最強の時間管理術~必ず成果が出るスキルとツール~

最強の
最強の時間管理術~
時間管理術~必ず成果が
成果が出るスキルと
スキルとツール~
ツール~
ワーク・ライフ・コンサルタント アパショナータ Inc.
パク・ジョアン・スックチャ
【はじめに】
はじめに】
今日のテーマは,ワーク・ライフ・バランスを踏まえた最強の時間管理術です。スキルを考える前
に,なぜ私たちは時間を有効に使いたいと考えるのかを話していきたいと思います。
皆さんは仕事以外の時間がもっと欲しいでしょうか。私は,日本人は,仕事以外の時間が本当に欲
しいのかなと疑問に思う時がたくさんあります。企業が「もっと効果的に仕事をして,早く帰りまし
ょう」と言っても,会社の方が居心地がいいといつまでも残っている方も多いです。中国人も含めて
外国人は,自分の時間がすごく欲しいと思うのですが,日本の人は,この意識が薄いのではないかな
という感じがします。
【ワーク・
ワーク・ライフ・
ライフ・バランスとは
バランスとは】
とは】
ワーク・ライフ・バランスも誤解されているところがたくさんあります。最初に,御自身のワーク
とライフのバランスについて,現状把握をしてみましょう。全体的に理想と現実のギャップが小さい
場合は,自分が大切だと言っていることと,実際にとっている行動が一致している,またはかなり近
い状態です。ギャップが小さいと,自分が信じている価値のとおりに自分が行動しているので,気持
ちがいいのです。問題は,大切なのだけれども,時間もエネルギーも使っていないので,罪悪感を持
つことです。なぜ大切なことが大切にできないのか,いろいろな理由があると思いますが,「仕事以外
の時間がない」とよく言われます。しかし,これらの側面は全てお互いに影響しているのです。
分かりやすい側面は,メンタルヘルスです。精神的やすらぎがぐっと崩れると,必ず肉体的な支障
が出てきます。メンタルヘルスの最初のシグナルは睡眠不足です。そのような状況で職場に来てもら
っても,仕事の生産性や集中力,仕事の質はどうでしょうか。
ビジネスに新しい発想が必要な時代において,もし皆さんが,自己成長,趣味が大切だからと,定
期的に本を読んだり,余暇を楽しむことが,どれぐらい仕事に影響を及ぼすことでしょうか。
【「働
「働き方の変革」
変革」が必要な
必要な要因】
要因】
今の日本には,いくつか問題があります。1 点は成熟社会なので,消費者はその中では付加価値の高
いものでなければ買ってくれないということです。もう 1 点は,日本人の給料が世界一高いというこ
とです。世界一高い給料を貰えるぐらいの付加価値の高いものを提供しない限り,海外へ生産が移っ
ていくということです。
一番必要なのは,新しい発想です。新しいビジネスモデルにしても,発想,イノベーションが必要
になってくるのですが,そういうものはたくさんの異なる知識,経験,教養が刺激しあった時に生ま
れるのです。今の時代に私たちに求められているのは,量の問題ではなく質です。付加価値を目指し,
ハイクオリティーのパフォーマンスを出すためには,仕事以外の側面を定期的に磨いて,自分をブラ
1
ッシュアップすることが求められています。今の仕事を効果的に行って,今よりも短時間で仕事をこ
なし浮いた時間で仕事以外の自己投資をしていくことが必要な時代になってきています。
世界的にも不況の影響で,労働時間は減っていますが,先進国の中で働きすぎている国民が多い国
はどこだと思いますか。これは 2000 年の ILO 資料なのですが,日本が 28.1%で 4 人に 1 人以上が 50
時間以上働いています。アメリカは 20%,イギリスは 15.5%と英語圏で長くなっています。ドイツは
5.3%,フランスも 5.7%です。その下は北欧諸国の 4.5%前後です。最下位は,ワークシェアリングで
有名なオランダです。私は,長く働いていることを批判する気持ちはないのですが,日本ではこんな
に多くの人が,ここまで長く働いて何をしているのかは,興味深いです。
国際的に競争力の高い国はどこだと思いますか。1 位アメリカ,2 位シンガポール,週 35 時間労働
のオランダは 10 位です。2009 年度版では日本は 17 位になりましたが,働き過ぎ度が先進国 1 位と目
立って長いのに,国際競争力は 20 位前後です。一方,北欧諸国とかヨーロッパ人は長く働いていませ
んが,調子がいいのです。労働時間の長さとパフォーマンスを比べてみると,この関連性は見えて来
ません。アメリカは労働時間が長くて,労働生産性も高いのですが,労働時間の短い国も労働生産性
は高くなっています。つまり,私たちは,変化に対応するために働き方も変えていかなければいけな
いということです。
日本が直面する大きな変化は少子高齢化で,その影響は人口減少です。労働力が減るということで
