インターネットを利用した新しいデータベース登録手法

インターネットを利用した新しいデータベース登録手法
2009年11月11日
阪南大学
経営情報学部
5106025
5106255
1
経営情報学科
妹背
三並
武志
真也
目次
第1章
はじめに ............................................................................................................. 3
第2章
関連研究 ............................................................................................................. 4
第1節
バーコードについて ........................................................................................ 4
第2節
JAN コードについて....................................................................................... 5
第3節
ISBN について................................................................................................ 5
第4節
ISSN 雑誌コードについて .............................................................................. 6
第5節
バーコードリーダについて ............................................................................. 7
第3章
バーコードを利用したデータベース登録アプリケーションの実装 .................... 7
第1節
登録までの流れ ............................................................................................... 7
第2節
システムの全体像............................................................................................ 8
第3節
詳細設計.......................................................................................................... 9
第4章
検証................................................................................................................... 14
第1節
本アプリケーションと従来手法との比較...................................................... 14
第2節
問題点 ........................................................................................................... 15
第3節
今後の展望 .................................................................................................... 15
第5章
まとめ ............................................................................................................... 15
参考文献 ............................................................................................................................. 17
謝辞 .................................................................................................................................... 17
2
第1章
はじめに
自宅の図書など、あらゆる物を管理するにはデータベースを利用すると容易に実現でき
る。しかし、数百から数千の件数をデータベースに登録する場合、従来の方法では非常に
手間がかかる。また、人為的作業のため入力ミスが発生する。そこで、実際に所持してい
る書籍をデータベースへ登録することにした。その際、書籍の情報として入力する項目は
書籍を判断できる「タイトル」、「著者」、「出版社」とした。一冊の登録に要した時間
は1分から3分だった。所持している書籍は控えめに見積もっても200冊、それら全てを登
録する必要がある。要するにデータベースを利用するには3時間30分から10時間かけて登
録しなければならない。この時間を短縮するために一番有効なのは、1件の登録にかかる
時間を短縮する事である。一冊の登録時間を数秒単位に減らす事が可能な場合、10分から
33分程度で登録が完了すると考えられる。
そこで、着目したのがコンビニエンスストア(以下コンビニ)である。コンビニでは消
費者のニーズに対応するため、食品、衣料、雑誌など様々な商品を扱っている。だが、販
売の際にはレジカウンターでバーコードをスキャンするだけという簡易な作業で販売が可
能である。つまり、商品についているバーコードは重複していない。試しに、バーコード
番号を検索エンジンで検索すると、表示されるページはすべて該当の商品のものであった。
コンビニのように、物品管理をバーコード入力にすることで、一冊の入力時間が1秒以内
という劇的な短縮が可能と考えた。つまり、物品管理システムへの入力方法に用いる入力
端末は、バーコードリーダを使用する事で、劇的に早く読込みが可能であることが予測で
きる。よって、下記の三点を利用して物品管理システムを構築する事を考えた。
•
商品の情報源はインターネットを利用する。
•
検索するクエリはバーコード番号を利用する。
•
入力端末はバーコードリーダを使用する。
このことにより、商品や図書情報の人為的作業による入力の手間を省き、入力ミスを無く
す事が可能である。
本論文では、上記の考え方に基づいて開発したバーコードリーダを使った物品登録シス
テムを紹介し、問題点や活用方法の考察を行う。2章では、本研究で利用した、バーコー
ドや、バーコードリーダなどの関連技術を紹介する。3章では実際にどのようにして、情
報を取得しているのか、その流れを詳しく説明する。4章では、実際に開発したアプリケ
ーションを使い、従来の方法と比較を行い検証する。5章では、本論文のまとめを述べる。
3
第2章
関連研究
本章では、本研究に関連する技術とシステムを説明する。第1節ではバーコードにつ
いて、第2節では日本の商品に貼与されているJANコードについて、第3節では書籍に貼
与されるISBNについて、第4節では雑誌コードについて、第5節ではバーコードリーダ
の仕組みを説明する。
第1節 バーコードについて
バーコード、正式名称をバーコードシンボルと言う。これは太さの異なるバーとスペ
ースの組み合わせにより構成されている。商品管理などに必要なPOSシステム用のコード
を表すために、国名、業種、商品名、価格などの情報が含まれている。また、POSシステ
ムとは、Point Of Sales system 日本語で販売時点情報管理システムの略称である。主
に、スーパーやコンビニなどの小売業で採用され、販売動向をリアルタイムで把握し、
在庫管理から物流、販売促進まで管理するシステムのことである[1]。そして、バーコ
ードには一次元コードと二次元コードの2種類が存在する。一次元コードの情報は横方
向にしか記録できず、文字列や数列などの一次元のものしか表せない。それに対し二次
元コードは、水平・垂直方向に情報を記録可能である。他にも、従来のバーコードより
記録可能な情報量が数十倍から数百倍であること。カメラ付き携帯電話やノート型パソ
コンなどで読み込むことが可能であること。バーコードに多少の破損、汚れが付着して
いても読み取ることが可能であるなど、一次元コードよりも優れた個所が多い。最新の
バーコード研究に、不可視バーコード技術というものがある(図1参照)。この技術は
本や新聞などのアナログメディアとディジタルメディアとの橋渡しを目的とした技術で
ある。この技術の利点は、本や新聞などの外観を損なうことなくバーコードを印刷する
ことが可能であることや、印刷に大きなコストが掛からない点などが挙げられる[2]。
図 1 不可視バーコード技術
4
第2節 JAN コードについて
JANコードとは日本で使われているバーコードである。現在、90%以上の商品に使用さ
れている。しかし、書籍、雑誌やカラオケなどで使われているコードとは異なる。JANコ
ードには13桁で構成される標準タイプと、8桁で構成される短縮タイプが存在する。多
くの場合、標準コードを使用するが、印刷面積が足りない時に短縮コードを使用する(図
2参照)[3]。
