学校教育におけるインターネット利用の考察 - Sophia University Private

学校教育におけるインターネット利用の考察
−情報教育の幕開け−
A9619021
久保田晃
目次
はじめに
第1章
今、時代はインターネット
第1節
いつでもどこでもインターネット
(1)日本のインターネット普及状況
(2)携帯電話によるインターネット利用
第2節
学校にもインターネットがやってきた
参考資料
第2章
動き出した情報教育
第1節
なぜ、学校でインターネット
(1)「生きる力」を育てる
(2)「生きる力」と情報教育
第2節
情報教育の実践
参考資料
第3章
混迷する情報教育
第1節
情報教育の問題点
(1)インターネットに頼り過ぎる授業
(2)教師の個性
(3)リアルとバーチャルのシンクロ
(4)誰でも参加できるインターネット
第2節
情報教育の抱える矛盾
第4章
学校インターネット利用の行方
第1節
E スクール構想
(1)アメリカの E スクール
(2)日本版 E スクールの可能性
第2節
さらなるインターネット利用のために
おわりに
参考文献
はじめに
待ちに待ったシドニーオリンピック。サッカー日本代表は前評判通りの
活躍で、予選を突破。是が非でも見たかったアメリカ戦だったが、日本中
が盛り上がっている時間、むなしく塾のアルバイトをして過ごしていた。
途中経過が気になるが、テレビもラジオもない。すると勉強をしていたは
ずの高校生が、「柳沢が先取点だってさ!」と報告してくる。「なんで知っ
ているんだ」と尋ねると、「iモードで調べたんだよ」と答えた。23 歳の
私がいまだにモノクロ液晶の携帯電話を使っているというのに、高校生で
さえiモードを持っているとは。すでに携帯一つでどんな情報でも取り出
せる世の中になったらしい。
私が子どもの時と今の子どもたちの周囲にあるメディア環境は随分変
わってきている。もっとも大きな違いといえば、このiモードを含めたイ
ンターネットというニューメディアが登場したことだ。私などは大学に入
学して初めてパソコンに触れた。E‐mail 一つを送るのにも四苦八苦した
のは、周りの友達もほとんどがパソコン初心者で、教えてくれる人が誰も
いなかったからだ。中には E‐mail アドレスを持っているにもかかわらず、
就職活動の時期まで操作方法を覚えようとしなかった友達もいた。それに
対して、今は携帯電話によるネットの利用も可能になったことで、大多数
の子どもがすでに何らかの形でこのニューメディアに触れる機会を持っ
ている。
このように大きく変化したメディア環境は、学校教育にも影響を与えて
いる。学校教育におけるメディア利用として、ひと昔前まではテレビ、と
くにNHK教育テレビの番組を授業中に見ていたことが思い出される。
しかし今やパソコンはほとんどの小学校から高等学校で普及されてお
り、インターネット接続にいたっても急激な増加傾向が見られる。さらに
文部省は、小学校では「総合的な学習時間」の中で、中学校では「技術・
家庭科」の時間に「情報とコンピュータ」としてコンピュータを学ばせ、
高等学校では新たに設置した「情報」の時間を必修をすることに決めた。
また、その他の教科内でもできるだけインターネットを利用するように進
めている。このような情報教育を受けてくれば、私たちのようにコンピュ
ータの前で右往左往することも少なくなるだろうし、そんな授業があれば
是非受けてみたかったと思う。
確かに世の中には IT 革命の波が押し寄せてきており、その対応も必要
とされている。学校教育の中で必要とされてくるのも自然の成り行きだろ
う。ただ、今政府、文部省が「教育改革国民会議」をはじめ、様々な場所
で声高々に推進しているインターネットを使った情報教育をいうものが、
我々の目からは非常にわかりにくいもので、実際にどういうことをし、本
当に役に立つのかということが見えてこない。
漠然と必要だと考えられているインターネットを使った情報教育が、ど
のように行われていくべきか。本論の目的は、これについて考察していこ
うというものである。
第 1 章では、インターネットメディア自体がどの程度普及されているの
かを、世界と日本を比較しながら調査する。第 2 章では、情報教育が始ま
るきっかけとなった経緯について、「生きる力」をキーワードに考える。
そしてその考えをもとに、様々な書籍や HP の閲覧から、実際に行われて
いる情報教育について、スッテプ 1 からステップ 5 というように段階分け
をして示している。第 3 章では、情報教育の問題点を指摘し、現時点にお
いて情報教育の改善すべき点を探る。
最後の第 4 章では、第 3 章までの考察と、アメリカの状況や日本の特殊
な型の学校を参照にしながら、将来的にインターネットが学校教育におい
てどのような役割を演じていくのかを論じる。
参考文献
《書籍》
市川克己『これが“ 21 世紀の学力”だ! −メディアリテラシーの提言−』
明治図書、1999 年
伊藤正則『アメリカとヨーロッパの教育改革から学ぶ』明治図書、1995
年
浦野東洋一・坂田仰『入門 日本の教育』ダイヤモンド社、1997 年
大隅紀和・宮田仁『インターネットと教育』黎明書房、1997 年
加藤幸次・石坂和夫 編著『情報教育をめざした総合学習』黎明書房、2000
年
加藤潤『マルチメディアと教育』玉川大学出版部、1999 年
香取淳子『若者とメディア』リベルタ出版、1990 年
喜多村和之『アメリカの教育』弘文堂、1992 年
情報教育学研究会・情報倫理教育研究グループ編『インターネットの光と
影』北大路書房、 2000 年
白鳥元雄・高桑原雄『メディアと教育』大蔵省印刷局、1999 年
鈴木敏恵『ネットデイで学校革命』学事出版、2000 年
高島秀之『教育とデジタル革命』有斐閣選書、1997 年
高橋勲『パソコンで授業が驚くほど変わる』明治図書、1999 年
中川一史『ネットワークと教育』東洋館出版社、2000 年
中村祐治・市川道和・大里治泰 編『中学校 情報教育Q&A』教育出版、1999
年
日本インターネット協会編『インターネット白書 2000 』インプレス、2000
年
日野公三『インターネット教育革命』PHP 研究所、1999 年
水越敏行・佐伯胖 編著『変わるメディアと教育のありかた』ミネルヴァ
書房、1996 年
三宅なほみ『インターネットの子どもたち』岩波書店、1997 年
無藤隆 『テレビと子どもの発達』東京大学出版会、1987 年
村上温夫『ITでめざせ、教育革命』新曜社、2000 年
村端五郎『インターネットが開く新しい教育』明治図書、1996 年
山田冨士雄・子安増生『ニューメディア時代の子どもたち』ゆうひかく選
書、1994 年
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坂本昂「教育改革に貢献する情報通信」
、
『情報通信学会誌』第 60 号、1999
年
佐野博彦・齋藤健作「メディア利用が進む学校現場−平成 10 年度学校放送
利用状況調査から−」、『放送研究と調査』1999 年 4 月号
鈴木敏恵「それは、新しい絆−ネットワークが、未来教育を開く!−」
、
『情
報通信学会誌』第 60 号、1999 年
《雑誌・ムック》
学習研究社『学校インターネットはじめの一歩』
《辞典》
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《その他の資料》
文部省『コンピュータ・インターネットを使おう』1999 年
文部省『新しい学習指導要領で教育は変わります。』2000 年
株式会社ナガセ『東進DJスクール提案書』1996 年