基本計画 - 瀬戸内市

■基本計画
第1章 うつくしい観光のまちをつくります
第2章 市民の生きがいになる観光のまちをつくります
第3章 人にやさしい観光のまちをつくります
第4章 産業活性化につながる観光のまちをつくります
第5章 みんなで観光のまちをつくります
第6章 施策一覧
第7章 年次計画
第8章 推進体制(協働の観光まちづくり)
基本計画の前に
■瀬戸内市の観光樹木
上
楕円
左
右
下
上下=時間軸
下(根本)
:景観、歴史、文化の記憶を守り、生き生きと根を張る。
上(樹冠)
:未来に向かって“ニューツーリズム”を進めていく。
左右=空間軸
右(世界への拡がり)
:世界へ情報発信コミュニケーションの輪を広げる
左(広域観光圏)
:姫路や岡山、倉敷などとの連携をより深める。
楕円=人間軸
市民、企業、瀬戸内市を愛する人々との協働。
このイラストは、瀬戸内市の観光のあり方を樹木にたとえたものです。時間
軸(下)は美しい景観や先人の努力により培われた歴史・文化・伝統そして、
海外を含むさまざまな交流の記憶などを守ることを表しています。時間軸(上)
では、これら固有の資源をもとに未来に向かって、これからの観光客が求める
ニューツーリズム(観光の新しい形態)へ挑戦するムーブメントを表していま
す。
左右の空間軸は、瀬戸内市を取り巻く空間との関係です。右は、世界への拡が
り、左は、近隣観光都市との連携を表します。
このように、瀬戸内市観光は、固定した姿ではなく、樹木の成長のように、絶
えず進化・変貌するもので、その全体としての成長の方向を示してます。
もちろん、瀬戸内市観光という樹木の生長にとって一番大切なエネルギーは人
で、市民、企業、瀬戸内市を愛する人々との協働であることは、論をまちませ
ん。
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■5つの宣言
本市の将来像である「豊かな自然と歴史を活かした交流と創造の都市」の実
現に向けて、瀬戸内市総合計画で5つの基本目標を定めています。
○うつくしい瀬戸内市をつくります
○豊かな心の瀬戸内市をつくります
○やさしい瀬戸内市をつくります
○活力ある瀬戸内市をつくります
○みんなで瀬戸内市をつくります
この5つの基本方針を観光振興になぞらえ、観光を基軸とした5つの宣言を
次のように策定しました。
○うつくしい観光のまちをつくります
○市民の生きがいになる観光のまちをつくります
○人にやさしい観光のまちをつくります
○産業活性化につながる観光のまちをつくります
○みんなで観光のまちをつくります
基本構想編でまとめた「施策の基本方針」をこの5つの宣言をもとに分類し、
施策を具現化するためのアクションプログラムを本編「基本計画」で示します。
地域が一体となって進める観光地づくり
おもてなしの心あふれる温かなまちづくり
若者が集う活気のあるまちづくり
そぞろ歩きができる賑わいのあるまちづくり
テーマに対応した観光メニューが選べる観光地づくり
質的目標
5つの宣言と施策の基本方針との相関
■暮らし、歴史・
文化、自然を
○うつくしい
観光のまちをつくります
○市民の生きがいになる
観光のまちをつくります
○人にやさしい
活かした観光施策
■ニューツーリズム(
スポーツ・体験
型観光・
産業観光など)の推進
■瀬戸内ブランドの確立
観光のまちをつくります
■観光環境の整備
○産業活性化につながる
観光のまちをつくります
○みんなで観光のまちをつくります
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■効果的な情報発信と誘致戦略
■人と組織づくり
第1章
うつくしい観光のまちをつくります
暮らし、歴史・文化、自然を活かした観光施策
(1)観光モデルコースの設定
「歴史文化」、
「海洋体験」、
「自然景観」、
「前島・離島体験」、
「映画」、
「食・
郷土料理」、「山海ショッピング」、「日本の伝統工芸」など、テーマに沿っ
た観光モデルコースの設定を行います。
各観光スポットを単に結ぶモデルコースではなく、その訪れたスポット
での体験メニューを盛り込み、食も重要な要素となるため、郷土料理が味
わえる店舗なども加えてモデルコースを作成する必要があります。また、
朝日、夕陽、夜景、朝市、夜のイベントなどを組み込むことにより、滞在
時間の延長、宿泊の増加に結びつけることも重要です。また、観光協会な
どの旅行業登録による地域密着型の旅行ツアーの主催も検討します。
○観光モデルコースの設定
○観光協会などの旅行業登録とツアーの主催
◆ 事例
【歩くをテーマにしたモデルコースの設定】 長崎さるく(長崎県長崎市)
長崎弁で“さるく”は「まちをぶらぶら歩く」という意味。
「まち活かし」「ひと活かし」を基本理念に、まず長崎市民が
「まち歩き」を通じて地域の豊富な観光資源を再発掘し磨きを
かけ楽しむこと、次に長崎を訪問した旅行者が歴史・文化、人、
自然に触れて長崎の良さを時間をかけてゆっくり体験してもら
い長崎の新しい楽しみ方、イメージを発信しようとするもの。
長崎さるくには①マップを手に自由に歩く「長崎遊さるく」
長崎さるくのキャラクター
(全 42 コース:所要時間約2時間)②長崎名物のさるくガイドの説明を聞きながら歩
く「長崎通さるく」
(全 31 コース)
、③専門家による講義や体験を通してさらに深く探
求する「長崎学さるく」
(全 74 テーマ)がある。さらに観光客のニーズに合わせた「オ
ーダーさるく」、修学旅行向けのさるくも用意している。
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◆ 事例
【観光協会の旅行業登録】
唐津観光協会「ぼくらの宿題おたすけ隊」
(佐賀県唐津市)など
平成 19 年5月の旅行業法の施行規則の改正を受け、小規模事業者であっても主催ツ
アーが可能になったことから、各地の観光協会で地域密着型ツアーの主催が行われて
いる。観光業界の役割は、観光名所や施設案内にとどまっていたが、これからは、地
元の観光協会ならではの地域密着型ツアーに期待が寄せられている。
(2)魅力あるイベントの開催
年間を通したイベントの開催を検討します。海を活用した「海のシリー
ズイベント」や花木を活用した「花のシリーズイベント」など春夏秋冬の
四季の特性を活かしたイベントを開催し瀬戸内市の魅力を高めます。また、
「海産物祭り」、「農産物祭り」などの開催を検討し話題性を創出し、誘客
を促進します。
○ 四季の特性を活かしたイベントの開催
○ 「海産物祭り」「農産物祭り」などの開催
