2006年2月 日 殿 高知県医療労働組合連合会 執行委員長 細川 初志 新たな労使関係構築に関する申し入れ書 国民医療を守り改善するための貴職の努力に敬意を表します。 さて、2006年は医療制度改革、医療、介護報酬の同時改定などが目白押しです。 とりわけ、診療報酬の改定による医療提供体制の縮小再編の流れは、高知県のような中小病院、療養病 床の比率の高い県には、深刻な影響を与えるものと思われます。急性期型と在宅を両極にして、中抜き現 象が生じ、それを有料老人ホームで埋めるというような将来像さえ予測されます。 また、自治体立病院、年金病院などをはじめとする国公立公的医療機関の再編・民間売却・廃止問題も 深刻です。 これらは、小泉内閣の「構造改革」路線により加速させられて来た訳ですが、耐震偽装、ライブドア問題 等いわゆる四点セット問題で、安全・安心への公的責任のあり方が再認識され、規制緩和路線の見直し、 社会的規制の必要性、企業の社会的責任(CSR)の発揮等の論議が国民的関心事になろうとしています。 このような社会的な状況の中で、労使関係のあり方も新たな形態へのパラダイムシフトが求められている のではないかと考えます。 それは、従来の対立型の労使関係から、企業の理念、社会的な使命の実現を核にした、「多様な利害関 係者の一員としての労使関係」とでもいうべきものへの転換ではないでしょうか。 当然、企業の社会的な責任の中身としては、安全、安心は勿論、重要な利害関係者である従業員の雇 用、賃金労働条件の適正な保障も含まれます。 厳しい情勢においては、経営者格差(企業の資本力だけではない経営者の理念の深さによる)により、 企業の将来が左右されるといわれます。それは、パートナーとしての労働組合にも当てはまるものです。 このような背景認識に基づき、以下新たな労使関係の構築に向けての要求・提案をするものです。 よろしくお願いいたします。 -1- 記 【情報開示等透明な病院運営について】 以下の情報提供を検討いただきたい。 1.年間の決算書の組合への提示と説明。予算(案)の組合への提示と意見聴取、意見反映。 2.重要な投資、事業計画(変更含む)の事前の労使協議。 3.月次、四半期の経営資料の提示。 【労使協議の制度化について】 団体交渉とは別に、1月ないし2月に1回程度の労使協議を開催していただきたい。 団体交渉は、労働3権を背景とした対立的関係の枠組みをどうしても持つものであり、医療情勢やその 中での病院の将来方向、現局面での対応などの論議は、対等かつ信頼に裏打ちされた別テーブルが必 要であると考えます。 構成メンバー、議題、開催手続き等を労働協約に盛り込み、制度化していただきたい。 【信頼に裏打ちされた労使関係の構築について】 労働組合の結成とそれへの加入は、憲法、労働組合法で保障された権利であることは言うに及びません。 その侵害は、「不当労働行為」として労働組合法で厳に禁止されています。 しかし、残念ながら採用時における組合加入への牽制、組合敵視の発言などが、疑われるケースが生じ ています。それは、必ずしも故意だけでなく、法的知識の不十分さから生じる場合もあると推測されます。 労使の信頼関係を崩すような不正常で不幸な事態が生じないよう、再度、関係者への教育、指導をお願 いします。 信頼に裏打ちされた労使関係の構築は、厳しい時代を乗り切っていくための新たな労使関係の初歩的 前提です。しかし、ゆるがせにできない前提です。そういう自覚の下に対応をお願いします。 【労働組合活動について】 1.新入職員のオリエンテーションの際に組合の説明会の時間を設けていただきたい。 2.単組支部執行委員会出席の組合員の残業をなくすよう配慮をいただきたい。 (以 上) -2-
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