全林研会長賞 たい 三 重 県 き ちょう 大紀 町 林業研究会 所在地 三重県度会郡大紀町崎239-2 大紀森林組合内 代表者 梅田利幸 設 立 平成17年10月 会 員 男36人 年 齢 24歳∼ 68歳 平均50歳 主なプロジェクト ◆ 山の境界の管理と間伐の推進 大紀町林業研究会の取り組み 1.地域の概要 私たちの住む大紀地域は、県の中南部、伊勢湾へと流れる清流 宮川の上流 域の大内山川沿いに位置しています。平成 17 年 2 月に旧大宮町、紀勢町、大 内山村が合併して大紀町が誕生いたしました。人口は約 1 万 200 人、森林面 積は約 2 万 1,000ha で総面積の 90%を占めており、その内の 68%に当たる約 1 万 4,000ha がスギ、ヒノキの人工林という中山間地域です。 2.大紀町林業研究会の誕生 旧町村単位でそれぞれ活動していた林研グループも、町村合併を契機に合 併の気運が高まり、大紀町誕生の翌年度に再結成して、大紀町林業研究会と なり現在に至っています。 当研究会の活動も、県林業研究グループ連絡協議会主催の研修会や先進地 視察などにも積極的に参加し、各会員が集まったときに情報交換などをして います。 しかし、会員もかなり高齢化しており、行事などの参加者も年々少なく なってきました。そこで少しでも地域の森林、林業の活性化になればと考え、 2 年前より統合により廃校となった小学校を利用して、月に 2 回地元の大工 120 - 三重県 が、少しずつ活動の輪が広がりつつあります。 3.吸収源対策森林施業推進活動緊急支援事業の取り組み 全国大会発表グループ さんを講師に招き木工塾を開いています。まだたいした作品はできません 昨年度、 「吸収源対策森林施業推進活動緊急支援事業」に取り組みました。 山に入る機会も少なくなり、このままでは、あと数年もすると山をよく知る 人がいなくなってしまうのではないかと心配されています。 北海道・東北 当地域においても、山の境界の管理が重要な課題となっており、若い方が そこで、今回の事業においては、林研の会員だけでなく、地域の方も含め いました。 ⑴ ハンディ GPS の活用 関東・山梨 それぞれが自分の山の境界に関心を持ってもらうことを目標に取り組みを行 三重県は、他の地域に比べても地籍調査が進んでおらず、山林に関しては、 山の図面としては、公図や県の森林簿の森林計画図などがありますが、い ずれも実際の現地とぴたりと合うものではありません。 北陸・中部 ほぼ手つかずの状態です。 そこで、研究会がハンディ GPS(ガーミン社 GPSmap60CSx)を購入して、 まずは会員自らが自分の山の境界を記録(地図)に残していくことに取り組 指導林家でもあり、すでにハンディ GPS を自身の山林の管理に活用して 近 畿 みました。 いる吉田本家の吉田正木さんを講師に迎え、GPS の使い方や現地での境界 中国・四国 九 州 GPSを使用した森林管理についての研修会の開催 三重県 - 121 測定の方法などについての研修会を、県の林業普及指導員さんのご協力も得 て、林研会員と地域の人々を対象に開催しました。 研修会では、境界にマーキングをしながら GPS を持って境界を歩き、地元 の集会場へ場所を移動して、GPS からパソコンにデータを転送しました。歩 いた軌跡やその場所で撮った写真がスクリーンに映し出されると、参加者は 一様に驚かれていました。ほとんどの人が初めて目にする GPS に、かなりの 関心をもってもらえたと思います。 研修会終了後には、 「さっそく借りて子供と一緒に山に持って行ってみる わ。 」といった声が、あちこちで聞かれました。 ⑵ 間伐の推進 今回はハンディ GPS の研修とあわせ、間伐展示林の整備や当地域を管轄 する大紀森林組合の協力を得て、高性能林業機械(フォワーダ)の実演を通 して、研修会に参加された地域の人々に間伐の推進を呼びかけました。 研修会を実施した現地は、旧大宮町永会の会員の山林で、森林組合により 急傾斜地に丸太組工法を利用して作業道を開設された現場で、48 年生のス ギ、ヒノキの間伐予定地がありましたので、研修会現地としてご協力をいた だきました。 研修会当日にその一部を間伐し、 急傾斜地に開設された作業道を利 用して、フォワーダのグラップルを 使っての集材や造材された間伐材を 積み込む作業の実演を行いました。 研修会に使用した森林の一部は間 伐展示林として整備し、看板の設置 とハンディ GPS による簡易測量を 間伐研修会 行いました。 ⑶ 研修会を実施して 研修会を終えての感想ですが、間伐展示林に整備するため、会員とともに 48 年生のスギ、ヒノキの間伐を行いましたが、掛かり木が多く伐倒するのに 122 - 三重県 しかし、当たり前のことですが、間伐後は見違えるような美林に生まれ変 わり、間伐することの大切さを参加したみんなが実感したと思います。 ハンディ GPS については、山林調査や見通しの悪い現地での境界測量な 全国大会発表グループ 一苦労でした。 ど、使いこなせば用途は広く、測量器具を使用しなくても簡易な測量図面や 便利なものだと感じました。また、講師の吉田正木さんの「これからは、皆さ んの頭の中にある(山の)記憶を記録に残すことが大事なんです。 」という言 北海道・東北 作業道などの路網の整備計画など等高線上に容易に描写ができるので、大変 葉が印象に残り、まさに今やらなければいけないことなんだと思いました。 方が測定してきたデータを森林組合で図面にしていただき、それをきっかけ にして施業受託に繋げるなど、森林整備のために連携して取り組むことが必 関東・山梨 それでも、やはり高齢者にはパソコンの操作が難しいので、会員や地域の 要だと考えています。 最後になりましたが、地球温暖化、CO₂ 削減など環境問題が大きく報道さ 北陸・中部 4.おわりに れている今日、林業・山村地域を取り巻く問題は数多く、少子高齢化や後継 者問題、獣害対策など山積みしていますが、地域の山のグループのリーダー 近 畿 として、山や河を守り、共に頑張り発展していきたいと思っています。 中国・四国 九 州 三重県 - 123
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