当院における 嚥下障害患者の傾向

当院における
嚥下障害患者の傾向
リハビリテーション部言語聴覚療法課
○長嶺翔太、神山千春、宮城有希、小池正樹
鈴木知詩、佐久川彩乃、田場若奈
上原未智、玉城慶大、金城美祐生
大濱藍、安次嶺綾乃、中村暁音
目的
当院における嚥下障害患者の傾向を探り、
より明確な予後予測を立て、今後のリハビリ
テーションにつなげていく。
方法
対象:嚥下障害患者、構音障害患者
(平成22年度退院)
人数:120人
嚥下障害と構音障害との関連性及び、
年齢、疾患・病巣との比較検討を実施。
入院時 経管栄養管理患者:37人
↓
(経鼻21人、胃瘻16人)
退院時 3食経口摂取患者:14人
(経管8人、胃瘻6人)
抜管率:38%
①年齢別経管栄養患者数
~入院時と退院時との比較~
□入院時
■退院時
14
12
10
8
6
4
2
0
50代以下
60
70
80
90
②病巣・疾患別経管栄養患者数
~入院時と退院時との比較~
14
12
10
8
入院時
退院時
6
4
2
群
幹
廃
用
症
候
脳
下
皮
質
放
・皮
線
質
冠
殻
被
包
内
脳
小
床
視
くも
膜
下
0
※パーキンソン症候群は経管者なし
③明瞭度別食形態
主食
ミキサー
7%
全粥
7%
経口なし
5%
米飯
42%
アチビー
39%
明瞭度1
アチビー
9%
超キザミ
5%
常食
47%
明瞭度1
米飯
0%
キザミ
9%
全粥
18%
キザミ
17%
軟菜 常食
0% 0%
軟菜
19%
超キザミ
18%
ミキサー
9%
ミキサー
9%
明瞭度5
副食
経口なし
5% ミキサー
7%
経口なし
64%
明瞭度5
経口なし
64%
退院時常食摂取患者と
ミキサー食摂取患者の比較
発語器官
常食
運動範囲制限(‐)
交互反復運動にて拙劣(+)
軟口蓋挙上不全(+)
声量低下(+)
ミキサー
運動範囲制限(+)
器質的問題(+)
義歯不適合(+)
初回発症
100%
60%
入院までの期間
(発症~2カ月未満)
80.9%
40.0%
FIMの認知項目
平均26/35点
平均14/35点
意識障害 (JCSⅠ)
48%
80%
誤嚥性肺炎の既往
なし
60%
まとめ
傾向1:年齢については、50代以下で抜管しやす
い傾向、60代以上では明らかな差は認
めなかった。
傾向2:疾患・病巣では小脳や被殻、皮質・皮質下
脳幹の病巣で抜管しやすい。
傾向3:明瞭度1→常食摂取47% (20/42人)
明瞭度5→経管栄養64%(7/11人)
⇒当院では、明瞭度が良いほど、食形態のレ
ベルが高いという傾向を認めた。
傾向4:
入院時ミキサー食を摂取していた患者で食形態が
向上した例の66.7%(4/6人)で舌の運動能力に
改善認め咽頭への送り込みが促通した。
⇒舌の運動能力に改善認め、食形態向上を検
討する上での一要因になる。
・傾向5:
誤嚥性肺炎の既往
常食摂取患者:誤嚥性肺炎既往なし。
ミキサー食摂取患者:60%(6/10人)。
軟菜・キザミ食・超キザミ食:18%(9/50人)。
⇒誤嚥性肺炎の有無は嚥下機能の予後に大き
く影響する。