教 育 研 究 業 績 書

教 育 研 究 業 績 書
平成 27 年 4 月 1 日
氏名
研究分野
発生運動学
主要担当授業科目
教育上の実績に関する事項
中瀬 雄三
研究内容のキーワード
バスケットボール,戦術力,身体知,動感
フィットネス,健康スポーツ,基礎ゼミ,スポーツ教授論,
スポーツ運動学,スポーツ心理学演習
年月日
概
1 教育方法の実践例
なし
2 作成した教科書・教材
なし
3 当該教員の教育上の実績に関
する大学等の評価
なし
4 その他
なし
-1-
要
(TSU 公募様式)
職務上の実績に関する事項
年月日
概
要
なし
-2-
(TSU 公募様式)
著書・学術論文等の名称
単著・共
著の別
発行又は
発表の年月
発行所、発表雑誌又は
発表学会等の名称
2012 年 2 月
北海道教育大学紀要(教育 本研究の目的は,バスケットボールのゲームにおけ
概
要
(著書)
なし
(学術論文)
1.ボールゲームにおける情況 共著
判断力の動感分析–バスケット (筆頭)
科学編)第 62 巻,第 2 号
るパスミスについて動感論的視点から分類し,その
ボールのパスミスについて–
,1 頁〜12 頁
戦術行動的意味を探ることである。ゲームを撮影し
たビデオ映像の観察と選手へのインタビューに基
づいて,パスミスの原因を,パサーとレシーバーの
意図の違い,自己・他者の動感を把握する能力の不
足,ディフェンスの行動意図の読み違い,に分類し
た。ここでは,パスを放つ時点で選手が「パスが通
る」と判断していたにもかかわらず,実際にはミス
となった情況の意味を選手自身が把握できていた
か否かが重要である。指導者はそれを的確に判定す
るために,選手の動感志向性を読み取る感性の研鑽
が求められる。
2.バスケットボールにおける 単著
2013 年 3 月
コーチング学研究(日本体 本研究の目的は,情況判断力向上のための練習法を
情況判断力向上のための指導
育学会体育方法専門領域 考案・実施する指導過程を発生運動学的視点から考
法に関する発生運動学的考察—
会報合本号)第 26 巻,第 察し,情況判断力向上のための基礎的資料を得ること
アウトナンバープレーに着目
2 号,305 頁〜309 頁
して–
である.被験者にアウトナンバープレー(2 対 1)を実
施させた映像をもとに練習法を考案し,数日間の練習
の後,再度アウトナンバープレーを行い情況判断力
の変容を確認した.情況判断力を向上させるために,
選手が情況判断を誤った直接的な原因を指導者が動
きの観察から探り出すことが重要である。それは,選
手の能力は千差万別であるため,ミスの原因も異なる
からである。よって,情況判断力トレーニングでは,指
導者は選手がミスをしてしまった原因を把握するだけ
の高い動感分析能力を備えていることが重要であると
いう示唆が得られた.
3.バスケットボールにおける 共著
2013 年 11 月
スポーツ運動学研究第 26
バスケットボールにおけるゲーム状況を構成して
状況の構造を読み解く身体知 (筆頭)
巻,29 頁〜45 頁(レフリ いる要素を、本研究では,空間や選手の特徴にかか
に関する考察
ー付き)
わる “構造的要素”、時間にかかわる “場面的要
素”とした。本研究の目的は,バスケットボールにお
ける状況の構造を読み解く身体知を構成している要
素を明らかにすることである.考察により,状況の構造
を読み解く身体知を構成している主な三つの要素とし
て,①オフェンスによる戦術の対応方法が身体化され
ていること,②「オフェンスがゴール付近に位置した場
合,ディフェンスが密集する」というバスケットボール
の原理が体得されていること,③味方の能力が動感と
して把握されていることが明らかとなった.
-3-
(TSU 公募様式)
(その他)
1.バスケットボールのパスミ 共同発表
2010 年 12 月
スにおける情況判断の動感分
北海道体育学会,第 50 回 本研究ではバスケットボールにおけるパスミス時
記念大会,16 頁
析
の選手の意識分析を行い,その意識分析とパスに関
わる周囲の選手の情況に基づきパスミスを分類す
ることで,それぞれのパスミスに合った指導へと発
展させることを目的として研究を行った.パスミス
は相手の妨害によって現れた結果であり,パスその
ものはパサーが自らの状況判断に基づいて決断し
た行為である.したがって,指導者は選手になぜパ
スがミスとなったのかについて説明し,戦術的意味
を理解させる必要がある.それによって選手は,一
回ごとに異なる状況の中にある戦術的構造を理解
し,戦術力を獲得することができる.