○ 若者が集まる音楽イベントなどの開催
時期
1月
3月
既存主要イベント
名称
開催場所
・かきまつり
邑久町漁業協同組合
・人形供養
横尾山静円寺地蔵院
4月
・権現祭
大雄山大賀島寺
5月
・踟供養
千手山弘法寺
7月
・とうもろこし大収穫祭
邑久町下笠加地内
・牛窓花火大会
・喜之助フェスティバル
・びぜんおさふね名刀まつり
・牛窓秋祭り
・朝鮮通信使行列
・牛窓エーゲ海フェスティバル
・瀬戸内バルーンフェスティバル
牛窓港
邑久町公民館
備前おさふね刀剣の里
牛窓地区一円
牛窓地区
出島公園
吉井川河川敷
8月
10月
11月
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◆ 事例
【オフシーズン期のイベント開催】 まつえ暖談食フェスタ(島根県松江市)
観光客が減少する冬季イベント(2月)として開催する
ことで、年間を通して集客性を高めるのが狙い。
「冬の食」
をテーマにフォーラムの開催、市内各旅館やホテルでは創
作郷土料理の試食会の実施、商店街を歩行者天国にしての
屋台村などの出店などを行い、地元食材を使った一大食の
イベントとして定着している。
(3)早朝、夜間の魅力の拡大
朝市や夜のイベントの開催などによる滞在時間の延長や宿泊客の増加を
目指します。朝日、夕陽、夜景の展望ポイントなどの整備や夜間の野外音
楽祭、町並みのライトアップなどを検討します。現在、産地直売の朝市を
道の駅の一本松展望園などで実施しているほか、上寺山餘慶寺で毎年、年
末にライトアップを行っています。また、虫明迫門の曙、牛窓の夕陽、牛
窓ムーンロードなど、市内数箇所が朝日、夕陽、夜景のビューポイントと
して指定されています。
○朝市、夜のイベント開催
○朝日、夕陽、夜景の展望ポイントなどの整備
○ライトアップの実施
(しおまち唐琴通り一帯、福岡の家並み等)
○潮騒音楽祭(仮称)などの開催
(牛窓地区)
◆ 事例
【夜の魅力アップ】 ひめあかり(広島県廿日市市)
宮島町商工会と大野町商工会は厳島神社に祭られてい
る三女神(さんひめ)をテーマに夜の宮島の魅力アップ
を行っている。行灯をイメージしたぼんぼり「宮島ひめ
あかり」を製作。表参道商店街を中心にした店の軒先な
どに約 200 個を飾り、ライトアップを行っている。紅葉
谷公園では音楽祭も開催するほか、夜景スポットを紹介したマップなども作成している。
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(4)新たな観光資源の発掘と整備
あらためて既存の観光資源を見つめ直し、美術館などの整備を行います。
隠れた新たな観光資源を発掘するために市民などで組織した“まち歩き
隊”を結成し、魅力素材の発見を行います。牛窓町、邑久町、長船町の旧
3町の住民相互による“まち歩き”を実施し、互いの地域に対する理解を
深めるとともに、観光地としての意識の高揚を進めます。また、市民にア
ンケートを実施、美味しい料理店や好きな場所、本市に対する想いなどを
収集することも検討します。
財団法人日本交通公社の「美しき日本」で日本の観光資源を自然系と人
文系にそれぞれ 15 種類、10 種類に分類しています。普段生活している周辺
にも観光資源(素材)が隠れているかもしれません。
○美術館などの整備
○“まち歩き隊”による魅力素材の発見
○市民アンケートによる資源の掘り起こし
観光資源の再発見
市民アンケートの実施
旧邑久町
住民相互による
“まち歩き”
旧長船町
旧牛窓町
■ 財団法人日本交通公社「美しき日本」の観光資源分類:○自然資源=山岳、高原、原野、
湿原、湖沼、渓谷、滝、河川、海岸、岬、島、岩石・洞窟、動物、植物、自然現象 ○
人文資源=史跡、社寺、城跡・城郭、庭園・公園、歴史景観、地域景観、年中行事、歴
史的建築物、現代建造物、博物館・美術館
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(5)長期滞在型観光、定住促進
瀬戸内市の歴史・文化、自然・景観、食、温泉、自然観察、スポーツ、
学習やものづくりなどの観光資源(素材)を広く情報発信し、観光をベー
スにした地域住民との交流を促進します。来訪者のライフスタイルに応じ
た“瀬戸内暮らし”を発見してもらうことで、最終目標の移住定住あるい
は二居住に結び付けていきます。体験や学習、保養などをテーマに、陶芸
修行、英語合宿等、長期滞在型のメニューを開発します。
○ 長期滞在型メニューの開発
【定住希望者向け情報提供】
・地域の活動,コミュニティ情報
観光客
・就業情報
・暮らしの情報(医療・子育て・教育)
定住希望者
・遊びの情報(イベント・お店・食材)
・移住者の体験談
・空き屋情報
【観光客向け情報】
・観光スポット
・宿泊情報
情報の提供
・土産・物産
・体験プログラム
・産業観光
―など
(6)地産地消の推進
地元で生産されたものを地元で消費する地
産地消は、消費者の食に対する安全・安心志
向の高まりを背景に消費者と生産者の相互理
解を深める取り組みとして注目を集めていま
す。地産地消の取り組みは、生産者にとって
少量多品目の地域食材や規格外品の流通ルー
トが確保できるなどの経済効果があり、消費者にとっては新鮮で美味しい
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多くの地域食材が手軽に入手できるメリットがあります。
本市には吉井川流域に広がる肥沃な水田地帯と瀬戸内海に面した丘陵畑
地帯を有します。こうした地域での米・麦・野菜・果樹などの基幹作物と
沿岸漁業による新鮮な海産物の地域循環システムを構築し、地産地消を進
めます。現在、ゆうゆう交流館やJA産直市場、備前福岡の市などで地元
の新鮮な食材を販売していますが、今後こうした施設の拡大も検討します。
○ 産直市場の充実と新たな市場の検討
○ 地産地消のための流通システムの検証
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第2章
市民の生きがいになる観光のまちをつくります
ニューツーリズム(スポーツ・体験型観光・
産業観光など)
の推進
(1)プログラムの充実と新たなメニュー開発
既存の「海洋体験」、「歴史・文化体験」、「学習・ふれあい体験」のプロ
グラムの充実に加えて、新たな体験型メニューを開発します。新たなメニ
ューでは、気軽に楽しめるウォーキングコースの設定や地域のものづくり
をベースにした産業観光、近年の健康志向を考慮したヘルスツーリズム、
