最速・最短で中学受験に合格する方法を探る

■中学受験/慶應進学セミナー
■2011年○月○日
最速・最短で中学受験に合格する方法を探る
contents
1
□
中学受験 Q&A ……1~12
2
□
子どもが親に期待すること …… 13
3
□
子どもが感謝するアドバイス …… 14~19
~ メタ認知からみたアドバイス法
4
□
学習の枠組み …… 20
5
□
願書提出・試し受験 …… 21~22
■慶應進学館/中学進学館 日吉校
■神奈川県横浜市港北区日吉本町 1-21-10
三陽ビル 4 階
☎045-566-3550
-1-
1
□
中学受験 Q&A
「最終的に結果さえ残せればよい。」で始まる中学受験
*小学 5 年生から入ると大変だから、小 3~4 年生から入塾させる。
*小 6 の志望校選択にあたり、上位校の学校見学に行き、その中から志望校を選んでもらいたいと願った。目標が
低いと手を抜いて、その目標すら達成できないと思った。
*志望校は決まったが、子どものやる気や自覚が今ひとつだと感じられる。両親が共働きなのに、言われないと勉
強しない。でも、本気になればもっと成績は上がると信じていた。
*4 月の段階では、親も子どももまだ楽観的でいられる。
*テストの成績が急降下。でも、地道に頑張れば挽回できる、と信じていた。
*塾の長時間の授業を嫌がる子どもが、自覚がないように思えた。でも、やれば、そこそこの成績を収めてくる。家
だとこんなにも長時間、集中して勉強することはできないので、参加させることで自信を持たせることがでるので
はないかと考えた。
*得意の理科が、基本問題含め×の嵐、それなのに欄外に凝ったイラスト。本人いわく、「できなくなっていたのは把
握していたけど、そのうち戻るか、と」(自然体で戻るか!)。
“やる気”に支配されると“可愛さ余って憎さ百倍”
<親・先生のやる気の正体>
<子どものやる気の正体>
☑他人を管理したいという欲望
ドライで弱肉強食の「結果主義」より、出そうと思
☑自分の面子・体面・意地・自己実現
えば出せる「努力主義(やる気主義)」になびく。
「やるべきことを増やす」「やる気を出させたい」
☑やる気をアピールする(子どもは親や先生のや
(行過ぎた管理)→→→→→→→
る
気のパフォーマンスの犠牲になっている!?)
☑「何か頑張る」が自己目的化、無限地獄化
管理の効果は即効性がある
冷静な判断が実を救う!?
今 10 万円もらうのと、1 ヶ月後に 11 万円もらうのとでは
弊害もゆっくり現れる
どちらを選びますか。それとも、1 ヶ月後に 10 万円もらう
のと、2 ヵ月後に 11 万円もらうのとでは、どちらを選びます
か。冷静に判断すると、どちらも 11 万円もらえるはずです
☑「やる気」のアピールは不要
が・・・。
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「最終的に結果を残せないことは非難できないが、今努力しないことは非
難すべきである。」で悩む中盤戦
▸塾は必要。だけどこのままでいいの・・・――――――――――――――――――――
*授業のたびに教材が配られて、こなしきれない。優秀な子どもに引けをとる。テストの結果でクラスが毎月変わる。
クラス落ちしたときは、差が広がる一方で、もう二度と元のクラスに入れないんじゃないか、反対に、上位にいれば
クラスが下がるんじゃないか、と気が気ではない。
*成績が低迷している状況で勉強スケジュールをこなせないなら、偏差値が上がるわけがない。
*クラス分けテストで 2 クラス落ち。テスト前に期待していた分、激怒した。親が立てたスケジュールをこなすことなく、
マンガ・ゲームの繰り返し。叱った翌日にはきれいに忘れ、またサボって怒られての繰り返し。
*S 塾に通っていれば、御三家に入れるくらいの実力になると思っていた(が、現実は甘くない)。
*勉強をしていないことよりも、勉強をやろうという姿勢が感じられないことに、猛烈に頭にくる。中学受験のレールに
乗った以上、それが誰の意志であろうとも、子どもに覚悟を決めてもらわなければならない。
*テストを解き直して正解、ミスが多い→受験生としての自覚の問題だ。子どもの「まあまあできた」はあてにならな
い。宿題チェックをしていたら、テキストの間からマンガが出てきた。反抗期でママの言うことを無視する。もう受験
は止めて公立に行けば?と言う。そのときは神妙な子どもも、翌日は平気な顔。
●「もう後がない」とか「勉強しないと働かせる」などと、真実味のないことは言わない。
●親子バトルは、子どもにとって都合がよい。「親がうるさいから勉強しない」「勉強なんて
くだらないからやらない」といった逃げのパターンを作ることができるから。
● ワクチンを接種したら伝染病にかかってしまう事故があったとします。しかし、ワクチンをし
たほうが伝染病にかかりにくい。このとき、ワクチンを接種しますか、それとも接種しないで
すか。まずい結果が予想されると、人は一般的に、「行動を起こすより、行動を控える傾向
がある」ことが知られています。
もしそうだとすると、子どもだって、勉強した結果に希望が持てない場合は、「する」より「し
ない」を選ぶ可能性があると言えそうです。しかし勉強は、「100 点取って嫌いになるより、
50 点でも好き」なほうがよいですね。
● テレビやマンガより勉強に向かわせるなら、時間で区切ると効果はあがりません。強制
的に切り離そうとしても長続きしないどころか、もっと執着します(ロミオとジュリエット症候
群)。子どもに裁量権を持たせつつ、テレビやマンガに取られるマイナス部分を諭し、子ど
もの心に葛藤を呼び起こし、その結果、子ども自身が「つまらない」と思うようになれば、
行動が長続きします。
▸家族の役割って・・・?――――――――――――――――――――――――――――――
*わざわざ遠くの S 塾に通っているだけで優秀だと思われてしまうので、公立に進学してしまえば恥をかく。聞いたこ
とのない学校には絶対に行かせられない。「ある程度以上の学校でないと意味がない」という価値観がずれてき
た。
-3-
*朝寝坊した。「お母さんが起こしてくれなかった」「何度も起こした」。母親のせいにして、けっして謝る気がない。
「普段はパパが怖いから起きるだけよ」。
*息子は取り掛かるまでに時間がかかるし、すぐに集中力をなくすし。誰かが悪者役になって言わなければならな
い。ガミガミ言うのが趣味のように思っている家族。悪者役はいつも私。旦那はいつも「物分りのいい父親」の役。
本当に馬鹿みたい。
*本当に毎日言いたくないことばかり言わせないでくれ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
*受験が終われば親も子離れしないといけない-、親は今、できることを精一杯しないといけないと思う。
*「遊ぶときは遊ぶ、勉強するときは勉強する」がモットー。修学旅行の前後くらいは勉強も休ませた。しかし、さらに
成績が低下する。ごまかしながら勉強してきた教科のツケがまわってきた。出るところは出ず、不要なところがくっ
ついている(まるで母の体型)。
*午後 9 時に塾が終わり、帰宅 10 時、夕食をとると 11 時。塾ではその日のうちに復習するように言われるが、それ
はムリ。塾では、塾のある日も 1 時間、塾がない日は 4 時間以上はやるように言われる。しかし、塾のない日でも、
子どもはすぐに勉強には向かおうとしない(何をするにも時間がかかる)。それで、朝勉に切り替えた。
*夜も模試の自己採点にびっくりした主人に、「いい加減、生活態度をあきらめろ」とお小言。本当に受験に向いて
いないのかも。
*会社の同僚、4 人のお子さん全員御三家。しかも同僚は教育に興味がなく、自分の仕事と趣味優先。学校説明
会も子どもが自主的に参加し、塾の保護者会も出たこともなし。
● 親と子どもの関係は、親と子どものそれぞれのアイデンティティ(「これこそが本当の自
分だ」と感じられること)の重なり合いが関係しています。
人はだれしも「今の自分らしさ」に腰をおろしているかにみえて、一生の間で絶えず発達し
