心の痛み

れん
自分のことで精一杯でそういうことを考えたことがあまり
優
秀
賞
はし
常陸大宮市立山方中学校
一年
たか
僕は足に障害があります。そのため、いつも足に装具を
ありませんでしたが、改めて他の人に支えられていたこと
髙
橋
蓮
つけています。今までに二回手術を経験しています。一回
がわかりました。そして、家族の支えもありました。家族
心の痛み
目は、五歳の時で、お母さんと一緒でなければ怖くてたま
は、いつもいやなことがあると話を聞いてくれます。自分
しかし、手術後は痛みがひどく、やはり辛い日々でした。
りませんでしたが、同じ病院に入院していた双子の子が、
なんと以前入院したときと同じ看護師さんがいて、僕の名
いつも通り歩こうと思っても筋肉が弱っていて、足が重く
のことのように心配してくれます。その支えがあるから学
前を覚えていてくれたのです。「蓮君!」という呼びかけ
感じ、平均棒を押さえて立つのがやっとでした。毎日足の
いろいろと話しかけてくれ安心したのを覚えています。そ
で、これなら頑張れると思いました。また、病院で友達が
痛みがあって、とても辛かったのを覚えています。今でも、
校に向うことができます。そんな家族に、すごく感謝して
いない僕に高校生の人や他の子が話しかけてくれ、寂しい
十分くらい立っているだけで疲れたり、足がむくんで装具
の子とは今でも親友です。次に手術をしたのは、小学校五
思いをしないで入院生活を送ることができました。今、振
がきつくなったりして、痛みに苦しむことがあります。
きっ
います。
り返ってみるとそれまで僕とは関わりがなかった人に、ず
とこの痛みは他の人にはわからない痛みだと思います。僕
年生の時です。入院した当初はやはり緊張していましたが、
いぶんと勇気づけられていたことがわかります。
その時は、
ろう、僕は装具をつけているだけなのにと思うと、悲しく
れないことがあります。なぜ、僕との間に距離があるんだ
また、他の中学校の人と話をするとき、僕だけ話しかけら
のにどうして見られるのだろうと気になってしまいます。
すが、僕はその視線やいやです。普通に歩いているだけな
人がいます。悪気があって見ているわけではないと思いま
心の痛みです。装具をつけて歩いている僕をじろじろ見る
でも、この足の痛みより辛い痛みがあります。それは、
りたいと思います。自分ができることはわずかかもしれま
経験したような辛い思いをする人がクラスにいたら力にな
ました。多くの人をまとめるのは難しいことですが、僕が
もありましたが、新しいことに挑戦しようと僕自身が決め
校に入学して、学級委員になりました。周りからの推せん
ることをやろうと踏み出した一歩だったと思います。中学
みんなと同じことができなくても同じ場所で、自分ができ
の体育の時間に「体育をやらせてください。」
と言いました。
した。僕は、自分だけが取り残されたようで悲しくて、次
体育はやらないで、絵を描いていていいよ。
」と言われま
なることがあります。足の痛みはなくなっても、この心の
せんが、自分のこれまでの経験がきっと役に立つと思って
だけが抱えなくてはならない痛みだと思っています。
痛みは消えることはありません。時間がたつに従って痛み
います。そう信じて、中学校生活の新たな一歩を踏み出し
たいと思います。
が強くなってしまうこともあります。
僕の足の痛みは、皆さんにはわからないかもしれません
が、心の痛みは皆さんもわかるはずです。例えば、周りの
人がこそこそと話しをして、自分のことを指さしていたら
どう思うでしょう。自分だけが避けられて、友達の輪に入
れなかったらどう思うでしょう。そう考えると、ちょっと
違うだけで、偏見をもたれることのつらさがわかると思い
ます。普通に接してほしい、これが皆さんに伝えたいこと
です。
小 学 校 一 年 の 頃、 こ ん な こ と が あ り ま し た。
「 蓮 君 は、