環境に配慮したエコツーリズムなども視野に入れて、検討を行います。
○
○
○
○
ウォーキングコースの設定
産業観光のメニューづくり
ヘルスツーリズムのメニューづくり
エコツーリズムのメニューづくり
海洋体験
・スポーツ
既存プログラム
・ブルーツーリズム
歴史・文化体験
・町並み散策
学習・ふれあい体験
・グリーンツーリズム
・伝統芸能、工芸
・味覚狩り
○ウォーキング
○産業観光
○ヘルスツーリズム
○エコツーリズム
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既存の教育旅行体験プログラム
■海洋体験
い か だ作 り・い か だ乗 り
海辺の自然体験活動
カナ デ ィアンカヌー
シーカヤック
底 引 き網
地 引 き網
栽 培 漁 業 センター 見 学
牛 窓 ヨットハ ー バ ー見 学
ヨットセーリング
チャーター フェリー クル ー ズ
■ 歴 史 ・文 化 体 験
工芸制作講座
ししこま作 り
備 前 福 岡の 史 跡 巡 り
陶芸体験
夢 二 生 家 ・少 年 山 荘
しおまち唐 琴 通 り
備 前 焼 体 験 ・陶 芸 教 室
ペ タンク体 験
■ 学 習 ・ふ れ あ い 体 験 お か き・せ ん べ い工 場 見 学
手 打 ちうどん 教 室
オリー ブ収 穫 体 験
人権学習
卵 とり体 験
石 窯 パ ン焼 き体 験
カキ 打 ち体 験
み か ん狩 り
カリヨンハ ウ ス
牛 窓 町 漁 協 ・カリヨンハ ウ ス
栽 培 漁 業 センター
牛 窓 ヨットハ ー バ ー
ホテルリマ ー ニ
前 島 フェリー
備 前 お さふ ね 刀 剣 の 里
瀬戸内市観光協会
瀬戸内市商工観光課
寒風陶芸会館
夢 二 生 家 ・少 年 山 荘
瀬戸内市観光協会
岡 山 い こいの 村
瀬戸内市観光協会
畠山製菓豊原工場
こだ わ りうどん 一 文 字
日 本 オリー ブ
国立療養所長島愛生園
国立療養所邑久光明園
岡 山 い こいの 村
岡 山 い こい の 村 ・
道 の 駅 黒 井 山 グ リー ンパ ー ク
ホテルリマ ー ニ・牛 窓 ホテル
テーブルマナー教 室
◆ 事例
【体験型観光】 ほんまもん体験(和歌山県)
和歌山県は観光客に地域自然・歴史・文化・伝統産業などに
触れてもらい、ありのままの和歌山を知ってもらうため、
「和
歌山ほんまもん体験」を推進している。ジャンル別に①農業・
漁業体験、②生活文化体験、③歴史文化体験、④自然観察体験、
⑤スポーツ体験、⑥地域産業体験の6つのプログラムに分類し
た体験型観光を展開している。
パンフレット
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(2)観光ビジネスの育成と支援
観光関連産業の育成に加えて、新たな観光ビジネスの創出を支援します。
若者や女性を中心にした起業や既存の観光資源(素材)を有効利用した新
たな取り組みなどを支援し、観光産業として育成します。
○
○
○
○
○
土産品の開発と販売
空き家を利用した店舗出店
新たな2次交通の検討(ベロタクシー、人力車の運行)
地元食材を使った郷土料理の創作と販売
体験プログラムの作成と実施
◆ 事例
【環境にやさしい交通機関】 ベロタクシー
ベロタクシーは電動補助付三輪自転車で発祥地はドイツ。排気ガス“ゼロ”のため、
環境にやさしく、また、動く広告塔として現在、ドイツ各地をはじめ世界各国に広がり、
日本では京都、広島など8都市で走行している。広島の場合は初乗りは 300 円、以後
100 メールずつ 50 円を加算。行政からの助成金や補助金は一切受けておらず、運営費
用は事業収入(広告掲載料と運賃収入)となっている。
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第3章
人にやさしい観光のまちをつくります
1.瀬戸内ブランドの確立
固有の観光イメージの創出
観光振興の基本理念として定めた
「山海の魅力が満載のまち、ふれあい交流観光都市・瀬戸内市をめざします」
をベースに瀬戸内市のブランドづくりに取り組みます。
ブランドづくりは本市全体の観光イメージづくりと特産品などのブランド化
が考えられます。本市全体の観光イメージとしては、特性である温暖少雨の瀬
戸内海式気候や豊富な農産物・海産物、豊かな自然景観などに恵まれているこ
と、中世からの歴史文化が残り、海浜・田園文化の双方が息づくまちなどの要
素を加味し、イメージの創出を図ります。また、カキなどに加えて特産物など
のブランド化に取り組みます。オリジナリティの高い土産品の開発や食の魅力
づくりなども今後、重要となります。
○ 瀬戸内市のブランドイメージの創出
○ 特産品などのブランド化
瀬戸内ブランドイメージのキーワード
○瀬戸内海 ○日本のエーゲ海
○ニューツーリズム・体験型観光 ○大正ロマン
○刀剣の里 ○陶芸 ○古墳文化 ○中世の商業地 ○朝鮮通信使 ○前島
○海浜・田園文化 ○海浜リゾート ○映画 ○カキ(海産物・シーフード)
○オリーブ ○マリンレジャー
■観光ブランドイメージ(コンセプト)例:
○「近代日本の息吹を伝える街」
(北海道函館市)
○「蔵とラーメンのまち」
(福島県喜多方市)
○「まちじゅう博物館」
(山口県萩市)
○「潮風が耳に届く。四季折々の旅情にあふれた水の都」
(島根県松江市)
○「海
山 空
夢ひらくまち」
(広島県三原市)
○「国際観光温泉文化都市」
(大分県別府市)
○「海峡と歴史のまち」
(山口県下関市)
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2.観光環境の整備
(1)観光案内機能の充実
瀬戸内市観光の基点となるJR邑久駅や道の駅、牛窓地区の観光案内機
能を強化します。また、旅の途中で気軽に観光情報を入手できるように、
コンビニエンスストアやガソリンスタンドなどに観光パンフレットを設置
した「まちかど観光案内所」を導入します。人と人との対面による観光案
内は、観光地としてのイメージに重要な位置を占めることから、各種広報
を通じて地域住民に「おもてなしの心」を意識づけます。
○ JR邑久駅や道の駅、牛窓地区での観光案内の強化
○ 「まちかど観光案内所」の導入
○ 各種広報などによる地域住民への情報提供
◆ 事例
【観光案内所の設置】 伊賀上野まちかど観光案内所(三重県伊賀市)
伊賀上野観光協会では、観光客への情報提供を行う「まちかど観光案内所」を設置し
ている。道案内や食事場所など、まちの情報を提供するもので、飲食店、小売店、コン
