中学生版ブックリストＮｏ．3１２０１１．１０．２７この主人公たちに会いたい！２０１０年１月～１２月までの１年間に図書館に入った本の中から、１４冊を選んで紹介します。編集・発行富山市立図書館富山市丸の内1-4-50 ＴＥＬ４３２－７２７３アナザー修学旅行有沢佳映著講談社家庭の事情やけがなどで、修学旅行に行けなくなった佐和子たち六人は、三日間を同じ教室で過ごすことになった。あまり親しくない上に個性的な顔ぶれを見て、佐和子は落ち着かない。自習中、皆は学校にいるもう一人の三年生の存在を思い出す。長い間、保健室登校をしている秋吉だ。六人は、秋吉を教室に連れてくることが出来るか試してみることにした。スキャットカール･ハイアセン著千葉茂樹訳理論社校外学習で訪れた湿地で火事が起こり、生徒から恐れられているスターチ先生が行方不明になる。放火の前科のある生徒スモークが疑われるが、その直後に先生から「休職したい」という不可解なメッセージが届いた。学園の生徒であるニックとマータは、なぞを調べ始める。すると、先生と意外な人物ときぐが、絶滅危惧動物のフロリダ･パンサーを犯罪の手から守ろうと活動していたのだった。 1 はみだしインディアンのホントにホントの物語シャーマン･アレクシー著さくまゆみこ訳エレン・フォーニー絵小学館北アメリカの先住民（インディアン）は、保留地での貧しい暮らしを強いられていた。その一人であるアーノルドは、先天的な病を抱えながらも、保留地の外にある白人のエリート校への転校を決意する。学校では、多くの白人から差別的な扱いを受け、一族からも裏切り者と呼ばれた。そんな中、アーノルドは、バスケの試合で活躍が認められ、なんと白人のガールフレンドまで出来るのだった。最後の七月長薗安浩作松浦は、重い障害を持ち、左半身が不自由だが、いつもふてぶてしい。ぼくとカズちゃんは、小学校に入学して以来、身の回りや登下校を手助けしているが、お礼一つ言わない。ところが地元の工場が閉鎖し、ぼくもカズちゃんも転校することになった。ぼくたちは、松浦に最後くらい「ありがとう」と言わせたくて、カブトムシとクワガタをたくさんとってプレゼントする計画をたてる。 2 理論社かぎ鍵の秘密古市卓也作 YUJI 画福音館書店ある日ノボルは、見知らぬ男から不思議なとびら鍵を手渡される。鍵を使って物置の扉を開けてみると、そこは異世界だった。ノボルは、たくゆうへい自分に鍵を託したのは、幽閉された王女であいんぼうることを知り、陰謀から王国を救ってほしいと頼まれる。二つの世界を何度も行き来して敵の様子を探るうちに、二年前に蒸発したノボルの父も、この世界に閉じ込められていることが明らかになる。ハンタージョイ･カウリー作大作道子訳偕成社ニュージーランドの先住民マオリ族の少年ハンターには、隠れて見えない動物を見とおごうよくす特別な能力があった。ハンターは、強欲な主人たちから、絶滅した巨鳥モアがいる場所へ案内するように命じられる。その 200 年後の 2005 年、全く同じ場所で、きょうだいマオリ族の子孫であるジョーダンたち姉弟が飛行機事故にまきこまれていた。ハンターは 200 年前の世界から、子孫の危機を感じ取る。 3 そうどうぼくんちのテディベア騒動クリス･ダレーシー作渡邉了介訳徳間書店ジョエルは、中古ショップで見かけたぼろぼろのテディベアがなぜか気に入ってしまった。店の裏に捨てられていたのをこっそり持ち帰り、ホレースと名づける。こっとうひん偶然、ホレースを見た骨董品の鑑定士は、予想外の高い値段で買いとりたいと申しこんだ。高級品だと知ったジョエルは、前の持ち主を探したいと思うが、お金に困っていたジョエルの父はホレースを売ろうと言い出す。リリース草野たき著あきら明良は、なくなった父の生まれ変わりとして親戚中から期待され、医者を目指していた。本当になりたいものは、プロバスケットボール選手だが、自分の心を隠して、気さくな優等生を演じる毎日を送っている。一方、仕事でいそがしい母に代わって家事を完璧にこなし、勉強まで教えてくれる兄を尊敬していた。しかし、同級生からその兄が万引きの常習犯だと教えられる。 4 ポプラ社１００km！（ヒャッキロ）片川優子著講談社みちるは、叔父が勝手に申し込んだチャリティーイベントに参加することになった。一昼夜かけて、三河湾沿いを 100km 歩くのだ。いやいや歩き始めたみちるは、何度もリタイヤを考える。けれど、はげましを受けたり他の少年と張り合ったりするうちに、ゴールを目指して進み出す。みちるは歩きながら、事故で入院してから無気力になった母を思い、完歩出来たら報告しようと決心した。墓場の少年ノーボディ・オーエンズの奇妙な生活ニール･ゲイマン著金原瑞人訳ある一家が殺された夜、赤ん坊だけが奇跡的に近くの墓地へと迷いこんだ。赤ん坊は、墓地に住む、寛大でユーモラスな幽霊たちに保護され、ノーボディ（誰でもない）と名付けられて成長する。殺人者は、１０年たってもノーボディをつけ狙った。ノーボディは、世の中を知り、敵の正体を見きわめるため、幽霊たちの反対をおしきって、墓地の外の学校に通いだす。 5 角川書店クロティの秘密の日記ﾊﾟﾄﾘｼｱ･Ｃ･ﾏｷｻｯｸ作宮木陽子訳くもん出版ど 150 年ほど前のアメリカ南部では、黒人奴れい隷の読み書きが禁止されていた。そんな中、 12 歳の黒人少女クロティは、こっそり文字を覚え、日記をつけ始める。ある日、クロティが働く農園に、白人の家庭教師ハームズ先生がやってきた。先生は、奴隷廃止論者で、ひそかに黒人たちを自由な土地に逃がす手助けをしていた。やがてクロティも、命がけで仲間に加わる。皿と紙ひこうき石井睦美著由香は、「皿山」と呼ばれる、九州の陶芸の里で生まれ育った。親から子へ技が伝えられ、伝統的な生活が何百年も続く村だ。のんびりして居心地のいい毎日だったが、ある日突然、東京から男子転校生がやってきた。周囲に無関心でクラスになじもうとしない姿に、ある事件の犯人では、とささやく声があがる。けれど由香は、転校生の思いがけない一面を知り、あわい思いをよせ始めた。 6 講談社マルカの長い旅カレン・クシュマン著野沢佳織訳徳間書店第二次世界大戦中、ヨーロッパではナチスドイツによるユダヤ人狩りが行われていた。ユダヤ人の女医ハンナは、二人の娘を連れ、ポーランドからハンガリーを目指して逃げた。ところが旅の途中、下の娘マルカが病気でたおれてしまう。「治ったら連れて行く」という地元の人の言葉を信じ、ハンナは娘を預ける。しかし、警察の捜索が始まったとたんマルカは町に置き去りにされたのだった。ピーティベン・マイケルセン作千葉茂樹訳ピーティは、脳性まひの状態で生まれた。考える力もないと誤って診断され、精神病患者の収容施設に入れられる。年の近いカルビンとは、独自のコミュニケーションで親友になるが、心ならずも引き離されてしまった。心に傷をかかえ７０歳になったピーティは、ある少年と知り合う。少年は、四肢の不自由なピーティに戸惑うが、その人生とユーモアに愛情を抱き、カルビン探しを決意する。 7 鈴木出版