流通とSC・私の視点 2001年1月 25 日 (2007 年7月 26 日一部変更) 視 点 (227) I Saw All America(その15)!! − コールズから学ぶポイント − 今、アメリカでジュニア百貨店業態の「コールズ(kohl s) 」が注目されています。コールズは店舗数 817 店、売上高 18,600 億円(155 億ドル) 、純利益 1,428 億円(11.9 億ドル) 、売上高純利益率 7.7%の高収 益をあげ、しかも、1992 年に上場以来、毎年 25%以上の伸びを示しています。 コールズのMDing面での特徴は次の通りです。 ①売場面積 8,000 ㎡で、すべての店で同じパターンで展開するロアーな百貨店である ②アパレル、家庭用品、シューズに絞り込んだ小型百貨店である ③だれでも知っているナショナルチェーンのモデレート価格の商品を提供している(ナショナルチェー ンの有名店の商品が手頃な値段で買える) 。ナショナルブランド(NB)が 80%を占めている ④JCペニーとほぼ同じグレードである(シアーズ、JCペニー、マービンスのようなスペシャリティ・ マス・リテイル・チェーンに属する) ⑤モデレート・プライスのアパレルと家庭用品とシューズに絞り込み(ナショナルブランドのソフト商 品に絞り込み) 、25才∼50才の女性対象に、ターゲットのようなディスカウントストアであり、デ ィラードのような百貨店でもある ⑥SCMが強く欠品がなく、また、買物カートのある百貨店である ⑦陳列・プレゼンテーションに生活提案性があり、モリモリ型の商品陳列を平場で演出している ⑧ウォルマート等のディスカウントストアと競合せず棲み分けが可能な商品構成である また、店舗戦略としての特徴は次の通りであります。 ①リージョナル型SCの中ではなく、ネイバーフッド型SCやパワーセンターの中に立地している ②生活者の近くの立地に出店し、近所の百貨店・デイリー百貨店・利便性の百貨店のイメージを持って いる ③GMSの捨てた商品ゾーンを「しまむら」が拾い、より洗練して店舗展開したように、百貨店が捨て た商品ゾーンをコールズが拾い、より洗練して生活者に近い立地にオフモールで展開している コールズと類似しているJCペニーやシアーズは、ゼネラリティ業態であるためSCの核店としての位置 づけを確保することにより生き残って来ました。 それゆえに、 単独出店やオフモールへの出店は全て撤退し、 多核型SCの核店の1つとして展開しています。コールズは逆に、ゼネラリティ業態ではあるが、SCの核 店になるのではなく、リージョナル型SCからオフモール化し、出来るだけ生活者の近い場所に立地し、し かも、百貨店としてのポジショニングを確立しています。 すなわち、 「いい商品を安く、しかも生活者の近くに立地し、便利な百貨店」 のイメージの業態であります。 ディラードのような百貨店とターゲットのようなディスカウントストアを融合させた新業態であり、相反 する購入動機の融合型業態でもあります。調度、韓国の強力な割引店であるEマート(ディスカウントスト アの価格に対応しつつ、GMS・百貨店レベルの商品に対応している割引店・GMS)と同じ戦略を取って います。 コールズは日本の視線で商品グレードを見るとGMSレベル(Grade6)に見えますが、アメリカの視点で 商品グレードを見ると、カジュアル百貨店のポジショニング(Grade4・5)であります。 コールズをJAPANバージョン化すると次の通りです(六車流:流通理論) 。 ①GMSレベルの品質・価格の商品をしっかり押さえつつ、百貨店の下から百貨店並の品質・価格の商 品(Grade4・5・視点164参照)までを対象とする ②客層は女性(働く女性含む)を中心とし、25才∼60才までの幅広い年齢を対象とする ③立地的には駅前あるいはロードサイド拠点立地に出店 ④出来れば食料品業態(Grade5・視点193参照)との一体化あるいは併設が望ましい コールズの繁盛は不思議な存在に見えますが、実は成功のメカニズムを当然ながら持っています。参考 までに、サックスフィフスアベニューが「メインストリートストア」や「リゾートストア」と称して高級 エリア・リゾートエリアにオフモール立地として出店していますが、この百貨店はコールズのようなロア ーで身近な百貨店ではなく、中・高級志向の身近な百貨店です。 ※2007 年7月 26 日に、コールズの経営実績のみ変更 (株)ダイナミックマーケティング社 代 む 表 六 ぐるま 車 秀 之
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