インスタントメッセージ インスタントメッセージ

第17章
第
17
章
IMSにおける
インスタントメッセージ
第 16 章では、インスタントメッセージの基本コンセプトやペイジャーモードとセッション
ベース・モードがあることなどを説明してきた。本章では、これら2 つのモードがどのように
IMS に適用されるのかについて説明する。まず基本となるコールフローを解説し、次にインス
タントメッセージにより実現されている既存サービスの例を紹介する。
17.1
IMSにおけるペイジャーモード・インスタントメッセージ
ペイジャーモード・インスタントメッセージ・サービスは、3GPP仕様のリリース5の一部と
してIMSの初期から導入されている。最新の3GPP TS 23.228[23]には、ASとS-CSCFがテキス
ト情報をIMS端末に送信できるようにする要求がすでに含まれている。また3GPP TS 24.229[16]
では、MESSAGEメソッド(RFC 3428[76])のサポートを規定している。IMSの仕様では、IMS
端末はMESSAGEメソッドを実装することが必須となっており、一方、S-CSCFとASにおける
MESSAGEメソッドの実装は、オプションとなっている(サービスに必要な場合は実装する)。た
だし、16.3節で述べたように、ペイジャーモード・インスタントメッセージにはメッセージサイ
ズなどの制約がある。
ペイジャーモード・インスタントメッセージの一番の目的は、S-CSCFやASがIMS端末へ短い
インスタントメッセージを送信できるようにすることにある。一方でIMS 端末にはすでに
MESSAGEメソッドが実装されているので、ユーザは他のIMSユーザにペイジャーモード・イン
スタントメッセージを送信することも可能である。そのメッセージフローは図 17.1に示すよう
に単純である。
図 17.2にSIP MESSAGEメソッドで実現されるサービスの例を示す。この例では、ASがボイ
スメールの制御を行っている。ASは、ユーザがIMSにログインしたことを感知することにより、
ユーザに未読のボイスメールが届いていることを通知することができる。このサービスは以下の
ような動作により実現される。まずユーザは、図 17.2の①∼⑳に示すように、通常通りIMSに
登録処理を行う。登録処理に成功すると、S-CSCFはiFCを評価する。S-CSCFは、iFCに従っ
て、第三者からの登録処理(third-party registration)としてサードパーティREGISTERリクエ
17.1
IMSにおけるペイジャーモード・インスタントメッセージ
355
ストをASに送信する(
)。サードパーティREGISTERリクエストの目的は、ユーザをASに登
録することではなく、ユーザがS-CSCFに登録されたことをASに通知することである。ASは、
このREGISTERリクエストを受信すると、未読メッセージの写しを保存しているサイトへのリ
ンクなど、サービスに適切なテキスト情報を含むMESSAGEリクエストを生成し送信する(
)
。
MESSAGEリクエストは、他のSIPメッセージと同様に、S-CSCFとP-CSCFを経由して転送され
る。
IMS端末#1
発側ローミング先
ネットワーク
発側ホーム
ネットワーク
P-CSCF
S-CSCF
① MESSAGE
着側ホーム
ネットワーク
I-CSCF
HSS
着側ローミング先
ネットワーク
S-CSCF
P-CSCF
IMS端末#2
② MESSAGE
iFCの評価
③ MESSAGE
④ Diameter
LIR
⑤ Diameter
LIA
⑥ MESSAGE
第
Ⅲ
部
iFCの評価
⑦ MESSAGE
⑧ MESSAGE
I
M
S
の
サ
ー
ビ
ス
⑭ 200 OK
⑬ 200 OK
図 17.1
356
⑫ 200 OK
⑪ 200 OK
⑩ 200 OK
⑨ 200 OK
IMSにおけるペイジャーモード・インスタントメッセージ
第17章 IMSにおけるインスタントメッセージ
Alert
user
IMS端末
P-CSCF
① REGISTER
I-CSCF
② REGISTER
HSS
S-CSCF
AS
③ Diameter
UAR
④ Diameter
UAA
⑤ REGISTER
⑥ Diameter
MAR
⑩ 401 Unauthorized
⑪ REGISTER
⑨ 401 Unauthorized
⑫ REGISTER
第
17
章
⑦ Diameter
MAA
⑧ 401 Unauthorized
⑬ Diameter
UAR
⑭ Diameter
UAA
⑮ REGISTER
⑯ Diameter
SAR
⑰ Diameter
SAA
⑳ 200 OK
⑱ 200 OK
⑲ 200 OK
iFCの評価
REGISTER
200 OK
MESSAGE
MESSAGE
200 OK
図 17.2
200 OK
MESSAGE
200 OK
ペイジャーモード・インスタントメッセージによるサービスの例
17.1
IMSにおけるペイジャーモード・インスタントメッセージ
357