Advanced Energy Systems for Sustainability AESプロジェクトと 国際研究センター構想 低炭素社会の基盤づくりの プラットフォーム 東京工業大学統合研究院 Integrated Research Institute Tokyo Institute of Technology 振興調整費 低炭素社会実現への ソリューション 「低炭素社会」の実現は、21 世紀最大の課題のひとつです。 東京工業大学は、この課題に取り組むため AES プロジェクトを推進しています。 原子力を基盤としつつ革新的な省エネ・新エネ技術を大胆に取り込み、 地球温暖化の回避と安定したエネルギー利用環境を実現する「持続可能社会のための先進エネルギーシステム (Advanced Energy Systems for Sustainability、略称 AES) 」の確立を目指すプロジェクトです。 従来の大学研究の枠を超えて産業界や行政、消費者、NPO など多様な主体が参加する「プラットフォーム」を構築、 社会ニーズを的確に把握して共に開発・実証研究に取り組みます。 低炭素社会のグランドデザインを描き、次世代エネルギー基盤を確立する道筋を明らかにする計画です。 ビジョンと目標 ● ● CO2 排出を世界で 50%削減するのに必要な先進エネルギーシステム(AES)の開発・実証 低炭素社会のグランドデザインを描いて、2015 年以降の次世代エネルギー基盤の実現を主導 ご挨拶 研究の進め方 ■ 次世代エネルギー基盤となる統合型イン 教授 柏木孝夫 フラ構造の構築に必要な基盤技術の開発 プロジェクトリーダー に東工大が中心になって産官学で取り組 むためのプラットフォームを形成します。 ■ 東工大の研究者と企業など多様な主体が 低炭素社会では原子力が日本全体のベース電力を担い、その基 盤の上に自立性の高い地域共生型の新エネルギーなどが適切な規 プラットフォームで議論を続け、低炭素 社会を実現するために解決すべき課題を 明確化します。 模で知能を備えてクラスターを形成するでしょう。それらが分散 ■ 課題が明確になったら東工大の研究者と 型システム群として大規模送電系統の一端にネットワークを形成 複数の企業など多様な主体が参加するサ し、系統との調和を図りつつ、一定地域内(コミュニティーレベ ル)で電力だけでなく熱や物質(例えば水素)も併給する統合型 インフラ構造を構築します。 AES は、こうした統合型インフラ構造を構築するために必要 な基盤技術およびシステム化のための技術を総称するものです。 ブプロジェクトを立ち上げ、課題解決に 取り組みます。 ■ 複数のサブプロジェクトは、研究の進捗 状況などについて相互に調整しながら総 合的にマネジメントし、次世代エネルギー 基盤の確立という最終目標を目指します。 ソリューション研究と AES プロジェクト AES プロジェクトは東京工業大学が文部科学省の科学 の道筋をつける研究 ②学内外の連携を強めて組織的に取 技術振興調整費「戦略的研究拠点育成プログラム(スー り組む課題実現型のプロジェクト研究——です。振興調 パー COE)」の支援を受けて 2005 年度に設立した統合 整費による統合研究院の活動は 2009 年度で終了します 研究院がソリューション研究の一環として進めています。 が、東工大はその成果をさらに発展させるため、2010 年 ソリューション研究は、東工大が大学における研究の新 度に新統合研究院(仮称)を設置、その中に国際的なエ しい類型として提唱しているもので、①数年から十年程 ネルギー研究拠点として AES 国際研究センターを発足さ 度先の将来ニーズ解決と企業化あるいは社会システムへ せる準備を進めています。 次世代エネルギー基盤の確立目指す 交通システム AESプロジェクト 太陽光発電や太陽熱発電、風力などの再生可能エネルギーを利用した電気自 動車向けの充電インフラシステムの研究。東工大の大岡山、すずかけ台、田 Advanced Energy Systems for Sustainability 町の 3 キャンパスを結んで実証研究を推進。 ■三菱商事、三菱自動車工業、GS ユアサ など 全体構想 次世代空調 低炭素型エネルギー 需給ネットワーク 現在: 樹枝状ネットワーク CCS 海洋バイオマス クリーン・コール (石炭) 複合発電 原子力発電 境負荷低減に加え、快適性・高機能を追求する次世代空調システムの開発と 天然ガス 実証。 一方向 ICT U:User 向 方 双 石油グリーン リファイナリー PEFC SOFC 熱輸送 産民複合 地域計画 熱電併給 地域熱供給エリア PV FCV EV/PHV PV PV ■東京電力、三菱電機、高砂熱学、三菱樹脂 など PV メガソーラー 商業都市 先進電力マネジメント (嶋田隆一 教授) 新エネルギー、 電力貯蔵、 省エネに向けてパワーエレクトロニクスのソリュー ション研究を行なう。磁気エネルギー回生スイッチ(MERS)による蛍光灯 スマートグリッド マイクログリッド H2融通 PV U 蓄電池 U 熱供給 PV H2 Heat Pump 産業都市 Heat Pump U PEFC U 産業コンビナート ●産業原子炉 ●重質系高度処理・ 残渣IGCC熱電併給 ●エネルギー・物質 (水素) 併産型コプロダクション ●新燃料 (佐藤勲 教授) ヒートポンプを活用し、空気質の向上により従来のエネルギー有効利用、環 太陽熱発電 PV (黒川浩助 特任教授) の調光、パワーマネジメント、風力発電機の増力、フライホイールなど。 ■新日鐵、MERSTech など PV EV PV FC 送 熱輸 バイオマス 各種処理エリア FC 住宅コミュニティ PVタウン FCタウン 海洋バイオマス (柏木孝夫 教授) 非着床系藻類を工業的に増殖させ、CO2 を固定するのと同時にバイオマスと して資源化・利用するための研究。自然環境条件を超えた高い増殖速度を得 るため、事業系排気ガス等に含まれる CO2 や工業排熱を用いる。大規模実 証を目指し、研究課題を産官学で分担。 進行中のサブプロジェクト (カッコ内は各リーダー、■は主な協力企業) コプロダクション ■竹中工務店、東京電力、東京ガス など (荒木和路 特任教授) 異種燃料電池(PEFC+SOFC)の組み合わせによる高効率コプロダクション や太陽光発電など再生可能エネルギー利用なども含めた「統合型エネルギー・ 物質ネットワークシステム」に関する研究。東工大と社会との交流拠点にな る東工大蔵前会館(Tokyo Tech Front)で実証試験。 (玉浦裕 教授) オーストラリアや中国、モンゴル、インド北西部などアジア太平洋地域のサ ンベルトで豊富な太陽エネルギーを利用し、電力やソーラーハイブリッド燃 料(石炭と太陽エネルギーを組み合わせた合成燃料など)を生産して持続可 能な経済圏の創生を目指す実証研究。 ■東京ガス、新日本石油 スマートパワーネットワーク アジア太平洋サンベルト開発 ■三井造船、三菱商事、三菱重工、コスモ石油 など (赤木泰文 教授) 既存の大規模系統電源と今後需要側で急増すると予想される太陽光発電など 再生可能エネルギーの最適な共存条件、社会コストミニマムなどを探る「電 力ネットーワーク」に関する実証研究。 ■東京電力、東芝、日立製作所、関電工、明電舎、富士電機システムズ など 新規プロジェクト ○○○研究会 世界のイノベーション拠点 AES国際研究センター構想 東京工業大学は、統合 研 究 院 が 進 め る AES プ ロ の多様な主体と連携・協働して研究を推進するプラッ ジ ェクトをさらに発展させるために、2010 年度に トフォーム機能を一段と充実し、低炭素社会実現に向 AES 国際研究センター(仮称)を 10 年間の時限組織 けた世界的なイノベーション拠点として大きく飛躍す として設立する準備を進めています。産業界など学外 る狙いです。 東京工業大学 AES国際研究センター 幹事会 学内研究科・附置研究所・等 部門間連携会議 産 運営 研究部門 (AES統合部門) 同上D 産学官連携の場の提供 (自由参加) FCコプロダクション 同上B 同上C AES総会 研究推進委員会 PJ創生プラットフォーム 共同研究部門A Pj A社 スマートパワー ネットワーク 形 B社 交通システム 成 次世代空調 C社 Pj企画 省エネ照明 同上E 海洋バイオマス アジア太平洋サンベルト開発 D社 教員 (平成21年2月末現在) ○○研究会 (将来) 官庁 大学 企業 業界団体 …etc. 