Column ご参考資料 「投資のヒント」 2016年7月28日 米国地方債市場の動向と今後の見通し 世界的な低金利環境下、不透明感を増す世界経済において、安定性、収益性、安全性を兼ね備える米国地方債への投 資魅力が高まっています。底堅い米国経済を背景に中長期的に堅調な推移が見込まれる米国地方債市場の動向と今後 の見通しについて、ヌビーン・アセット・マネジメント・エルエルシーの見解を基に以下の3つのポイントからご説明します。 底堅い米国経済 欧州や日本などが景気後退を回避するための施策に苦慮する中、米国経済は緩やかながらも成長を続けてい ます。 景気回復が進む米国経済や雇用の増加等を背景に、地方公共団体の税収入は足もと増加が続いています。 ■ 米国雇用統計の推移 (前月比、万人) ■ 米国州政府税収入の推移 (前年同期比) (2008年1月~2016年6月、月次) (%) 11 15 (%) 40 10 10 20 9 5 0 8 ‐20 7 ‐40 6 60 ‐60 非農業部門雇用者数(左軸) 失業率(右軸) ‐80 ‐100 0 -5 5 -10 4 -15 3 08/1 09/1 10/1 11/1 12/1 13/1 14/1 15/1 16/1 (年/月) (出所) Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 (2008年1-3月期~2015年10-12月期、四半期) 州の税収入は改善傾向 -20 (年/月) 08/3 09/3 10/3 11/3 12/3 13/3 14/3 15/3 (出所) The Nelson A. Rockefeller Institute of Governmentのデータを基に 三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 良好な需給環境 米国地方債は、デフォルト(債務不履行)率が低く、安全性が高い資産でありながら相対的に高い利回りが魅力で す。全体の約7割を保有(2015年末時点)する、米国個人投資家の米国地方債に対する需要は底堅い状況です。 市場の不透明感が強まる中でも、米国地方債に投資する投資信託への資金流入は継続中です。 一方で、これまで低金利を背景に活発であった借換債(既に発行していた債券の償還資金を調達するために、新 たに発行する債券)の発行の減少が見込まれ、2016年の発行金額は昨年と比べて減少することが予想されます。 これは需給の引き締め要因となることから、米国地方債市場にとってはプラスに寄与すると考えています。 ■ 米国投資信託の資金純流出入 400 (億米ドル) ■ 米国地方債発行金額の推移 (2014年~2016年*、年次) 600 新発債(一般財源保証債) 借換債(一般財源保証債) 500 200 (1996年~2015年、年次) (10億米ドル) 新発債(レベニュー債) 借換債(レベニュー債) 400 0 -200 -400 300 200 2014年以降資金流入が 続く米国地方債 2014年 2015年 100 0 2016年 96 -600 米国地方債 米国国債 米国投資 適格社債 米国ハイ イールド社債 *2016年は5月末まで (出所) ICI(米国投信協会)のデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 98 00 02 04 06 08 10 12 14 (年) ※新発債および借換債の一般財源保証債とレベニュー債の発行金額の割合 は、各々の発行残高に基づき三井住友トラスト・アセットマネジメントが算出 (出所) SIFMA(米国証券業金融市場協会)のデータを基に三井住友トラスト・ アセットマネジメント作成 ※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。 当資料はヌビーン・アセット・マネジメント・エルエルシーの情報を基に三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法 に基づく開示書類ではなく、証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 1/5 ご参考資料 魅力的な利回り水準 米国地方債は米国国債と比べて高い利回り水準が魅力です。過去5年間、米国地方債(課税債)の利回りは米国 投資適格社債と比較において、概ね上回る水準で推移しました。 米国地方債の元利支払いの原資は、米国内における税収入・公共サービスの利用料等であり、キャッシュフロー が比較的安定しています。 米国国債の利回り水準が低下していることに加え、安全性が高い資産とされる米国地方債への資金流入が継続 していることから、足もと米国地方債の利回りは低下傾向にありますが、米国国債に対しては相対的に高い利回 り水準にあります。 ■ 米国債券の利回り比較 5 ■ 米国債券の利回りの推移 (2016年6月末現在) (%) 米国地方債 4 3.0% 3 (2011年6月末~2016年6月末、月次) (%) 6 3.4% 米国地方債(課税債) 米国投資適格社債 米国国債 5 2.9% 4 2 1.5% 3 1 2 0 ‐0.2% ‐1 日本国債 (ご参考) 1 11/6 米国国債 米国地方債 米国地方債 米国投資 (非課税債) (課税債) 適格社債 12/6 13/6 14/6 15/6 16/6 (年/月) ※米国国債および日本国債は10年国債利回り。使用しているインデックスは以下の通り。[米国地方債(非課税債/課税債)]S&P米国地方債インデックス(非課税債/ 課税債)、[米国投資適格社債]BofAメリルリンチ・米国事業債インデックス。なお、米国地方債インデックスは、一般財源保証債およびレベニュー債を含みます。 (出所)S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスおよびBloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 (2016年6月末現在) 底堅い米国経済を背景に全般的に州の歳入状況は改善傾向であり、2015年における米国地方債の信用格付は2008年 の金融危機以降最大の格上げ水準となりました(件数ベース、ムーディーズ社調べ)。 プエルトリコやイリノイ州は財政難に直面しており政治も不安定な状況ですが、全体としては信用力が上昇する傾向にあ り、米国地方債のデフォルト率は引き続き低水準で推移することが予想されます。 ■ 米国地方債の信用格付の推移 < 格上げ・格下げ比率 > 格下げ 全体的に信用力は上昇傾向 格上げ 80% 61% 60% 82% < 格上げ・格下げの数 > 格下げ 100% (2012年~2015年、年次) 48% 824 695 564 519 79% 2012 20% 39% 18% 21% 2012 2013 格上げ 40% 52% 2013 2014 2015 (年) 554 187 190 2012 2013 360 0% 2014 2015 (年) 2014 2015 (年) ※上記は米国地方債において、各年において前年と比べ信用格付に変更があったものの格上げおよび格下げの構成比と数を示したもの (出所)ムーディーズ「US Public Finance Rating Revisions(2016年2月)」のデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 ※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。 当資料はヌビーン・アセット・マネジメント・エルエルシーの情報を基に三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法 に基づく開示書類ではなく、証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 2/5 ご参考資料 主な州の財政状況および見通しは以下の通りです。 カリフォルニア州 一般財源保証債の長期信用格付 S&P ムーディーズ Aa3 AA‐ 財政状況および見通し 州内発行体による発行残高* 一般財源保証債 レベニュー債 1,998億米ドル 3,210億米ドル GDPは全米首位の規模であり、他国と比較した場合でも英国に次いで世界第6位の水準です。 良好な経済環境が継続していることや財政支出の抑制に取り組んでいることから、財政状況は改善傾向です。 州の税収入は経済状況に左右されやすい状況が続いていますが、財政安定化基金への蓄えを増やす等、今後経済環境 が悪化し税収入が減少した場合に備えています。 テ キ サ ス 州 一般財源保証債の長期信用格付 S&P ムーディーズ Aaa AAA 州内発行体による発行残高* 一般財源保証債 レベニュー債 1,560億米ドル 1,542億米ドル 財政状況および見通し 1980年代初頭は税収入の約3割が原油・ガス関連であり、同時期の原油価格下落により州歳入は大きく減少したものの、 現在は保守的な予算を組んでおり、原油・ガス関連の税収入は総収入の約6%程となっています。 加えて、将来の景気後退に備えた財政安定化基金への積み立てもなされており、格付会社からも最上位の格付を獲得し ています。 フ ロ リ ダ 州 一般財源保証債の長期信用格付 S&P ムーディーズ Aa1 AAA 財政状況および見通し 州内発行体による発行残高* 一般財源保証債 レベニュー債 159億米ドル 1,233億米ドル 財政状況は強固で、州憲法により前年度歳入の5%以上を財政安定化基金に積み立てる必要がありますが、2015年度末 時点では歳入の21%が積み立てられています。 税収入の多くを占める売上税は増加傾向であり、州政府債務も抑制されています。 ニュ ージャージー州 一般財源保証債の長期信用格付 S&P ムーディーズ A2 A 財政状況および見通し 州内発行体による発行残高* 一般財源保証債 レベニュー債 250億米ドル 907億米ドル 多額の年金負債を抱えており、州財政は困難に直面しています。著しい経済成長や財政改革がなされない限りこの状況 は継続すると考えられます。一方で、州内には信用力が良好な地方自治体が多く存在します。 一般財源保証債の長期信用格付 イ リ ノ イ 州 ムーディーズ Baa2 S&P BBB+ 財政状況および見通し 州内発行体による発行残高* 一般財源保証債 783億米ドル レベニュー債 738億米ドル 規模の大きく多様で豊かな経済基盤が税収入の増加に寄与している一方、巨額年金債務や州政府予算案が予定通り成 立しないといった政治プロセスの機能不全等から、州政府債務への格付は全米で一番低い状況となっています。 2016年6月には複数の格付会社が州政府の一般財源保証債を格下げしていますが、州の債務支払は継続的な予算割当 や州の法律に基づいて最優先に実施されることから、予算が成立しないことが債務支払に直ちに影響を与えることはない と考えます。 2016年度予算が成立していないこと、および政治的な行き詰まりが格付変更の理由であり、債務支払能力は格下げの要 因として挙げられていません。また、債務支払は州歳入の約6%と財政規模に占める割合は低く、州政府の債務支払に問 題が生じる可能性は少ないと考えています。 ※一般財源保証債の信用格付は2016年6月末現在、発行残高は2016年3月末現在 ※州政府と州以外の発行体は異なる発行体であり、信用格付も異なる場合があります。 *各州の地方債発行残高は、一般財源保証債、レベニュー債ともに州以外の発行体が発行するものも含まれています。 (出所)SIFMA(米国証券業金融市場協会)「MUNICIPAL BOND CREDIT REPORT(2016年第1四半期)」およびBloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 ※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。 当資料はヌビーン・アセット・マネジメント・エルエルシーの情報を基に三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法 に基づく開示書類ではなく、証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 3/5 ご参考資料 (2016年6月末現在) 米国各州の一般財源保証債の長期信用格付をみると、イリノイ州以外は総じてA格以上の格付となっています。 (2016年6月21日現在) ※白色の州は格付未取得 ※ムーディーズ社およびS&P社により付与された格付のうち、低位の自国通貨建て長期債務格付を採用しています。なお、格付表記はS&P社のものを採用しています。 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 ※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。 当資料はヌビーン・アセット・マネジメント・エルエルシーの情報を基に三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法 に基づく開示書類ではなく、証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 4/5 ご参考資料 [投資に関しての留意事項] ◎投資信託に係るリスクについて 投資信託は、主に国内外の株式や公社債など値動きのある有価証券等を投資対象とし投資元本が保証されていない ため、当該資産の市場における取引価格の変動や為替の変動等により投資一単位当たりの価値が変動します。した がってお客様のご投資された金額を下回ることもあります。 また、投資信託は、個別の投資信託毎に投資対象資産の種類や投資制限、取引市場、投資対象国等が異なることか ら、リスクの内容や性質が異なりますので、ご投資に当たっては投資信託説明書(交付目論見書)や契約締結前交付書 面をよくご覧ください。 ◎投資信託に係る費用について ご投資いただくお客様には以下の費用をご負担いただきます。 ■購入時に直接ご負担いただく費用 …… 購入時手数料 上限3.78%(税込)、信託財産留保額 上限0.1% ■換金時に直接ご負担いただく費用 …… 信託財産留保額 上限0.5% ■保有期間中に間接的にご負担いただく費用 …… 信託報酬 上限年率2.052%(税込、概算) ■その他費用 …… 上記以外に保有期間等に応じてご負担いただく費用があります。ただし、運用状況等により変動 するため、事前に料率、上限額等を示すことができません。 上記の費用の合計額については、投資家の皆様がファンドを保有される期間等に応じて異なりますので、上限額等を 事前に表示することができません。 詳細は投資信託説明書(交付目論見書)、契約締結前交付書面等でご確認ください。 《ご注意》 上記に記載しているリスクや費用項目につきましては、一般的な投資信託を想定しております。費用の料率につきまし ては、三井住友トラスト・アセットマネジメントが運用するすべての公募投資信託のうち、徴収する夫々の費用における最 高の料率(作成日現在)を記載しております。投資信託に係るリスクや費用は、夫々の投資信託により異なりますので、ご 投資をされる際には、事前によく投資信託説明書(交付目論見書)や契約締結前交付書面をご覧ください。 【ご留意事項】 ●当資料はヌビーン・アセット・マネジメント・エルエルシーの情報を基に三井住友トラスト・アセットマネジメントが投資判断の 参考となる情報提供を目的として作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。 ●ご購入のお申込みの際は最新の投資信託説明書(交付目論見書)の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。 ●投資信託は値動きのある有価証券等(外貨建資産には為替変動リスクを伴います。)に投資しますので基準価額は変動し ます。したがって、投資元本や利回りが保証されるものではありません。ファンドの運用による損益は全て投資者の皆様に 帰属します。 ●投資信託は預貯金や保険契約とは異なり預金保険機構および保険契約者保護機構等の保護の対象ではありません。ま た、証券会社以外でご購入いただいた場合は、投資者保護基金の保護の対象ではありません。 ●当資料は信頼できると判断した各種情報等に基づき作成していますが、その正確性、完全性を保証するものではありませ ん。また、今後予告なく変更される場合があります。 ●当資料中の図表、数値、その他データについては、過去のデータに基づき作成したものであり、将来の成果を示唆あるいは 保証するものではありません。 ●当資料で使用している各指数に関する著作権等の知的財産権、その他の一切の権利はそれぞれの指数の開発元もしくは 公表元に帰属します。 当資料はヌビーン・アセット・マネジメント・エルエルシーの情報を基に三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法 に基づく開示書類ではなく、証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。 5/5
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