(イ)
危険化学品登記の具体的内容
危険品管理弁法第 12 条では、危険化学品登記の具体的内容を、分類及びラベル情
報、物理化学性質、主要用途、危険特性、貯蔵・使用・運送上の安全規定、応急措
置等の 6 つの項目に分けており、且つ危険化学品の安全管理上のニーズに応じて、
各項目の内容をさらに細分化している。
(ウ)
危険化学品登記手続の改善
危険品管理弁法では、登記手続(第 13 条)、登記手続に必要な書類(第 14 条)、
登記内容変更の手続(第 15 条)及び危険化学品登記証有効期間満了時の再審査及び
更新に関する具体的な内容を定めている。
(エ)
危険化学品登記義務企業のアフターサポート体制
危険品管理弁法第 22 条によれば、生産企業及び輸入企業は、24 時間対応の国内
固定電話による応急対応の専門員を配置し、顧客に危険化学品事故の応急対応、応
急措置のサービスを提供しなければならない。また、同条では、代理機構が前述内
容の応急対応を行う場合の詳細な要件(完全なデータベース、オンライン録音設備、
8 名以上の専門員、同時に 3 件以上の応急対応ができること等)が定められている。
(オ)
監督管理に対する要求の追加
従来に比べ、改正後の危険品管理弁法では、政府当局の監督管理に関する内容の
章(合計 4 条)が増設され、政府当局による危険化学品の監督管理業務の更なる規
6
《危险化学品登记管理办法(2012)》(国家安全生产监督管理总局令第 53 号)
5
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範化、効率化を図る立法側の狙いが窺える。
(彭涛、莊凌云・中国弁護士)
二.連載 中国企業法実務
第二弾:各種契約締結の実務(第 4 回/全 5 回)
第1回
2012 年 4 月号
合弁契約
第2回
2012 年 5 月号
賃貸借契約
第3回
2012 年 6 月号
労働契約
第4回
2012 年 7 月号
技術ライセンス契約
第5回
2012 年 8 月号
代理店契約
第4回
技術ライセンス契約
1. 概要
中国進出において、日本の親会社から中国の現地法人に対して技術を供与して、その対
価を日本に送金するという場面が多い。その場合には技術ライセンス契約の締結が必要に
なるので、今回、ここで紹介する。
「技術ライセンス契約」とは、特許権実施許諾契約、ノウハウ許諾契約、ライセンス契
約等を指しており、契約法第 18 章第 3 節に定められた「技術譲渡契約」のカテゴリに含ま
れるものであるので、当該契約締結の際には、同法の規定等に従わなければならない7。ま
た、当該契約は、2005 年に最高人民法院によって公布された、「技術契約紛争案件の審理
における法律適用の若干の問題に関する解釈」 8(以下、「技術契約解釈」という)の適用
も受ける。
外国企業が中国企業との間に技術ライセンス契約を締結する場合には、国境を超えた技
術の輸出入に当たるため、契約法よりも優先して「技術輸出入管理条例」 9(以下、「管理
条例」という)の規制を受けることとなる 10。そのほか、管理条例に関連する部門規定と
しては、「輸入禁止・輸入制限技術管理規則」11、「輸出禁止・輸出制限技術管理規則」 12、
「技術輸出入契約登録管理規則」 13(以下、「登録規則」という)がある。
このように、技術ライセンス契約に関しては、多くの法律、規則、司法解釈が存在する
ため、外国企業が技術ライセンス契約を締結するに当たっては、技術輸出入管理制度及び
契約法を理解し、その他関連の法規の内容、性格及び各法規間の適用関係を把握した上で、
契約を作成することが重要である。
7
契約法第 342 条~第 355 条
最高人民法院 法釈[2004]20 号、2005 年 1 月 1 日施行
9
技術輸出入管理条例(2002 年 1 月 1 日施行)第 2 条
10
契約法第 355 条
11
輸入禁止・輸入制限技術管理規則(商務部令 2009 年第 1 号)
12
輸出禁止・輸出制限技術管理規則(商務部令 2009 年第 2 号)
13
技術輸出入契約登録管理規則(商務部令 2009 年第 3 号)
8
6
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2. 技術ライセンス契約の交渉・締結に関する注意事項