変化しています。そのため、自分らしさに迷いがなく自信があるときは安定していますが、そう
でないときは不安・罪悪感・困惑にかられることになり、ときには、まるで自分ではないような
行動をとったり、言いたくもないことを言ったりすることもあります。
A 子どものアイデンティティの重要部分に、親の存在や
子育てに手がかからない場合、○
親の価値観が占めていると考えられます。例えば、「自分も親のようになりたい」とか「親があ
まり自分のことに口出しせずに信頼して見守っていてくれている」とか「親の存在や親が言う
ことは自分にとって重要だ」と思えているような場合です。
これに対して、子育てに手がかかる場合、「厳しく育てなくてはいけない」「甘やかしては
いけない」というのは子どもに通じにくく、反対に、「うちのルールはひどい」「自分だけ損をし
ている」といった反発を招くことになります。
子育てに手がかかる場合、対処の仕方には 3 つあるようです。例えば、子どもが興味の
赴くままに予定のないこと(遊び、テレビ、マンガ)をしていた場合は次のような対応が考えら
れます。
B 親の価値観を変える(常に、勉強より遊びが優先)
○
C 親の価値観の優先順位を変える(勉強も大事だけど、遊びも大事)
○
D 親の価値観を変えない(常に、遊びより勉強が優先)
○
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C で、しこりを残しやすいの
● この中で、結果にかかわらず、親も子も満足度が高いのは○
D です。
は○
C と○
D の中間、つまり、「手を抜かないためにも、高い目標を持たせた方がよ
困るのは、○
い」と言われる場合です。「やる気」意識が向けば向くほど、やることが増え(「家ではまっ
たく勉強しないんですけど…」)、チェックや監視が細かくなりやすい(「やる気を証明しな
C のつもりでいても、実際は○
D にな
さい」)、からです。そうるすと親は、気持ちのうえでは○
っているわけです。「やればできるはずだ」と。しかし、やる気が出ないのは、物量に辟易と
している場合もあるのです。
すべての子どもが親が開いた可能性の扉をやすやすと通ってゆくとは限りません。多く
の場合、可能性の扉は、(物理的にせよ精神的にせよ)親が開き、子どもが閉めてゆくも
の。子どもが閉める前に、親が閉めてはいけない。子どもが閉めた扉を、こじ開けようとし
てはいけない。子どもは、青天井に開かれている、輝きのある未来を感じてこそ、重心を保
ち、ぶれないでいることができます。「思うがまま」ではなく、「あるがまま」です。
● 一生懸命に 100 点を目指すと、実際には 50 点にも達しない子育てになることがほとん
どだと言われます。それは、子どもが失敗したり、自信を喪失したりしたときに、親が子ども
に歩み寄らないことにあるのではないでしょうか。ときに子どもは、むき出しの反発心や甘
えでエネルギーを消耗させることもあるでしょう。
もちろん、子どもは自分のことは自分でけじめをつけなければなりませんし、子どもの失
敗は親の責任でもありません。しかしそこで親が子どもに歩み寄らないと、真面目でいい
子であればあるほど、子どもは行き場所を失ってしまいます。
そこで、考えすぎない、入れ込み過ぎないためには、親がほかに関心を向けることが効
果的です。問題を相対化できるし、感情も持ち込まず、適当な落としどころを探ることがで
きるし、弱みを見せることができます。
● 人は人、我が家は我が家(自分は自分)、というところでしょうか。
▸子どもに自信や自覚を持たせるにはどうすればいいの?―――――――――――
*にんじん作戦失敗。もので釣っても、初日はやっても、やはりサボる。自覚を持たせるのが最大の課題。
*模試で成績が悪いと、子どもが落ち込んで、「もうムリ」と言い出す。それに対して、親は「まだ大丈夫」となだめす
かしてかろうじて勉強を続けさせる状態が続く。テストでは、できる問題を落とさないようにアドバイス。
● 「期待を失う恐怖、落伍者と烙印を押される恐怖、理想が遠のいていく劣等感」と、「自分は
今頑張れない」との間で葛藤しているとき、子どもの口から出るのは、「どうせ自分はダメだ」。
● 思わぬ結果になっても、あまり自分を責めないことが大切。世の中に「絶対に正しい子育
て」は存在しません。それよりも、子どもに無理が生じたときに、子どもから「このままでは苦し
い」「もう疲れた」というサインを受け止めることが大切。そのときに、「重すぎたかな」「早すぎた
かな」「もう一度最初に戻ろう」と修正を加えていき、子どもの負担を減らすことが大切。
-5-
●子どもを褒めるところを探すとき、「うちの子は、~が得意(できる)、~が偉い、~と人に褒め
られる、~が自慢できる」よりも、「~が夫(妻)に似てよかった」の方がもっと具体的です。
後は手段の問題です。直接褒めるより、間接的に褒める(人に褒めてもらう、人の言葉を借
りて褒める)。部分を褒めるより全体を褒める(「勉強はできるね」より「勉強ができるね」)、
相対的に褒めるより絶対的に褒める(「あんたは、えらい!」、つまり人と比べない)。いつも褒
めるよりときどき褒める。信頼が伝わるように褒める(頑張っているのを知ってたよ、あなたな
らできると思っていたよ、苦しいときに成長しているんだよ)。
● このようにおっしゃるお母さんもおられます。「旦那には褒められたくない。恥ずかしい。すご
いでしょう、頑張ったでしょう、って自分で言いたいんです。」
*子どものやる気を促す方法、というのはことごとく試したが、どれも効果がなかった。(良いところを見つけて褒める、
勉強しなくても一切口を出さずに放っておく、いろいろお話をしてみる、できていないときに叱る、志望校の文化祭
などに連れて行く、など。)
*「なんでクラスが上がらないの」と子どもに聞くと、①だって、「…(塾の悪口や文句)」、②「クラスは上がっていな
いけど、席は前になったよ」(認めて欲しい)、③「クラスが落ちたのは僕だけじゃない、ほかにも落ちた子がいる」
(人を貶める)←「今度は絶対上がってみせる」とは言わない。
*12 月に入り、まずは朝勉を再開しました。いつもは小学校の宿題が終わらないため、毎朝の時間が小学校の宿
題になっていた。その時間を一行問題にあてた。
*子供は親の言うことは聞かないのに、塾の先生の言うことは聞き、ガラッと変わる。また、同じ位の成績の友人との
会話には刺激を受ける。
*塾の友人が塾で高い志望校を勧められたことを聞いて、自分が取り残されたような気持になってショックを受けた。
悔しくて負けたくないと思い、目の色が変わってきた。
*12 月になって成績が伸びた。子供いわく、「まだ真面目に勉強し始めて 1 か月位なのにね。」←周りの様子を見
ながら勉強している。
●子どもは案外、真面目な楽しさを求めるもの。
▸天下分け目の大決戦! - 夏期講習――――――――――――――――――――――
*1 時から 2 時までテスト、2 時から 7 時まで授業。午後 8 時に帰宅し、8 時半までが夕食。その後まで 9 時半ま
で勉強。気分転換で入浴し、その後 11 時まで勉強し、就寝。毎日が勉強だけのスケジュール。しかし、続かない
し、中途半端。信じていただけに怒り倍増。
*体を壊したので、休ませた。身体が一番だからしかたないけれども、「あ~あ」と深いため息をついてしまった。
*お祭りがあったとき、「1 日くらいなら…」と思って参加させてしまった。でも、「今日は勉強が終わったら、夏祭りに
行くぞ」と言ったときの子どもの集中力はすごかった。
*夏休み最後の組み分け試験で成績が落ちた、特に算数。これからさらに難しくなるのに大丈夫か。
-6-
▸秋からの追い込み - 模擬試験――――――――――――――――――――――――
*一昨日の Y 塾の模試に続き、本日は S 塾の模試で弁当持ちハシゴ。土曜午後も模試、日曜日は一日中特訓。
夏に残ってしまった弱点つぶしはいったいどうするのか。疲れるし、どれかパスして、自宅で穴埋めしようと誘った
が、母さんと家で口げんかしている方が疲れると言って、今日も出かけました。まるで、参加することに意義がある