標準コード
図2
JAN コード比較
短縮コード
(株)Keyence バーコード基礎知識
左端から順に国コード、メーカーコード、
商品アイテムコードと続き、最後にチェッ
クデジットとなる。
国コードは、49以外にも45が日本の国コ
ードである。メーカーコードとは、財団法
人流通システム開発センターに登録申請を
行い取得したコードである。商品アイテム
コードは、メーカーコードを取得した団体
が自由に設定することが出来る。チェック
デジットとは、JANコードの読込みが正確に
行われた事を確認するためのものである
図3
(計算方法は図3を参照)[3]。
チェックデジット計算法
財団法人流通システム開発センタ
短縮タイプのメーカーコードは、標準タ
イプのメーカーコードを取得した企業のみが申請可能である。2001年1月以降に登録さ
れたものは7桁になっている。
第3節 ISBN について
ISBNとは書籍を区別するために規格化された世界標準のコードである。2007年1月1
日から従来の10桁表記を廃止し13桁表記に規格変更となった。例えば10桁のISBNコード、
ISBN4-502-41333-Xの場合、最初の1桁は言語圏番号であり、日本語は4となる。次の3
桁と5桁は、出版社コードと書籍コードである。最後の1桁はチェックデジットとなる。
5
0から9とXで表わされ、Xは10を意味する。チェックデジットの算出方法は以下の通り
である。
① 各桁に10から-1したものを掛け、積を求める。
② 各桁の和を求め、11で除算した値、商を求める。
③ それを11で減算した余りがチェックデジットとなる。
そして、13桁のISBNは、ISBN 978-4-949999-08-?となる。左から順に、フラグ、国、出
版社記号、書名記号、チェックデジットとなる。ただ、国、出版社記号、署名記号は桁
数が決まっていない。よって9桁の範囲内で増減する。チェックデジットの計算法は以
下の通りとなる。
① 12桁を偶数桁と奇数桁に分け、それぞれ加算し和を求める。
② ①で求めた偶数桁の和に3を乗算し、奇数桁の和に
1を乗算し、偶数・奇数を加算する。
③ ②で求めた和の下1桁を10から減算した値がチェ
ックデジットとなる。
また、下1桁が0の場合チェックデジットは、0として
表記される(図4参照)[4]。
図4
ISBN コード例
第4節 ISSN 雑誌コードについて
ISSN雑誌コードとは日本で出版社が発行している雑誌を管理するためのコードである。
このコードは、雑誌 ABBBC-DDの順に構成されており、最初のAは発行形態コードとなり0
∼9が入る。Bは雑誌名コード。Cは発行形態コードの数字によって表す意味が異なる。最
後のDは発行年月日や通巻番号がつけられることが多い[5]。図5はISSN雑誌コードの例
である。この場合、ISSNコード「07179-06」は月刊誌であり、雑誌名7179の6月に通常発
行されたことになる。
0,1
2,3
4,5
6
7
8
9
発行形態コード
月刊,隔月間,季刊誌
週刊,旬刊,隔週刊
コミックス
ムック
雑誌扱いのカセット
取協不扱い誌
予備
雑誌名コード
図5
ISSN コード(7桁)
0 7179 -06
発行年月日や通巻番号
名称なし
発行形態コード Cの数字
奇数:通常
0,1
偶数:別冊臨時増刊号
1∼5:発行週
2,3
6∼9:別冊,臨時増刊
ISSN コード詳細
6
第5節 バーコードリーダについて
バーコードリーダとは、バーコード入力装置であ
る。仕組みは以下の通りである(図6参照)。
① LEDで光を当て。その反射光をレンズで検知
する。
② CCDイメージセンサーで画像として認識。
③ デコードボードにより解析・変換を行う。
④ 接続されたコンピュータに解析データを送
る。
図6バーコードリーダの構造
株式会社テクニカルより
以上の動作を行う装置である。
光源は安全性の高い LED が採用されている。また、CCD イメージセンサーを採用することで、
バーコードのデータは、デコードボードによって、接続された機器が受け取れるデータ形
式に変換される。[6]
第3章
バーコードを利用したデータベース登録アプリ
ケーションの実装
第1節
登録までの流れ
第1章で述べたようにデータベースに物品を登録する手法として、従来では手作業で入
力を行っていた。そのため登録に時間が必要であった。また、手作業のため入力ミスで間
違った情報が登録される可能性がある。この2点の問題を解決するためには、人為的作業
を減らし、尚且つ、一件の入力スピードを上げる必要がある。よって、次の手法を採用す
ることで、問題解決とした。
① バーコードリーダを使用し、物品のバーコードをスキャンする。(人為的作業)
② 取得したバーコード番号を元に分類解析を行う。(PC作業)
③ 分類にあった大手サイトでバーコード番号を検索する。(PC作業)