(1) 対象技術のカテゴリの確認
管理条例においては、技術を禁止類、制限類と自由類の 3 つのカテゴリに分類して管理
している。カテゴリによって輸出入管理制度が異なるため、技術ライセンス契約を締結す
るに当たっては、まず、対象技術がどのカテゴリに分類されているものであるかを確認す
る必要がある。
管理条例に基づく禁止類技術については輸出入が禁止され 14、制限類技術については輸
出入許可による管理が実施され 15、自由類技術については輸出入登録による管理が実施さ
れている 16。また、管理条例を受けて、禁止類及び制限類技術については、それぞれ「輸
入禁止・輸入制限技術目録」17及び「輸出禁止・輸出制限禁止技術目録」18が公布されてお
り、これらの目録に記載された技術以外のものは、法令に別段の定めがない限り、自由類
技術に該当することになる19。
(2) 制限類技術についての輸出入許可証の申請
制限類技術については、許可を受けていない場合、技術の輸出入が禁止されており 20、
輸出入の際に、対外経済貿易主管部門に対して、申請を行う必要がある 21。申請手続の概
要は下図のとおりである。
必要な場合に、関
対外経済貿易主管
主管部門による
連部門の認可を取
部門に対して、技
実質審査
得
術輸出入申請
(輸
30 日以内
許可か不許可を決
定。許可の場合、技
術輸出入許可意向書
場合
を発行
当事者による
契約書副本及び他の書類を
主管部門によ
技術輸出入契
対外経済貿易主管部門に提
る真実性につ
約の締結
出の上、輸出入許可証の申
いての審査
10 日以内
15 日以内
許可か不許可を決定。
許可の場合、技術輸出
入許可証を発行
(※輸出)
請
制限類技術の管理制度において、技術に対しては実質的な審査を行う 22のに対し、技術
輸出入契約に対しては契約の真実性の審査のみとなる 23。また、技術輸出入契約は許可証
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
技術輸出入管理条例 第 9 条、第 32 条
同上第 10 条、第 33 条
同上第 17 条、第 39 条
輸入禁止・輸入制限技術目録(商務部令 2007 年第 7 号)
輸出禁止・輸出制限禁止技術目録(商務部令・科学技術部令 2008 年第 12 号)
管理条例第 5 条
同上第 10 条、第 33 条
同上第 11 条、第 34 条
同上第 11 条、第 12 条、第 34 条、第 35 条
同上第 14 条第 2 項、第 37 条第 2 項
7
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が交付された日より効力を生じるので24、この点に留意が必要である。
なお、技術輸入の場合、契約書の副本及びその他の申請書類を提出することによって、
上記の技術についての実質審査及び契約についての真実性審査を併せて申請することもで
きる。その場合、審査期間は 40 日となる25。
(3) 自由類技術の輸出入契約の登録
前述したように、禁止類技術又は制限類技術以外の技術は自由類技術に該当する。自由
類技術に係る契約については、登録が契約の発効要件にはなっておらず、契約は、その成
立した時から効力を生ずる 26。もっとも、自由類技術の輸出入契約は、契約登録制度によ
り管理されており27、登録規則によれば、原則として、契約が発効してから 60 日以内に登
録手続をしなければならない 28。但し、ライセンス料の支払いに関して歩合制を採る契約
については、技術輸入業者は、初めて歩合基準額が形成された後 60 日以内に、契約登録手
続を行い、かつ以後歩合基準額が形成される都度に、契約変更手続を取らなければならな
い29。
(4) 要式契約
前述したように、技術ライセンス契約は技術譲渡契約のカテゴリに属する。契約法の定
めによれば、技術譲渡契約は書面により締結されなければならず、いわゆる要式契約とな
るため、技術ライセンス契約についても、書面による契約の締結をもって契約成立となる。
(5) 制限事項
管理条例は、技術輸入契約について、以下の制限条項を設けることを禁止している。
①