ビニエンスストア、ガソリンスタンド、駐車場など市民のボランティアにより、案内所
設置場所が増えている。
(2)観光資源の保全と継承
かけがいのない観光資源を保全し、次世代に伝えていくために、官民一
体となった活動を行います。大学などの研究機関と連携し、本市の歴史や
文化を再検証し、観光資源としての有効活用と保全を進めます。また、地
域の公民館などとも連携して、伝統文化や芸能などの保全を進めます。
○ 大学などの研究機関との連携
○ 地域の公民館との連携
(3)観光地としてのおもてなしの心の醸成
温かいおもてなしの心にあふれた観光地づくりのために、地域住民への
観光施策の情報提供などに加えて、次の事項の取り組みを検討します。
○ 市民講座の開催
55
○ ボランティアガイドを対象にした勉強会の実施
○ イベント開催による来訪者と市民との交流機会の創出
◆ 事例
【こどもガイド】 湯のまち こどもガイド(大分県別府市)
湯のまちこどもガイドは、別府八湯竹瓦倶楽部と竹瓦温泉周辺の子供会が連携して結
成した「竹瓦・地域でこどもを育てる会」が行っている事業。竹瓦倶楽部は地域の町づ
くりを行う団体として平成 10 年から「竹瓦界隈路地裏散歩」というまち歩きガイドツ
アーを実施している。この活動の中で、地域の子供達が将来、自分たちのまちを誇りに
思い、育ったまちを説明できる大人になって欲しいとの考えから、スタートした。こど
もガイドはこの地域を訪れる人たちに道案内や歴史の説明を行うことで、地域に対する
愛着と誇りを育んでいる。
(4)環境美化や景観づくり意識の向上
清潔で美しいまちづくりを進めるため、積極的な啓発活動を展開し、環
境美化に対する市民の意識を高めます。また、市民や関係機関との連携を
図りながら、市景観計画などを反映させ、地域の特性を活かした景観の保
全に努めます。
○市民への意識啓発活動の展開
(5)案内表示・サイン等の充実
合併以前の旧町時代の案内表示やサインが混在し、本市を訪れる観光客
にとって必ずしもわかりやすい案内表示・サインとは言えません。地域の
景観にマッチし、統一性のあるサイン計画に基づいた案内表示・サインの
導入を検討します。また、英語やハングル、中国語など多言語表示も進め
ます。
○わかりやすい統一案内表示・サインの導入
○案内表示・サインの多言語化の推進
◆ 事例
【観光サイン】 デザインの統一 (京都府京丹後市)
京丹後市は平成 16 年に丹後6町が合併し誕生
した。市内の観光案内看板は旧町時代に設置され
たもので、統一性に欠けていた。合併を機に市域
内の統一デザイン案を作成した。
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(6)市内公共交通機関の整備
公共交通機関を利用し本市を訪れる観光客の利便性を向上させるため、
関係機関と連携し、市内交通(2次交通)の整備を図ります。市内交通の
整備については次の事項を検討します。
○ 既存路線バスの有効利用
○ ワンコインバスの導入
◆ 事例
【循環バス】 萩循環まぁーるバス(山口県萩市)
萩市では市役所を起点として東回りコースと西回りコースの循環バスをそれぞれ 30
分間隔で運行している。一乗り 100 円の定額運賃で、バスは専用の小型ノンステップバ
スとし、観光客だけでなく高齢者などの市民にも広く利用されている。観光スポットに
加えて、病院などにも停留し市民生活も考慮に入れた路線となっている。
(7)観光協会の組織強化と観光関連団体等との連携強化
観光協会の組織強化を図るほか、岡山県や県観光連盟、商工会、農協、
漁業、交通事業者、旅行業者など観光関連団体などとの連携を強化し、総
合的な観光施策を展開していきます。このため、観光活性化懇話会の継続
設置など、関係団体等で組織する連絡協議会の設置も検討します。
○観光協会の組織強化
○関係団体などで組織する連絡協議会の設置
◆ 事例
【観光協会の法人化】 社団法人飛騨高山観光協会(岐阜県高山市)
観光協会は昭和 10 年に設立。昭和 23 年、乗鞍山頂への観光用乗鞍登山バスの開通に
より、戦後の観光が復活。昭和 45 年の国鉄の「ディスカバージャパン」キャンペーン
により全国にクローズアップされ、年間 100 万人の観光客を集めるようになり、その後、
順調に観光客数が伸び 200 万人に。従来、行政主導型であった観光協会を、民間主導型
にすることで、民間活力をより引き出し、官民一体となった強力な観光事業の推進が可
能になること、また、観光地間の競争に対応できる組織づくりが必要との判断から、昭
和 57 年に社団法人飛騨高山観光協会を発足させた。
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第4章
産業活性化につながる観光のまちをつくります
効果的な情報発信と誘致戦略
(1)広域観光ネットワークの構築
観光客の発地が本市から遠隔地になればなるほど、観光行動が広域化し、
旅程も広域化します。首都圏からの来訪を想定した場合、中国地区、四国
地区、九州地区を視野に入れ、本市への立ち寄りを促す施策が必要なりま
す。広域連携として近隣の観光地である岡山市、倉敷市、備前市などとの
連携を強化します。また、隣県の兵庫県、広島県、香川県の観光都市との
協力体制を構築します。
○ 岡山市、倉敷市、備前市など周辺観光都市との連携
○ 兵庫県、広島県、香川県などとの広域連携
近隣の観光地の資源等
県
岡山
広島
兵庫
観光都市
資源(素材)
岡山市
岡山後楽園、岡山城、さわら料理、県立美術館等の文化施設
倉敷市
美観地区、児島ジーンズ産業観光、チボリ公園、瀬戸大橋
備前市
閑谷学校、備前焼、日生港(五味の市)
、
福山市
鞆の浦(朝鮮通信使)
、福山城、県立歴史博物館等の文化施設
尾道市
千光寺(桜)
、古寺巡り、ロケ地巡り、尾道ラーメン
広島市
平和記念公園、原爆ドーム、お好み焼き
廿日市市
宮島、厳島神社、紅葉まんじゅう
姫路市
姫路城
神戸市
有馬温泉、六甲山、神戸のまち並み
(2)映画やテレビドラマ等の誘致促進
本市のイメージアップや認知度を高め、新しい魅力の発見、ロケ地観光
が期待できることから映画やテレビドラマ、CMなどの誘致を進めます。
観光協会のフィルム・コミッション事業を推進し、誘致活動や情報提供を
行います。
○フィルム・コミッションとロケ支援の広報
○制作プロダクションに対するロケーションセールスの実施
○ロケ協力者の募集
○ロケ地情報などの提供
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(3)ホームページの充実による国内外への情報発信
