メキシコ・グアナファト州における産業変遷とそれによる 人々の暮らしの変化

メキシコ・グアナファト州における産業変遷とそれによる
人々の暮らしの変化
長岡技術科学大学 材料開発課程 機能ガラス工学研究室
学籍番号 10106486
氏名 長谷川眞也
派遣先 メキシコ グアナファト大学
派遣期間 H25 年 8 月 31 日―H26 年 2 月 3 日
メキシコについて簡単な情報を以下の表にまとめた。
Table1 メキシコの基本情報
メキシコの基本情報
正式名称
メキシコ合衆国
首都
メキシコシティ
州の数
31 州と 1 つの連邦区
人口
1 億 1700 万人
面積
196 万平方キロメートル
言語
スペイン語
宗教
キリスト教(カトリック)
通貨
1 ペソ=7.8 円
特に注目してもらいたいのは、人
口と面積である。面積は日本の約5
倍の196万平方キロメートもある
のに人口は1億2000万人とほぼ日
本と変わらない。そのため街と街
の間は離れており、実際に郊外に
出ると、広大な空き地が広がって
いた。工業的に開拓する余地は十
分にあると私は考えた。メキシコは
アメリカと隣接しており、巨大な北米市
場と地理的に近いため、企業誘致も盛ん
に行われている。米墨FTAも結んでいるため、北米市場への輸出を考えたとき、
人件費などが安いメキシコに工場を建てるメリットは大きい。メキシコの GDP は 2004 年
に 7745 億ドルだったが、2012 年には 11773 億ドルとなった。リーマンショックの影響を
受けた 2009 年以外、毎年の実質経済成長率は 4%ほどをキープしており、今後富裕層の増
加も見込める。ただ実際に 5 か月生活しいて感じたのは、貧富差が大きかった。富裕層の
人は日本人の平均的な暮らしより良い暮らしをしていた。しかし、貧困層の暮らしはひど
く、道端で物乞いをするか、レストランに行き、レストラン客に押し売りをして生計を立
てていた。
次に私が実務訓練に行ったグアナファトについて説明したい。グアナファトの街の景観
写真を右上に示す。グアナファトはグアナファト州の州都で、街はスペイン植民地時代に
銀鉱山で得た利益をもとに建てられたコロニア風の建築物が現在も保存されている。その
ため、街全体がユネスコ世界遺産に登録されている。世界遺産に登録されているため街の
建物の破壊を行うこと、新たに現代風なビルなどを建てることはできない法律が存在する。
かつては銀鉱山として発達してきたが、現在は銀の枯渇により、鉱山による産業は途絶え
たといっても相違はない。しかし現在は観光業を主に街がすたれている様子は見受けられ
なかった。そこで私は観光都市としての街の様子と工業的に発展する余地があるかどうか
に注目してきた。
私が撮影してきた動画は、休日の街の様子と少し街から離れた道路(以後、動画 1、動画 2
とする)の 2 種類を撮影してきた。
・動画 1 について
グアナファトの休日のメインストリートを撮影した。建物はすべてコロニア風の建物で
きれいな街並みになっている。道路は比較的狭く、休日のため交通渋滞が起きている。観
光客はメキシコ国内からも訪れているが、国外(特にアメリカ、ヨーロッパ)からの観光客も
多い。また観光名所となっている建造物は街中に集中しているため、街中を外れると観光
客の数は一気に少なくなる。そのためメインストリートの店はお土産屋と飲食店でほぼ占
められている。
・動画 2 について
動画 2 について説明する前に、メキシコの移動手段について、説明したいと思う。メキ
シコは長距離、短距離問わず移動手段は車、バスを用いている。昔は長距離移動に鉄道を
用いていたようだが、アメリカの車業界によって潰された。現在メキシコで乗れる鉄道は 2
つしかなく、
「テキーラ鉄道」と「チワワ鉄道」のみである。「テキーラ鉄道」は観光用の
鉄道であり、移動手段としては用いられておらず、唯一移動手段として用いられているの
は「チワワ鉄道」のみである。地下鉄はメキシコシティ、グアダラハラなどの大都市にし
か存在しておらず、またそれらの大都市も市内バスは充実している。
このような背景から私が注目したのは、メキシコ国内で使われている車の車種である。
動画 2 で撮影した道路はグアナファトで一番交通量が多い道路である。そこで目についた
車種は主に「Volkswagen (VW)」
、
「Ford」、
「日産」、
「CHEVROLET」が走っていた。特に
日産はシェアがこの 4 つの中で一番多いように感じた。メキシコ国内のタクシーは日産が 9
割以上を占めており、逆に日産以外の車種を探すほうが難しかった。日産車を持っている
友人に話を聞くと、「日本製には高い信頼性があるため使っている。」と言っていた。その
他にも「ホンダ、トヨタを使いたいけど高い!」など言っていた。メキシコ人は日本製に
対して非常に良い印象を持っていることが、実感できた。
まとめ
街中はコロニア風の建物で埋め尽くされており、きれいな景観となっている。またユネ
スコ世界遺産に登録もされているため観光客が多い。メインストリートには観光客向けの
飲食店、お土産屋が充実していた。観光産業は、非常に成熟されていると感じた。
メキシコの移動はほんとが車を使っている。そのためメキシコ各地には立派な道路が整
備されている。これらの背景を考えると、今後、車の需要は高く、自動車産業の重要さを
感じた。現在、先進国における自動車産業は飽和気味に近いが、メキシコでは経済成長に
伴う富裕層の増加が見込める。そうなると一層のこと自動車の需要は高まる。また車の技
術革新が起きた時(電気自動車、燃料電池自動車など)に、市場の大きさ、車を用いている風
土は魅力的である。車のシェア、信頼性、工場など設立による雇用の増加が重要だと感じ
た。