不可欠ではない技術、原材料、製品、設備又は役務の購入を含む、技術輸入に不可
欠ではない付帯条件の受入を受入側に要求するもの。
②
特許権の有効期間が満了し、又は特許権の無効が宣告された技術について、実施料
の支払又は関連する義務の負担を受入側に要求するもの。
③
受入側が供与側の供与した技術を改良することを制限し、又は受入側がその改良し
た技術を実施することを制限するもの。
④
供与側の供与した技術と類似の技術又はこれと競合する技術を、受入側が他の供給
源から入手することを制限するもの。
⑤
受入側が原材料、部品、製品又は設備を購入するルート又は供給源を不合理に制限
するもの。
⑥
受入側の製品の生産数量、品種又は販売価格を不合理に制限するもの。
⑦
受入側が輸入した技術を利用して生産した製品の輸出ルートを不合理に制限する
もの。
この規定は、競争法の観点から技術輸入契約における制限事項に関して定めたものであ
24
25
26
27
28
29
同上第 16 条
同上第 15 条
同上第 17 条 2 項、第 39 条 2 項
同上第 17 条 1 項、第 39 条 1 項
登録規則第 7 条
同上第 8 条
8
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るが、①から④については絶対的禁止事項であり、⑤から⑦については合理的な制限であ
れば認められる旨が定められている。但し、制限が合理的か否かの判断基準については明
確に定められていない。
3.技術ライセンス契約の主な条項
技術ライセンス契約は、基本的に当事者双方の合意によって約定される。主な条項とし
ては、①ライセンサーとライセンシー、②ライセンス付与の技術範囲及びライセンスの種
類、③各当事者の権利及び義務、④ライセンス料の金額及び支払い方法、⑤改良技術の帰
属、⑥秘密保持義務、⑦契約の有効期間、⑧紛争解決、⑨ライセンス終了後における継続
実施等を挙げることができる。
(1) ライセンス契約の種類
特許及びノウハウに係るライセンス契約には、①独占的実施許諾、②排他的実施許諾、
③通常実施許諾の三種類がある。①は、ライセンス契約の締結により、ライセンサー自身
も技術を実施できないのに対して、②は、ライセンサー自身は実施できるが、ライセンシ
ー以外の第三者に対して実施許可を付与しないと承諾する契約である。③はライセンサー、
ライセンシー以外の第三者にも実施許諾の付与が認められる契約である30。
ライセンス契約の種類について定めがない場合、又は明確でない場合は、通常実施許諾
とみなされる31。
(2) 権利保証義務
管理条例第 24 条によれば、技術輸入契約における譲渡側、つまり外国のライセンサーは、
中国のライセンシーに供与する技術の適法な権利者でなければならず 32、ライセンシーが
ライセンス契約に従って技術を実施したことによって第三者の権利を侵害した場合には、
ライセンサーがその責任を負わなければならない 33。中国国内のライセンス契約の場合、
契約自由の原則に基づき、原則として、当事者間の合意により免責することもできるが、
技術輸入契約に関しては、当事者間の合意があっても免責はできないと解されている。
但し、管理条例第 24 条では「ライセンシーが契約に従って技術を実施する」という要件
が置かれているため、ライセンス契約を締結する際に、技術の実施条件、実施様態、技術
を実施する際に関わる原材料・部品等について、詳細に定めておけば、ライセンシーが合
意した条件等に従って実施せずに、第三者の権利を侵害した場合に、ライセンサーは権利
侵害の責任を負うことを拒否することができる。
(3) 技術保証義務
権利の適法性を保証する以外にも、技術輸入契約におけるライセンサーは、技術が完全
で有効なものであることを保証し、契約に定める「技術目標」を達成しなければならない34。
30
31
32
33
34
技術契約解釈第 25 条 1 項
技術契約解釈第 25 条 2 項
管理条例第 24 条 1 項
管理条例第 24 条 2 項、第 3 項
管理条例第 25 条
9
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この点に関しては、契約法第 349 条においても、同旨の規定が置かれているため、国内契
