経営者の強い味方 - JRS経営情報サービス

情報番号:11030451
テーマ:経営者の強い味方
編著者:心理学博士 鈴木丈織
(関連情報:11030441~11030490)
小・零細企業の社長は、経営する立場にあるとはいうものの、実はもともと
技術者であったり、営業パーソンや商店主だった人が多いのです。なかには儲
け話に鋭い感性をもっている人もいますが、数字にはけっこう弱いという場合
も少なくありません。儲けたつもりでも、ドンブリ勘定のために赤字になって
いた・・・などという笑えない話もあります。多くの場合、ワンマン経営者は裸
の王様のように自分の企業の実体が見えていないのです。
1.孤独な経営者
社長にちょっとでも忠告できる人がいれば助かるのですが、そのような人材
がなかなか身近にいません。小・零細企業の経営者は実際はとても孤独なので
す。規模に関係なく、経営者というものは概して孤独な存在なのでしょうが、
小規模だととくに対等に相談できる社員が少ないのは事実です。社員が社長に
直言しようとしても、対等に話せる相手とはなりません。専務・常務がいたと
しても、たいがいイエスマンであって忠告したり直談判する例はほとんどあり
ません。
それでは、相談するなら銀行、あるいは親会社や同業組合があるといっても、
実際にはそうした公の場所で、自社の弱点は話せません。それに、日常業務に
追われて多忙なあまり、同業者の会合や研修にすら出られない経営者も多いの
です。しかも、過去の成功法に固執して経営環境が変わっているにもかかわら
ず、依然おなじような判断をして失敗するケースもあります。この激動に時代
に、かつての古い手法はもはや通用しないという助言も得られないまま、墓穴
を掘ってしまうのです。
2.経営の公私混同
従業員が4、5人以下の零細企業では、身内である家族が経理を担当してい
る場合があります。年商が 20 億円を超えても、まだ社長婦人が給与台帳を握
って離さないという会社もあります。これでは、まさに家内工業、家内企業の
枠からの脱皮はほど遠いでしょう。経営者も悩んではいるのですが、実情は一
筋縄では変革できません。しかし、そのままでは今後順調に成長・発展すると
いう可能性も期待できません。
小・零細企業が伸び悩んでいる理由は、「ヒト・モノ・カネ」のバランスが
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取れていない、あるいは、「攻めと守り」のバランスも崩れている点にありま
す。バランスが取れないと「ムリ・ムダ・ムラ」が発生してしまいます。その
原因は、長期的な視野に立って経営方針を考えることができず、目先のことだ
けに終始してしまうからです。経営者の意欲はありあまるほどあったとしても
空回りしてしまい、全社員には伝わっていかないのです。
とくに起業家は、自分の会社を自分のガマ口か私物のように思い込んでいる
場合もあります。それが露骨に出るようになると、働いている社員は不愉快に
なり、生き生きと仕事ができなくなります。社員が会社のためと思ってやった
ことに対して、それが失敗に終わると、「なんでそんなことをするんだ。“私
の”会社を潰す気か!」などと言ってしまうのです。当然ながら、会社は社長
個人だけのものではありません。“自分の会社”と言う思い込みが強すぎると
社員がついてこられなくなります。
3.厳しい経営環境の変化への対応
バブル経済のころは、ワンマン経営でも十分に実績を上げることができまし
た。しかし、デフレ時代になって、日本企業はこれまでに経験したことのない
条件のもとで経営を展開していかねばならない時期を迎えようとしています。
資産デフレによって土地や固定資産は下落し、同時に価格破壊もさまざまな業
界で進展しています。利益率が激減しているのが現状です。そのために不動産
や人件費の安いアジアへと工場は移転し、産業の空洞化が進行しています。駅
前のオフィスビルの入居率が 5 割を切っているところもあります。かつての目
抜き通り商店街も所々シャッターが降り、閑散としています。景気の閉塞感の
ためか、消費マインドが衰え、売上が減少して赤字に転落する企業が増えてい
るのです。
そして、業績が悪化すると資金不足になり、借入金がふくらんで金利負担が
