国際局長サプライズ人事をめぐり憶測 マネー&マネー社長

「FX特別レポート」(7/27)
国際局長サプライズ人事をめぐり憶測
㈱マネー&マネー社長・吉田
恒
財務省の恒例幹部人事が内定した。その中で、今回とくに「意外」とされている一つに、
井戸国際局長(入省年次 48 年)の退任があった。今回は、日本の通貨当局、財務省の幹部
人事の裏側について解説してみたい。
◆2 年後の「49 年次官」へ準備=杉本-丹呉交代就任へ?!
今回の財務省恒例幹部人事は、事務方トップの事務次官に藤井主計局長(同 46 年)の昇
格、そして新しい主計局長、官房長には、それぞれ津田現官房長(同 47 年)、杉本現総括
審議官(同 49 年)の昇格、さらに、国際部門トップの財務官は渡辺氏の留任といった具合
に、おおむね順当な下馬評通りの結果となった。
しかし局長以下のクラスではいくつかの「サプライズ」があり、その一つは井戸国際局
長の勇退だった。過去 2 年間、渡辺氏と財務官-国際局長のコンビを組んできた井戸氏が、
渡辺氏のみの留任でこのたび退任となった。そもそも 2 年以上国際局長を務めた人物が、
財務官に昇格せずに引退した例は過去きわめて少ない。
この「国際局長人事の謎」について、いくつか噂が流れている。その一つが、
「49 年組次
官誕生へのシフト」説だ。
今回の幹部人事に当たって、密かに注目を集めていたのが、49 年同期入省の杉本氏と、
現在小泉総理秘書官をつとめている丹呉氏の処遇だった。小泉政権誕生から総理秘書官を
つとめ、小泉総理から信望の厚い丹呉氏が、小泉総理任期満了に伴い財務省に戻ることと
なるわけだが、杉本氏と同期でともに「次官の器」との見方が強まっていたからだ。
そういった中で、今回の人事で密かに注目されているのが財務総合政策研究所の森信所
長(同 48 年)留任。本来なら、退任有力と見られていた森信氏が留任したのは、9 月の小
泉総理退陣、それに伴う丹呉氏の財務省復帰をにらんだ結果ではないかとの見方が流れて
いる。
具体的には以下のような仮説になる。9 月に森信財政研所長が退任、後任に同期 48 年入
省の牧野理財局長が回る。そして丹呉氏が新理財局長に就任する。そしてそれは、2 年後か
らの杉本-丹呉、「49 年組交代次官」就任に向けた準備という解釈だ。
◆渡辺-篠原-玉木=財務官の後継見通し
財務省の事務方トップ、事務次官は主計局長-官房長-総括審議官が後継序列の不文律
になっている。今回の結果それは、津田(47 年)-杉本(49 年)-勝(50 年)となった
わけだ。
そこで、たとえば藤井次期次官、
「次の次」津田次官がそれぞれ 1 年で交代し、2 年後に
は 49 年組杉本次官誕生となる。その 2 年間で、丹呉氏は理財局長から主税局長ないし国税
庁長官などを経由し、「ポスト杉本」で 3 年後の次官就任を目指すといったシナリオだ。
このように、2 年後から事務方トップに 49 年組が就任することとなれば、早めにそれに
備えた体制を準備する必要が出てくる。国際部門トップ、渡辺現財務官の評判は高く留任
を望む声が強かったこと、3 年以上国際局長をつとめ、財務官に就任しなかった前例がほと
んどないことなどが、今回の国際局長人事に影響した可能性は考えられる。
この結果、財務官レースは、渡辺氏の 1 年間続投後に、篠原国際局長の昇格、そして 51
年入省の玉木次長が「次の次」を目指すといった構図になってきた。
(Y)
<参考.財務省のおもな幹部人事>
役職
氏名
入省年次
事務次官
藤井
46年
財務官
渡辺
47年
官房長
杉本
49年
総括審議官
勝
50年
主計局長
津田
47年
主税局長
石井
49年
関税局長
青山
50年
理財局長
牧野
48年
財務総合政策研究所所長
森信
48年
国税庁長官
福田
46年
金融庁長官
五味
47年
国際局長
篠原
50年
同次長
玉木
51年
同審議官
清水
51年
同審議官
古澤
54年
同総務課長
山崎
55年
同為替市場課長
根本
57年