4年2組 道徳指導案

第4学年2組
道徳学習指導案
指導者
1
主題名
田村
由紀
相手を思いやる心
2-(2)思いやり
2 主題設定の理由
(1) ねらいとする価値について
指導要領解説道徳編第3学年及び第4学年の指導内容2-(2)は,「相手のことを思いやり,進
んで親切にする。」ことをねらいとしている。思いやりとは,相手の心や心情を推し量り想像する
心の働きである。人は相手の心情や考えを理解し,もし,自分だったらと同情したり,共感した
りする気持ちが強いほど,自然と親切にせずにはいられない気持ちになるものである。児童は,
相手の気持ちをより深く理解できる時期になるため,温かい心とともに,相手に対する思いやり
の心を育てることが一層重要になる。そこで,相手の現在の状況,困っていること,大変な思い
をしていることなどを想像することによって,相手のことを考え,親切な行為を自ら進んで行う
ことができるように指導していくことが大切であると考え,本主題を設定した。
(2) 児童の実態
実態調査(男子10名 女子14名 計24名 平成26年7月19日実施)
1 おやつが6つありました。もしあなたの家族が小さな妹,自分,中学生の兄だったらおや
つをどのように分けますか?それはどんな気持ちからですか?
① 同じ分量で分ける
10名
ア ちょうどよく平等に分けられるから 6名
判
心 イ けんかにならないから
4名
断 ② 妹に多く分ける
9名 情 ア 妹は小さいから
6名
面
面 イ 小さい子はすぐにほしがるから
3名
③ 妹1つ,自分2つ,兄3つ
3名
ア 体の大きさが違うから
3名
④ 分からない
2名
ア どう分けたらよいかわからない
2名
2 あなたより小さい子が(家族)自分の気に入っているものをほしがっていたらあなたはど
うしますか?
① 妹中心の対応
14名
ア 妹が喜ぶと思うから
9名
判 ・あげる
心 イ 妹がうれしいと思うから
4名
断 ・我慢してあげて,それをまた使う
情 ウ もらえないと悲しいと思うから
1名
面 ・貸してあげて使うのをやめたら自分 面
が使う
② 自分中心の対応
6名
ア 気に入っているから
4名
・自分が使わないときは貸してあげる
イ 自分の方が上だから
1名
・少しだけ貸してあげる
ウ 小さい子が気に入って返して
・何日かたったらあげる
くれないと嫌だから
1名
・違うものを買ってあげる
③ あげない
2名
ア お金は大事だから
1名
・買ってあげない
イ 壊されたら嫌だから
1名
・貸してあげない
④ 分からない
2名
本学級の児童は,実態調査1より平等に分けることを考えたり,妹に多く分けることを考えた
りする児童が19人であった。また,実態調査2より妹がほしがるものを貸してあげる,または
あげると答えた児童が20人であった。このことから小さい子に親切にする道徳的な心情が育っ
てきていることが分かる。しかし,普段の生活の中では,親切はよいことと分かっていても,友
だち同士の間にとどまっていたり,損得に左右されたりすることが多い。そこで,相手のことを
理解したり,相手の身になって考えたりして思いやりの心をもち,親切な行為を進んで行うこと
ができる態度を養いたいと考えた。
(3) 資料について(読み物資料「ひなん所での出来事」自作資料)
本資料は,初めは手伝うことを面倒に感じていた健太が,ボランティアの方の様子や,おまん
じゅうをもらったおばあちゃんの様子,兄の行動を見て思いやりをもって人に親切にすることは,
とてもよい気持ちになるということに気付く資料である。
進んでボランティアに参加する兄や,手伝ってもらったボランティアの人,貴重なまんじゅう
を孫にもらったおばあちゃんなど,避難所にいる様々な人の気持ちを考えることを通して,相手
を思いやる心情を育てたい。また,相手を思いやり,相手の身になって考えてした行動の後の心
地よさを感じることで,道徳的判断力をはぐくむことにつなげていきたい。
-1-
○ 幼小中合同引き渡し避難
訓練
九月二十九日
○ 学校行事
茨城県神 栖市総合防災訓練
八月三十日
指導過程
○ 四年生による
避難所生活体験」
七月二十八~二十九日
3
道徳 (1時間)
「ひなん所での出来事(思いやり)」
・避難所で働いた結果,お礼にもらったおまんじゅ
うを祖母にあげる兄や,手伝ってもらったボラン
ティアの人,孫からおまんじゅうをもらった祖母
の気持ちを考えることを通して,相手に対する思
いやりの心を育てるようにする。
「
4 ねらい
(1) ねらい
○ おまんじゅうを祖母にあげた兄,ボランティアの人,祖母の気持ちを考えることの心地よさ
を感じることを通して,相手を思いやる道徳的判断力と道徳的実践意欲をはぐくむことができ
る。
