Q サプリメントは運動能力向上に役立ちますか? A サプリメントとは栄養補助食品のことで、食事から必要な栄養素を十分とれないときに利用 するのが基本です。したがって、サプリメントを使えば栄養がすべて充足する、あるいはサプリ メントで成績をあげる、試合に勝つなどということはないと考えた方がよいでしょう。経験や一 部の研究や理論では効果があるとしても、スポーツ種目、トレーニング量、消化吸収、年齢など 様々な要因があり、その人に適しているか判断するのはむずかしいようです。 サプリメントの種類には、エネルギー補給、たんぱく質、ビタミン B 群、抗酸化ビタミン、鉄、 カルシウム、その他 1)があります。たんぱく質のサプリメントには、プロテイン、ペプチド、ア ミノ酸があります。これらは筋肉量を増やすために最もよく使われます。これは 1 日当たり体重 当たり 2g 程度とされています。たんぱく質のサプリメントは余分に摂ることを防ぐためにも、食 事から摂るたんぱく質の量を調べ、その不足分を補充するようにします。余分にたんぱく質を摂 っても、筋肉にはなりません。プロテインを牛乳で割って飲むことが多いのですが、これらはカ ロリーも高いので、余分に摂ると太る原因にもなります。 一般に市販されているたんぱく質のサプリメントには、消化吸収の早いホエーと遅いガゼイン があります。若者にとっては消化吸収の速いホエーがよいと考えられています。しかし、練習後 の 1,2 時間後では確かにホエーの方がよい(体たんぱく合成速度を高める)が、3 時間以降にな ると逆転し、たんぱく質の蓄積量は吸収の遅いカゼインの方が高い値を示すことが報告されてい ます 1)。つまり、たんぱく質はどれがよいかということでも、実験の方法によって結果が異なっ てしまうこともあり得るということです。 ビタミンは脂溶性と水溶性があります。サプリメントを使うときは、特に脂溶性のビタミン D, A,K,E(ダケと覚える)は摂りすぎに注意しましょう。 スポーツ選手、特に女性の陸上長距離選手や減量を伴うスポーツ選手には、貧血の人が多いの ですが、血液検査によって鉄欠乏性貧血であると言われることがあります。このようなときは鉄 の補給(サプリメント)を使うことがあります。しかし、その使用は自己判断ではなく、その量 や効果判定が必要ですので、主治医の先生と相談して使ってください。 スポーツ選手は食事をバランスよく摂ることが大切で、サプリメントを過信しすぎないように しましょう。 鈴木久雄(岡大スポーツ教育センター) 1) 樋口満編著:新版コンディショニングのスポーツ栄養学,市村出版.2007.
© Copyright 2024 Paperzz