すが,同時に消費者も減ります。消費者が減るということは,皆さんの会社の国内売上が下がるとい
うことなのです。企業も,特に大手を見ていると国内は縮小だとわかっていますから,将来が期待で
きるアジアや他のところに投資しているという構造です。企業は,国内の不採算部門を上手にスリム
化して利益率を確保しにいっています。
縮小経済は,働く人にとってどういう意味を持つのかというと,年功序列や終身雇用というシステ
ムがうまくいかなくなるということです。また,人口減少や少子高齢化により,直撃を受けるのは年
金です。私たちが経済的に安心して生活しようと思ったら,今後は,年金がもらえるようになる 70 歳
まで,働き続けられる健康的な体を維持しないといけないということです。
それではどうするのか,解決策は,どれぐらい自分自身に投資するかどうかです。高度情報化社会
では,私たちは,今の日常業務をしながら 70 歳まで求め続けられる能力を開発して,働き続けられる
健康を維持し,家庭のある人は家庭責任を果たしていくということが求められています。
なぜ日本人は世界と比較してもこれだけ長く働くのか,私はそれなりに理由があると思っています。
やはり日本は,ジャパン・アズ・ナンバーワンを戦後から 40 年間もやり続けて成功したのです。その
時は,長く働けば今よりも,もっと儲かったのです。時間とパフォーマンスが比例していたのです。
しかし,その後 IT が入って考える仕事になると,時間とパフォーマンスの関係がわからなくなって
きたのです。日本はそれでも「根性だ,40 年間成功した」と頑張ろうとして頑張れなかったので,競
争力が低下していったのです。グローバル化すると,製造はどんどん賃金の安い国に行くのです。賃
金の高い国では,簡単なものづくりはできなくなったので,もの自体は安いのですが,それに対して
商品開発やデザインといった付加価値をたくさんつけるのです。賃金の高い国は,利益率を高めて生
産性を高める必要があります。先進国や給料の高い国の人達は,給料の低い国の人達と同じようなこ
とはできないのです。
【海外の
海外の成果を
成果を出す労働者の
労働者の共通点】
共通点】
アメリカやイギリスは長時間労働者が多いのですが,メリハリをつけて働いています。また,ポジ
2
ションが上がれば上がるほど健康に気を使います。責任ある仕事であればあるほど病気をしている場
合ではないのです。また,アメリカ人やヨーロッパ人は何時に帰るという目標を持って,その時間に
帰るようにしています。しかし,仕事を持って帰っている人が多いです。今は,パソコンがあるので,
どこでも仕事ができます。会社で長時間ではなく,自宅でも働くのです。そして,朝の時間帯を非常
によく活用しています。フレックスタイムを導入して,多くの人の時間の使い方が後ろにずれるのは
日本だけです。海外では,前にずれるのです。
【タイム・
タイム・マネジメントの
マネジメントのカギ】
カギ】
時間管理のスキルに関しては,すごく簡単です。ある人はタイム・マネジメントが上手にできて,
ある人はそうでないと,これはスキルが難しいのではなく,自分自身にどれぐらいやる気があるかと
いうことなのです。これがスキルの 80%を占めます。スキルは簡単でもそれをやり続けられるかどう
かは,皆さんのメンタルなところに関わってくるのです。「本を読んだら簡単なのだけれども,時間管
理が続けられない」という場合も,自分が絶対に時間が欲しいのであれば,時間管理は上手になりま
す。そこを意識していただきたいと思います。「知っている」と「やっている」の違いは,天と地の差
があります。「知って」私たちの人生は変わりません。「やって」初めて変わっていくのです。
皆さんのまわりで,すごく大きな成果を出して,いろいろなことをやっている人と,いつも時間に
追われて前進できていない人と 2 種類のタイプがあると思います。大きな成果を出している人は能力
が高いのではなく,時間の使い方が上手なのです。同じ長さしか持っていない時間をどう使うかによ
って成果が変わってくるのです。時間管理には,私たちの意識的な努力と行動を習慣化していくとい
うことが求められています。
【時間管理への
時間管理への 3 つのアプローチ
つのアプローチ】
アプローチ】
時間管理のアプローチは 3 つあります。1 つは目標設定,計画,優先順位,実行です。もう 1 つは,
持っている時間を最大限に有効活用する方法です。すきま時間や待ち時間を上手に使うことを意識し
ていくと全然変わってきます。残り 1 つは,時間の節約です。価値の低いことや無駄だと思うことに
極力時間をかけないことです。
【計画とは
計画とは】
とは】
いつ何をするかを,今決めることが計画なのです。何を計画するかというと長期計画,月間計画,
週間計画,そして日々の計画です。圧倒的大多数の人は目標設定をしていません。ところが,目標を
