市教研道徳部会研修会《わたしたちの道徳の活用》相手のことを思いやり、進んで親切にする【 2-(2)思いやり・親切】の授業実践山口大学教育学部附属山口小学校１藤元崇彰指導略案（１）主題「親切な人」とは（資料：「心と心のあく手」（わたしたちの道徳小学校３・４年））（２）ねらいはやとの行動が親切かどうか話し合うことをとおして、相手の立場や思いを想像し、相手のために何とかしたいという思いが親切な行動につながることに気付き、相手を思いやって進んで親切にしようとする道徳的判断力を養う。（３）学習過程学習活動・主な発問 ① 予想される子どもの反応指導上の留意点親切な人とはどのような ○ 親切な人とは、相手に優しく・親切な人についての価値人か話し合う。してあげる人だよ。観を自由に発言させる。 ○自分のことではないことをし・相手への思いと行動を分てくれる人が親切な人だ。 ② 資料「心と心のあく手」 ○ ぼくは始めおばあさんに声を・子どもの発言に合わせ左右を読んで話し合う。かけたから親切だよ。〈発問〉ぼくは親切な人だろ ○ 見守ったことは親切なのかな。うか。おばあさんは何も知らないよ。〈発問〉見守ることは親切と ○ おばあさんのためにあえて声言えるのだろうか。 ○おばあさんのことを思っている気持ちが大切なんだよ。声をかける行動と見守る行動を比較できるようにする。迷いを感じている子どもを見取ったときには、少人数で話し合う場を仕組む。親切な人について、自分 ○ 本当の親切は、相手の気持ち・自分の考えをノート（私の考えをまとめる。を分かろうとすることだね。〈発問〉本当の親切とは、ど ○ 相手が喜ぶようなことを考えういうことだろうか。２に分けて板書することで、をかけず見ていたのだから親・見守ることが親切かどうか切だと思うよ。 ③ けて板書する。授業の実際たちの道徳）にまとめるように促すことで、思いやて実行する人が本当に親切なりや親切についての考えを人だ。整理できるようにする。 ① 親切な人がどのような人か話し合う。Ｔ：親切な人とはどういう人のこと？Ｃ：簡単に言うと優しい人。いいことをしている。Ｃ：相手のことを思って親切にすること。Ｃ：電車で赤ちゃんを産んでいる人に席を譲ってあげる人。Ｃ：してもらった人が嬉しいと思うことをする人。Ｃ：何かを手伝ったりしている人。Ｃ：お年寄りが荷物を持っていたら、持ってあげる人。Ｃ：自分のことではないのにやってくれる人。Ｔ：なるほど、相手のためにいいことをしてあげること、そうすると嬉しいんだね。 ② 資料「心と心のあく手」を読んで話し合う。Ｔ：では、今日のお話の「ぼく」が親切かどうか考えながら読みましょう。（範読）Ｔ：ぼくは親切だった？どこが親切ですか？Ｃ：お母さんとの約束があるけど、荷物を持ってあげたり、おばあさんを見届けたりしてあげたところ。Ｃ：数日後に、声をかけようとしたけど、見届けたこと。Ｃ：う∼ ん。Ｃ：見届けたことは親切なの？ぼくは、見届けただけじゃ、何もしないような感じがする。Ｃ：ぼくは、親切だと思う。例えば、坂でこけたら助けてあげられるから。Ｃ：お年寄りだし足が不自由だから、見届けたことも親切だと思います。Ｔ：確認するね。始め声をかけたのは親切。見届けたのが親切かどうかなんだね。Ｃ：見ているだけでは助けられないよ。Ｃ：Ｙくんの言いたいのは、思っているだけではダメだってこと？Ｃ：でも、おばあさんは自分で歩きたいんでしょ。リハビリだから、自分の足をよくするように。Ｃ：おばあさんは努力をしているんだよ。Ｔ：２回目の行動が親切かどうか。見守ることと声をかけるのはどちらがおばあさんのためになるのかな。２人組で話してごらん。（２人組での話し合い）Ｃ：わたしは、見届けている人も親切だと思う。自分で歩きたいという気持ちを大切にした。Ｃ：心の中で応援しながら本当の親切が何かを発見できた。Ｃ：ぼくはおばあさんに何ができるか考えた。自分で何かしようとしているけど、やらなかったことで親切。Ｃ：もし、Ａくんがやろうとしていることを何度も言われたらいやですよね。見届けた方が親切だと思いました。Ｃ：見届けるのは何もしないのとは違う。意味は違うけれど、気持ちが親切。Ｃ：言葉にはないけれど、あえて見守った。Ｃ：おばあさんは知らないけれど、おばあさんを思う気持ちがあるから、親切。 ③ 親切な人について自分の考えをまとめる。Ｔ：始めに戻るよ。みんなは親切な人を、優しい気持ちをもってしてあげる人と言っていたけれど、本当に親切とは何ですか。Ｃ：親切は人を助けるが入っている。それをいっぱいやること。Ｃ：相手のことをよく考えて、その人に合ったことをすること。つまり、よく思いやることだと思う。Ｔ：君たちにとっての本当の親切とは、人の意見を参考にしながら書いてみよう。３実践を振り返ってわたしたちの道徳の資料「心と心のあく手」を使い、「親切な人」を主題に授業を行った。親切な行動は、相手への思いやりの心が判断材料になる。ぼくの「おばあさんが心配で声をかける」行動は、「自分が相手を思う心（温かい心）」であり、子どもがこれまでもっている思いやりの心である。この行動と、「おばあさんのことを考えて声をかけず見守る」行動とを比較させることで、「おばあさんの思いに応える心（相手を理解する心）」の大切さやよさに気付くことができるようになると考えた。実際の授業でも、２つの行動を比較する場面で子どもたちが葛藤し、自分の考えを見直す姿が多く見られた。課題は、振り返りにある。ぼくの行動から思いやりの心を考えた後、自分を見つめる場面が不十分であった。「私たちの道徳」の資料の前ページを用いて価値の一般化を図ったり、自分の生活場面での振り返りをしたりすることで、より自分を見つめることができるのではないかと思う。