約か、対国外契約であるかを問わずにライセンス契約において求められる保証義務である。
技術目標は、当事者間の合意によって決められるため、契約で技術目標をできるだけ具
体的に設定することによって、ライセンサーの責任の範囲を明確にすることができる。ま
た、技術の実施環境や実施条件等についても明確に定めることによって、ライセンシーが
これらに従わなかったことにより技術目標を達成することができなかった場合、ライセン
サーの技術保証責任を否定することができる。
(4) ライセンス料の金額及び支払い方法
前述したように、自由類技術契約について、契約登録管理制度が採用されている。登録
する際に、ライセンス料の金額及びその支払い方法について明確に記載する必要がある35。
また、支払い方法として、通常、一定の金額による支払いと歩合制 36による支払いの 2
種類がある。登録をスムーズに行うために、ライセンス契約においては、ライセンス料の
支払い方法を明確にすべきである。
(5) 改良技術成果の帰属
管理条例では、技術輸入契約について、その有効期間内において、改良技術の成果は改
良を行った側に属する 37と定められている。一方、技術輸出契約を含め、それ以外の技術
ライセンス契約については、当該規定がないため、契約法の定めに従って、両当事者の合
意によって定めることとなる。契約に改良技術成果の帰属について定めがない場合、又は、
定めが明確でない場合には、契約法第 61 条 38によってもなお確定できないときは、一方当
事者が継続して改良した技術成果について、その他の当事者は共同で利用する権利を有し
ないとされている39。
従って、改良技術成果の帰属については、事前に契約で定めておくのが望ましい。
(6) 秘密保持義務の範囲及び期間
技術輸入の場合、技術の供与側と受入側は、契約で合意した秘密保持の範囲及び期間に
従って秘密保持義務を負う 40。よって、秘密保持義務については、両当事者間の合意によ
りその範囲を定めることとなる。秘密保持の期間、地域、方式及び秘密へのアクセスを認
める人員等 41を含めて、協議の上、明確に定めておくべきである。また、秘密保持義務の
期間について当事者間に取決めがない場合には、期間の制限がないものとみなされること
になるので 42、この点に留意が必要である。
35
登録規則第 10 条
同上第 7 条
37
管理条例第 27 条
38
契約法第 61 条:「契約が効力を生じた後、当事者が品質、代金又は報酬、履行地等の内容につき契約で
定めない、又は契約の定めが明確でない場合は、協議して補充することができる。補充の合意ができない
場合は、契約の関連条項又は取引慣行に従い確定する。」
39
契約法第 354 条
40
管理条例第 26 条
41
技術契約解釈第 28 条 1 項
42
同上第 28 条 2 項
36
10
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[応用編―自由類技術輸出入契約の登録方法]
自由類技術輸出入契約の登録には、オンライン登録管理が実施されている。登録規則の
定めによれば、商務部ウェブサイト上の「技術輸出入契約情報管理システム」
(http://jsjckqy.fwmys.mofcom.gov.cn)にログインして、技術輸出入契約の情報を入力し、
オンライン登録を行うこととされる43。
ただ、中国の各種手続においてよくあることであるが、当該オンライン登録は、仮登録
に過ぎず、当該システムにより出力した申請書に押印の上、契約書の副本や、双方当事者
の法律的地位に関する証明文書を、商務部門の窓口(上海の場合には、上海市商務委員会
の 11 階窓口)に提出する必要がある。
なお、当該システムを使うためには、
「CA 証書」と呼ばれるキーを、指定業者から購入
する必要がある(購入費用 150 元、年間使用料 200 元)。そこで、単発の契約で 1 回限り
の手続を行う場合には、商務部門の窓口に赴いて入力をしてもらうことも可能である44。
技術輸出入契約登録は、申請後 3 営業日で完了し、登録証書が発行される。ライセンス
料を海外送金するためには、当該登録証書を取得後、税務機関、銀行での手続を行うこと
になる。
(瀋暘・中国弁護士)
