回復期病棟における 糖尿病の栄養指導

回復期病棟における
糖尿病の栄養指導
~入院中の行動変容ステージの変化から~
栄養課 管理栄養士 高橋亜矢
行動変容ステージに合わせた指導
人が行動を変えるときには、必ず5つのステージを通る
と言われている。⇒ステージ毎に指導内容を変える。
①無関心期・・・まったく興味がない。
⇒傾聴。座談会(栄養教室)へ
②関心期・・・興味はあるが迷っている。
⇒知識習得
③準備期・・・すぐにでも実行したい、または自分なりに
行っている。
⇒知識習得。目標設定。
④行動期・・・実行している。始めて六ヶ月以内である。
*挫折の恐れ大きい
⇒継続・向上出来るようサポート
⑤実行期:実行している。六ヶ月以上継続している。
*継続していける可能性高い。
⇒正月などのイベント時の相談
【目的】
回復期病棟は
食生活を変える
チャンスになり得る
• 回復期病棟は主疾患発症・急性期病院からの転院
という経過、入院期間が比較的長いことから行動変
容に適していると考えており、入院中に食事療法の
行動期到達を目指している。
• 行動期到達者と非到達者の違いについて調査した
ので報告する。
【研究方法】
• 調査期間:平成22年6月から平成23年2月。
• 対象者
:3A病棟から自宅退院された糖尿病の栄養
指導対象者15名。
(コミュニケーション困難・維持期・相談拒否症例は除外)
• 方法
:入退院時に行動変容ステージのアンケート
と年齢・性別・認知FIM・栄養指導歴・同居
家族の有無・調理担当者について調査。
目標である行動期到達群・非到達群に
分けて検定を行った。(t-検定、P<0.05)
【結果】
入院時
退院時
6
6
5
5
4
4
3
3
2
2
1
1
0
無関心
3
入院時
関心
4
2名 関心期、
1名 準備期
行動期0名
準備
8
行動
0
実行
0
食事療法
実践者なし
0
無関心
0
退院時
関心
3
準備
5
無関心なし
ステージの改善があったのは12/15名
行動
7
実行
0
【結果】
両群間にて有意差なし
人数(名) 年齢 入院
(男:女) (歳) 期間
(日)
到達群
7
(2:5)
非到達群
8
(3:5)
69
74
77
85
認知 指導歴 同居
調理担当
FIM (有:無) 家族
(本人:家族)
(有:無)
(点)
27
30
5:2
2:6
7:0
5:3
入院時
ステージ
(名)
1:6
関心1
準備6
5:3
無関心3
関心3
準備2
有意差あ
り
行動の内容は菓子量の減量や中止が7名、野菜の増量が5名と多かった。
【結果】
栄養指導歴あり
栄養指導歴なし
有意に
高い
6
6
5
5
4
4
3
3
2
2
1
1
0
入院時
退院時
無関心
関心
準備
行動
0
0
1
0
6
2
0
5
0
入院時
退院時
無関心
関心
準備
行動
3
0
3
3
2
3
0
2
• 栄養相談歴が有る群が無い群に対して、入退院時
ともステージが有意に高かった。
【考察】
栄養指導歴がある方は知
識は習得しているが実践
されていなかった。入院を
きっかけに意識が変化。
知識の習得
行動変容
入院時に食事療法に関心
がないと、意識は変化して
も行動までに移すのが困難。
意識の変化
行動
第一歩としては単純な
ものが良い
栄養指導歴がない方・入院時にステージが低い方を行動
期までどう到達させるかを検討していく