④ 表示されたページから重要情報を抽出しデータベースに登録する。(PC作業)
以上により、人為的作業が①のみになり、入力ミスをなくすことが出来る。尚且つ、デ
ータ蓄積(キュー)をすることにより、利用者は処理が完了するまで待つ必要はなく、続
けて次の物品をスキャンする事が可能である。これにより作業時間の更なる短縮を実現し
た。また、データ抽出ができなかった物品に対しては、大手検索サイト「Google」で検索
を行い、ページを表示することで物品の確認が可能である。これにより例外となった物品
を見つけ出す事が出来る。
7
第2節
システムの全体像
今回提案するシステムは、書籍などの物品をデータベースに登録し、管理するシステム
である。つまり、現在日本で販売されている物品に貼与されているJANコードというバーコ
ードをバーコードリーダでスキャンするだけの簡易作業でデータベースに物品情報を登録
するものである。書籍の場合、データベースに登録する情報はバーコード番号、タイトル、
著者、出版社、備考である。その他の物品は、バーコード番号、ブランド名、商品名、簡
易説明である。
本システムでは、クライアントPC環境、インターネット環境、データベース環境の3つ
の環境で成り立っている(図7参照)。
インターネット
1. ネット環境
検索
2. クライアントプログラム
Amazon
3. データベースシステム(自分)
検索
Google
紀伊国屋
書籍,製品等の
バーコードを
バーコードリーダー
を用いて入力
クライアントプログラム
情報取得
検索結果(複数Webページ)
IEコンポーネント
値を引渡す
バーコード取得
バーコードリーダで入力
検索結果(複数のWebページ)
Webパターン認識
検索結果ソート
タイトルなど抽出
DB自動登録
自動登録
管理DB
複数のWeb内タイトル候補
最終結果
データベース
タイトル候補重み付け
システム
図7
システムの流れ
クライアントPCではバーコードリーダでスキャンした情報をIEコンポーネントで引き渡
す。IEコンポーネントは渡された情報を元にインターネット検索を行い、該当ページのHTML
ソースを取得する。そして、ソースを元にWebターン認識を行い、必要な情報を抽出する。
抽出したデータを集計し、その結果一番有力な情報をデータベースに登録する。また、バ
ーコード番号の蓄積も可能である。よって、利用者は一冊のデータが登録完了するまで、
待機する必要がなく次冊のスキャンが可能となった。さらに、商品の登録だけでなく、デ
ータベースにアクセスし、登録情報を検索・修正する機能も実現した(図8参照)。
8
図8
第3節
実行画面
詳細設計
本システム開発において、重要な点はMicro Soft社が提供しているIEコンポーネントを
利用する点である。よって、開発言語はC#を採用した。クラス関係は図9になっている。
④SearchClass
⑤IE コンポーネント
取得したデータを
引き渡す。
バーコード
を引き渡す。
インター
ネット
③BarCodeGet
バーコード取得
データ登録
②ItemAddForm
MainForm
①
書籍検索
⑧BookDataBase
⑥bookSearchForm
物品検索
⑦ItemSearchForm
⑨ItemDataBase
図9クラス図
図9の①から⑨まで順次説明する。
①MainForm
本システムを起動すると表示される画面である。
この画面から、物品の登録画面(ItemAddForm)画面
に移動する事が出来る。また、検索用画面
(BookSearchForm、ItemSearchForm)画面に移動する
こともできる(図10)。
9
図10
.MainForm
private void ItemAddButton_Click(object sender, EventArgs e) {
item_add_form.ShowDialog();//物品登録画面
}
private void BookButton_Click(object sender, EventArgs e) {
book_seach_form.ShowDialog();//書籍検索画面
}
private void ItemButton_Click(object sender, EventArgs e){
item_seach_form.ShowDialog();//物品検索画面
}
②ItemAddForm
物品登録画面となる(図8左)。本システムの目的でもある、バーコード番号を元にイ
ンターネットから情報を取得する機能を始めとし、手入力登録も可能である。また、万が
一インターネットから情報を取得できなかった場合に備え、バーコードストック領域右に
エラー番号ストック領域を設けている。取得できなかったバーコードはこの領域に追加さ
れる。だが、バーコード番号だけで、どの物品を表しているか分かる人は少ないと思われ
