復活節第 5 主日の説教金大烈神父 2010 年 5 月 2 日（日）《イエス様が見せて下さった涙を見習いましょう》おはようございます。自分のことを考えてみて涙が多いほうだと思いますか？それとも泣かないほうでしょうか？よく泣く人もいるし、ちょっと涙を出して欲しいのに涙が全然出ない人もいると思います。その原因はなんでしょうか。どういう条件である人はよく涙を流す、ある人は冷たく感じられるくらいに涙が出ない。涙にも種類があります。違う価値を持っている涙があります。聖書をよくご覧になるとイエス様が涙された光景がよく表れている箇所がけっこうあります。愛したラザロが死んだという便りを受け取り、その墓地の前で大きく泣いたと聖書に書かれています。小さくされた人々の前でもいつも心を痛めて涙していました。さあ泣くのにも子供っぽい泣き方と望ましい泣き方の二種類があると思います。子供っぽい泣き方はわがままや痛み、自分の欲が満たされないとき悔しくて涙を出す、熟されていない泣き方だと思います。また望ましい泣き方、他の人も泣かせる感動的な泣き方があります。他の人の痛みを感じて、その姿を見た途端に泣こうとしなくて泣いてしまう。それがイエス様が見せて下さった涙です。私は子供のときに悪い教育を受けました。それは「男の子なら人生で三回だけ泣きなさい」というもので、一回目は親が死んだとき、二回目は友が死んだとき、三回目は国が亡んだとき、それ以外は泣いてはいけないと幼稚園のときから強く教育されました。そのせいで性格がきつくなったかもしれません。しかし人間は心を持っています。その心が動かされたら泣くところでは泣く、笑うところでは笑う、喜ばなければならないところでは必ずうれしいと思う。それが人間の自然な感情だと思います。泣くのを恥ずかしく思わないで、泣かないことに心痛めて下さい。何かのために泣く心、それは生きているしるしです。かがみ最近と言えるでしょうか、十年前に作られた言葉があります。それは「鏡神経細胞」という言葉です。鏡神経細胞ってどういうものでしょう？それが本当にあるか、学者たちにもいろいろな違う意見があり、本物か本物じゃないか、もしあるとしたらその機能や役割はなにか・・・いろいろな説があります。その鏡神経細胞の意味はすべての人は脳の中に鏡のような細胞を持っているんだそうです。自分の振る舞いや動きとか、相手のふるまいや動きをすぐその鏡細胞に映し、そして見習う可能性もあるし、その人を読み取ることもできるんだそうです。私たちは口で騙します。しかし、無口な人でもその人がやさしい心を持っているかどうか、自分のことを好きかどうかすぐ無意識に感じられるんだそうです。商売する人はしょうがなくて優しい顔をしながら「はい、いらっしゃいませ。何にいたしましょうか？」「いかがですか？」「ご注文を確認させていただきます。」などと言いますね。これは商売で親切にしていることを私たちは知っています。親切でない顔をしながらもその人の心は情け深 1 いこと、無口で笑顔を見せなくてもその人が優しい心を持っているかわかることがありますよね。うちの教会にもそういう人がいます。そのように私たちの脳にはそれがわかる鏡神経細胞というのがあるそうです。結局私たちの関わりは心から始まらなければならない。表面的にもいろいろなことが必要です。善意さも親切さも必要です。しかし、その親切、柔らかさが心から与えられたものでなかったら逆の影響を映すかも知れません。今日、イエス様が「愛し合いなさい。互いに愛し合うならば、それによってあなたがたが私の弟子であることを、皆が知るようになる。」とおっしゃいました。心で愛して下さい。涙を流すときはわざわざ涙して下さい。ドラマを見ながら泣くのを恥ずかしがらないで下さい。涙を流している人を見たら一緒に私も涙を流すべきだと感じて下さい。だんだん涙が足りない社会、いやいらない涙ばかり流す社会になっているんじゃないかと思います。必要な涙、美しいものを見て涙を出して下さい。人を癒す心で生きることができれば、癒されるより癒そうとする私、私たちがもっと幸せになるという神様の法則を信じましょう。最後に、堅信の秘蹟を受ける準備をしている方に申し上げます。ミサ後、堅信式のリハーサルを行いますが、堅信の秘蹟を受けるのに一番必要な姿勢はなんでしょうか？今までは受身でしたがこれからは・・・受身の反対はなんですか？受動態の反対は能動態ですね。難しい言葉でしょうか？この言葉がわからない方は英語の勉強をあまりしなかった方ですよね。（笑い）洗礼はある意味で消極性を持ちます。しかし、堅信は積極性、私から願うことです。強く願う積極性を必要とします。神様の子供になったのが洗礼なら、私は神様のために動きますという決心をだすのが堅信です。この堅信によって七つの恵みが与えられると教会は教えています。その恵みが本物になるためには何より自分の意識が必要であることを心に留めて下さい。ありがとうございました。 2