本市への来訪の動機付けとなるホームページでの情報発信を強化します。
最新のイベント情報など旬の話題を盛り込み、本市の魅力を伝え、観光客
の増加に結びつけます。海外への情報発信を行うため、ホームページの多
言語化も進めます。英語に加えてハングル、中国語の各言語版の導入を検
討します。
○ホームページの多言語化(英語、ハングル、中国語)
既存の瀬戸内市観光関連ホームページ
名 称
瀬 戸 内 市 ホームページ
瀬 戸 内 市 観 光 協 会 「瀬 戸 内 市 の 旅 」
言語対応
日 本 語 ・英 語
日本語
牛 窓 町 観 光 協 会 「牛 窓 旅 の 標 」
日本語
瀬 戸 内 市 商 工 会 ホームページ
日本語
瀬 戸 内 市 商 工 会 「瀬 戸 内 市 の お店 と企 業 ブログ」
日本語
(4)観光プロモーションの推進
岡山県や近隣の観光都市と連携し、観光宣伝隊の派遣(首都圏及び関西)
によるPR・誘致活動を強化します。これにより、マーケットの拡充を図
ります。また、大都市圏の百貨店やデパートなどで「瀬戸内市うまいもの
フェア」や「瀬戸内市の物産と観光展」などを開催し、本市の観光情報の
提供や特産品のPRを行います。
○観光宣伝隊の派遣
○観光物産展等の開催
(5)インバウンドの推進
本市には海外との交流の歴史を示す文化・芸能(朝鮮通信使、唐子踊な
ど)に加えて、世界に誇ることができる日本の伝統工芸・美術品(日本刀、
虫明焼、備前焼)の郷でもあります。訪日観光の目的が日本文化の探求で
ある欧米人にとって刀剣や陶芸は魅力的な資源であり、朝鮮半島との交流
の歴史も国際都市としての素地を備えています。また、特産品のカキは欧
米でも一般的なシーフードとして認知されています。
こうした固有の資源(素材)を活用するとともに、周辺観光スポットの
岡山後楽園、倉敷美観地区、吉備路、姫路、鞆の浦などとの連携を図り、
59
外国人観光客の誘客を進めます。また、本市は平成 18 年度設立の岡山県外
国人観光客受入協議会に加入しており、協議会を通じて他の市町村と連携
しながら、外国人の誘客を図ります。
○ 欧米圏及び東アジア圏のインバウンド推進
海外にもPRできる観光資源(素材)
項目
観光資源(素材)
歴史的な町並み
○しおまち唐琴通り
○福岡の家並み
伝統工芸・美術品
○日本刀
自然景観
○牛窓の多島美
イベント
○瀬戸内バルーンフェスティバル
観光施設
○牛窓海遊文化館 ○夢二生家・少年山荘
食
○瀬戸内近海の魚介類 ○カキ
○虫明焼
○牛窓秋祭り(唐子踊)
■観光立国推進基本計画:観光立国推進基本法に基づき、平成 19 年6月に観光立国推進基
本計画が策定されました。この基本計画の中で訪日外国人の増加が目標に掲げられ(訪日
外国人旅行者を平成 22 年までに 1,000 万人とする)
、基本的な方針の中でも「世界に例を
みない水準の少子高齢社会において活力に満ちた地域社会を実現していくためには、日本
人・外国人を問わず、わが国において観光による交流人口を拡大していくことが極めて重
要である」と記載されている。
(6)大会、コンベンション等の誘致
岡山市、倉敷市などで開催される大会、コンベンションのアフターコン
ベンションとして本市をPRし、地域の交流の機会の創出と本市の知名度
や認知度を高め、観光客の増加に結びつけます。
○岡山市、倉敷市のアフターコンベンションの誘致促進
■ アフターコンベンション:アフターコンベンションは、コンベンション(会議)が終了
した後に行われるイベントの総称で、観光などが行われることが多い。コンベンション会
場の施設が整っている岡山、倉敷などのアフターコンベンションを瀬戸内市に誘致するの
も、交流人口の増大につながる。
60
(7)教育旅行の誘致
観光施設や関係団体の協力のもと、本市の観光資源や素材を活かした海
洋体験や学習・ふれあい体験、歴史・文化体験などの体験プログラムを設
定しています。旅行会社や各種教育機関などへ、こうしたプログラムの情
報を提供し教育旅行の誘致を図り、山海の自然と歴史文化を活かした学び
の里づくり進めます。
○旅行会社や教育関係機関への情報発信・誘致活動の強化
◆ 事例
【教育旅行誘致】 神戸学遊パスポート(兵庫県神戸市)
修学旅行で神戸を訪問する小・中・高校生及び引率者を対象に、観光施設を無料又は
割引料金で見学できる「神戸学遊パスポート」を発行している。京都、大阪など神戸以
外に宿泊しても、この特典を適用。パスポートはグループ行動に適したポケットサイズ
で、観光マップも記載している。教育旅行モデルコースとして「震災学習」や「産業学
習」
、
「自然・環境学習」などを設定し、インターネットの使った情報発信にも力を入れ
ている。
61
第5章
みんなで観光のまちをつくります
人と組織づくり
(1)地域観光リーダーの育成
観光協会のコーディネート機能の強化を図るほか、商工会、ボランティ
アガイドなどとの協力体制を構築し、地域の観光リーダーを育成します。
地域で活躍している観光関連従事者、農林水産業従事者、交通事業者など
を観光マイスターとして認定し、おもてなしの実践や観光PRに努めても
らいます。
○ 観光協会のコーディネート機能の強化
○ 観光マイスターの認定
(2)市民ボランティアガイドの育成支援
既存の「牛窓町観光ボランティア活動チーム」への支援を強化し、後継
者の育成、勉強会の開催、最新の観光情報の提供などを行います。
また、ボランティアガイドは直接、観光客とふれあい観光客の生の声に
接する機会が多いことから、定期的に行政、観光関係者、ボランティアガ
イドなどを構成員とする意見交換会(仮称)などを開き、観光客の最新の
ニーズや要望などを観光行政に活かしていきます。
○ 「牛窓町観光ボランティア活動チーム」への支援を強化
○ 意見交換会の開催
意見交換会
観光客
・ボランティアガイド
・行政担当課
・観光関連団体
・観光関連企業
観光客の動向やニーズ、
要望などの生の声を集約
観光施策に反映
62
(3)若者を中心とした観光の担い手の確保と育成
次代の観光産業を担う若者の確保と育成を図ります。地元大学などの研
究機関と協力した地域資源の掘り起こしや文化研究などを通して、次代を
担う若い力を育てます。また、地域の子供たちが本市の歴史文化に理解を
深め、故郷を誇りに思えるような啓発活動を展開します。小中学校での地
域学習の展開や観光クラブ(仮称)による子供ボランティアガイドの養成
などを検討します。
○ 地域の子供たちへの啓発活動
63
第6章
体系 No.