る。そこで、番号をダブルクリックすることで、ブラウザーを起動し、バーコード番号を
インターネットで検索を行った状態にする。これにより、利用者はバーコード番号が何の
物品だったのか見つけ出すことが出来る。バーコードはストックしバックグラウンドで検
索を実行するために、SearchClassはスレッドクラスにする必要がある。
Thread trd = null;//スレッドを作る
//SearchClassのコンストラクタに渡すことで、アクセス関係を結ぶ
TRD = new Search(this);
//SearchClassのRunメソッドをインスタンス
trd = new Thread(new ThreadStart(TRD.Run));
trd.IsBackground = true;
//バックグランドの実行を許可
//シングルスレッドで作成する。
trd.SetApartmentState(ApartmentState.STA);
trd.Start();//スレッドを実行
また、既に物品が登録されていて、重複しないようにバーコードをチェックしている。
ストック機能はListBoxにバーコードを追加し、SearchClassからListBoxを参照し、登
録完了後削除する事で実現している。ItemAddFormとSearchClassは別々のスレッドで動作
している。よって、通常の方法ではアクセスができない。そこで、INVOKEを使うことで可
能にした。
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public void INVOKE(int no,string DATA) {
HITDATA = DATA;
if (no == 0) Invoke(new LIST(listmove));//リスト移動
if (no == 1) Invoke(new LIST(listdel));//リストから削除
if (no == 2) Invoke(new LIST(book_data_base_add));
if (no == 3) Invoke(new LIST(item_data_base_add));
}
③BarCodeGet
バーコード番号を取得するクラスである。
バーコードリーダは、バーコード番号を取得した後、EnterKeyが自動的に入力される。よ
って、e.KeyCodeがKeys.Enterの場合、ListBoxにバーコード番号を追加する。
if (e.KeyCode == Keys.Enter){//Enterキーか判断する。
//既存かチェックする
if (BookCodeCheck(SearchBarCodeText.Text) &&
ItemCodeCheck(SearchBarCodeText.Text)) {
//バーコード取得
listBox1.Items.Add(SearchBarCodeText.Text);
}
}
④SearchClass
BarCodeGetで取得した番号をIEコンポーネントに引き渡す。コンポーネントが取得した
WebページのHTMLソースを取得し、Webパターン認識などでタイトル、著者など、必要な情
報の抽出処理を行う。抽出したデータの集計を行い、その結果、一番有力な情報をData
Baseに登録する。コンストラクタの引数ItemAddFormを設定することで、SearchClassから
ItemAddFormへのアクセス権が発生する。
ItemAddForm form;
//コンストラクタで引数をうける。
public Search(ItemAddForm form) {
this.form = form;
}
11
しかし、先ほど述べたように別スレッドからアクセスはできない。よって、INVOKE
をつかいアクセスする。
⑤IEコンポーネント
Micro Soft社が提供しているInternet Explorerの機能を利用可能にしたものである。
このコンポーネントを利用し、ネット検索やページの取得をする事ができる。取得した情
報はSearchClassに引き渡している。C#の場合WebBrowserがIEコンポーネントとなる。
//WebBorserインスタンス化
WebBrowser _webBrowser = new WebBrowser();
このWebBrowserを内部で作成することでインターネットに接続・ページ検索・HTMLソース
の取得を可能とした。
⑥BookSearchForm
登録した書籍データベースを検索する画面である(図8参照)。検索するクエリは6項
目「No」、「JAN」、「タイトル」、「著者」、「出版社」、「備考」である。
No:
データベースに登録された際の番号である。
JAN: 書籍についているバーコードで検索する。
タイトル: タイトルで検索する。ただじ、一単語認識のため、複数単語は入力できない。