官 官庁 地方自治体 …etc. NPO F社 ・情報交流 ・ニーズ探索 ・講演会…etc. 学 他大学 NPO …etc. ■ 設立の目的 ■ 設置形態と運営 ■ 参加企業のメリット ❶ 持続可能な低炭素社会の実現を導くエ ❶ センターは、東工大が 2010 年度に発 足させる新統合研究院(仮称)に 10 ❶ センターが運営するプラットフォーム ネルギー・環境分野の研究の推進と新領 域の創成。 年時限組織として設置する予定。 ❷ 社 会・ 産 業 ・ 行 政 と の 連 携 に よ る ソ ❷ センターは、企業や社会に開かれたプ リューション研究プロジェクトの継続 ラットフォームを構築し、そこでの議 的な創成。 論を通じて社会・産業が抱える課題を ❸ 低炭素社会実現に向けたエネルギーシ 大学教員、参加企業等が協力して適切 ステムに関するイノベーション拠点の に設定、その解決を図るソリューショ 構築。 ン研究プロジェクトを立ち上げる。 ❹ 低炭素社会のグランドデザインと政策 の提言。 ❸ センターでは、東工大が準備を進めて いる新しい共同研究部門制度に基づい ❺ 専門的な研究能力とともに社会・産業 て置かれる共同研究部門で、企業と に対する総合的な視野とプロジェクト 大学教員が対等の立場で研究に取り組 マネジメント能力を有する人材の育成。 む。 に参加し、東工大の研究者や異業種と の自由な交流、意見交換ができる。 ❷ 東工大の研究者や他企業と一緒になっ て共同研究プロジェクトの企画・立案 に参加できる。 ❸ 共同研究部門制度の下で得られた研究 成果の知的財産権については、東工大 と企業が共同研究部門の契約時に交わ す取り決めによって独占的な実施権な どを得ることができる。 AES プロジェクト 推進体制 統合研究院の 支援体制 リーダー 院長 教授 伊賀健一(学長) 柏木孝夫 副院長 伊澤達夫(理事・副学長) コリーダー 教授 石井彰三 嶋田隆一 小長井誠 機構長 教員等 上羽貞行 教授 赤木泰文 岡崎 健 佐藤 勲 陶 昇* 中上英俊* 梅干野晁 ソリューション 研究機構 機構長補佐 荒木和路* 黒川浩助* 志賀雅人* 玉浦 裕 福谷和彦* 山崎陽太郎 下田隆二 鴨志田晃 イノベーションシステム 研究センター センター長 准教授 下田隆二 小田拓也* 教授 沖野晃俊 片岡良彦** 高橋宏治 長崎孝夫 助教 伊藤雅一* 野村新一* Jan Wiik * 石川正道 鴨志田晃* 小林隆弘* 本間祐次* 大熊和彦* 国吉 浩 高木靱生* 准教授 研究員 橋本泰一* 磯部高範 助教 研究参事 李 京柱* 平井利弘 国友享二 乾 孝司* (*は特任、**は連携) 協力企業・団体など NTT ファシリティーズ、大阪ガス、沖縄電力、関西電力、九州電力、ジーエ ス・ユアサパワーサプライ、JFE エンジニアリング、JFE メカニカル、住環 境計画研究所、昭和シェル石油、新日本製鐵、新日本石油、高砂熱学工業、 竹中工務店、中国電力、中部電力、東京ガス、東京電力、東芝三菱電機産業 システム、トステム住宅研究所、富山環境整備、ニチモウ、日建設計、日本 電気、富士電機デバイステクノロジー、富士フィルム、芙蓉海洋開発、三井 造船、三井物産戦略研究所、三菱化学、三菱自動車工業、三菱商事、三菱電機、 宮崎 LCAN、明電舎 (50 音順) 東京工業大学 統合研究院ソリューション研究機構 所在地:〒 152-8550 東京都目黒区大岡山 2-12-1 連絡先:統合研究院ソリューション研究機構 TEL:03-5734-3412 E-mail:[email protected] U R L :http://www.iri.titech.ac.jp/research/strategy/index.html 発行 2009 年 3 月 統合研究院は東京工業大学が 文部科学省科学技術振興調整 費「戦略的研究拠点育成プロ グラム」を受けて 2005 年度 に学内に設立した組織です。
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