三.上海法務事情
営業税から増値税への転換試行の他地域への拡大
7 月 25 日の国務院常務会議の決定により、8 月 1 日から、交通運輸業及び一部の現代的サ
ービス業の営業税から増値税への転換試行の範囲を、現在の上海市から、北京、天津、江蘇、
浙江、安徽、福建、湖北、広東の8省・直轄市並びに、アモイ市、深圳市の2計画単列市に
拡大することとなった。45
上海での営業税から増値税への転換試行は、本稿 2011 年 11 月号46にて紹介したとおり、
今年の 1 月から実施された。
営業税は、一定の事業にかかる労務提供、無形資産譲渡や不動産販売に対して課税される
(「営業税暫定条例」第 1 条)のに対し、増値税は、物品の販売、輸入及び工業的役務(加工、
修理、組立)の提供に対して課税される(「増値税暫定条例」第 1 条)。両者は、適用対象が
異なり、一つの行為について同時に課税されることはない。ただ、取引に関する間接税とい
う意味では同じ種類のものであるので、今回のような試行も可能となる。
現行の増値税は、17%の基本税率と 13%の低税率が定められているが、これに、11%と 6%
43
登録規則第 8 条
但し、申請担当者が社内規定上社印を窓口に持参できない場合には、仮登録により出力された申請書を
持参して一旦会社に戻るため、仮登録、申請、登録証書受領の計 3 回、商務部門の窓口へ往復する必要があ
る。
45
http://www.scofcom.gov.cn/sfic/sc/list.jsp?menuId=47&sonMenuId=69&rightMenuId=0&id=285068
46
http://www.tmi.gr.jp/office/china/pdf/2011_11.pdf
44
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の新たな低税率を設け、有形動産のリース等には 17%、交通運輸、建築業等には 11%、近
代的サービス業には 6%の税率を適用する。
現在主に 3%又は 5%となっている営業税と比べると、税率は上がるように見えるが、増
値税の場合には、仕入れ控除等ができることに鑑み、「税の負担を増やさず、むしろ若干軽
減されることもある」という基本原則が述べられている。これには、第三次産業の発展とい
う中国の経済構造の変化に対応して、増値税の合理的な適用を拡大する趣旨がある。
報道によれば、上海での約半年間(1 月 1 日~6 月 15 日)での試行の結果、13.5 万の企
業が営業税から増値税への転換試行に参加し、そのうち 12 万の企業で、税負担額の減少が
見られた。試行対象の内、小規模納税人の納税した増値税の累計額は 7.2 億元で、営業税の
場合より 4.9 億元、率にして 4 割の減少となった。他方、一般納税人の納税した増値税の累
計額は 77.3 億元で、営業税の場合より 4.24 億元の減少となり、減少幅は、小規模納税人の
場合よりも小さい。これは、実質的に減税の効果をもたらし、それにより浮いた資金を、事
業拡大に投入することで、経済的な好循環を生じていると評されている。
経済的な先進都市である上海での試験的導入後、全国的に制度を拡大・整備していくとい
うのは、中国の法政策としてよくみられる手法である。他方で、昨年 10 月に全国的に施行
されたはずの外国人に対する社会保険の強制適用は、上海ではまだ実施されていない。この
ように、上海は、いろいろな意味で、中国において特殊な都市といえる。
なお、コンサルティング業は、典型的な現代的サービス業なので、上海の日系企業でも、
コンサルティング料について、今回の試行の適用となった会社が多い。法律事務所も、ロー
カル系の事務所は、増値税になっているようであるが、当事務所は外国法律事務所の代表処
ということで、今回の試行の対象から外れ、従来通り営業税となっている。
(山根基宏・弁護士)
TMI 中国最新法令情報―2012 年 7 月号―
発
行:TMI 総合法律事務所
監
修:何連明・外国法事務弁護士
編集主幹:山根基宏・弁護士
発 行 日:2012 年 7 月 31 日
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