The Promising Age 29

The Promising Age 29 : Essays and Memoirs in Honour of
Masao Hayashi
林 正雄先生
静岡大学教育学部退職記念「思い出の記」
2012
静岡大学教育学部英語研究会
0
贈る言葉
静岡大学教授
丸山 修
この度の林先生のご退職を記念して発行される The Promising Age 29に
寄せられたみなさんの原稿を一足先に拝見させていただいて、改めて先生が敬
愛される存在であったことを、同じ文学を担当する教員として、うらやましく
も気づかされている次第です。同じ分野を担当する同僚として長きに渡り一緒
に時を過ごして参りましたが、やはり先生の真骨頂は学生に教える姿であり、
その点は学生のみなさんのほうがよくご存知だと思います。私は、そんなみな
さんの文章に触発されて、しばらくぶりに詩を書こうという気持ちになりまし
た。この詩の精神は感謝と尊敬ですが、願わくは、少なくとも林先生にとって
amusing であることを半ば意図しています。詳細なコメントはあえて省きます
が、先生が親しまれた Thomas Hardy、および T. S. Eliot への言及があること
は気づかれると思います。林先生、大変お世話になりました。
For Professor HAYASHI MASAO
(an acrostic composed on the occasion of his retirement)
Hermit-wise settled in a nook commanding
A panorama edged round by the sea,
Young in pursuit and old in understanding,
Always prepared to stir the laity;
Such an uncondescending intellect
Has ne’er been heard of in our neighbourhood:
It’s no surprise we hold him in respect.
May his example lead us forth for good.
As we apart go down the twilit slope,
Sounds of his cadenced velvet voice shall ring
As far from madding crowds as we may hope.
O that Shakespearean song ’twill surely sing!
1
巻頭言
林
正雄先生勇退記念特集号に寄せて
静岡大学英語研究会会長
三浦
孝
The Promising Age 29号は、昨年 3 月 11 日に発生した東日本大震災の被
災後という、歴史的な時期に発刊される。中でも、震災で制御不能となった東
京電力福島第一原発の炉心溶融事故は、関東東北地方の山河と、世界の海洋を
大規模に汚染し、今なお単に水をかけて冷やして再臨界をくい止めているにす
ぎない。しかも、5基の原発が再び溶融し、半径 300 キロ以内が居住不能にな
る可能性は、未だなくなってはいないのだ。
この事故は、科学技術の莫大な進歩と、それを使う人間の愚かさの不均衡を
如実に物語っている。中曽根内閣時代に、福島原発一式を日本に売り付けたア
メリカ、それに群がって政治資金を得て当選した代議士、原子力推進に便乗し
て論文を書き・研究費を稼ぎ出世した大学教授、そして太陽光発電や波動発電
などの代替クリーン発電の研究開発を巧妙に阻止してきた電力会社、広告料を
もらって「原発安全」キャンペーンを繰り広げた新聞社・放送局。すべては、
「自分の在任中さえ繁栄すればよい」、「自分の名声が高まりすればよい」、「自
社が他者に勝ちさえすればよい」といった人間の、それも社会の上に立つ人た
ちの自己中心性と無責任さが招いた人災である。人間は科学技術をどんどん進
歩させる、しかし、それを制御するはずの人間性(責任感・使命感・勇気・潔
癖さ・先見の明)が育っていないのだ。1961 年に、静大英語研究会がその研究
誌を The Promising Age(可能性に満ちた時代)と命名した時に、誰が今日の
事態を予測したであろうか?不本意にではあるが原発行政を甘受してきた昭和
生まれの 1 人として、私自身もその責任はまぬがれない。
福島原発の 5 基の原子炉が溶融して原爆並みの放射能が半径 300 キロに撒き
散らされるという最悪の事態を防いだのは、事故発生直後に被爆の危険を冒し
て身を呈して注水作業にあたった東京消防庁の消防士や、東電の下請けのその
また下請けの作業員たちである。首都を含む関東一円全滅・無人地帯という驚
愕の大惨事を防いだのは、こうした名もない労働者の、同胞や故郷を守ろうと
する献身であった。私はここに、日本の Promising Age の原点が有ると思う。
途絶えていた静大英語研究会が 2000 年に復活して以来、今年で 12 年目、会
員数は約 240 名にのぼる。歴代の幹事さんと英語科教員・事務の丸山さんの着
実なフォローにより、毎年会員の住所変更や転勤を掌握し、卒年の順送りによ
2
って 11 月にホテルを借りてリユニオンを盛大に開催している。教員・塾教師・
公務員・会社員・大学院生・主婦など、卒業後の進路はさまざまだが、多種多
様な分野を生きる人たちが分け隔てなく一同に会して交流できる貴重な場とな
っている。
林正雄先生はこの静大英語研究会の副会長として、その復活と維持発展にご
尽力いただいた。毎年のリユニオンには必ず出席され、卒業生と旧交を温めて
くださった。どんどん仕事が過密化、高速化してゆく大学教員生活の中でも、
そんな忙しさを顔に出さずに、ゆっくりとしたおおらかなペースで Hardy や
Harry Potter を楽しく語られる林先生の存在は貴重である。そういえば Hardy
は、Tess や Jude the Obscure などの作品で、名もない一個人の人生を慈愛と
義憤を持って描いた作家である。そうした Hardy を愛好される林先生の中に、
Promising Age に通じる精神を感じている。日本の Promising Age は、名もな
い市民の奮闘から生まれる。
3
目次
贈る言葉 ................................................................................................................................. 1
静岡大学教授 丸山 修
巻頭言 ..................................................................................................................................... 2
林 正雄先生勇退記念特集号に寄せて
静大英語研究会会長 三浦
孝
静岡大学での教員生活を振り返って ..................................................................................... 6
林 正雄
林先生との思い出と感謝の意 ................................................................................................ 9
英語科共同研究室 丸山 圭子
『トムは真夜中の庭で』
、
『ダーバヴィル家のテス』
、そしてその他 .................................. 10
静岡県立高校教諭
佐野 澄広
