最新のC型肝炎治療 - 国立病院機構 宇都宮病院

最新のC型肝炎治療
-話題と注意点-
2016 年 8 月
国立病院機構宇都宮病院
消化器内科
■ C型肝炎は、約 200 万人の患者がいます。
■ C型肝炎ウイルスは血液の感染で発症し、約 70%の人が慢性肝炎になり、
自覚症状がないまま肝炎が進行します。
■ C型肝炎はゆっくりと進行し、5~10 年以上かけて、慢性肝炎から、肝
臓が硬くなる肝硬変になり、その後肝臓がんを発症するといわれています。
■ 以前は、インターフェロンという注射の治療しかありませんでした。
この注射は発熱等の合併症もあり、また治癒率も高くありませんでした。
しかし、最近では 12 週間の内服で 90%以上治る新薬が使用できるようになりました。
1.C型肝炎は、日本では 2 つの型があり、血清型(セロタイプ)1 型と 2 型があります。
(実際には 6 種類ですが、日本ではこれ以外の型はほとんど認めません)
2.C型肝炎の治療は、現在ではインターフェロン療法(注射と内服)とインターフェロ
ンフリー療法(抗ウイルス療法,内服)があります。
現在では、合併症や、インターフェリンフリー療法に対して使用できない場合(禁忌)
や無効な患者をのぞき、内服のインターフェロンフリー療法が主に使用されます。
3.血清型 1 型の場合
①レジパスビル/ソホスブビル配合錠(ハーボニー配合錠)
1 日 1 回 1 錠 12 週間内服をします。国内の新薬の調査では、100%の治
癒率(SVR)でした。ただし、心臓や腎臓の悪い方、薬をたくさん飲んでいる方には副
作用や合併症ができることがあり、別の治療をすすめられることがあります。
②ダクラタスビル塩酸塩(ダクルインザ®錠 60mg)+アスナプレビル(スンベプラ®カプ
セル 100mg) の 2 剤を 12 週間内服します。①が使用できない場合や、腎臓の悪い場合、
人工透析を受けている場合などに使用します。80~90%治癒(SVR)します。
4.血清型 2 型の場合
ソバルディ(ソフォスブビル)+リバビリンの 2 剤を 12 週間内服します。95%以上で
治癒(SVR)します。
5.新薬はインターフェリン療法に比べて合併症や副作用がかなり少ないですが、それで
も 1-2%程度(市販後調査)あり、主治医の先生とよく相談する必要があります。
6.治療費は国からの補助がうけられますので、主治医の先生、保健所でご相談ください。
<<質問コーナー>>
質問①:私は B 型肝炎の抗ウイルス療法をうけています。C型肝炎の抗ウイルス療法とは
違いますか?
答え :違います。
C型肝炎の抗ウイルス療法は「ウイルスを消失」するための治療で、12 週間内服
した後、ウイルスがいなくなります。
一方、B 型肝炎の抗ウイルス療法は「ウイルスを減らす」するための治療で、完全
に消失させることは難しく、ほぼ一生内服します。
内服を途中でやめたりすると、抗ウイルス薬が効かないウイルスが発生し、病状
が重くなることがあります。内服については、よく主治医の先生と相談してくだ
さい。
質問②:C型肝炎の治療をして、治癒(SVR)といわれました。もう肝臓の検査は不要です
か?
答え :必要です。
SVR が得られても、やはり肝がんの発生は 0%にはなりません。それまでの肝炎の
進行の程度によって違いますが、6-12 ヶ月に採血や、超音波検査、CT 検査が必
要です。