オリンピックのようだなぁ。
*模試の結果が思わしくない。模試の目的はあくまで、弱点分野を発見すること、場馴れすることだ、と分かってい
ても、このままの勉強法で大丈夫なのか、子どもが変わってゆくのかと、不安ばかりがわいてくる。
*もっと悔しがれ、妥協するな、ただ努力が足りないだけだ。「計算ミスを注意するつもり」が、「点数への不満」が
先立ってしまう。やる気は超特急でなくなる。
●子どもに見返りを求めるのは、親自身が満たされていない証拠。自分の人生を振り返ったとき満
足できない進路を選んでいなかったか、学歴のせいで悔しい思いをしていなかったか、配偶者への
不満や失望を感じることがあるのではないか。勢い余って、「叱るのはあなたのため」「こんなんじゃ
ダメじゃないか」「苦労するのは自分だぞ」といった正論がでると、事態が悪化してしまいます。
*問題点がでてきてはたたき、また問題が生じればたたく。もぐら叩きのようだ。
*親の本音としては、塾の授業やテストはどんどん難しくなるし、宿題も大量で追いつくだけで精いっぱい。いくら時
間があっても足りない。今さら基本に戻るなんて自殺行為だと思う。しかし、このままではいけないと、「塾のない
平日の使い方」を妻と議論。確かにこのままだと、一人では勉強できそうにない。お金はかかるけど、あと 3 か月
だけ個別指導塾に入れよう。しかし、10 月に入り、個別指導塾に入れて、基礎からやり直してもらうことにしたの
がよかった。
*この時期の 1 日は、塾のある日の帰宅は午後 10 時、平日も週末も帰宅は午後 8 時過ぎ。月・水・金は個別指
導。お風呂に入り、夕ご飯を食べたら、もう 10 時半。小学校の卒業文集などの宿題もある。
*子どもは真剣に勉強をする気になってきたように見える。しかし、課題をやったと嘘をつき、自分で探すふりをして
いたのには泣けてきた。裏切られた気持ちだ。
*最近は息子とのバトル中に、いかに息子にダメージを与えるかでヒートアップ。先日は、「君は後から入ってきた
子にどんどん抜かれて、まるで負け犬じゃないの」と叫び、自己嫌悪。
●他人のあらを探すような言葉、けなす言葉、しかる言葉はさほど苦労せずに出てくる。
●「二つのことを心得よ。助けよ、さもなくば傷つけるな」(ヒポクラテス)
*模試の結果をみて落ち込んだとか泣いたとか言うお子さんが多いのに、模試から帰って答えも開封せずに、お笑
い番組を見てゲラゲラ笑っている息子。残り 2 か月で大事なのは「子どものメンタルケア」と書かれていますが、
緊張感も何もない息子のメンタルケアってどうすればいいのか。
●勝手に期待・予想して、「ここまでは我慢しよう」などとイライラしないこと。例えば、叱る
ことは予め約束しておく(「だったら初めに言っといてくれよ」とならないように)。
*あまりのなめ腐った学習および生活態度に、さきほど願書一式捨ててきました。もちろん、一部の残してないです
よ。受けたければ、自分で交通費を受験料も捻出して、特待合格してくれば、と言い放しました。明日は湯島天
神に行って、今日下げてきた絵馬を外してきます。
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*とても受かるとは思えないのに、月 7 万も 8 万も出している私。秋の洋服がたくさん買えるのになぁ。
*私も不安いっぱいで、鏡を見ると醜い顔。見送る母がやつれていたら受験生が不安になってしまう。ということで、
とっておきだった美容マスクやクリームを使いまくり、復活を試みました。皆様にもおすすめです。
*親はますます焦り、子どもは自信喪失という二重のダメージ。今が一番、子供らしく無邪気でいられる時期なのに、
その大切な時期を奪っているのではないか。
●「大丈夫!」と声をかけられて育つと、困難な状況に陥ったときに反射的に「大丈夫!」
と言えるたくましい子どもに育つ(気持ちが揺るがない)。
▸過去問と志望校選択―――――――――――――――――――――――――――――――
*志望校の過去問に取り組み始めた。今後の勉強法の方向性が見えてきたのが収穫。子供も、過去の結果と照ら
し合わせて合否がわかるので、楽しいようだ。
*「あ、そこはダメ。絶対ダメ」「そこなら受けてもいいよ」と自信ありげに断定。学校も見に行っていないのに断定す
る根拠は、過去問の解答欄をみて記述が少ないから。
*子どもが赤本をじぃ~と見ているのは、受験者平均点、合格者平均点の表。数年分を解いて、各教科のベストの
点が取れればけっこういい線いくじゃん、って捕らぬ狸の皮算用。
*過去問はこの時期、問題傾向や課題が見つかったりして、最も効果的な勉強方法だ。しかし、復習にとても時間
がかかってしまうのが玉にキズ。
*昨日は、S 中学の算数の過去問を授業中にやって、150 点満点中 50 点でした。それが 2 回目だったので、塾の
先生に「これが今の時期に取れないようなら、S 中学は無理」と言われ、塾から帰る気力もなくなるほど落ち込ん
だ。
*1 月は 12 時過ぎまで、志望校に絞って勉強した。1 回目を解いたのが昨年 10 月だから、この数か月でまったく
進歩がないのかと、凍りつきそうになった。
*どの問題でもすべて 1 問 5 点。お願い、後ろの方の難問をとって、前の方で落とさないで~。
*過去問をやり、合格最低点に至らないこともあったが、傾向をつかみ自信がついた。12 月の大きな模試で「合格
20%以下、志望校の再考を」と出ても、落ち着いていられた。
●子どもの強さや成長を見届けることができると、階段を上るように増やしてきた親の
願望を、今度は一つ一つ、階段を下りるように減らしてゆくことができます。最後に
は、生きていてくれるだけでいい、というところまで戻ることができます。
●子供は自信はなくても、親を安心させるために「自信がある」と言うことがあります。
●志望校は原則、受験校は例外。
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*また成績が下がった。親としてはいまさら、「もう無理だよ」と言うわけにはいかない。
*成績が乱高下。併願をどのレベルで組んでいいか分からず、毎週末に入試説明会をハシゴせざるをえなくなっ
た。
*息子は、あちこちの過去問にトライ。しかし、過去問でできなければ、「じゃあ、次はこの学校の過去問を解いてみ
る」。よって、増え続ける過去問…。
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*第三志望の過去問も、得意の算数で受験者平均点よりもはるか下。偏差値を見て、学校を見て、よしと思ってい
た学校でも、問題との相性もあるかなと。この時期ですが、他の学校も見なきゃいけないのかな。
*1 月で合格が取れるか否かで 2 月の受験校が変わる。2 月 1 日が取れないと、長期戦になる。滑り止めにも入
学金が発生するので、慎重に考えないと捨て金の金額がとんでもないことになる。
*バトルを続けながらも、子どもと中学校を見て回って感想を話し合い、塾に行きかえりに新聞や読んだ本の話をし、
過去問の採点を手伝う中で、一緒に受験に向かっているという実感が強くなった。また、多くの学校説明会に行
き、母として「どのような子どもになってほしいのか」という気持ちも固まってきた。
*このところ、成績が伸び悩んでいるのに、現実を見ない息子。塾の先生に「冷静に判断すると無理です」「一度で
も志望校の偏差値に届いたことがありますか」「落ちたときの対応を考えてください」と言われた。確かにプロの
判断かもしれないが、言われるとこたえる。この間までは、「伸びてますね~」って持ち上げてくれていたのに。
●落ちても「よい子には変わりがない」。自分を否定するようになったら、困ります。
▸「これで最後」の入試直前――――――――――――――――――――――――――――
*冬休みの宿題。①書初め、②小学校で習う漢字総復習プリント 30 枚、③作文「今年の抱負」(400~800 字)、
④印象に残ったニュースとそれについての意見、⑤何か料理をし、レシピをまとめる。正月特訓にも言っていて休
みが 1 日しかないのにできません!
