テーマ 「婚姻適齢について」

火1 基礎演習Ⅱ 小川富之
法律学科2年
04J2** ****
テーマ
「婚姻適齢について」
提出日
7月14日(木)
火1 基礎演習Ⅱ 小川富之
法律学科2年
04J2** ** **
テーマ「婚姻適齢について」
婚姻というのはほぼすべての人が経験する人間にとって大
切なことであり、すでに婚姻することができる今の自分にと
ってとても身近なテーマである。現在の法律では婚姻適齢は
男 18 歳以上、女 16 歳以上と決まっているが、なぜ男は1
8歳で、女は16歳なのか。さらに、男女で婚姻適齢に2歳
の差を設ける合理的な理由が見つからないので本当に今の
ままの婚姻適齢が一番いいのだろうかと思い、このテーマに
ついて調べてみようと思いました。
火1
基礎演習Ⅱ
小川富之
法律学科2年
04J2** **
テーマ
「婚姻適齢について]
章立て
第一章
はじめに
・テーマを選択した理由
第二章
法律上の婚姻要件
・6つの婚姻要件
第三章
未成年での婚姻
・未成年での婚姻による問題
第四章
法律上の婚姻適齢
・男が18歳の理由
・女が16歳の理由
第五章
おわりに
・自分の見解
**
1.はじめに
個人的に早く婚姻したいと考えていて、現在の日本の法律ではすでに婚姻で
きる年齢にある自分にとって婚姻というのはとても身近なテーマである。現在
の日本の法律では婚姻適齢は、男は満 18 歳、女は満16歳と決まっている。こ
れは民法731条の「男は、満十八歳に、女は、満十六歳にならなければ、婚
姻をすることができない。」という法律によるものです。しかし、民法 737 条の
1項に「未成年の子が婚姻をするには、父母の同意を得なければならない。
」と
定められているように、未成年では親の同意が必要になるのになぜ男は満 18 歳
で、女は満 16 歳なのか。さらに、男女で婚姻適齢に2歳の差を設ける合理的な
理由が見つからないので本当に今のままの婚姻適齢が一番いいのだろうかと疑
問に思い、このテーマについて調べてみようと思う。
2.法律上の婚姻要件
婚姻が有効に成立するためには、6つの要件がある。1つ目は、当事者相互
間に、婚姻意思が存在すること。民法742条1号に定められているように、
「人
違その他の事由によつて当事者間に婚姻をする意思がないとき。」を無効とし、
このことを当然の前提としている。
2つ目は、婚姻適齢に達していること。民法731条に「男は、満十八歳に、
女は、満十六歳にならなければ、婚姻をすることができない。」と定められてい
るように、婚姻適齢に達していなければ婚姻はできない。
3つ目は、重婚でないこと。民法732条では「配偶者のある者は、重ねて
婚姻することができない。」としている。日本では、一夫一婦制を婚姻の本質的
要請とみる以上当然だとされる。
4つ目は、近親婚でないこと。民法734条の1項に「直系血族又は三親等
内の傍系血族の間では、婚姻することができない。」と定められている。従って、
親子間や兄弟姉妹間での婚姻はもとより、おじ・めい、おば・おいの間での婚
姻も禁じられる。
5つ目は、女は、再婚禁止期間を経過しなければならないこと。民法733
条の1項で「女は、前婚の解消又は取消の日から六箇月を経過した後でなけれ
ば、再婚をすることができない。」としている。これは、生まれてくる子の父が
誰であるかを確定する際に、混乱が生じないようにすることにある。
6つ目は、未成年の婚姻での父母の同意である。民法737条の1項に「未
成年の子が婚姻をするには、父母の同意を得なければならない。」と定められて
いる。もっとも、父母の一方が同意しないときは、他方の同意だけで足りるし、
父母の一方が知れないとき、死亡したとき、またはその意思を表示することが
できないときも、同様である。このように婚姻が有効に成立するためには6つ
の要件をクリアしなければならない。
3.未成年での婚姻
民法で、未成年の子が婚姻するには、父母の同意が必要であるとされている
のは、未成年者の思慮の不足を補佐する趣旨のものであるとされている。しか
し、同意のない婚姻届が誤って受理されたときは、その婚姻はもはや取り消し
得ないものとされ、また、父母の一方が同意しないとき、父母の一方が知れな
いとき、死亡したとき、その意思を表示することができないときには、一方だ
けの同意で足りることとなっている。また、父母双方が知れないとき、死亡し
たとき、意思を表示しえないときは、同意を要しない。とされている制度的に
みれば、この同意権は必ずしも強力なものとはされていない。
しかし、このように親の同意が必要とされていること、近年、実際に起きて
いる若い夫婦による離婚や、幼児虐待などが増えていることからしてみても、
若い年齢での婚姻、特に未成年での婚姻には少なからず問題点があると考えら
れる。
4.法律上の婚姻年齢
民法731条に「男は、満十八歳に、女は、満十六歳にならなければ、婚姻
することができない。」とされている。これは、明治民法で男17歳、女 15 歳
とされていたのを、戦後の改正の際に一歳ずつ引き上げたものである。婚姻適
