C NPO法人会計基準を採用した 決算書(財務諸表)を作成しよう! 事業費の内訳の表示の仕方は? 複数事業を実施している場合、下記のような方法でその内訳を注記することができます。 <例1 事業費の内訳を事業別に表示するパターン> 2.事業費の内訳 科 目 (1) 人件費 給料手当 臨時雇賃金 法定福利費 人件費計 (2) その他経費 売上原価 業務委託費 旅費交通費 地代家賃 減価償却費 その他経費計 事業費計 事業費の区分は以下の通りです A事業 B事業 1,500,000 1,800,000 150,000 1,650,000 200,000 2,000,000 300,000 50,000 450,000 50,000 850,000 2,500,000 (単位:円) C事業 1,500,000 3,300,000 1,500,000 350,000 5,150,000 800,000 70,000 450,000 50,000 1,370,000 2,870,000 300,000 1,000,000 150,000 1,350,000 150,000 2,950,000 8,100,000 1,500,000 200,000 30,000 450,000 50,000 730,000 2,730,000 扌-扌 事業費計 ⑩活動計算書は形態別 のこの縦の列の数字を記 載します。減価償却費を 含むものになります。 C C事業 扌 --------扌 扌--扌 科 目 Ⅰ 経常収益 1. 受取会費 2. 受取寄付金 3. 事業収益 4. その他収益 経常収益計 Ⅱ 経常費用 (1) 人件費 役員報酬 給料手当 臨時雇賃金 法定福利費 人件費計 (2) その他経費 売上原価 業務委託費 旅費交通費 地代家賃 減価償却費 消耗品費 支払手数料 雑費 その他経費計 経常費用計 当期経常増減額 事業別損益の状況は以下の通りです (単位:円) A事業 B事業 2,500,000 200,000 1,900,000 2,900,000 200,000 7,300,000 2,500,000 2,100,000 2,900,000 7,500,000 1,500,000 1,800,000 150,000 1,650,000 200,000 2,000,000 1,500,000 1,500,000 300,000 200,000 800,000 50,000 30,000 70,000 450,000 450,000 450,000 ⑪活動計算書では、この最後の経常増減額(経常外 50,000 50,000 50,000 がない場合は当期正味財産増減額)が、活動計算書 のそれと一致します。 850,000 2,500,000 0 730,000 2,730,000 △ 630,000 1,370,000 2,870,000 30,000 事業部門計 3,300,000 1,500,000 350,000 5,150,000 300,000 1,000,000 150,000 1,350,000 150,000 管理部門 1,000,000 300,000 50,000 1,350,000 600,000 2,950,000 8,100,000 △ 600,000 合計 1,000,000 500,000 7,300,000 50,000 8,850,000 600,000 600,000 3,300,000 1,500,000 350,000 5,750,000 450,000 50,000 60,000 100,000 50,000 710,000 1,310,000 40,000 300,000 1,000,000 150,000 1,800,000 200,000 60,000 100,000 50,000 3,660,000 9,410,000 △ 560,000 扌-----扌 ボランティアや無償の施設の提供などの計上ってどうするの 無償又は著しく低い価格で物的サービスの提供を受けた場合は、従来通り会計的には認識しないことを原則とし、合理的にその金 額を算定できる場合、その事実を注記するということにしました。 その金額を外部資料等により客観的に明確にできる場合には、活動計算書に計上することができることになりました。これは、NPO 法人の真実のコストを表示すること、援助を受け取ったという事実を表示することなどの理由から、具体的には、活動計算書に「施 設提供等評価益」を計上するとともに、同額の費用を「施設提供等評価費用」として計上するという方法を取ることができるもので す。詳しくは、下記ホームページの報告書をダウンロードし詳しい方法をご参照ください。 当パンフレットは、NPO法人会計基準の主なポイントのみ示したものです。詳細は、 「みんなで使おう!NPO法人会計基準」の専用ページをご覧ください。 基準の本文や具体的な財務諸表の記載方法などを解説したツールをダウンロードすることができます。 会の信頼にこたえうるような正確な会計報告であること、を実現しようと策定されました。NPO法人会計基準は法律 ではありませんが、市民からの支援や共感を得て、その社会的信頼を高めるためにも、一定の指針に則ったNPO法人 としての決算書を作成することが重要です。