実験室に勤務する妊娠中の女性の就業上の注意について Q パソコンの基盤を作る会社付属の研究所の嘱託産業医をしております。 研究所内の分析、実験室に勤務している妊娠6ヶ月の女性研究員について、就業上の注意 について担当者から問い合わせがありました。 現在扱っている化学薬品ですが、メインはメタノール、アセトニトリルで、その他塩酸、アンモ ニアなどを扱っています。有機溶剤など揮発性の薬品については全てチャンバー内で操作をし ておりますが、薬品を扱う時に吸入の可能性がゼロではありません。 すでに妊娠 6 ヶ月であり、催奇形性を危惧する時期は過ぎているとは思われますが、業務継続に伴うリスクがあ りましたら教えて下さい。 また、その他事業者側が配慮する点についても教えて下さい。 A 相談窓口Q&A第1集に、妊娠 3 ヶ月の従業員は有機溶剤使用の実 験を継続させないことが望ましいこと 塩酸とアンモニアについては生殖毒性についての データは極めて少ないようです。 有機溶剤を取り扱わないことが一番望ましいと思わ を載せておりますので、参考にされ てください。器官形成時期をすぎた 時期に催奇形性はないかもしれませんが、発育不全 や脳障害を来たす可能性があるので、曝露されない ことが肝要です。 有機溶剤の中で、特にトルエン、キシレン、ホルマリ れますが、曝露を最小限にする工夫として、ドラフトチ ャンバー内で作業を行うこと以外に、以下の保護具を 着用することが挙げられます。 ・保護めがね ・保護手袋(経皮吸収を防御するために、ポリエチレ ン製の有機溶剤に溶けない手袋を使用) ンは胎児に悪影響を及ぼすこと知られています (Taskinen H et al., Laboratory work and pregnancy outcome. JOM, 1994: 36: 311-9)。ご質問のメタノー ルとアセトニトリルですが、ヒトにおいては信頼できる データが見当りませんが、ともにマウスやラットにおい て、胎児奇形や胎児死亡の増加の報告があります。 ・保護衣(白衣など) ・防毒マスク(一定の有機溶剤を吸着すると効果がな くなるので予想される曝露量と使用時間を考慮して吸 収缶を交換する) 回答に使用した資料を郵送させていただきます。 15
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