施策一覧
施策
具体的事項
1
歴 2
史
・
文
化
3
自
然
を
活
か 4
し
た
観
5
光
施
策
6
、
・観光モデルコースの設定
・観光協会などの旅行業登録とツアーの主催
魅力あるイベントの開催
・四季の特性を活かしたイベントの開催
・「
海産物祭り」
「
農産物祭り」などの開催
・若者が集まる音楽イベントなどの開催
早朝、夜間の魅力の拡大
・朝市、夜のイベントの開催
・朝日、夕陽、夜景の展望ポイントなどの整備
・ライトアップの実施
・潮騒音楽祭などの開催
新たな観光資源の発掘と整備
・美術館などの整備
・“
まち歩き隊”
による魅力素材の発見
・市民アンケートによる資源の掘り起こし
長期滞在型観光、定住促進
・長期滞在型メニューの開発
地産地消の推進
・産直市場の充実と新たな市場の検討
・地産地消のための流通システムの検証
ニ
ュー
ツ
プログラムの充実と
1
新たなメニュー開発
・ウォーキングコースの設定
・産業観光のメニューづくり
・ヘルスツーリズムのメニューづくり
・エコツーリズムのメニューづくり
2 観光ビジネスの育成と支援
・土産品の開発と販売
・空き家を利用した店舗出店
・新たな2次交通の導入(
ベロタクシー、人力車の運
行)
・地元食材を使った郷土料理の創出と販売
・体験プログラムの作成と実施
ー
リ
ズ
ム
︵
ス
ポ
ー
ツ
・
体
験
型
観
光
・
産
業
観
光
な
ど
︶
2
市
民
の
生
き
が
い
に
な
る
観
光
の
ま
ち
を
つ
く
り
ま
す
暮 1 観光モデルコースの設定
ら
し
、
う
つ
く
し
い
観
光
の
ま
ち
を
つ
く
り
ま
す
の
推
進
64
体系
3 瀬
戸
人 内
に ブ
や ラ
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し ド
い の
観 確
光 立
の
ま
ち
を
つ
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光
環
境
の
整
備
4
産
業
活
性
化
に
つ
な
が
る
観
光
の
ま
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く
り
ま
す
効
果
的
な
情
報
発
信
と
誘
致
戦
略
No.
施策
具体的事項
1
固有の観光イメージの創出
・
瀬戸内市のブランドイメージの創出
・
特産品などのブランド化
1
観光案内機能の充実
・
JR邑久駅や道の駅、牛窓地区の観光案内の強化
・
「
まちかど観光案内所」
の導入
・
各種広報などによる地域住民への情報提供
2
観光資源の保全と継承
・
大学などの研究機関との連携
・
地域の公民館との連携
3
・
市民講座の開催
ボランティアガイドを対象にした勉強会の実施
観光地としてのおもてなしの心の ・
・
イベント開催による来訪者と市民の交流機会の創
醸成
出
4
環境美化や景観づくり意識の向上
・
市民への意識啓発活動の展開
5
案内表示・
サイン等の充実
・
わかりやすい統一案内表示・
サインの導入
・
案内表示・
サインの多言語化の推進
6
市内公共交通機関の整備
・
既存路線バスの有効利用
・
ワンコインバスの導入
7
観光協会の組織強化と
観光関連団体等との連携強化
・
観光協会の組織強化
・
関係団体などで組織する連絡協議会の設置
1
広域観光ネットワークの構築
・
岡山市、倉敷市、備前市など周辺観光都市との連
携
・
兵庫県、広島県、香川県などとの広域連携
2
映画やテレビドラマ等の誘致
・
フィルム・
コミッションとロケ支援の広報
・
制作プロダクションに対するロケーションセールス
の実施
・
ロケ協力者の募集
・
ロケ地情報の提供
3
ホームページの充実による
国内外への情報発信
・
ホームページの多言語化(
英語、ハングル、中国
語)
4
観光プロモーションの推進
・
観光宣伝隊の派遣
・
観光物産展等の開催
5
インバウンドの推進
・
欧米圏及び東アジア圏へのインバウンド推進
6
大会、コンベンション等の誘致
・
岡山市、倉敷市のアフターコンベンションの誘致促
進
7
教育旅行の誘致
・
旅行会社や教育関係機関への情報発信・
誘致活動の強
化
65
体系 No.