*スイートルームに泊まるんかい、ふざけんな、と思いながらも、かわいい息子のために大枚をはたいて正月特訓に
参加。そして悲惨な結果。
*子どもはお金がもったいないとか、もう受験をやめろと言われるのが一番つらい。でも、最後まで、「もうやめなさい!
受験なんてしなくて結構!」と叫びまくり。なのに、よくぞ合格してくれたもんだと、反省…。
「あこがれる」「うらやましい」「悔しい」「引け目」がやる気のモト!
人のよいところを目の当たりにしたり、人に追い越されたりして、引け目を感じたり、うらやましく思ったり、悔しいと思
ったら、ここから自分だけの本当の夢が始まる。「自分はこういう性格なんだもん」とか、「そういうの、苦手」とくすぶ
り続けていたり、妬み続ける子どもは、それまで気持ちの上で、負け続けている証拠なのではないか。
○▸ ① やることは多くても 1 日に 3 つ以内する
⇔たくさん与えると戸惑い、集中力が減退する、所有感・コントロール感が得られない
② ちょっと足りない何かを後押して(条件を整えて)あげて、苦手な課題を克服させる
③ 努力に見合う成果物を与える(月例テスト)
④ 失敗したかに見えても、「しなきゃよかった」ではなく、自分に合ったやり方を探すようにする
⇔チャレンジしなければ、自分を理解することすらできない。
⑤ いつもいつも「やる気だせ」で追い込まない
⇒やる気があってモチベーションが高くても、かえってパフォーマンスを下げる(視野狭窄、極度の不安)
⇔ 1 年間にメリハリをつける→平常時は瓦屋さん(積上方式)、試験前はペンキ屋さん(逆算方式)
1 週間にメリハリをつける→予習=興味≒できなくてもよい、復習=粘り≒できるまで
×▸ 計画が欲張りすぎ・ムリなカリキュラム→やってもできない・できる問題だけ選んでやる→自信をなくす、褒
められない
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中学入試……その後
▸親子の関係―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
*合格すると、「有名大学に入ってほしい」と思って、いっそう勉強させようとしてしまう。
*小学生のときに子どもに勉強を頑張らせてしまった教育熱心な親ほど、中学生になったときに及び腰になりがちにな
る、と言う先生もいる。
▸入って分かった「学校の特色」――――――――――――――――――――――――――
先生の話
*公立では先生の手を焼かせる子は放っておかれるが、私立校では手をやかせるほどかわいいという包容力がある。
*教師が中学から高校へ持ち上がる場合、先生は自分の生徒という感じがでる。
めんどうみの話
*新設の中高一貫校は、受験指導に熱心で、成績が落ちれば補習もしてくれるし、授業料も安い。名門校は進学校
としては生ぬるいが、子どもの長所をつぶさないのが最大の長所。
*「あっ、ここはいやだわ。ここには子どもを預けたくない」「うちはここがいい」ということが、母親の直観でわかる。この
ようにして、学校を選択できることが私立の良さの一つ。
進学指導の話
*進学校では、各進学塾のトップ層が集まるので、入学したとたんに大学進学を目指して次のレースが始まる。先生
にも生徒にも、「できるはず」という前提がある。最初から大人の子にとってはいい学校だが、年齢相応にもっと子
どもを管理して実力をつけてほしいという親には不満だらけ。少なくとも、大学までは子どもの人生のレールを敷い
てやりたい親、見守られたい子どもにとっては進学校はふさわしくない。
*学校は「塾に行かせる必要はない」というし、試験前の補習もしてくれる。しかし、それが強制でない限りは、子どもが
真剣に取り組まないので、結局は塾通いになる。
*私も親ばかの最たるもので、うちの子は優秀だから、公立に入れてその他大勢と一緒にされたくないなんて、思い
上がっていたの。みごとにバチが当たって、落ちこぼれてしまったわ。
*中学受験の大変さを見聞きするにつけて、幼稚園や小学校から私立に入ったほうがいいと考えていた。しかし、優秀
な子どもが集まるので、それなりに努力しても、自分は頑張ってもここまでだ、と行き詰まり感を小5~6で味わう
子どもも多く、あとあとまで引きずることもある。公立ならポンと上に行くこともできる。
*学力の高い私立に行ってしまうと、追いつくのが精いっぱいで、勉強ばかりになり、バランスが悪くなる。
やっぱり気になるお金の話
*私立校でかかるお金は、入学金、授業料、寄付金のほか、一番多くかかるのは塾や家庭教師の費用である。私立
専門の小規模の塾のほうが費用が高めになる。
困ったときの話
*親も子も、小学校の高学年から中学校くらいになると、教師や学校と、自分たちの求めるものが食い違ってくること
がある。
*私立に入学させた後で肌が合わなくても、荒れている公立にはいかせたくない。もう一つ、一度私立に入れてしまう
と周囲の目があって、いまさら公立には行かせられなくなる。
*学校が子どもに合わなかった場合、学校を変えることを望んで戦うよりも、学校を変わるほうがよい。
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*私立に入れば、それなりの大学へ行き、それなりのところへ就職し、それなりの生活ができると思っていた。自分と同じ
ように。だから、そのエスカレーターから降ろされてしまうという強迫観念がつきまとう。そのような子どもの将来に対
する不安が、うるさく言うことにつながる。
*公立なら、校長や教育委員会に直訴するという方法がないではないが、私立にはそういう場がない。結局は、うちの
教育方針にご不満なら、どうぞおやめくださいという感じ。子どもが人質にとられていて、私立校のアドバンテージ
が学校側にある。先生に相談なんてとんでもない、何かあったら隠したと思った。
*子どもが親の思ったとおりに育っていないと、学校のせいではないか、となってしまう。親は自分の期待するように育
っていると(勉強や友人関係)、その周りの細かいことをあまり不満には思わない。
(番外編)中学入試……その前(小学校受験)――――――――――――――
入学前の話
*子どもの私語、私信を許さなかったり、返答を強制的に修正する指導や、受験にマイナスのであれば、たとえ子ども
の個性であっても直そうとする幼児教室もある。
*女子小学校の場合、幼児教室のかけもちをする家庭がある。
*受験のためには習い事は休んだほうがいいと言われた。いきなり頭から決めつけるという言い方にちょっと抵抗感が
あった。