齢を定めたのは、早婚より生ずる弊害の防止にあるされている。つまり、婚姻
は社会存立の基礎にかかわるもので、その健全な成長発展は社会に影響を及ぼ
す。従って、婚姻適齢を定め、社会的、経済的に結婚をして結婚生活を維持す
るだけの能力を欠く者を除外することで、結婚の安定化を図ろうとしたのであ
る。
また、女性の婚姻年齢が男性の婚姻年齢より若くてよいとしているのは、け
っして女性を有利に扱っているのではなく女性は家庭に入るから、高度な教育
や訓練は必要ないという性による分業に根ざした考え方にもとづくものである。
しかし、今日では、婚姻年齢について男女で差を設ける合理的な理由はなく、
改正が必要であるとされている。
また、海外の国の婚姻適齢では、韓国や台湾、ギリシャ、ブラジル、エジプ
ト、サウジアラビアのように現在の日本と同じく男18歳、女16歳の国も多
くあるが、スペイン、ノルウェー、ベルギー、ベラルーシのように、男女共に
18歳の国もある。また、中国のように昔は男18歳、女16歳だったが、今
は男22歳、女20歳に改正した国もある。国によって状況も違うが、いろん
な婚姻年齢の国があるので、日本も婚姻年齢の変更を考えてもいいのではない
のかと考える。
5.おわりに
現在の法律では、婚姻するには6つの要件をクリアしなければならない。そ
のうちの婚姻適齢について見直すべきではないかと考える。自分は、婚姻適齢
は男女共に20歳にするべきだと考える。それには2つの理由がある。
まず、1つ目に男女で婚姻適齢に差を設ける合理的な理由がないからである。
現在の婚姻適齢はなぜ男は満18歳で、女は満16歳なのか。それは、男性は
仕事、女性は家庭という役割分担思想があり、男性は肉体的成熟に加え経済的
能力の成熟を求めるのに対し、女性は肉体的成熟及び家事育児能力を満たすも
のであればよいという考え方が存在するからである。しかし、この区別自体、
男女差別にあたるものであり、婚姻年齢における差別は合理性がないと考える。
たしかに、現在でも男性の方が仕事をしやすい環境であるし、女性は家庭に入
るという分業制も都合はいいと思うが、女性でも仕事をする人が増えきている
現在では昔と環境が変わってきているので、それほど合理的な理由にはならな
いと考える。
2つ目の理由は現在の法律では、父母いずれかの同意が必要になるというこ
とである。婚姻の大前提は、婚姻要件の1つでもあるが、当事者相互間に、婚
姻意思が存在することである。当事者が相互に婚姻したいという意思があるの
に親の同意が得られないという理由で婚姻が認められないのはおかしいと考え
る。親の同意が得られないと婚姻できないなら、親の同意が必要なくなる成年
になってから、つまり20歳になってから婚姻できるようにすればいいと考え
る。この考えでの婚姻と、今の法律での婚姻で親の同意が得られなかった場合
とを比べると、結論的にはどちらも婚姻するのは、当事者がお互いに20歳に
なったときである。しかし、婚姻適齢を20歳にした時の方が気持ちの問題と
してスッキリするのではないかと考える。
この2つの理由から、私は、婚姻適齢は男女共に20歳にするべきだと考え
る。
火1
基礎演習Ⅱ
小川富之
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概要
テーマ「婚姻適齢について」
第1章
はじめに
この章では、男女で婚姻適齢に2歳の差を設ける合理的な理由が見つからな
いなどの理由から本当に今のままの婚姻適齢が一番いいのかと思い、このテー
マについて調べようと思ったなどのテーマの選択理由についてまとめました。
第2章
法律上の婚姻要件
この章では、婚姻が有効に成立するために必要な婚姻適齢や、未成年での婚
姻での父母の同意など6つの婚姻要件についてまとめました。
第3章
未成年での婚姻
この章では、未成年での婚姻にはなぜ父母の同意がいるのか、父母の同意の
ない婚姻ではどうなるのかなどと、未成年での婚姻による問題ついてまとめま
した。
第4章
法律上の婚姻適齢
この章では、なぜ婚姻適齢が男満18歳で、女満16歳なのか、なぜ女のほ
うが2歳若くなっているのかについてと、海外の国の婚姻適齢は日本と比べて
どのようになっているのかなどについてまとめました。
第5章
おわりに
自分の見解として、婚姻適齢を20歳にした方がいい理由を大きく2つに分
けて、1つ目を男女で婚姻適齢に差を設ける合理的な差がないこと、2つめを
父母の同意が必要になることとして、その2つについてまとめました。
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法律学科2年
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「婚姻適齢について]
参考文献
1、著書:米倉
明編
『家族生活と法』
(有斐閣
2、著書:遠藤
1985年)
浩編
『民法(8)親族[第4版]』
(有斐閣
3、著書:密
1997年)
克行
『民法Ⅴ[親族・相続法]』
(辰巳法律研究所
4、著書:副田
1998年)
『新・民法学
隆重
5
家族法』
(成文堂
2004年)