NPO法人会計基準のポイントはどういった点があるかを見てみましょう。 <例2 収益も含めて、事業別及び管理部門別に損益の状況を表示するパターン> 2.事業別損益の状況 NPO法人会計基準は、NPO法人の決算書(財務諸表)が(1)市民にとってわかりやすい会計報告であること、 (2)社 ⑨活動計算書は、形態別 のこの縦の列の数字を記 載します。減価償却費も含 むものになります。 http://www.npokaikeikijun.jp/ A NPO法人の基本的な財務諸表は、 「活動計算書」 、 「貸借対照表」 、 「財産目録」です。 これまで収支計算書を作成してきたNPO法人は、活動計算書に変更していくこ とになります。 ➡ P2・3へ ポイント 1 「収支計算書」が「活動計算書」に変更になりました。 NPO法の改正により、 「活動計算書」は、発生主義を前提とした簿記から導き出される計算書(損益計算書的なフローの計算書)です。当該事業年度の 収益、費用及び損失が発生した時点で計上します。この点、 これまでの「収支計算書」 とは概念が違いますので、 ご注意ください。 ポイント 2 「管理費」に分け、さらに「人件費」 「その他経費」に分けます。 費用部分は「事業費」 費用部分は、 まず「事業費」 「管理費」に分け、それぞれを「人件費」 「その他経費」に分けることを原則とします。 B 「活動計算書」の補足資料として、また、財務諸表を構成する要素としても、 「注 記」で計上基準等を示すことが重要です。この注記は補足文書ですが、財務諸表 の軸をなす大事な部分です。 ➡ P2・3へ ポイント 3 「注記」を活動計算書に続けて書きます。 注記は、それぞれの計上の基準として何を採用したかなどを示す、大事な補足文書です。財務諸表中に必ず記載しなければなら ない「財務諸表と一体のもの」と位置付けられています。 ポイント 4 NPO法人によくある使途に制約のある寄付や補助・助成金の記述が必要です。 NPO法人によくある使途に制約のある寄附や、補助・助成金の使用額などを記載する必要があります。使途に そ の注記の中で、 制約のある寄附の場合は、その使途ごとに寄付金等の受入額、減少額、次期繰越額などを注記することが原則となっています。 C 事業が複数ある場合の事業別やボランティアの計上などは、注記等で示すことが できます。 ➡ P4へ ※「できる」ということなので、必ず計上しなければならないわけではありません。 ポイント 5 複数の事業を行っている場合、事業ごとの収益・費用等を示す事業別を注記することができます。 複数事業を行っている場合は、事業費と管理費の2区分だけでなく、事業費をさらにA事業費、 B事業費というように分類し、さら に按分比率を用いて配分したものを、注記にて示すことができます。 ポイント 6 無償の施設提供やボランティアの量的価値を示したい場合、注記や計算書に計上することができます。 〇合理的に金額を算定できる場合には、注記ができます。 〇その金額を外部資料等により客観的に把握できるのであれば、活動計算書に計上することができます。 製作 :(社福) 大阪ボランティア協会 〒553-0006 大阪府大阪市福島区吉野 4-29-20 大阪 NPO プラザ 100 号 URL http//www.osakavol.org ※本冊子は、大阪府新しい公共支援事業により作成したものです。 4 ■ 1 ■ A 収支計算書から活動計算書への変更時に留意したいポイント NPO法人会計基準をもとにした活動計算書を作成するには、主に以下のような点が変わります。 扌------------------ (名称) ×××× 収支計算書 ××年××月××日から××年××月××日まで 科 目 B 金 額 300,000 700,000 1,000,000 2,500,000 1,900,000 2,900,000 7,300,000 ①「収支計算書」というタイトルを「活動計 算書」とします。 ②「○○収入」という科目はできる限り基準 の別表の言葉に置き換えます。しかし「雑 収入」という科目は一般的なのでそのまま でもかまいません。費用の方で「○○支出」 と書いていた場合も同じように考えます。 500,000 1,000 9,000 40,000 2,450,000 2,680,000 2,820,000 600,000 60,000 450,000 100,000 50,000 50,000 8,850,000 ④費用部分は、まず、事業費と管理費に 分け、さらに、 「人件費」と「その他の経 費」に分けて形態別に表示します。○○ 事業費などの事業別開示は「注記」で示 します 7,950,000 1,260,000 1,800,000 1,800,000 1,700,000 1,700,000 ③大科目や中科目の配列は、できるかぎり基 準の様式に合わせます。「事業収入」は「事 業収益」に変え、内訳は、○○事業収益に します。 扌扌 (経常収支の部) Ⅰ 経常収入の部 1. 会費入会金収入 正会員会費収入 賛助会員会費収入 2. 事業収入 ○○事業収入 △△事業収入 □□事業収入 3. 寄付金収入 寄付金収入 4. その他収入 受取利息 為替差益 雑収入 経常収入合計 Ⅱ 経常支出の部 1. 