*子どもが幼児教室に通うようになってから、性格が変わって、自信を持つようになった。先生や友達に「すごいね」っ
て褒めてもらえる。
*振り返ってみると、私立の小学校は特殊な世界だと思う。年間に何百万ものお金を使ってお受験のために塾や体
操教室に通い、旦那はまともに食事も作ってもらえず、子どももいつも車の中でサンドイッチを食べたりして、妹や
弟が犠牲になる。それで合格して何の幸せがあるのかと思う。
*父親は、早期教育とか無理な詰め込み教育とか、いわゆる「お受験」のイメージに否定的。
*家で宿題をするという習慣がなかった。そのうち、周囲の子どもが「先生、やってきたよ~」というのを見て、自分だけ
やっていないことに気付いた。
*ある小学校教員の話。小学校にあがってくる前の段階で、親子のコミュニケーションがきちんととれていないという
ケースがあまりにも多い。子どもを保育園、幼稚園と通わせた中で、ほかのお母さんと話をしていて、育児の方針と
か、子どものことをあまりにも考えていなくて、この子たちがそのまま小学校に行ったら、いったいどうなるだろうかと。
入学後の話
*家族以外の人と深くかかわるには、小学校から高校までの一貫校でないと無理だと思う。中学受験でその関係を
断たれる、あるいはかかわりがゆがむのはよくない。
*私は高校まで公立で大学は私立。小学校から上がってきた友人は、精神的にも、心にもゆとりがある。幼児期から
丁寧な教育を受けてきたこと、人生で一番多感な時期に好きなことをやれた人は、生き方に幅があるように感じら
れた。また、子どものときの友情がとても絆の深いものかというのも実感した。高校、大学受験期というのは、人生の
中でも一番輝いている時期だと思うが、その時期に、受験勉強に追いまくられて(結果に振り回された)というのは、
何か損をしたという気持ちがある。
*小学校から私立に入れると、べったりの輪ができる。その輪からいったん外れると、「あの人はね」「あのお宅はね」と
12 年間(幼稚園からだと 14 年間)言われ続ける。
*私立の小学校は、子どもの教育に手間暇かけることに熱心な家庭、手をかけてあげられるだけの時間的・精神的
余裕のある家庭を望んでいる。学習面で遅れがあると、親が手を抜いていると思われる。また、指示されたことより
自分やりたことが勝っている子、厳しいしつけからはみ出しそうな子などは早くからつまみ出される。個性の強い子
どもなら、門戸が広くて多様性があり、カラーがはっきりしていないところへ行ったほうがよい。
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『中学受験を振り返って』
長男・H.K 攻玉社中学高校 横浜国立大学経営学部卒業
次男・H.T 麻布中学高校 東京大学法学部3年
長女・H.M 洗足学園中学高校 横浜市立大学医学部看護学科1年
娘が大学生になった今思い出すのは、子どもたちの中学、高校へ部活の試合の応接や文化祭にでかけたときのこ
とです。反抗期で家では口もきかず、生活や勉強への小言には仏頂面の彼らが、学校で生き生きと友達と笑い合い、
真剣に打ち込む姿を見るのは本当に幸せでした。親しいママ友もでき、ぐちを言ったり、励ましあったり。「もう一度中1
の母になりたいね」と今でも話すほどです。そのような思いになるのはいい中学にめぐりあえたからでしょう。
中学受験は、終わってしまえば「いい経験」でしたが、その渦中にいるときは悩み多き「大変な経験」でした。子ども
は友達と遊べない、宿題が終わらず遅くまで寝られない、テストが悪くて親に見せたくない等と思い、母はいつまでも
ゲームをやめないことにいらいらし、模試の結果ではつい感情的に余計なことを言って険悪な空気が流れ、毎月の決
して少なくない出費に頭を痛める等、やはり相当ストレスでした。
ただ、子どもと中学校を見て回って感想を話し合い、塾の行き帰りに新開や読んだ本の話をし、過去問の採点を手
伝う中で、一緒に受験に向かっている、という実感が強くなったように思います。そして、多くの学校説明会に行き、母
として「どういう子どもになってほしいのか」という気持ちも固まっていきました。志望校の校長先生が「生きていく力を
身に付ける、一生の友を得る」と言われた言葉に共感し、こういう学校で学ばせたいと思いました。
受験に際しての家の方針は、1、学校第一、2、習い事は自分で休みや辞める時期を決める、3、特別扱いはしない、
4、他の兄弟と比べないことです。
家での勉強は、5年まではメリハリのきいた家庭学習が理想でしたが、とても成功したとは言えません。6年からは
苦手分野を克服する時間は家でしか取れないと、次男には長文読解を、長女には算数の基本問題を徹底させました。
クッキーの缶に短冊状の算数の問題を入れておき、毎日出来たものから減らしていくなど、遊びのように取り入れて。
秋以降の週末は、「志望校にさえ、受かればいいのよ」と、過去問をせっせとコピーし、やっては採点して間違いをチェ
ックしての繰り返しでした。合格最低点に至らないことも多々ありましたが、徐々に傾向がつかめたし、自信がついたよ
うです。母もそんな彼らと時間を共有することができ、12月の大きな模試で「合格可能性20%以下、志望校の再考
を-」と出ても、落ち着いていられました。受験直前の子どもの集中力と成長には、目を見張るものがあり、しっかりした
足取りで受験校に入っていく姿には感動さえ覚えました。
そうは言っても、気持ちが乗らない時期、頑張っても結果につながらない時期などいろいろですし、同じことを言って
も、子どもの受け取り方もそれぞれで、何度も地雷を踏んでは後悔する繰り返しでした。
それでも、大学生になった息子は、「今は有難かったと思っている」と言ってくれました。何のために勉強しているの
か段々わからなくなってくる子どもを、ある程度は親がひっぼり、モチベーションを保ち続けるのは、大切なことだと今
は思えるそうです。ですから、嫌がられても、必要なことは自信をもって言えばいつかは実を結ぶと信じて、お子さんの
受験に臨まれる事をお勧めします。きっと、充実した時期だったと思えるときが来ます。(出典:「家庭学習法」メイツ出
版56ページ)
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2
□
子どもが親に期待すること
1. 「やる気を出させる」よりも「成長した証」を共有する
学力も勉強習慣も、出し入れを繰り返すうちに、自分のものになってゆきます。自分で経験し、感じたものだけが
残るからです。
※ 信頼関係を築くべきだけれども、信用してはいけない。
※ 「叱る」と「怒る」の違いは?
