レポート・論文作成時の盗用・剽窃に関する注意

レポート・論文作成時の盗用・剽窃に関する注意
神戸大学経済学部・大学院経済学研究科
大学では、レポートや論文を提出することが、かなり頻繁に求められます。高校までで
もレポート提出の経験はあるでしょうが、大学でのレポート・論文には大きな違いがあり
ま す 。 単 に 「 調 べ て 、 書 き 写 す 」 と い う 行 為 で は 不 十 分 で す ( 悪 く す る と 、 不 適 切 )。 調 べ
た 上 で 、「 自 分 な り に 検 討 し 、 考 察 を 加 え る 」 こ と が 求 め ら れ る よ う に な り ま す 。
そ こ で 、レ ポ ー ト や 論 文 の 中 で 、
「 調 べ て 、書 き 写 す 」部 分 と 、
「自分なりに検討したり、
考 察 を 加 え た り す る 」部 分 と の 、明 確 な 区 別 が 必 要 と な り ま す 。
「 調 べ て 、書 き 写 す 」部 分
は、それを以前に報告・記述した他人の貢献なので、その人物の名前と(参考にした)著
作やウェブサイトなど出典を明示して、
「 引 用 」す る こ と が 基 本 と な り ま す 。明 示 す る こ と
で、その貢献に謝意を表することもできます。
この他人の貢献の利用方法には、はっきりとしたルールがあります。難しくはありませ
ん。しかし、このルールを守らずに、不適切な方法で他人の貢献を利用すると「盗用・剽
窃行為」とみなされることになります。基本的には、試験におけるカンニングと同じく、
不正行為とみなされますし、同様の処分の対象となります。またそのような文章を公刊し
た場合は、知的所有権(著作権)を侵すことになり、犯罪として処罰されます。
以下の注意事項をよく理解して、基本ルールを守って、レポート・論文を作成してくだ
さい。
Ⅰ. 「盗用・剽窃」とみなされる行為
○ 書 物 ・ ウ ェ ブ サ イ ト な ど に 掲 載 さ れ た 他 人 の 文 章 を 、一 部 分 で も 出 典 を 明 示 せ ず に 、自
分のレポート・論文に記載すること。
○他人に作成してもらった文章に、自分の名前を記して、自分が作成したかのように、
提出すること。文章の細部や文体を少し変更しても同罪です。
○ウェブで入手した他人の文章をコピー&ペーストしてレポートを作成することは極め
て容易ですが、完全な盗用・剽窃です。
Ⅱ. 正しい引用方法
①注釈(脚注)のつけ方
表示方法はいくつかありますが、一般的に用いられているのは、本文中に通し番号を
付して、本文の末尾でその番号に対応する文献資料を明示する方法です。本文中の番号
は、普通カッコ内の上付文字で表示します。注釈は、多少しつこいと思える程度にこま
めに表示してください。
○そのまま引用した部分全体を「
」でくくる。
○文章をそのままに引用しなくても、内容をまとめ直したりして利用した場合は、必ず
脚注をつけてください。
○図表やデータを掲載する際、あなた自身がそれらを収集集計したのではなく、別の著
者が収集集計したものをあなたが間接的に引用する場合は、必ずその著書・論文名等
を 明 記 し 、「 孫 引 き 」 で あ る こ と が 分 か る よ う に し て く だ さ い 。
…
エドワード・ギボンは名著『ローマ帝国衰亡史』をアメリカ
独 立 革 命 の さ な か に 執 筆 し た が 、井 野 瀬 氏 が 指 摘 す る よ う に 、
「こ
そのまま引用した
の 本 は 、同 時 代 に 進 行 中 の 第 一 次 イ ギ リ ス 帝 国 衰 亡 史 と み ご と に
部分全体を「
連 動 し て い た 」 (1)の で あ る 。 …
でくくる。
…
」
ブローデルにとって小商品生産と真の市場法則が貫かれる
市 場 こ そ 普 遍 的 な 存 在 で あ り 、資 本 主 義 は 資 本 家 的 中 間 層 や 搾 取
者たる官僚主義国家が交換のルールを自分たちの利益のために
ね じ 曲 げ る 、 特 異 な 存 在 で あ っ た (2)。 …
文章をそのままに
引用しなくても、
内容をまとめ直し
たりして利用した
(1) 井 野 瀬 久 美 恵『 大 英 帝 国 と い う 経 験 』
( 講 談 社 、 2 0 0 7 年 )、 2 6
ページ。
場合は必ず脚注を
つけてください。
( 2 ) I . ウ ォ ラ ー ス タ イ ン 他 著『 開 か れ た 歴 史 学:ブ ロ ー デ ル を 読 む 』
( 浜 田 ・ 末 広 ・ 中 村 共 訳 、 藤 原 書 店 、 2 0 0 6 年 )、 第 5 章 。
②引用・参考文献の表示方法
典拠となる文献資料は、さまざまな形態のものがありますが、おおよそ単行本(専門
書、翻訳書、資料統計類)と論文に分けられます。それぞれについて、おおよそ以下の
よ う な 形 式 で 表 示 し て く だ さ い 。な お 、例 に 挙 げ て い る の は 、上 か ら 資 料 集 、雑 誌 論 文 、
論文集として出版された単行本中の論文、の標記方法です。文献資料の表示の仕方の最
低限のルールは、それを見た人が図書館等で検索できるだけの正確かつ十分な情報を提
供していることです。
参考文献
 ヨ ー ロ ッ パ 連 合 編 『 ヨ ー ロ ッ パ 統 計 年 鑑 9 5 』( 猪 口 孝 監 訳 、
資料集
東 洋 書 林 、 1 9 9 7 年 )、 1 3 0 ペ ー ジ 。
 松 川 勇 「 公 益 事 業 に お け る ピ ー ク ロ ー ド 料 金 の 経 済 理 論 」、
雑誌論文
『 武 蔵 大 学 論 集 』 第 4 5 巻 第 4 号 ( 1 9 9 8 )、 1 3 - 8 2 ペ ー ジ 。
 水 沼 知 一 「 近 代 日 本 思 想 史 に お け る 『 外 圧 』 へ の 反 応 様 式 」、
中 村 勝 己 編 『 マ ッ ク ス ・ ヴ ェ ー バ ー と 日 本 』( み す ず 書 房 、
1 9 9 0 年 )、 2 6 5 - 3 3 1 ペ ー ジ 。
論文集として
出版された単
行本中の論文
※インターネット情報を引用した場合の表示について
インターネットから情報やデータを抽出してくることもあるかもしれませんが、出
典がウェブサイトの場合は、著者名、タイトル、アドレス、アクセスした日付等を明
示して下さい。なお、ネット系情報リソースのなかには、しばしば典拠が曖昧であっ
たり、正確性・客観性を欠いたりするものがあるので、引用にあたっては慎重さが求
められます。
注 : 本 文 書 の 作 成 に あ た っ て は 、 早 稲 田 大 学 人 間 学 学 術 院 ・ ス ポ ー ツ 科 学 学 術 院 (http://
w w w. w a s e d a . j p / t o k o r o z a w a / k g / ) お よ び 政 治 経 済 学 部 ( h t t p : / / w w w. w a s e d a . j p / s e i k e i /
seikei/student/05.html)の 文 書 が 、 大 い に 参 考 と な っ た 。 記 し て 謝 意 を 表 し た い 。
文責:教務委員