ノロウイルス対策 保存版 「嘔吐物の処理方法について」 ホテル、旅館、飲食店、病院、介護施設、映画館などで、嘔吐をされると見た目の問題もさること ながら、それから発生する何ともいえない悪臭の問題が生じてきます。 さらに、嘔吐物も体液の一種と考えれば、その中には、嘔吐された方の体の中にあったウィルス(病 原菌)も当然含まれていると考えなければなりません。 特に現在問題となっていますノロウイルスは人から人への感染力は極めて強いウイルスとされており、 乾燥に強く感染者の嘔吐物やトイレの飛び跳ねの糞便からも感染することも考えられます。 この嘔吐物の処理について、皆様の施設にて担当する方は誰かと言うと、通常その施設のスタッフの 皆様、またはメンテナンスされておられる会社の方々ということになるわけですが、 「いかに早く乾燥 させず、きれいに処理するか!」しかも厳密な意味では、感染症対策まで考慮した施工をいかに行う かという課題は非常に重要な問題です。 今回は嘔吐物における具体的な処理方法を解りやすく実演を交えながらご説明させて頂きます。 【嘔吐物処理の三大原則】 1.すぐにふき取る 2.乾燥させない 速やかに正しく処理する事が重要 3.消毒する ※発見・連絡を受けたら直ちに処理しましょう! 【嘔吐物を直ちに処理するための準備】 1.嘔吐物の処理セットを常備しておく 2.スタッフ全員が配置場所を把握しておく 3.常備品として必要なもの ・0.1%次亜塩素酸ナトリウム液 ・ペーパータオル、新聞紙 ・ビニール袋 2 枚 (液漏れしないこと) ・専用バケツ ・マスク ・使い捨て手袋(2枚重ね使用分) ・使い捨てエプロン ・シューズカバー ※現在は上記の品が一つになった汚物処理キット(写真)も販売されています 1 【ノロウイルスに有効な消毒剤】 ●次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)の消毒薬 ノロウイルスを完全に失活化するには、加熱や次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)による消毒 が有効です。消毒用アルコールや逆性石けんは、あまり効果がありません。 ・加熱による消毒は、85℃ 1 分以上の加熱をします。 次亜塩素酸ナトリウムによる消毒ができないものは、消毒箇所が 85℃以上になるようお湯やス チームアイロン等の蒸気を使い消毒します。 ・使用濃度 使用用途により、次亜塩素酸ナトリウムの濃度が異なります。用途に合わせ使用します。 日常の清掃 嘔吐物や排泄物等で 調理台・調理器具など 高濃度に汚染された場所や物 塩素濃度 0.02% 塩素濃度 0.1% ※ 次亜塩素酸ナトリウムはカーペットなど脱色の恐れがありますので注意が必要です。 ●次亜塩素酸ナトリウム希釈液の作り方 衣類・調理器具消毒用 0.02%溶液 水6L に家庭用塩素系漂白剤20ml を入れる (ペットボトルを利用する場合) 2L のペットボトルに水を半分くらい入れておき、そこへ家庭用塩素系白剤をペットボトルのふた 2杯入れた後、水をペットボトルいっぱいに加える。 (ペットボトルのふた 一杯 5ml) 嘔吐物・便などの処理用 0.1%溶液 水6L に家庭用塩素系漂白剤100ml を入れる (ペットボトルを利用する場合) 500ml のペットボトルに水を半分くらい入れておき、そこへ家庭用塩素系漂白剤をペットボトル のふた2杯入れた後、水をペットボトルいっぱいに加える。