施策
5
み
ん
な
で
観
光
の
ま
ち
を
つ
く
り
ま
す
1 地域観光リーダーの育成
具体的事項
・
観光協会のコーディネート機能の強化
・
観光マイスターの認定
・
「牛窓町観光ボランティア活動チーム」
への支援を
市民ボランティアガイドの育成支
人
2
強化
と
援
・
意見交換会の実施
組
織
づ
く
り
若者を中心とした観光の担い手
3
・
地域の子供たちへの啓発活動
の確保と育成
66
第7章
年次計画
1.暮らし、歴史・
文化、自然を活かした観光施策
検討・
実施年度 20
■観光モデルコースの設定
検討
○観光モデルコースの設定
検討
○旅行業登録とツアーの主催
■魅力あるイベントの開催
検討
○四季の特性を活かしたイベント開催
検討
○「
海産物祭り」
「
農産物祭り」
などの開催
検討
○若者が集まる音楽イベントなどの開催
■早朝、夜間の魅力の拡大
検討
○朝市、夜のイベントの開催
○朝日、夕陽、夜景の展望ポイントなどの整備 検討
検討
○ライトアップの実施
検討
○潮騒音楽祭などの開催
■新たな観光資源の発掘と整備
検討
○美術館などの整備
検討
○“
まち歩き隊”
による魅力素材の発見
検討
○市民アンケートによる資源の掘り起こし
■長期滞在型観光、定住促進
検討
○長期滞在型メニューの開発
■地産地消の推進
実施
○産直市場の充実と新たな市場の検討
実施
○地産地消のための流通システムの検証
21
22
23
24
25 26 27 28 29
24
25 26 27 28 29
実施
実施
実施
実施
実施
実施
実施
実施
実施
実施
実施
実施
実施
2.ニューツーリズム(
スポーツ・
体験型観光・
産業観光など)
の推進
検討・
実施年度 20
■プログラムの充実と新たなメニュー開発
実施
○ウォーキングコースの設定
検討
○産業観光のメニューづくり
検討
○ヘルスツーリズムのメニューづくり
検討
○エコツーリズムのメニューづくり
■観光ビジネスの育成と支援
検討
○土産品の開発と販売
検討
○空き家を利用した店舗出店
検討
○新たな2次交通の検討
○地元食材を使った郷土料理の創出と販売 検討
検討
○体験プログラムの作成と実施
67
21
22
23
実施
実施
実施
実施
実施
実施
実施
実施
3.瀬戸内ブランドの確立
検討・
実施年度 20 21 22 23
■固有の観光イメージの創出
検討
実施
○瀬戸内市のブランドイメージの創出
検討
実施
○特産品などのブランド化
24 25 26 27 28 29
4.観光環境の整備
検討・
実施年度 20
■観光案内機能の充実
○JR邑久駅などの観光案内強化
○「
まちかど観光案内所」
の導入
○地域住民への情報提供
■観光資源の保全と継承
○大学などの研究機関との連携
○地域の公民館との連携
■観光地としてのおもてなしの心の醸成
○市民講座の開催
○ボランティアガイド等の勉強会の実施
○イベント等による来訪者と市民の交流機会の創出
21
22
検討
実施
検討 実施
実施
検討
検討
実施
実施
検討
実施
検討 実施
検討 実施
■環境美化や景観づくり意識の向上
実施
○市民への意識啓発活動の展開
■案内表示・
サイン等の充実
○わかりやすい統一案内表示・
サインの導入 検討
検討
○案内表示・
サインの多言語化の推進
実施
■市内公共交通機関の整備
検討
実施
○路線バスの有効活用
検討
実施
○ワンコインバスの導入
■観光協会の組織強化と観光関連団体との連携強化
検討 実施
○観光協会の組織強化
○関係団体などで組織する連絡協議会の設置
23
検討 実施
68
実施
24 25 26 27 28 29
5.効果的な情報発信と誘致戦略
検討・
実施年度 20
■広域観光ネットワークの構築
21
○岡山市、倉敷市、備前市などの周辺観光地との連携
検討 実施
○兵庫県、広島県、香川県などとの広域連携
■映画やテレビドラマ等の誘致
○フィルム・
コミッションとロケ支援の広報
○ロケーションセールスの実施
○ロケ協力者の募集
○ロケ地情報の提供
検討
22
23
24 25 26 27 28 29
23
24 25 26 27 28 29
実施
実施
実施
実施
実施
■ホームページの充実による国内外への
情報発信
○ホームページの多言語化(
英語、ハングル、中国語) 検討
実施
■観光プロモーションの推進
実施
○観光宣伝隊の派遣
実施
○観光物産展等の開催
■インバウンドの推進
○欧米圏及び東アジア圏のインバウンド推進 検討
■大会、コンベンション等の誘致
○岡山市、倉敷市のアフターコンベンションの
誘致促進
実施
検討 実施
■教育旅行の誘致
○旅行会社や教育関係機関への情報発信・
誘致活動の
実施
強化
6.人と組織づくり
検討・
実施年度 20
21
22
■地域観光リーダーの育成
実施
○観光協会のコーディネート機能の強化
検討
実施
○観光マイスターの認定
■市民ボランティアガイドの育成支援
○「
牛窓町観光ボランティア活動チーム」
への
実施
支援を強化
検討 実施
○意見交換会の実施
■若者を中心とした観光の担い手の確保と育成
検討
実施
○地域の子供たちへの啓発活動
69
第8章
推進体制(協働の観光まちづくり)
今後、瀬戸内市観光の一層の進展を図るためには、市民の理解のもと、官民
協働の取り組みが必要です。このため、引き続き、行政や観光関連団体、観光
施設、旅客輸送事業者、旅行会社などで組織した観光活性化懇話会を継続設置
し、情報交換や施策の実施に向けた活動を展開します。
瀬戸内市観光振興連絡協議会
瀬戸内市観光協会
瀬戸内市商工会
情報交換
施策展開に向けた調整
観光施設
ボランティアガイド組織
市民組織(NPOなど)
旅客輸送事業者
旅行会社
瀬戸内市関係部署
70
資料
瀬戸内市観光活性化懇話会委員
所属
役職
氏名
座長
岡山商科大学商学部国際観光学科
教授
今井
成男
委員
瀬戸内市
副市長
東原
和郎
委員
瀬戸内市観光協会
会長
石田
一成
委員
瀬戸内市商工会
事務局長
山下
卓男
委員
牛窓町観光ボランティア活動チーム
リーダー
吉田
洋一
委員
岡山県観光連盟
事務局長
宮原
茂
委員
ジェイティービー西日本国内商品事業部
地域統括部長(中国地域担当) 田中
正
委員
備前長船刀剣博物館
館長
日下
弘海
委員
(財)両備文化振興財団
総括マネージャー
小川
晶子
委員
(有)曙の里おく
支配人
三宅
久雄
委員
ホテルリマーニ
総支配人
岡崎
大祐
委員
牛窓ペンションオーナーズ会
会長
岡部
茂樹
委員
岡山いこいの村
副支配人
中田
訓弘
委員
両備ホールディングス 両備観光カンパニー
副カンパニー長
上殿
一博
委員
西日本旅客鉄道(株)岡山支社
営業課長
黒田
岳司
瀬戸内市観光活性化懇話会
第1回懇話会
開催日:平成 19 年6月6日(水)
時
間:14:00∼16:00
場
所:瀬戸内市役所第3会議室
第2回懇話会
開催日:平成 19 年 10 月 31 日(水)