2.ボールゲームにおける情況 共同発表
2011 年 8 月
判断力向上のための動感分析—
日本体育学会第 62 回大会 本研究の目的は,バスケットボールのゲームにおい
予稿集,210 頁
て情況判断の誤りから生じたと思われるパスミス
バスケットボールのパスミス
について動感論的視点から分類し,その戦術行動的
について—
意味を探ることである。ゲームを撮影したビデオ映
像の観察と選手へのインタビュー調査に基づいて,
パスミスを次のように分類した。
(1)パサーとレシ
ーバーの意図の違い,
(2)自己ならびに他者の動感
を把握する能力の不足,
(3)ディフェンスの行動意
図の読み違い,である。発表では,それぞれの分類
されたパスミスの場面をバスケットボールの事例
映像を用いて説明した。
3.バスケットボールにおける 単独発表
2013 年 3 月
ルールと戦術身体知
日本スポーツ運動学会大 本論の目的は,FIBA によって採択された 2010 年
会第 26 回大会抄録集,90
のルール変更により,どのようなプレー様相の変化
頁〜97 頁
が起こったのか,現行のルールにおいてプレーをす
る選手にはどのような身体知が必要になってきて
いるのかを明らかにする.考察結果として,24 秒ル
ールの変更やスリーポイントラインの拡大といっ
たルール改変から,素早く行えるピックプレイの多
用,身体面で有利な選手を有するチームに対する
様々な戦術の隆盛が窺われるため,バスケットボー
ルの戦術が高度化・精緻化してきていることが明ら
かとなった.このことから,今まで以上に選手はゲ
ームのなかで戦術理論を実践できる能力としての
戦術身体知(シンボル化能力・情況感能力)が必要
となるといえる.
4.バスケットボールにかかわ 単独発表
2014 年 3 月
日本スポーツ運動学会大 バスケットボールにおいては様々な「気配」を感じ
る始原身体知としての気配感
会第 27 回大会抄録集,17
取るべき場面で溢れている.これらの気配を感じ取
(シンポジストとして発表)
頁〜18 頁
れない選手は,敵や味方が入り乱れる情況のなかで
動きかたを即興的に選択判断していくことが迫ら
れるボールゲームにおいては致命的であり,コーチ
や指導者はこの未規定的な能力としての気配感の
重要性とその分析の必要性に気付かざるを得ない.
しかし,気配感能力の発生様態については未だに明
-4-
(TSU 公募様式)
らかにされておらず,トレーニング対象として取り
上げられることも少ないことが現状といえる.シン
ポジウムにおける発表では,始原身体知としての気
配感がバスケットボールのプレーとどのように関
わっているのかを検討し,その上で,気配感を習得
することがプレーの向上にとっていかに重要であ
るのかについて言及した。
5.バスケットボールにおける 共同発表
2014 年 3 月
日本スポーツ運動学会大 本研究における目的は,バスケットボールにおける
戦術力向上のための状況意味
会第 27 回大会抄録集,42
状況を読み解く際の動感意識について発生運動学
の把握
頁〜50 頁
的視点から考察することで,戦術力を発生させる上
での重要な知見を得ようとするものである.あらゆ
る状況に対応しうる戦術力の発生のために,指導者
は「このときは,こう動くべきだ」と,状況と行為
を単一的に結びつけるのではなく,そこでの状況の
意味(どういった場面なのか)と,意味に合わせた
行為(何故,そうするべきなのか)を理解させてい
くことが重要といえる.状況の意味の把握は,戦術
力の発生のためには欠かせないものである.
6.戦術(達成)力の構造
単独発表
2014 年 8 月
(シンポジストとして発表)
日本体育学会第 65 回大会 戦術力とは,理論知(動きかたの手順を頭で理解,
予稿集,48 頁
記憶する知的な能力)ではなく,身体知ないしは実
践知としての戦術力(ゲーム状況のなかで適切な動
きかたを実行できる能力)である。したがって,ゲ
ームを他者的視点から観察し,動きの正否や意味を
答えられるだけでは達成力としての戦術力とはい
えない。このような背景から,戦術力はどのような
要因から成り立ち,どのような構造で達成力として
機能するかという点について考察した。具体的に
は,選手の戦術行為が体力や技術といった要素を土
台とし,味方や相手選手との読み合いや,状況のな
かに見出だす意味や価値などが総体的に機能して
実現しているという点に言及した。
7.バスケットボールにおける 共同発表
状況の場面を読み解く身体知
2014 年 8 月
日本体育学会第 65 回大会 バスケットボールにおけるゲーム状況を構成して
予稿集,240 頁
に関する発生運動学的考察
いる要素を、本研究では,空間や選手の特徴にかか
わる “構造的要素”、時間にかかわる “場面的要
素”とした。本発表では、ゲーム状況の場面を読み
解く身体知について発生運動学的視点から論究し
た。T 大学の男子バスケットボール部の選手 3 名を
対象に借問(インタビュー)を行った。考察結果と
して,場面を読み解く身体知発生の本質的要因は,
選手の意識を場面に向けることだと示唆された。そ
のため,指導者は選手の場面を読み解く身体知を発
生させるため,場面に意識を向けさせる場作りの設
定が重要であるといえる。
-5-
(TSU 公募様式)