(ペットボトルのふた 一杯 5ml) ※次亜塩素酸ナトリウム希釈液 保存のポイント 消毒薬の保管は冷暗場所に(高温、紫外線等で分解され効果が低下します) 希釈消毒薬はその都度つくる方が確実です(作り置きは約一週間が限度) 【注意事項】 ・作るとき・使用するときは必ず換気する ・有毒なガスが発生しますので酸性の物とは絶対に混ぜない ・皮膚への刺激が強いため、直接触れず、ビニール手袋を使用する ・皮膚に付着した場合には直ちに大量の水で洗い流す ・目に入った場合には十分洗い流した後、受診する ・金属に使用した場合には錆びることがあるため、消毒後水で洗い流すか、拭き取る 2 【嘔吐物処理のポイントと手順】 ●ポイント 1 患者(嘔吐した方)のケア ・対応者の自己防衛(防御着装着→フル装備) ・患者への対応(おう吐対応、呼吸困難防止、誤嚥防止) 2 他者への感染拡大防止措置 ・汚染拡大防止 汚染領域外から汚染領域内への移動禁止 汚染領域内から汚染領域外への移動禁止 ・室内空気の換気 3 おう吐物の処理 ・汚染されたものの消毒(思わぬものが、汚染されていないか?) ・嘔吐物処理、消毒 4 作業者・同室者の防御着の処理、手洗い、着替え 経過観察 ・患者、同室者、対応者(3 日間) ●嘔吐物処理手順 凝固 回収 洗浄 廃棄 ①使い捨てマスクと手袋(2重) 、エプロン、 シューズカバーをつける。 (写真は白衣を着用) 処理する人以外は嘔吐物に近づかない。 ②嘔吐物は半径2m程度飛び散っている場合がある ので床にひざや手をつかないように、靴についた 吐物で周囲を汚染しないよう注意する。 3 ③可能な場合は嘔吐物を0.1%次亜 塩素酸ナトリ ウムを浸したペーパータオルなどでおおい 10 分以上 放置後、凝固剤があるならふりかけ、凝固させたあと ペーパータオルなどで外側から内側に向けて汚れた面 を折り込みながら静かに拭い取る。 ④使用したペーパータオルなどはすぐにビニール袋に入れ、 0.1%次亜塩素酸ナトリウムを入れて密閉し消毒する。 ⑤嘔吐物が付着した床などは、0.1%次亜塩素酸ナトリウム を染み込ませた ペーパータオル等でおおうか、浸すよう にふき、広い範囲を消毒する。その後水ぶきする。 ⑥マスクと手袋、シューズカバー、エプロンを④と同様に 処理した後手洗い。 ●防御着の脱ぎ方の順序 消毒薬を含ませた紙タオル等で手袋の汚染面を消毒してから、これらの作業を行ったほうが、より 安全に行えます。 1.ガウン(エプロン) → 2.足カバー → 3.手袋 → 4.(最後)マスク ※順番が入れ替わると、汚染が広がるので注意!! 4 ●作業後の対応 作業後は、対応者・同室者は着替え、入浴を行ったほうがよいでしょう。 (それら衣類は消毒したほ うがよい) ・作業後、十分に換気をしましょう。 ・患者、同室者、対応者は 3 日間程度、ノロウイルス感染について経過観察をしましょう。 患者 ①隔離できればしたほうがよいが、できなければ動かさない。 ②症状回復まで、防御着を着用して接するほうがよい。 同室者 ①他の部屋の者と一緒にしない。(食事等を含む) ②健康チェックをする。 ③各々おう吐袋を持参してもよいでしょう。 作業対応者 ①十分に手洗いを行う。(使い捨て手袋を活用してもよい。) ●汚物処理(衣類等) 汚物(おう吐物、便)で汚染された衣類等は、 1.使い捨てビニール手袋、マスク、ガウンを着用する 2.嘔吐物や便をある程度除去する ・除去しないと消毒薬の効果が弱くなります ・水洗トイレなどを活用しましょう 3.0.02%次亜塩素酸ナトリウムに 10 分間漬け込むか、85℃1分以上熱湯消毒する 4.他のものと分けて最後に洗濯(困難な場合は、専門業者を利用しましょう) ●その他の注意点 ・飛沫感染を防ぐため、換気扇などで部屋の換気を十分に行いましょう(特に、汚物処理中・後) ・汚物処理後3日間は、感染発生に注意が必要です。 ・トイレ(便座等) 、手すり、ドアのノブ、イス、テーブルなど、汚染の可能性がある所は、最低 1 日に 1~2 回は 0.02%次亜塩素酸ナトリウムで消毒しましょう(金属製品は 10 分後に水ぶきして ください) ・トイレは常時換気扇を回しましょう ・トイレの手拭は共用を避け、ペーパータオルなど使い捨てにしましょう ・施設で流行している時は、利用者を集めて行事を行うことは避けましょう ・次亜塩素酸ナトリウムによる消毒ができないものは、消毒箇所が 85℃以上になるようお湯やスチ ームアイロンの蒸気を使い消毒します。 ・感染防止品の着用 処理従事者の感染防止および感染拡大防止(使い捨て手袋、使い捨てエプロン、使い捨てマスク、 使い捨てくつカバーなど) 5 ・立入りの制限 処理従事者以外は汚物に近づけない ・十分な換気 換気を行って室内のウイルス量を減らす ・処理後の手洗い 処理後は2度手洗いを! ・広範囲の清浄化 ウイルスは広く(半径2m)飛散・高く(高さ1.6m程度)舞い上がる ※塩ビ製タイル・フローリングの場合 半径 約2.3m カーペットの場合 半径 約1.8m 2013.3.6 株式会社ダイエイハービス 6 ノロウイルス拡散防止のための安全な嘔吐物処理方法 嘔吐物処理手順 嘔吐物処理で用意するもの 消毒薬の調整 【汚物処理キット】 1 ・0.1%次亜塩素酸ナトリウム液 ・ペーパータオル、新聞紙 10 ・ビニール袋2 枚 (液漏れしないこと) ・専用バケツ ・使い捨てマスク ・使い捨て手袋(2枚重ね使用分) 作業を始める前に、腕まくりし、腕時計、 指輪等は外す。 よく手を洗う。 使い捨てのマスク。使い捨てのエプロン を着用する。 2 ・使い捨てエプロン ・シューズカバー 調理従事者は処理を控えてください! 3 4 吐物中のウイルスが飛び散らないように、 汚物全体をペーパータオルで覆い、その 上に塩素剤を静かに撒く。 使い捨ての不織布タオルで外側から内側 に向けて、嘔吐物を救い上げ、一時回収 のビニール袋に入れる。 ノロウイルスを完全に失活化するには、加熱や次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)による 消毒が有効です。消毒用アルコールや逆性石けんは、あまり効果がありません。 嘔吐物・便などの処理用 0.1%溶液 水6Lに家庭用塩素系漂白剤100mlを入れる (ペットボトルを利用する場合) 500mlのペットボトルに水を半分くらい入れておき、そこへ家庭用塩素系漂白剤をペットボトルの ふた2杯入れた後、水をペットボトルいっぱいに加える。(ペットボトルのふた 一杯 5ml) 5 ビニール袋の口を開けておきます。 ゴミ入れ等にビニール袋を入れて口を広 げておくと使いやすいです。 塩素剤を50-100倍に薄めた液(消毒 液)をペーパータオル等に染みこませ、拭 き取ります。 嘔吐物や消毒液が直接触れぬよう、使い 捨て手袋を2重に装着する。 11 10 9 8 内側を触らないようにして口を縛り、捨て ます。 必ず処理の最後には石けんでよく手を洗 ってください。 使い捨てマスク、エプロン、内側の使い捨 て手袋を裏返しながら脱ぎ入れます。 ナイロン袋に、口を閉じた一時回収袋を 入れます。 一時回収袋の口をしっかり縛ります。 6 吐物のあった周辺は、できるだけ広い範 囲を消毒剤で拭き取り、一時回収袋に入 れる。 塩素は金属腐食性がありますの で、拭き取った場所が金属の場合は、 10分程度時間を置いてから、水拭きしま す。 7 拭き取ったペーパータオル並びに外側の 使い捨て手袋を入れ、その上に塩素剤を 入れ浸します。
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