病棟薬剤師業務の充実 良質で安全な医療の提供に貢献しています。 薬剤部 当院では、平成18年の9月より全病棟に担当薬剤師が常駐し、配薬カート への薬剤のセッティングや病棟における医薬品の管理を行っております。また 服薬指導を中心とした臨床薬剤師業務として入 院患者様の薬物治療が効率良く安全に行われる よう薬学的な観点からの充実したサポートを行 っております。 当院の取り組みが平成19年7月13日∼1 4日に東京で行われました第9回日本医療マネ ジメント学会学術総会にて薬剤管理Ⅰのセッシ ョンで採択され発表いたしました。 日本医療マネジメント学会雑誌 Vol.8 No.1 抄録 病棟薬剤師の業務 ◎配薬カートへの薬剤のセッティング 配薬カートの患者様ごとに用意さ れたトレイに服用時間に合わせて 朝・昼・夕・眠前のカセットに1日分 ずつ確認しながらセットします。 この作業は、定期処方(比較的長期に服薬を 継続するお薬)、臨時処方(症状に応じて短期 間服薬するお薬)にかかわらず、すべての処方薬を担当薬剤師がそれぞれの患 者様ごとに内容を確認しながらセットしております。 この業務の取り組みについては、病棟の看護師からも高く評価されており、 医療の安全確保と業務の効率化に大きく貢献している事が確認されております。 (参考)病棟看護師からのアンケート結果 ①誤薬防止に対しての貢献度 ②看護業務への集中度の向上への影響 低い 0% 普通 25% やや 低い 0% 高い 50% とても 高い 25% 変わら ない 30% 大変 悪い 0% 悪い 0% 大変 良い 35% 良い 35% 高い以上で75% 良い以上が70% どちらの設問でも病棟薬剤師業務の有用性が高く評価されていました。 ◎病棟在庫薬剤(緊急時用)の定数管理 病棟(ナースステーション)には、緊 急時に使用する注射剤等を定数で配置 しております。 これらの医薬品については病棟薬剤 師が日々数量、使用期限、保管状況等を 確認して常に最良の状態で使用できる ように管理しております。 ◎持参薬の管理 当院では、入院時に患者様がお持ち になったお薬(持参薬)は全て担当薬 剤師が確認をした上で主治医の指示の 元に入院後の持参薬が適正に取り扱わ れるように管理しております。 また、市販薬の服用情報やサプリメ ント等の摂取についても同時に確認し、服用いただいているお薬との飲み併等 に問題が無いか調査した上で、安心して服薬いただけるように管理を行ってお ります。 また最近は、ジェネリック医薬品の普及により同一成分・同一薬効の医薬品 が多数のメーカーから供給されており、我々薬剤師が薬の専門家としての見地 からしっかりと鑑別することで重複投与等の問題を未然に回避し、安全な服薬 が継続できるように配慮しております。 ◎ベッドサイドでの服薬指導 入院患者様のベッドサイドへ担当薬 剤師が服用中の薬剤の情報を詳しく説 明にうかがっております。 適正な服薬が安全に継続できるよう に直接患者様に面談してお薬の効能効 果、用法・用量、服薬上の注意事項や、 副作用についてなどお薬の外観の写真 を添えた「おくすり説明書」をお渡し して患者様が分かりやすいように工夫 をして服薬指導を行っております。 また、ご面会にお見えになった患者様のご家族様からのご質問やご要望にもお 答えして患者様の服薬情報や服薬中のお薬の内 容等を説明させていただいております。 指導に際しては事前に、医師・看護師等の医 療スタッフとも十分な打ち合わせを行い、また 検査値などの情報もタイムリーに確認して、安 全にかつ有効な薬物治療が継続できるように配 慮しています。 また、患者様から得られた服薬指導時の情報 やお問合せに対する対応等についてもその都度 情報を病棟スタッフや医師と共有するようコミ ュニケ ーショ ンの充実を図ることで医療の質の向上 と安全を確保するように日々業務を行 っております。 ◎退院時服薬指導の充実 入院中と比べて退院後の服薬がしっかりと維持できないことがあります。患 者様が退院してご自宅に帰ってからも安心して服薬を継続いただけるように退 院に際しては、そのタイミングに併せて担当薬剤師が丁寧に退院後の服薬に際 しての留意点等についてご説明しております。 また、その際に退院後の受診時からは外来処方箋の調剤はかかりつけの薬局 の薬剤師が担当する事となりますので、 入院中の服薬情報(薬歴)と退院時処方 の内容等必要となる情報を退院時服薬指 導情報一式(1.退院時服薬指導書 2. おくすり説明書 3.薬歴管理表)を退 院後外来で初めてお薬の処方が出たとき には、調剤薬局の担当薬剤師にご提示い ただくように患者様にお渡ししておりま す。 また、「お薬手帳」をお持ちでない 患者様には当病院でご用意をし、外来 調剤を受ける時には必ずかかりつけ 薬局の薬剤師に提示して必要事項の 確認と記載を依頼するように退院さ れる患者様にお願いしております。 このような病院薬剤師と薬局薬剤 師の患者様を介した連携が充実する 事で、入院、在宅にかかわらず安心し た服薬の継続が出来るようにしていきたいと考えております。 これらの当病院の取り組みについては、地域医療連携の推進への貢献として 多方面からの評価を得ており、神奈川県保健福祉部薬務課における「平成 18 年 度医薬品適正使用連携体制整備ガイドライン普及事業」への協力施設として選 定され、近隣の緑区薬剤師会との共同でパイロットスタディに参加いたしまし た。そしてこのスタディから多くの可能性とより多くの施設における取り組が 必要であるとの情報が得られ、平成19年3月に県において結果報告がなされ ました。
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