(2) 学校教育指導方針との関連
努力事項「児童が楽しみに待つような道徳の時間の在り方の追究」に対して,以下の取り組み
をする。
・児童の実態に即した自作教材の開発
(3) 準備・資料
避難所でボランティア活動をしているときの映像(東日本大震災時の映像より) 教材文
避難所の写真 四年生避難所生活体験の写真 ワークシート
(4) 展開
時
主な活動と発問
予想される児童の反応 ・指導上の留意点
個に応じた指導
間
◇評価規準(評価方法)
0 1 避難所でのボランティアの様 ・みんなで助け合ってい ・避難所生活体験を振り返ったり,動画
子を写した動画を見て,気付い る。
を見たりすることで,生活の大変さを
たことを発表する。
・支援物資を一生懸命運 想起させる。
んでいる。
・動画から災害時の状況について理解さ
・ボランティアの人たち せる。
がみんなで協力してい ・ボランティアの人たちも一生懸命働い
る。
ていることをおさえる。
3 2 資料「ひなん所での出来事」 ・助かるなぁ。
<努力事項との関連>
を読んで,話し合う。
・たくさんあるから手伝 ○ 児童の実態に即した自作教材を用い
○ 手伝ってもらったボランテ ってもらえるとうれし て価値に迫ることができるようにする。
ィアの人はどんな気持ちだっ いな。
たでしょう。
・子どもなのにえらいな。・ポイントとなる状況(健太の家族構成
や避難所の状況など)を挿絵などでき
ちんと押さえる。
○ おまんじゅうをもらったおば ・孫が避難所の人たちの ・おまんじゅうをもらえた喜びだけでな
あちゃんはどんな気持ちだっ
役に立ってくれていて く,兄(孫)が自分のためにしてくれ
たでしょう。
うれしいな。
た喜びを感じ取れるようにする。
・大事なおまんじゅうな ・子どもだと思っていた孫が,避難所の
のに私にくれるなんて ために働けるようになった成長の喜び
うれしいな。
も感じていることに気付けるようにす
・せっかく働いてもらっ る。
たおまんじゅうなのに,
もらっちゃっていいの
かな。
-2-
◎ 残った一つのおまんじゅう ・ボランティアの方も喜 ・働いた後の充実感や達成感があること
を食べている兄は,どんな気 んでくれたし,とても を押さえるようにする。
持ちだったでしょう。
気持ちがいいな。
・ボランティアの気持ちよさを感じられ
(1) 自分の考えを書く。
・一つしかないけど味は るようにする。
特別においしいな。 ・まんじゅうは一つしかないのに,なぜ
・人のためになることが 兄がうれしそうなのか,兄の身になっ
できてよかったな。
て考えられるようにする。
・おばあちゃんが喜んで ・兄の行動による周囲の反応から,親切
くれてうれしいな。
やボランティアが,気持ちのよいもの
・大変だったけど,心が であることを押さえるようにする。
さわやかだな。
兄の気持ちについての考えが思いつ
かない児童には,ボランティアの人や
おばあちゃんの気持ちに注目して兄の
心情に迫るように助言する。
(2) 自分の考えをペアで伝え合
う。
・ペアで自分の意見を出し合うときは,
相手のよい点や,自分との相違点に着
目するなど視点をもたせるようにする。
(3) 学級全体で発表し合う。
○ 健太はどんな気持ちでおじ ・おじさんは,喜んでく ・ボランティアを面倒くさいと感じてい
さんのところへ行ったでしょ
れるだろうな。
た健太が,おじさんのことを思いやっ
う。
・親切にしたら気持ちが て行動することができるようになった
いいのかもしれないな。 変化に着目できるようにする。
・ぼくも役に立ててうれ ・親切は,相手への思いやりがあり,見
しいな。
返りを求めない行為であることを理解
できるようにする。
38 3
相手のことを考えて親切に ・相手が喜んでくれたら ・親切にして,相手が喜んだり元気づい
すると,いい気持ちになるの 自分もいい気持ちにな たりすると自分までうれしくなるとい
はなぜか考える。
るから。
うことに気付けるようにする。
○ 親切にして,相手が喜ぶ顔 ・相手の気持ちを考えて
を見ると,うれしくなるのは 親切にすると,さわや ◇ 相手の気持ちや立場を考えることの
なぜでしょう。
かな気持ちになるから。 心地よさを感じ,実践しようとする意
・相手の喜びが伝わって 欲が高まっている。 (ワークシート)
くるから。
・兄の行いについて考えたように,普段
・にこにこした顔を見る の生活の場面や避難所でも相手の立場
と自分もうれしくなる に立って考えられるように支援する。
から。
・心が温かくなるから。
43 4 思いやりについての詩を紹介
する。
・相手の気持ちによりそったり,思いや
ったりする心についての詩を紹介する
ことで,判断力をはぐくむことにつな
げるようにする。
45
-3-