達成した人は,みんな書いて目標設定をしたと言っています。これは,書けば叶うということです。
日本人は,ビジネスやキャリアの目標は設定するけれども,パーソナルなものはやらないのです。先
進国の外国人はプロフェッショナルサクセスと同時に,パーソナルハピネスを求めているのです。サ
クセスとハピネスの 2 つに対する目標設定です。どうすれば 2 つが達成できるのかを考えるので,同
時に達成できるのです。1 つだけしか達成できていない人は,1 つだけしか目標を設定していないから
です。2 つ設定すればやり方が変わってきます。長期から上手に逆算して,月,週,日と落としていく
とその目標は達成できるのです。
一番重要なのは目標設定なのですが,基本は毎日の計画です。今日の計画が上手にできると週間と
月間に適応できるので,ここでは今日の計画のやり方をお話します。
ここで重要なのは TO DO LIST を作ることです。TO DO LIST をつけている人はけっこうい
るのですが,1 週間に 1 回だったり,不定期でやっている人が多いと思いますが,日々変わったりす
るので,毎日作成してください。そして,今日やることを全部書いて全体を把握し,3 段階で優先順位
3
をつけてください。「絶対に今日する」が A,「今日する」が B,「できれば今日する」が C です。それ
をもとに 1 日のスケジュールを作成します。重要なことは優先順位の高いものから,できるだけ早い
段階で手をつけていくことです。私たちは,無限大に増え続ける情報量と仕事量に対して,1 秒たりと
も増えない時間の中でどうやってベストな成果を出すかというと,優先順位をつけるしかないのです。
選択と集中です。つまり,「何をするか」と同時に「何をしないか」ということも選んでいくことが,
時間管理の大きなポイントの1つになるのです。それをうまくするためには優先順位を明確にしてい
く必要があります。
私のお奨めは,1 冊のリングノートを To Do List 専用にしてください。毎日,計画するのです。
左が To Do List で右はその日のメモです。すべてのメモは 1 冊のノートにまとめてください。いろ
いろなところに書くことによる探すストレスと,時間の無駄を削減するために,すべてのメモも集約
してください。そして,上から仕事,下からプライベートと To Do List は,1 冊で管理してくださ
い。なぜかというとやる人が同じだからです。時間管理の基本は計画で,ツールは手帳なのです。皆
さんはすでに手帳を持っていると思うので,To Do List と皆さんの手帳を併用して使ってください。
1 冊にしたければシステム手帳がベストです。時間があれば手帳も工夫して使い勝手がよいものにして
はいかがでしょうか。
【パク流
パク流「自己投資」
自己投資」】
皆さんは時間を効果的に使えれば,今の仕事をより短時間でこなすことができます。仕事でもライ
フでもベストパフォーマンスを出すためには,社会的人間関係,肉体的,知的,そして精神的に定期
的に自分自身を磨いて,健康を維持することが大切です。ですから,浮いた時間で「もっと仕事を」
というのも 1 つの選択肢ですが,2~3 回に 1 回ぐらいは仕事以外の自己投資,運動をするとか勉強を
するとか,余暇・趣味を楽しむこともできます。
仕事以外の活動を本当にするのでしたら,何月何日にやると決めて実行してください。そして,そ
れ以上に大切なのは,定期的にやり続けることを 1 つでも決めて,やり続けることです。短期間の集
中講座では無理です。少しでもいいからやり続けるということを目標にしてください。やり続けた皆
さん自身の 1 年後がどれだけ違った自分になっているでしょうか。もう 1 人の自分は相変わらず忙し
くて,時間が過ぎて何もできなかった自分自身です。どっちの自分になりたいかを御自身で決めて,
それをやればいいのです。「ノー残業デー」があるのだったら,目標を設定して,だから早く帰るとい
うように順番を変えてください。早く帰ることが目的ではないのです。何をする,だから早く帰るの
です。そのようにするとそれが楽しみになり,それが実行できると,それなりの自分になっていくと
ころがあります。
大切なことは,私たちは仕事でもプライベートでもやらなければいけないこと,やりたいこと,夢
や希望がたくさんあります。これは,誰がするのですか。自分の体一本が肉体的にも精神的にも知的
にも健康で,これを維持するために時間を使って,自分自身の人生全体の質を向上させるのです。そ
して,死ぬ時になっていい人生だったなと最終的に言えるのが人生の目的ではないかなと思います。
時間管理というのは,単なるハウツウではなく,私たちの生き方,働き方に大きく関わっているので
す。御自身の時間の使い方,働き方を見直してみてはいかがでしょうか。
4