第57号(12/09)大切なものは目には見えないものなのです

№57
平成22年12月 9日
【発行】
豊橋市立岩西小学校 校長室
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1897年のこと、ヴァージニア・オハンロンとい
ヴァージニア、あなたのお友達は間違っています。
う8歳の少女がニューヨークの新聞、
「ニューヨーク・
その人たちは見えるものしか信じないのです。その人
サン」紙に「サンタクロースはほんとうにいるのでし
たちは、その小さなあたまで理解できるもの以外は存
ょうか」という投書をしたという有名な話をご存じで
在しないと思っているのです。
しょうか。はじめヴァージニアちゃんはお父さんに「サ
ヴァージニア、サンタクロースはいるのですよ。目
ンタさんはいるの」と聞いたそうですが、お父さんは
には見えないけれど愛、親切、献身とかが存在するよ
「それは新聞社の人に聞いたらいい。あの人たちはな
うに。もしこの世界にサンタクロースがいなかったら、
んでも知っているからね」と答えたそうです。それで、
どんなにつまらないことでしょう。それはこの世にヴ
ヴァージニアちゃんは「ニューヨーク・サン」へ手紙
ァージニアがいないのと同じほどつまらないでしょう。
を書きました。手紙の内容は次のとおりです。
そこには、子どもらしい信じる気持もなければ、われ
われに生きる望みを与えてくれる詩も夢もないことに
なります。子どもたちがいるからこそこの世に満ち満
編集長さま
わたしは8才です。
ちているあの永遠に輝く光が消えてしまうことになる
わたしの友だちにはサンタクロースなんていない
のです。
んだと言っている子がいます。
サンタクロースを見ることは誰にもできません。し
お父さんは「サン新聞に問い合わせてごらん。新
かし、それでもサンタクロースがいないということに
聞社のひとがサンタクロースがいるというなら、
はならないのです。この世で一番大切なものは、大人
たしかにいるんだろう」と、言いました。ほんと
にも子どもにも見えないものなのです。この世で見え
うのことをおしえてください。サンタクロースっ
ないものの中に隠されている不思議な魅力をすべて知
て、ほんとうに、いるんでしょうか?
り尽くし想像し尽くすことは誰にもできません。信仰
ヴァージニア・オハンロン
faith, 詩 poetry, 愛 love, romance のみがそのカー
ニューヨーク市西95番街115番地
テンを押し開いて、その向こうにあるえもいわれぬ美
しさ、栄光を見せてくれるのです。ヴァージニア、こ
この手紙を読んだエドワード・ミ
ッチェル編集長は、この手紙に返事
の世の中にはこれ以上に真実で永遠なものはないので
す。
をしたらおもしろかろうと考え、部
サンタクロースはいるのです。そして千年後、また千
下のフランシス・チャーチ記者を部
年の十倍のまた十倍の後になっても、サンタクロース
屋に呼び、この子どもへの返事を社説として書くよう
は子どもの心を喜びで満たし続けてくれるでしょう。
にと命じました。はじめ、チャーチ記者は、
「なんで俺
がこんな子どもの手紙の返事を書かなくちゃあならん
先日の全校朝会で「人権」の話をしました。あの話
のか」とブーたれていたそうですが、間もなく文章を
のベースになっているエピソードです。高学年の子た
書き上げて持ってきました。
ちには紹介してもよさそうですね。低学年の子どもた
チャーチ記者の書いた「ニューヨーク・サン」紙の
返事を要約すると以下のとおりです。
ちには、まだ少し早いでしょうか。ともあれ、子ども
たちの夢は大切に、大切にしていきたいものです。