2. ペナルティと子どもの意思決定
大人は子どもに対して、「やらなかったらどうなるか」ではなく、「子どもの自主的な判断をどこまで許すか」という
態度で接するとよいでしょう。言い換えれば、「やらなければならないこと」よりも、「やってはいけないこと」を強調す
ることです。
校庭を 10 周走るのでも、命令されて走るのと、自分の意思で走るのとでは、要領も効果も全く違うものになりま
す。つまり、人は任せられるとそれだけで、有能感を得て、頑張ろうとします。反対に、ペナルティをちらつかせてやら
され感を植えつけると、子どもは自分で意思決定をすることを放棄してしまいます。
基本的に大人は子どもに対して、「やらなかったらどうなるか」ではなく、「子どもの自主的な判断をどこまで許す
か」という態度で接するとよいでしょう。言い換えれば、「やらなければならないこと」よりも、「やってはいけないこと」
を強調したり、アドバイスは子どもの意見に付け足すようにすることです(その方が子どもが納得しやすいでしょう)。
3. 競争させるという手段
競争が効果を発揮するのは、競争する作業が、①単純なものであること、②すでに習得したものであること、そし
て、③自分だけで完成させることができるものであること、この 3 つの要件を満たした場合です。
また「競争の本質」は、相対的に評価したり、成績を公表したりするなどして、勝者がいて敗者も必ずいるという点
にありますから、自分成績が人の目にさらされるのを嫌悪する人ほど、競争の罠(油断、挫折・焦燥、挫折・諦念)
にはまりやすい。
テスト準備万端の子ども、あるいは実力を試したいという子どもに対して送るエールには効果があります。
4. 子どもが感じるプレッシャーとホーソン効果(人に見られていることがもたらす効果)
人は、「見られている」と感じるだけで「能力が低い人間に見られたくない」という心理が働き、「よっしゃ、がんば
ろう」という気持ちになる、ということです。
子どもは特に、自分の良いところは人に見てもらいたいものです(悪いところは別として)。
ですが、人は「結果だけを見られる」と受け取ると「厳しく管理されている」というプレッシャーを受けるのが普通
です。調子が良いときにはほどよいプレッシャーになっても、スランプのときにはとてもキツく感じるものです。
テストでひどい結果をとってきて、そのときすごく落ち込んでいたはずなのに、ほどなくするとケロッとする子どもっ
ていますよね。このようなとき、大人の常識からすれば、「成績が悪ければ奮起して頑張るのが普通なんじゃない
の?」って思います。でも、現実はそんなようにはゆきません。子どもたちは、テストが終わるとともにプレッシャーから
解放されるんです。
つまり、「結果を見られる」というプレッシャーに翻弄されて、真価を発揮できないままでいる状態です。
このような状態から脱出するためには、日々の勉強のプロセスを評価し、子どもに分かりやすいアドバイスを与え
ることが必要です。やる気や結果ではなく、成長そのものに注目してあげてください。
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3
□
子どもが感謝するアドバイス
~ メタ認知からみたアドバイス法
0. はじめに
アドバイスのカタチは、例えば、子どもが「〇〇の意味を教えて」と聞いてきたとき、まずは「辞書を引きなさい」で
す(指示)。そしてその様子を観察しながら(観察)、辞書の引き方やほかの調べ方を教える(フィードバック)。でき
るだけ早くフィードバックすることで、子どものストレスを軽減してあげることができます。
1.自分の知識についてのメタ認知
~「自分は何を知っていて何を知らないか」を認識しているかどうか
(1) 定着している問題とそうでない問題を選別する
まず、子どもに問題を読ませる、そして、正解である自信がある問題にはその問題番号に〇をつける、自信
がなければ何も印はつけない、そして解く、5~10 分考えて手が出ない問題はとばす、同じ要領で、次の問題
に進む。
すべて解き終わったら、答え合わせをします。すると、自分ができるはずと思っていても、意外とできない問題
があることに子ども自身が気づきます。
そして、問題番号に〇がついていて、かつ答えが正解であったものは復習の必要がありません。そうではな
く、問題番号に〇がついていたのに不正解であった場合と、正解に自信がなかった問題は4回復習する。
問題番号に○印
○印あり
○印なし
採点結果
判 定
正解
復習の必要なし
不正解
4回復習
不正解
4回復習
2.自分の能力についてのメタ認知
~「自分は何ができて何ができないか」「自分はどこまでできるか」を認識しているかどうか
(1) 自己効力感とは、自己に対する信頼感、有能感、あるいは、自分がどの程度うまく行えそうか、という予測を言
います。
「うまくやれそうだ」という自己効力感が高い人は、「よっしゃ、やってみるか」と、思考を行動に移すことができ、
かつ、努力を生む。反対に、自己効力感の低い人は「その課題は自分にはできないかもしれない」と尻込みして、
思考を行動に移すことさえできない。
そして、自己効力感は、主に次の4つのことが原因で高まる、と言われています。
第1に、達成体験。
第2に、モデリング(人まね)。
第3に、言語的説得。
第4に、生理的情緒的高揚。
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(2) 自力で最後まで解き切る
有名な「スキナーボックス」ですが、これは箱にネズミ入れて、ネズミがスイッチを押すとエサが出てくる仕掛け
です。ネズミはエサ欲しさに、スイッチを押すことを覚えるわけです。
この仕組は、①エサが欲しい→②スイッチを押すことを覚える、ではありません。正確には、①エサが欲しい→
②スイッチを押すことを「くり返す」→③「スイッチを押すことを覚える」です。
(3) 強制力の行使
強い力でグッとこどもを引き上げる、こどもはなぜかできるようになったと自分の成長を実感する。それがきっ
かけとなって、自分の意思でやろうと思えるようになります。
さらに、強制力を行使して子どもの能力を引き上げることには、「時間の節約」という効果もあります。子どもの
自発的成長に任せておけば時間がかかることも、強制力の行使によって成長が早まります。
ただ、必ず達成させること、そして、その後も繰り返し練習させることが必要です。辛いばかりで何も得るものが
ない経験は、百害あって一理なし、です。
3.自分の心と体についてのメタ認知
~適度な休憩を入れることによって、より集中して学習をすることができる
(1) 睡眠の役割
小学生の睡眠時間について、小学校では、低学年だと 9 時間以上、高学年だと 8 時間以上が目安だと
指導されるようです。つまり、だいたいで言えば、低学年には夜 9 時までに寝て朝 7 時には起きる、高学年に
なると夜 10 時までに寝て朝 7 時には起きることになります。
しかし、なかなかこの通りにゆかないことが多いでしょう。現実には、「第1回子ども生活実態基本調査報
告書(Benesse 教育研究開発センター(2005))」によれば、睡眠時間が 8 時間未満の小学生は 2 割いま
す。
ただそうであっても、睡眠の効用を理解し、原則と例外を取り違えないことは大切です。
おおまかに言うと、睡眠には次のような効果があるとされています。
第一に、人の成長ホルモンは睡眠中に活発に分泌されますから、寝る子は育ちます。
第二に、睡眠には免疫力を高める作用がありますから、夜更かしが度重なると風邪をひきやすくなります。
第三に、睡眠には疲労を回復させたりストレスを解消する働きがありますから、睡眠不足だと体のだるさを訴
えたり、集中力が低下したり、イライラしたりします。
第四に、睡眠は一時的に入ってきた情報を長期記憶として保存させる機能があります。しかしただ寝ればよ
いというわけではありません。
例えば、勉強した後にテレビを見たり漫画を読んだりして新たな刺激を受けると、せっかく勉強した内容が頭
に定着しにくいのです。「あれ、今日何を勉強したっけ?」です。ですので、勉強したらさっさと寝ればよいわけで
す。
塾の宿題が終わらずに心配なときでも、やっぱり健康が優先です。それでも心配なときは、「もしかの法則」
で気をしずめてください。「これしかできなかった」ではなく、「こんなにもできた」です。
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4.適切な対処方法選択についてのメタ認知
~課題解決にあたり、自分の経験に基づいて最適な方法を選ぶことができる力
(1) 課題が終わらないときの対処法
① 前段階が定着していない場合~記憶力に頼る学習法から脱却する