事業費 ○○事業支出 △△事業支出 □□事業支出 2. 管理費 役員報酬 消耗品費 地代家賃 支払手数料 雑費 経常支出合計 経常収支差額 Ⅲ その他資金収入の部 長期借入金収入 その他資金収入合計 Ⅳ その他資金支出の部 車両運搬具購入支出 その他資金支出合計 当期収支差額 前期繰越収支差額 次期繰越収支差額 (正味財産増減計算の部) Ⅴ 正味財産増加の部 1. 資産増加額 車両運搬具増加額 2. 負債減少額 増加額合計 Ⅵ 正味財産減少の部 1. 資産減少額 当期収支差額(再掲) 減価償却額 2. 負債増加額 長期借入金増加額 減少額合計 当期正味財産増減額 前期繰越正味財産額 次期繰越正味財産額 (単位:円) 9,210,000 △ 360,000 1,800,000 1,700,000 △ 260,000 2,610,000 2,350,000 1,700,000 -扌 扌1,700,000 260,000 200,000 1,800,000 2,260,000 △ 560,000 3,260,000 2,700,000 ⑤管理費も「人件費」と「その他の経費」 に分けて、形態別に表示します。 ⑥その他資金収支の部と正味財産増減計算 の部は不要になります(ただし、⑦を参照) ⑦従来の正味財産増減計算の部にあった減 価償却費などの一部の科目は、事業費と管 理費に分けて計上します。 ⑧最終の当期正味財産増減額以下の数 字は変わりません。この最後の次期繰越 正味財産額が貸借対照表の正味財産と 一致します(この一致が簿記的には重要 です!)。 「財務諸表の注記」って?? 財務諸表が、 どのような方針でもって記載されているかを示すものとして、 「 注記」は大変重要です。NPO法人会計基準では、注記 は財務諸表の中に必ず記載しなければならなものということで、 「 財務諸表と一体のもの」と位置付けられています。注記は、重要 な会計方針やその方針の変更点がある場合はその補足、また事業別の内訳や使途が制約された寄付金等の内訳など、 どういった 基準や方針の採用によって財務諸表が作られているかが、第三者が読んでも理解しやすいように解説するものです。 2 ■ (名称) ×××× 扌---------------------------------扌 活動計算書 ××年××月××日から××年××月××日まで 科 目 扌------------扌 -扌 ---扌-----------扌 Ⅰ 経常収益 1. 受取会費 正会員受取会費 賛助会員受取会費 2. 受取寄付金 受取寄付金 3. 事業収益 自主事業収益 受託事業収益 4. その他収入 受取利息 為替差益 雑収入 経常収益計 Ⅱ 経常費用 1. 事業費 (1)人件費 給料手当 臨時雇賃金 法定福利費 人件費計 (2)その他経費 売上原価 業務委託費 旅費交通費 地代家賃 減価償却費 その他経費計 事業費計 2. 管理費 (1)人件費 役員報酬 人件費計 (2)その他経費 消耗品費 地代家賃 減価償却費 支払手数料 雑費 その他経費計 管理費計 経常費用計 当期正味財産増減額 前期繰越正味財産額 次期繰越正味財産額 (単位:円) 金 額 300,000 700,000 1,000,000 500,000 3,200,000 4,100,000 7,300,000 1,000 9,000 40,000 50,000 8,850,000 3,300,000 1,500,000 350,000 5,150,000 300,000 1,000,000 150,000 1,350,000 150,000 2,950,000 -扌 -----扌 --- ------ - ---------扌 扌 扌 -財 務 諸 -扌 8,100,000 600,000 600,000 60,000 450,000 50,000 100,000 50,000 710,000 表 1. 重要な会計方針 財務諸表の作成は、 NPO法人会計基準(2010年7月20 日、2011年11月20日一部改正 NPO法人会計基準 協議会) によっています。 (1)固定資産の減価償却の方法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ (2)施設の提供を受けた場合の計上方法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2. 会計方針の変更 3. 事業別の内訳 事業費の区分は以下の通りです。 1,310,000 の 注 9,410,000 △ 560,000 3,260,000 2,700,000 記 (例) 4. 活動原価算定にあたってのボランティアの計上の方法 5. 使途が制約された寄付金等の内訳 6. 固定資産の増減の内訳 7. 借入金の増減内容の内訳 8. 役員およびその近親者との増減内容 「財務諸表の注記」は、活動計算書の末 尾に、方針や変更点、補足データを書き 込みます。様々な規模や種類の計算書 類が何を基準にして計上されているか、 外部の方が財務諸表を理解するために も重要な記載事項です。 3 ■
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