増大します。ますます業績は悪化して経営者が資金繰りに走り回ります。そう
なると本業がおろそかになって、売上高がまた減少するという悪循環に陥って
しまうのです。
さらに、今後ますます高齢化がすすみ、少子化とともに若年層が減るでしょ
う。昭和 55 年には総人口の 23.4%が15歳以下の若者でしめられ、65歳以上の
高齢者はわずか9.1%に過ぎませんでした。ところが、平成9年6月の推計で
は若年人口が減少し、全体の 15.4%になり、反対に高齢者人口が 15.5%とその
人口構造が逆転してしまったのです。
労働人口が減少すると、当然社会保障を支えるための税金の負担は大きくふ
くれ上がります。消費生活は一段と厳しくなり、慢性的な消費低迷が続く恐れ
があります。
一方、IT化が進み、情報社会が進展してきました。コンピュータにおける
情報管理や事務管理はいまや当然のことになっています。経理のオバサンが電
卓で給与計算する姿は大昔のことです。当然、経理事務もコンピュータの独断
場です。経営者たる者コンピュータで必要な情報をいつでも取り出せるくらい
のノウハウは最低限必要です。それどころか、コンピュータの端末が日常生活
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の中に入り込んでくるユビキタス社会が目前に迫ってきているのです。常識も
変わるはずです。
働く人の意識も変わりました。社会全体に生活必需品がいきわたり、モノと
カネを求める時代から心の豊かさを追求するようになりました。仕事より家庭
を重視する男性が増え、会社人間は減少、そして、ますます個人のライフスタ
イルは多様化しています。
たいへんな時代になったものです。まったく未知の経営環境が発生したとい
っても過言ではないでしょう。そして、慢性的になっているデフレ傾向は今後
も続くという予想です。こうした状況の中で収益を増大させるには、今までの
経験や勘はまったくといっていいほど役に立ちません。かつて成功したからと
いって、もはや同じ方法が通用する時代ではないのです。
4.経営者の強い味方とは
このような状況で孤独な小・零細企業の経営者は、どうすればよいのでしょ
うか。やはり、企業経営について信頼できるパートナーを得ることが今後の成
功の秘訣になるでしょう。経営者自身も経営を客観的に評価し、次になすべき
指針を与えてくれるすぐれた参謀を求めているのが本音です。
では、この参謀の役割を果たす人材をすぐに見つけるにはどうすればよいの
でしょうか。優秀な部下を幹部候補として教育することも重要なことですが、
教育・訓練は効率よくやらないと、時間とお金がかかります。
そこで、「ベネフィットドクター」が助っ人になります。「ベネフィットド
クター」とは経営者のパートナー・経営参謀として十二分の働きが期待できる
人材です。
「ベネフィットドクター」は、社長の意欲の空回りを指摘し、的確なアドバ
イスを下すことができる、外部スタッフにして有能かつ経営者の絶対的味方と
なる人材です。そして、自社の人材の活かし方等、経営を公私混同して大切な
社員を失わないようなアドバイスもしてくれます。
また、戦後の日本経済が初めて経験する試練に対して、経営者にとって重要
な情報を収集、提供してくれるのも「ベネフィットドクター」です。企業の短
期計画や中期計画ばかりでなく、正しい判断でしっかりとした長期計画が立て
られるようにアドバイスをしてくれます。
企業経営は困難なときのほうが経営者にとっては、やり甲斐がある時代とも
いえます。経済が停滞してくるときこそ、果敢に挑戦する価値があるのです。
なぜなら「ピンチはチャンス」だからです。こうした試練のときに、未来を見
据えて、経営のヴィジョンを組み立て、ピンチをチャンスに変える具体案を提
示し、経営者とともに挑戦していくのが「ベネフィットドクター」の役割です。
優秀な会計士・税理士事務所に相談すれば適任をみつけることができるでしょ
う。
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(執筆者)
(株)ビジネスラポール
心理学博士
代表取締役
鈴木丈織
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