例:「山田 花子」と入力した場合、「山田(半角スペース)花子」となる。
つまり、完全一致したタイトルに含まれるものしか表示されない、よって
書籍タイトルが「山田(全角スペース)花子」の場合検索外となる。
(仕様により、クエリ内でワイルドカードが使用できない)
著者:著者で検索する。タイトル同様、一単語認識で検索する。
出版社:出版社で検索する。タイトル同様、一単語認識で検索する。
備考:SearchClassで取得したデータに書籍の内容などが含まれた場合、備考として登録
されている。よって、クエリを「ファンタジー」「サスペンス」などで検索すると、それ
に見合った書籍が検索できる。
SearchDataTable = SearchDataSet.Tables[1];//検索元のテーブルをセット
DataRow[] HIT_LIST;//検索ヒット行格納配列
string OrderWords = string.Empty;//検索ワードの変数を宣言。
OrderWords = Query //クエリをOrderWordsに設定
HIT_LIST = SearchDataTable.Select(OrderWords);//テーブル検索
⑦ItemSearchForm
12
登録した物品データベースを検索する画面である(図11参照)。
BookSearchFormと同様である。
検索種類は[No]、[JAN]、[ブランド名]、[ブランド名(カ
ナ)]、[商品名]、[商品名(カナ)]、[規格]、[規格(カナ)]、
[簡易説明]である。
⑧BookDataBase
書籍情報のデータベース。取得した情報は、全て
BookDataBaseで管理されている(図12参照)。左から順に
[No]、[JAN]、[タイトル]、[著者]、[出版社]、[備考]と
図 11 物品検索画面
なり、「◆」によって区切っている。また、改行コードは「Ж」に変換することで、一件
一行としている。
図 12 BookDataBase 詳細
⑨ItemDataBase
書籍以外の物品データベース。市販されている飲料水や、お菓子、駄菓子、工具など、
JANコード申請済みの物が対象となる。取得した情報は、全てItemDataBaseで管理されてい
る(図13参照)。保存方法はBookDataBaseと同様の仕組みとなっており、保存情報は[No]、
[JAN]、[ブランド名]、[ブランド名(カナ)]、[商品名]、[商品名(カナ)]、[規格/品番]、[規
格/品番(カナ)]、[簡易説明]である。
13
図 13 ItemDataBase 詳細
第4章
検証
第1節 本アプリケーションと従来手法との比較
始めに無作為に書籍を50冊用意した。そして、本アプリケーションを使用しデータベー
スに登録した場合と、従来通り手入力でデータベースに登録した場合のそれぞれに要した
時間を計測した(図14参照)。
従来作業時間
本アプリケーション
本アプリケーション手作業時間
60
50
︵
40
︶
登
録
完
分
了
時
間
30
20
49
43
44
41
16
17
16
16
10
2
2
2
2
0
1回目
2回目
3回目
平均
検証回数
図14 本アプリケーションと従来比較
図14は検証回数の計測結果とその平均をグラフ化したものである。従来の手法では、50
冊の書籍(タイトル、著者、出版社)を入力するのに要した時間は約44分だった。本アプ
リケーションを使用した場合50冊の書籍(JAN、タイトル、著者、出版社、備考)を登録す
るのに約16分で終了した。さらに16分のうち、人間が行う作業時間は約2分で済む。この
14
ように、バーコードリーダを使用した本アプリケーションによる登録と従来の手入力によ
る登録手法とでは大きな差が生まれた。よって、本アプリケーションを使うことで、従来
よりも格段に時間短縮が可能になると言える。
第2節 問題点
本アプリケーションを利用することで多くの利点があると同時に、問題点も存在する。
一つ目は、サイトを利用する問題である。書籍の場合は「Amazon」。その他商品の場合は
「JanCodeSearch」を利用しているため、サイトの閉鎖という可能性もある。また、ホーム
ページの改装など、HTMLの形式が大幅に変更された場合正しく情報を取得できない可能性
がある。
二つ目は、Amazonデータベースに書籍を登録するのは人間であるということ。つまり、
書籍の場合シリーズ編として、長年にわたって書籍が出版される事は多々ある。
しかし、Amazonデータベースに入力する担当者が同じとは限らない。よって、タイトルの
書き方が統一されていない。
例
:
MISSING 02 呪いの物語
: MISSING 3 ③
例のようにサブタイトルまで含めるかどうか、巻数をタイトルとみなし最後に巻数を
つけるのか、数字やアルファベットの半角や全角など、それらは入力担当者や、入力日に