時
間:14:00∼16:00
場
所:瀬戸内市役所中会議室
第3回懇話会
開催日:平成 19 年 11 月 27 日(火)
時
間:10:00∼12:00
場
所:瀬戸内市役所大会議室
71
参考
「スロー」に着目した地域づくりの推進(長崎県西海市)
はじめに
瀬戸内市の観光環境と似通った都市として、
海浜と田園を舞台に積極的な観光振興を展開
している長崎県西海市の取り組みを紹介しま
す。西海市は気候が温暖で山海の豊かな自然
に恵まれています。市域の東西、北側を海に囲
まれ大村湾では多島美が楽しめ、西洋との交流
の足跡を示すキリシタン文化や捕鯨、炭鉱、製
塩などの産業変遷の歴史が脈々と受け継がれて
います。また、市内には民宿やペンションも多
く、シーカヤックなどの海洋体験、ミカン・ブ
ドウなどの農園体験など多くの体験メニュー、
プログラムを策定し、ゆったりと流れる時間を
大切にしたスローツーリズムによるまちづくり
を行っています。
注:西海市ホームページより
1.西海市概要
平成 17 年4月に西彼町、西海町、大島町、崎戸町、大瀬戸町の5町が対等合
併し、新しく「西海市」が誕生しました。日本列島の西端、五島灘や角力灘、
大村湾に面した西彼杵半島の北部に位置し、半島本土に加えて五島灘に多くの
島しょ部を有します。長崎市と佐世保市の中間に位置し、平成 11 年開通の大島
大橋により本土と結ばれています。西海国立公園、大村湾県立公園、西彼杵半
島県立公園の3つの自然公園に指定され、多くの島々と複雑に入り組んだ海岸
線がすばらしい景観をつくりだしています。
1562 年、日本最初のキリシタン大名である大村純忠が横瀬浦(西海町)にポ
ルトガルとの貿易港を開港したことから、南蛮貿易やキリスト教にゆかりのあ
る歴史があります。西彼杵半島西部の各港は江戸時代から捕鯨基地として栄え
ました。明治以降は石炭採掘が始まりましたが、捕鯨産業が成り立たなくなり、
炭鉱も全て閉山(炭鉱遺跡が現在も残る)しました。海に囲まれていて沿岸漁
業が盛ん。南東部の大村湾沿岸ではナマコやカキ、真珠など、北部・西部の五
島灘ではアラカブ(カサゴ)、アワビ、イセエビなど、多くの水産物が漁獲され
72
ています。農産物ではミカン、スイカ、西海町のゆで干し大根、大島町の完熟
トマトなどが特産品として売り出されています。また、松島には電源開発松島
火力発電所、大島には造船所(大島造船)、蛎浦島には崎戸製塩所があります。
2.データ
人
口
33,356 人(平成 19 年9月1日)
総面積
241.9 平方キロメートル(長崎県全体の 5.9%)
年間平均気温
16∼17℃
気
温暖多雨
候
観光客数
160 万人(長崎県全体の5%)
宿泊客数
9万人
アクセス
長崎空港 - 市役所から自動車で約1時間 30 分
上五島空港 - 平島から船で約 15 分
最寄駅は佐世保市の早岐駅かハウステンボス駅(九州旅客鉄
道佐世保線・大村線)
観光施策
西海市ツーリズム推進協議会(平成 17 年9月設立)
西海市スローツーリズム推進基本構想策定(平成 18 年3月)
3.西海市ツーリズム推進協議会
西海市は、平成 17 年に「西海市ツーリズム推進協議会」を立ち上げ、地域資
源活用構想策定等支援調査事業を活用し、
「西海市スローツーリズム推進基本構
想」を策定しました。人口の減少、少子高齢化が課題となっているが、都会か
らの定住促進よりも、日帰り、短期宿泊による交流人口の拡大をめざしている。
従来のハード事業からソフト事業重視に転換しています。人口 500 万人の福岡
県をはじめ、長崎、佐世保をターゲット(商圏)とし、PR と誘客促進を行って
います。
4.西海市のスローツーリズムの考え方
西海市は、スローツーリズムを「体験と学習」、
「郷土食と特産品」、
「『海・山・
郷』の景観と環境」、「歴史と文化」、「宿泊と滞在」、「半定住と定住」の要素を
包含し、
「農林漁業」
(1次)
、
「地域特産品の生産」
(2次)
、
「郷土食の提供や宿
泊及び各種サービス」(3次)などのすべてのビジネスを含む「6次産業」(地
域複合産業)として位置づけています。この地域複合産業のスローツーリズム
73
を確立することで、新たなまちづくりを進めています。
5.「西海市スローツーリズム」推進の基本方針
海・山・郷の豊かな自然環境と風土に抱かれ、地域に生きる人々が営々と紡
いできた暮らしの物語をベースとして、訪れる人々に体験・学習・飲食・購買・
休養の魅力的なプログラムを全市民参加方式で組織的・体系的に提供すること
により、交流人口の拡大と半定住・定住人口の確保を図ることを基本方針とし
ています。
6.メニュー、プログラム
西海市観光協会ではスローツーリズムの展開において次のようなメニュー、
プログラムを策定しています。
【内海(うちめ)ブルーゾーン】
○シーカヤック&島体験 ○真珠養殖工場の見学・加工体験 ○ぶどう・なし
狩り収穫体験 ○動物体験 ○伊ノ浦瀬戸うずしお体験 ○四本堂公園
【グリーンツーリズムゾーン】
○農村の食体験(みかん狩り、麦狩り、びわ狩り、ミカンジャム・こんにゃく・
西海寿司) ○ガラス工芸 ○農村体験(田植え、野菜づくり) ○そば打
ち体験 ○木工体験 ○わらじづくり ○門松づくり体験 ○カブト虫とり
体験 ○たけのこ堀り体験 ○芋さし・芋ほり体験 ○炭焼き体験 ○パン
づくり体験 ○ゆで干し大根農業体験
【外海(そとめ)ブルーゾーン】
○びわジャム・びわ茶づくり ○ホゲットウ石鍋製作所遺跡探索 ○海岸清掃
体験 ○豆腐づくり体験 ○魚釣り体験 ○潮ワカメづくり体験
【新緑グリーンゾーン】
○川遊び体験 ○ヨガ体験
験
【島のブルーゾーン】
○大島トマト狩り体験
○山菜つみ
○醸造所体験
74
○お香体験
○染物体験
○陶芸体
西海市観光協会のパンフレット
7.スローツーリズムの推進組織
体験希望者と農林漁家体験施設の橋渡しはグリーン・ツーリズムステーショ
ン(GTS)が行っています。GTSは長崎県のグリーン・ツーリズムステー
ション育成事業を活用し、西海市観光協会の「みかんドーム」内に設置してい
ます。
GTSは、都市と農村をつなぐコーディネート組織で、GTSの中心となっ
て活動するコーディネーターの設置やインストラクターとの連携、誘客のため
のPR活動を行っています。GTSは希望者に最も適した施設やインストラク
ターをコーディネートし、プランの作成、当日の現地対応を行っています。
また、Iターン、Uターン希望者の受入れ支援も実施しており、住宅や農地
の斡旋のほか、支援制度の紹介などを行っています。
注:西海市観光協会パンフレットより
8.グリーンツーリズムの担い手
農家など5軒に農家民泊の許可を与え、農業体験などで訪れた観光客を宿泊
させています。長崎県は農業体験や自然体験で来訪した客を宿泊させる場合に
限り、食品衛生法などの規制を緩和しており、西海市ではグリーンツーリズム
の担い手として、農家民泊を推進しています。
75