(ⅰ) 定期的に思い出す
1 回おさらいした人と、10 回おさらいした人とで本番の点数の開きが出るのは当然です。この作業をしな
い人は、あいまいな記憶を頼りにその場のとっさの思いつきで勉強します。
(ⅱ) 復習する回数の決め方
第 1 に「教わってできるようになった」、第 2 に「できそうだけれども、わからない」という状態、第 3 に「よく
考えれば、できる」状態へ、そして最後に「考えなくても、できる」という状態です。
最終段階の「考えなくても、できる」「ストレスなくできる」という状態にもっていくまでくり返せばよいので
す。
(ⅲ) 質問力をつける
「なかなか質問できない」という場合、その理由はいくつか考えられます。例えば、わざわざ質問するほど
のことかどうか分からない、疑問に思うのが自分だけかもしれない、質問したかったけど質問する内容を忘
れた、などがあるでしょう。
しかし、質問は不可欠です。何となく理解できなかったり覚えられなかったりするときは、「つまり~というこ
とだ」とか、「例えば~ということだ」というふうに、自分の言葉で説明できないことがほとんどです(要約力・
比喩力が不十分)。
人の脳は、すでに獲得した知識に関連付けて考えないと理解できないようになっているんです。つまり、
関連付けによって、1つの疑問が10の知識を生むのです。
ですので、すべてにおいて、理屈が説明できるようにならなければ、「できるようになった」とはいえない、こ
ういう心持ちで勉強して欲しいのです。
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② 前段階を飛ばしている ~
パッケージ力
1題1題の問題に全力投球をしてすべてを理解しようとするのではなく、1つの単元なり章だてをまとめ
て理解するようにすることです。
例えば速さと比について、「この問題」が解けないからといってその問題で足踏みするのではなく、「速さ
と比」という単元をとりあえず一通りやる。分からなければ、もちろん解説をみながらでもやり通す。
とりあえず1単元は一気にやり通し、そうして1巡したら、あとは考えなくても解けるくらいになるまでくり返
せばいいのです。この繰り返しの過程で、点と点がつながって線となり体系的知識となってゆきます。
③ 必要のないものが混じっている
※ 手当たり次第に打ち返すような消耗戦にはまらず、苦手な分野にとことん付き合いましょう。
(2) 先送りの問題
① 途中で終わってもいいから「まずやる」
人がやるべきことを先延ばしにする、やらなければならないと分かっていても行動に移せない一つの理由は、
「やり切るには時間がかかりそうだ(めんどくさい)」「やり切るのは疲れそうだ」です。
つまり、すぐに終わらないことの優先順位は低くなります。イヤな教科、たまった宿題のように、一気にできないも
のは後回しになりがちです。
このような場合、まず手をつけるようにすると、中途半端で終わってもそのことが気になって次の行動につなが
りやすくなり、また、下準備が出来ているために次の行動が容易になります。
② すぐにとりかかる準備をする
第一に、勉強に関係しないものは子どもの視界から消滅させることです。いろいろなものが目に入ってしまうと、
つい楽しそうなものに関心が向いてしまうからです。
そのためには、大きめの箱を用意して、マンガやゲームなど今からする勉強に直接関係ないものは片っ端か
らこの箱の中に放り込んでください。1~2 分もあれば完了。捨てるわけではなく、使うときには取り出せば済む話
ですから、子どもの抵抗も少なくて済みます。
第二に、覚えが悪いものは紙に書き出して壁に貼っておきます。日常よく目につくところに貼っておけば、繰り
返し目に入ることが期待できます。
そして、だいたい覚えたらそれをはがしてファイルし、また別の紙を貼る。これをくり返してゆけば、自分だけの暗
記ノートが完成し、後々思い出すのが楽になります。
③ 見通しが立たないと「よし、やるぞ」と思えないし、最後まで続かない
日々の学習で、やるメニューとゴールが見通せないと「よし、やろう」とは思えないものです。それは霧の中を
進んでゆくようなものだからです。
気分だけの問題ではありません。見通しが立っていないと、やるべき勉強量をつい過小評価してしまうもので
す。
学習の見通しを立てるには、計画を作り、絶えずそれを修正していくことが必要です。
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④ 「かんたんに終わる」「すぐ終わる」と思えないと「よし、やるぞ」とは思えない
中学受験の場合にけっこう軽視されているんじゃないかと思うのですが、勉強するときに気合い・根性・努力
が必要だったり、作業量が多すぎるなどして、ストレスや不安を感じると、小学生は動けなくなるか、動いても中身
がなかったりするものです。
勉強のことを考えただけで体調を崩す子どもだっているんですよ。本格的な受験の初心者ですから、当然で
す。
勉強ストレスを減らすことで、記憶力・集中力・やる気を高めてあげる必要があるのです。
具体的には、やるべきことを小分けにする、つまり、1時間の勉強より、20分を3回のほうが簡単に思えます。
内容でいえば、まず「習ったところの復習から始める」です。
失敗する子どもは、一度やったことを二度やろうとしない傾向があります。しかし二度やらないのは、その重要性
が分かっていないから、そして早く宿題を終わらせたいと気持ちがはやるから、です。
しかし実際は、すでにやった内容から順に取り組んだ方が、結局はラクだし効果も上がることを教えてあげてい
ただきたいのです。
⑤ あせりすぎている
勉強だけでなく、読書のときなどでもそうなんですが、「早く終わらせてしまいたい」と思ったときに、「あと何ペ
ージあるかなぁ」って、残っているページを数えた経験はありませんか。
このように、「早く終わらせたい」という思いが募れば募るほど、集中できなくなってしまいます。すぐに結果を求
める(満足の延期ができない)タイプの人が陥りやすい。
もし「早く終わらせたい」という気持ちが高じて集中力が減退し、視界が拡散してしまったら、そのときは思い切
ってそこでやめるべきです。どうせ先に進めても、中途半端に終わるだけですから。
いずれにしても、一気に終わらすことだけをやりがいとはせず、こまめに休憩を入れたほうが結局ははかどる場
合があります。
5.自分の行動の結果についてのメタ認知
~自分の思考を行動に移し、それを評価し訂正する力
(1) ワイナーの原因帰属マトリックス
人が失敗したときに、その原因を4つのパターンにまとめたものです。具体的には、成功・失敗の原因には「能
力」「努力」「課題の難しさ」「運」の 4 つがあるとし、個人がどの原因に着目するかによってその後の行動への期
待が異なる、とするものです。
変わらないこと
変わり得ること
(安定要素)
(不安定要素)
自分(内部的要素)
能 力
努 力
自分以外(外部的要素)
課題の難易度
運
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①成功・失敗の原因を「能力」のせいにするタイプ
成功したときにその原因を「自分の能力が高い」と考えるタイプは、満足感や誇りを得て、次回への期待を持
ちやすい。つまりこのタイプは、自信家でやる気になりやすいのです。「オレって頭いいじゃん」です。
逆に、失敗したときにその原因を「自分の能力が低い」と考えるタイプは、落胆し、次回への期待を持ちにくい。
このタイプは、失敗をくり返すと「何をやっても駄目だ」という無力感に埋没してしまいます。こうなると、人が何を
言っても子どもは聞く耳を持たなくなります。そのような場合は、子どものやる気を補てんしてあげる必要がありま
す。
② 成功・失敗の原因を「努力」のせいにするタイプ
成功したときにその原因を「しっかり努力をした」と考えるタイプは、満足感や誇りを得て、次回への期待を持
ちやすい。概して、このタイプが受験に強くなります。
逆に、失敗したときにその原因を「努力が足りなかった」と考えるタイプは、そのときは落胆するが、次回へ期
待を持ちやすい。このタイプは、「努力すれば成功する」という期待を無くさないものの、努力は自分のさじ加減
次第なので、失敗をくり返すこともあります。その場合には、継続的に行動するような仕組み作りが必要になり
ます。
③ 成功・失敗の原因を「課題の難易度」のせいにするタイプ
成功したときにその原因を「課題が易しかった」と考えるタイプは、満足感や誇りを持ちにくい。つまり、簡単す
ぎるものをやっても物足りなさが残るので、できるかできないか5分5分の課題を与えてモチベーションを上
げてあげる必要があります。