よって様々である。そのため、本アプリケーションではタイトルの統一が出来ない。
第3節 今後の展望
本アプリケーションを使用することにより、データベースの登録時間が従来と比べ、大
きく短縮可能であることが実証された。しかし、第4章第2節で述べたように、問題点も
存在する。よって、まずは現在固定としている検索先、つまり「Amazon」、「JanCodeSearch」
ではなく、大手検索エンジン「Google」、「Yahoo」などを使いJanコードを検索する。そ
して、ヒットしたホームページからWebパターン認識、自然言語処理などを利用し、タイト
ル、著者、出版社、内容などの抽出処理を行い、データベースに登録する。これにより、
問題点にあげたサイトの大幅な変更や閉鎖にも柔軟に対応出来る。そして、検索にヒット
さえすれば、希少な商品でも自動登録が可能である。
第5章
まとめ
本アプリケーションは書籍管理や、物品管理の手助けを目的としたアプリケーションで
ある。このアプリケーションは、データベースにデータ入力する際、バーコードリーダを
用いることで従来のシステムよりも煩雑さを無くし、入力ミス等の可能性をなくすと同時
に、データベースに入力する時間を大幅に短縮した。そして、情報源にインターネット検
索を用いることで、バーコードの規格が変更されても即座に対応することが可能となった。
15
よって、従来のパッケージデータベース費用が必要なくなり、データベースへの手入力の
手間を省くことで、個人ユーザーにも容易にデータ管理を利用できる環境を提供すること
が可能となった。
今回開発したアプリケーションはまだ問題が残っている。それは、検索先が特定のもの
であるということ。しかし、今後の発展で検索エンジンによる一括検索にすることにより、
今以上に幅広い情報取得が可能になると考えている。
本アプリケーションが発展した場合、バーコード規格の変更、廃止商品の確認などに対
し柔軟に処理を行うことが出来る。また、バーコードリーダで取得した情報を検索する作
業であるため、バーコード規格を分析する必要がない。バーコードで検索し得られた複数
のWebページにWebパターン認識や自然言語処理などの情報抽出処理を施し、商品名や企業
名などの情報を取得し、データベースに自動登録が可能となる。本アプリケーションは、
このように将来性のあるシステムである。
16
参考文献
[1]「KEYENCE」http://www.keyence.co.jp/barcode/basic/chishiki3.html
[2]「不可視バーコード技術」http://www.research.ibm.com/trl/projects/uclip/index.htm
[3]「財団法人 物流システム開発センター」 http://www.dsri.jp/jan/check_digit.htm
[4]「ISBN」http://ja.wikipedia.org/wiki/ISBN
[5]「ISSN雑誌コード」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%B1%E9%80%9A%E9%9B%91%E8%AA%8C%E3%82%B3%E3%83
%BC%E3%83%89
[6]「バーコード入門」http://www.technical.jp/handbook/chapter-2.html
[7]「日本図書コード管理センター」http://www.isbn-center.jp
謝辞
同ゼミで共に勉学に励んだ白木久憲氏に感謝します。同ゼミで共に勉学に励み、そして、
オープンキャンパスを手伝ってくれた壽慶拓哉氏に感謝します。同ゼミで共に勉学に励み、
壽慶氏と共にオープンキャンパスを頑張ってくれた角田淳也氏に感謝します。花川ゼミの
中で誰よりも一生懸命に勉学を励み、時には空回りしながらも頑張り続けた竹本学氏に感
謝します。同ゼミの長瀬和也氏に感謝します。オープンキャンパスの時、見に来てくれた
永戸好洋氏に感謝します。同ゼミの福井亮介氏に感謝します。同ゼミの村井孝行氏に感謝
します。3年で専門学校から編入してきた楠原拓磨氏に感謝致します。オープンキャンパ
スの際、準備を含め僕たちを引っ張ってくれた、原知廣氏に感謝します。学年が違うにも
関わらず、授業中に来てアドバイスなどをして下さった大学院生の野口真司氏に感謝しま
す。もちまえの明るさで、冗談を言ったりし楽しませてくれた大学院生の項坤氏に感謝し
ます。そして、プログラムの事だけに限らず、研究室の楽しい過ごし方やゲーム等を教え、
一緒に遊んでくれた尾花将輝氏に感謝します。最後に、ゼミの担当者であり、ゼミ生の面
倒を見て、さらにゼミ以外でも面倒を見て頂き、本論文作成において添削やアドバイスな
ど、数々の指導をして頂いた花川典子教授に心より感謝致します。
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