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接着剤 - 日本中毒情報センター

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公益財団法人 日本中毒情報センター 保健師・薬剤師・看護師向け中毒情報
【接着剤】Ver.1.01
公益財団法人 日本中毒情報センター
保健師・薬剤師・看護師向け中毒情報
接着剤
1.概要
使用目的に応じて多種類の接着剤がある。接着剤はセルロース、合成樹脂
(酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂等)、合成ゴム(スチレンブタジエンゴム等)と
溶剤(水、有機溶剤)からなり、成分、含有量は用途により異なる。
金属・ガラス・陶磁器等に用いる接着剤で、2 剤(A 剤、B 剤)式のものには、
エポキシ樹脂系接着剤があり、その硬化剤は接着剤と比べて刺激性が強いため注意
が必要である。A 剤の主成分はエポキシ樹脂(25~100%)、B 剤はポリアミドや
ポリチオール等のアミド系の硬化剤(15~100%)である。業務用の商品では
有機溶剤(15~20%)を含有するものもある。
瞬間接着剤(シアノアクリレート系接着剤)は、成分のほとんどがアルキル
α-シアノアクリレートモノマーである。
2.毒性
エポキシ樹脂系接着剤以外では合成ゴムや合成樹脂の毒性が低いため、主
として中毒は有機溶剤によると考えられる。また、エポキシ樹脂系接着
剤では硬化剤(B 剤)の刺激性が問題となる
瞬間接着剤は、粘膜、皮膚、眼瞼等が付着する以外の毒性はほとんどなし
有機溶剤
酢酸エチル:ヒト吸入最小中毒濃度 400ppm
6)
ラット経口 LD50 5,620mg/kg
6)
アセトン :ヒト経口推定致死量 50~75mL
1)
ヒト最小中毒量 2,857mg/kg
6)
エタノール:ヒト経口推定致死量 成人 5~6g/kg
1)
(比重から換算して 6.3~7.6mL/kg)
シクロヘキサン:マウス経口 LD50 813mg/kg
ラット経口 LD50 12,705mg/kg
6)
合成樹脂
経口毒性は種類により異なるが比較的低い
エポキシ樹脂:ラット経口 LD50 5~15g/kg
8)
酢酸ビニル樹脂:ラット経口 LD50 25g/kg 以上
6)
硬化剤
皮膚・粘膜に対する刺激性が問題となる
(長時間接触した場合や、硬化剤の種類により強い刺激性を示すもの
がある)
1)
3.症状
有機溶剤
1)
粘膜刺激:悪心、嘔吐、咳嗽、嗄声、流涙、皮膚炎
中枢神経症状:頭痛、めまい、酩酊、興奮、意識障害、呼吸抑制
硬化剤
皮膚・粘膜の刺激による症状
経口:口腔、咽頭、食道の疼痛と炎症
皮膚:長時間接触した場合化学熱傷、紅斑、疼痛など
瞬間接着剤
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【接着剤】Ver.1.01
経口:すぐに口の中や舌に付着して灰白色の斑点を生じる。咽頭や
食道が付着することはほとんどない
1)
4.処置
家庭で可能な処置
1)
経口:有機溶剤含有接着剤:催吐禁忌
硬化剤:アルカリのため口腔内洗浄、希釈(牛乳、卵白などを与える)
吸入:新鮮な空気を吸わせる
眼 :流水で 15 分以上洗浄
皮膚:付着部分を温かい石鹸水に長く浸す
医療機関での処置
1)
有機溶剤含有接着剤
催吐は禁忌
対症療法(呼吸・循環管理が中心)
強制過換気
(とくに 50%近くが未変化体で呼気中排泄されるケトン類に有効)
硬化剤
アルカリに準じた処置
瞬間接着剤
通常、経口の場合、処置は不要
5.確認事項
1)商品名、成分:接着剤は家庭用品品質表示法により有機溶剤の成分・毒性な
どを表示することになっているので、容器に記載されている成分を確認 3)
また 2 剤式商品の場合、原因物質が A 剤・B 剤・混合したものいずれかを
確認すること
2)摂取量:なめた程度か、チューブを押して飲み込んだのか
3)患者の状態:嘔吐や口腔内灼熱感の有無。誤嚥して咳をしていないかなど
6.情報提供時の要点
1)アセトン含有の接着剤を体重 1kg あたり 0.2g 以上摂取した場合、すぐに
受診を指示。その他の接着剤を体重 1kg あたり 1g 以上摂取した場合、
すぐに受診を指示
3)
2)瞬間接着剤を服用した場合、灰白色の斑点は自然にとれるので、そのまま
様子をみる
1)
3)エポキシ樹脂系接着剤の場合、他の接着剤より刺激性が強いため注意が必要
4)吸入した場合、様子をみて症状があるときは受診を指示。
吸入嗜癖の場合、慢性中毒による健康障害(脳萎縮、妄想、幻覚など)
について注意し、家庭や友人等を含めた周囲の協力により吸入を止め
るよう強力に指導するのが望ましい
5)眼に入った場合、洗浄後も疼痛、腫脹、流涙、羞明などの症状がある
ときは受診を指示
7.体内動態
有機溶剤は、経口や吸入により容易に吸収されて中毒症状を発現するが、
イソプロピルアルコールなどは経皮吸収もあり
1)
瞬間接着剤の接着作用は、空気、圧力、わずかな水分にふれると直ちに起
こる。経口の場合も付着以外に中毒を生じることはない
1)
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【接着剤】Ver.1.01
8.中毒学的薬理作用
有機溶剤含有の接着剤:有機溶剤による粘膜刺激作用と中枢神経抑制作用
硬化剤:接触した皮膚・粘膜刺激作用
長時間接触した場合、硬化剤による皮膚・粘膜腐食作用
(とくにポリアミン硬化剤は pH13~14 と強アルカリで組織腐食性が
ある)
9.治療上の注意点
有機溶剤含有の場合、以下のことに注意
1)
1) 催吐は誤嚥により化学性肺炎を発症するため禁忌
2) カテコールアミンの投与は不整脈誘発のおそれがあるため要注意
11.参考文献
1)Poisindex(1997)
2)急性中毒情報ファイル(1988)
3)新・絵で見る中毒 110 番(1992)
4)Clinical Toxicology of Commercial Products(1984)
5)産業中毒便覧(1981)
6)RTECS(1997)
7)家庭用化学薬品の知識 (1982)
8)エポキシ樹脂技術協議会:エポキシ樹脂・硬化剤、正しい取扱いの手引き関係
法令、増補再改訂版(1989)
12.作成日
19900215 Ver.1.00
20081008 Ver.1.01
ID M70150_0101_2
新規作成
部分改訂
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