失敗したときにその原因を「課題の難しかった」と考えるタイプは、そのときは大きく落胆することはないが、自
信を得ることも少ないので次回への期待を持ちにくい。それまでの努力を認めてあげるとともに、勉強方針を
一緒に見直してあげる必要があります。
④ 成功・失敗の原因を「運」のせいにするタイプ(外部的・不安定的要素)
成功したときにその原因を「運が良かった」と考えるタイプは、満足感や誇りを持ちにくい。また、努力が必要
なのは本人が一番よく知っています。
失敗したときにその原因を「運が悪かった」と考えるタイプは、大きく落胆することはなく、次回へ期待を持ち
やすい。なお、失敗の原因を「自分の能力」のせいにしてしまうタイプには、「ただ運が悪かった」と言ってあげ
て、気持ちをリセットさせてあげるのがよいでしょう。
(2) 結果でなく行動に注目させる
ナンパ師は、手当たりしだいに見かけた女性に声をかける。はたから見ると「あんなにいっぱいフラれて、よく
恥ずかしくないものだ」と、こちらが気恥ずかしい気になってしまいませんか。しかし、一流のナンパ師であれば、
いくら振られても、堂々としたものだと感心させられます。
それはなぜでしょうか。
それは、一流のナンパ師は「100 人に声をかければ1人くらいは良い返事がもらえる」、と考えているからで
す。テレアポの名人も同じ。「100 件電話すれば 1 件は成功する」と考える。そうでなければ、マシンガンのよう
にアタックできるはずはありません。
つまり、個々の結果で一喜一憂しているのではありません。行動の回数に注目しているのです。それができ
るのは、「100 回やれば 1 回は成功する」という勝ちパターンを獲得しているからなのです。
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4
□
学習の枠組み
(1) 学習計画の意義
計画表は作った瞬間に過去のものとなってしまい、日々変わりゆく生活条件とはかみ合わなくなりますから、計
画したとおりにきっちりと物事が進むことはありません。
では、なぜ計画表を作るべきなのか。
それは、計画(予測)したことと実際の結果を比較することによって、学習の仕方を改善するためです。
つまり、計画(予測)した通りに勉強が進めば、うまくいった要因を探り、その要因を強化する。反対に計画(予測)
した通りに勉強が進まなければ、うまくいかなかった要因を探り、軌道を修正する。
計画は達成すべき目標ではなく、学習方法を改善するための手段なのです。計画は定期的に進化させてこ
そ意味があるものです。
(2) 平常時は「瓦屋さん」、試験 2 週間前は「ペンキ屋さん」で攻める
(ⅰ) 逆算方式は、①目標(理想)、②計画、③情熱、の 3 拍子がそろわないとその威力を発揮しません。情熱は
「積み上げ方式」に従い、自分の力を試したくなる気持ちによって支えられます。
(ⅱ) 勉強の基本は、「1 回ごとに長くやる」(→長続きしない・ダラダラやる)ではなく、「やる機会を増やす」で
す。
(ⅲ) 特に知識では、週 1 回だけまとめて覚えようとする人と、毎日 15 分かけて覚えようとするのと比べると、後
者の方がはるかに実力がつきます。
(ⅳ) 適度な〆切を課すことによって、子どもが真価を発揮するように手助けをしてあげることが必要です。
積上方式(瓦屋)
課題の難易度
逆算方式(ペンキ屋)
易しい
難しい
→満点主義(減点方式)
→合格点主義(加点方式)
→課題の取捨選択が不要
→課題の取捨選択が必要
【学習計画作りの例】
時間の間隔
数十分
インプット期(平常期)
アウトプット期(試験前)
暗記(苦手中心)
暗記(範囲全体)
*漢字・ことばの知識の暗記
*出題範囲の知識の暗記
*理科・社会の暗記
*苦手分野の反復
*算数の一行問題
解き直し(苦手中心)
数時間
解き直し(範囲全体)
*塾でやった問題の解きなおし
*塾でやった問題の解きなおし
*間違いノートの作成
*間違いノートの見直し
重たい作業
終日
過去問や模試
*読書
*前回の模試の解きなおし
*白地図・年表の作成
*過去問
*資料集の通覧・博物館めぐり
*小学校の理社の教科書の読み込
*過去のテキストの解きなおし
*暗記カードの作成
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5
□
願書提出・試し受験
(1) 願書(志望動機)の書き方
願書は入試では最後の最後で出席日収などがチェックされるだけで、そんなには気にする必要はありません。
とはいえ、願書には「志望動機」を書く欄があって、これが案外頭を痛めます。
そこで、「志望動機」欄には次のように書いておくことをおススメします。
①それまで施してきた家庭での教育方針
②志望する学校の教育方針との整合性
③入学後に期待すること
例えば、①家庭では家事手伝いや地域活動にも積極的に関わるように教育してきた、②御校の全人格教育
は学力偏重教育とは一線を画す点で共感している、③御校に入学許可をいただいたならば、御校の指導の下
でさらに活動範囲を広げてゆけるよう家庭も支援してゆきたい。
重要なことは「一読了解」です。グダグダ書かない、読み手がひっかかりを感じるようにしないことです。
(2) 受験番号と願書の提出
受験番号は早目の方が良いでしょう。なぜならば、繰り上げ合格は受験番号順に連絡していくのが一般的で
あること、午後受験があるときは早目に切り上げるために面接時間が早いほうがいいこと、が理由です。
また、願書は1校につき2通は購入しておくと、書き損じたときに重宝します。願書提出時には次のことをチェ
ックしておきましょう。
□願書は2部取り寄せておく
□願書のコピーを取っておく(面接対策として)
□願書を出す日には印鑑も持参する(訂正に対応するため)
□願書提出用の写真は早めに準備しておく
□願書提出は電車で行くようにして、時刻・経路は前日に確かめておく
(3) 試験直前と試験当日の注意事項
試験直線と試験当日は次のことに注意しておきましょう。
<試験直前>
□インフルエンザの予防接種は、11月と12月にかならず受けておく
□早起きを習慣にする(早起きはおよそ2週間で慣れる)
<試験当日>
□腕時計の電池を確認する
□試験開始1時間前には学校へ到着し、トイレの場所などを確認しておく
□不意の事故の際学校へ連絡できるように、学校の電話番号を記録しておく
□試験終了後の待ち合わせ場所は、混雑しないところに決めておく
□試験終了後、親は試験の出来を聞かない、こどもは次に受ける受験校の過去問に目を通す
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(4) 志望校を慶應に絞るということについて
① 手段と目的
今現実に取り組んでいることは、「手段」でしょうか、それとも「目的」でしょうか。あまり普段は意識しないことで
すが、この2つの関係を意識することは重要です。
例えば、今やっている算数の勉強を手段と考えれば、中学入試は目的。しかし、中学入試が手段だと考えれ
ば、大学受験は目的。
はたまた、大学受験が手段だと考えれば、就職は目的、となります。就職が手段なら、やりたいことが目的とな
ることでしょう。
このように、手段と目的を互いに入れ替えながら、階段を上るように人は成長してゆきます。
しかし、もし今現在やっていることが目的になってしまえば、目の前のことが100%のものとなって、現在におい
ては自分のやるべきことの範囲を見失い、将来的には無気力感に苛まれることになりかねません。
つまり、今現実に取り組んでいることは手段ですが、それは目的という枠内での行動にすぎないのです。反対に、
目的という枠がない行動には効率もなければ沸き立つ躍動感もありません。
日々の課題に振り回されたまま受験を終えた小学生の中には、中学に進学しても向上心を示さないケースがあ
るのがとても多いものです
スポーツの試合でいえば、何が何だか分からないうちに試合に勝っちゃったような場合、勝ったときはうれしい
けれど、勝ったことが次の試合に対する自信にはつながらないんですね。受験でもこれと同じなんです。
② 「合格したいと願う」「学校見学をする」で勉強するようになるか
決してそうなるとは限りません。合格が決まるのはずっと先の話だからです。禁煙やダイエットが長続きしない
のも同じことです。肺ガンになるもの、痩せるのもずっとずっと先の話に思える。まだ受験が先に思えるうちは、
「志望校の合格」よりも「目先の小テスト」とか「実力試験」の方が、はるかに吸引力が強いんですね。
子ども自身が自発的・継続的に勉強するようになるまでは、子どもの出番を増やすほかありません。
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