英語科教育特別研究を受講して ........................................................................................... 12
常葉学園短期大学 新妻 明子
ご退官を心よりお慶び申し上げます。 ................................................................................ 16
都立高校教諭 小島直子
林先生の授業の思いで ......................................................................................................... 18
英語教育専修4年 小野 亜理沙
林先生のこと ........................................................................................................................ 19
英語教育専修4年 青山晴香
林先生の授業を受けて ......................................................................................................... 20
英語教育専修3年 安形結衣
林先生との授業の思い出 ...................................................................................................... 21
英語教育専修4年 平塚友利恵
ご退官おめでとうございます .............................................................................................. 22
英語教育専修 4 年 児玉朱音
林先生の授業 ........................................................................................................................ 23
平成22年度卒業 生谷あや
英米文学入門 授業感想レポート ....................................................................................... 24
英語教育専修 2 年 佐々木彩乃
林先生の授業 ........................................................................................................................ 25
英語教育学専修4年 福田彩夏
林先生の授業 ........................................................................................................................ 26
英語教育専修4年 深谷趣里
4
英米文学史 授業の感想 ...................................................................................................... 27
国語教育専修2年 加藤 悠乃
英米文学入門 授業の感想 .................................................................................................. 28
教育実践学専修2年 長谷川夕紀
<英米文学入門> ~授業の感想~ ...................................................................................... 29
英語教育専修2年 栗田香好美
講義感想 ............................................................................................................................... 29
英語教育専修2年 下條理子
英米文学入門 ........................................................................................................................ 30
国際理解教育専攻3年
齋藤 瞳
英米文学入門 授業感想 ...................................................................................................... 31
英語教育専修2年 朽名志保
映像を用いた授業に対する感想 ........................................................................................... 32
国語教育専修2年 伊藤佳澄
学生からのレポート ............................................................................................................. 33
古き良き英国の古城・庭園から学ぶもの ............................................................................ 33
~「つながる」を軸に今後の地域コミュニティ活性化の一考察~
教職大学院教育学研究科 大谷加奈子
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静岡大学での教員生活を振り返って
林
正雄
未だ先は長いと思っていたのに、いつの間にか定年退職の時期が近づいてき
た。
「少年老い易く、学成り難し」の言葉が実感される。教育学部英語教育講座
のご斡旋で退官記念号を出版していただけるとのことなので、本稿をまとめる
ことで、これまでの学究生活を振り返るよすがとしたい。
大学院を卒業して熊本大学に赴任したての頃はテキストの精読を中心とした
授業展開であった。熊本大学の北には立田山があり、放課後学生は体力をつけ
るために山頂までマラソンをしていた。私もよく立田山まで歩いたものである
が、途中に細川家の霊廟所があり、庭園散策を楽しんだ。夏休の卒論合宿では
阿蘇山にある合宿所で Women in Love を読んだ。熊本時代には、学生ととも
に天草や阿蘇山に出かけ、雄大な自然の景観を楽しみながら D.H.ロレンス、T.
ハーディー、G. エリオット、などイギリスの自然派の作家を中心に読み進め
ることができた。
熊本大学文学部には夏目漱石記念館が置かれていて、その前には大きなソテ
ツが植えられた庭があった。その庭の中に太い幹を持つクヌギの木があり、足
で幹を蹴ると、振動に耐えられずに油断していたクワガタがバラバラ音を立て
て枯葉の上に落ちてくるのであった。あるときかなり大物が落ちた。昆虫にも
詳しい英語学の藤原保明氏に見てただいたところオオクワガタで、デパートで
は高値で取引されているとのことであった。息子への土産にと思って茶封筒に
入れておいたが、プールから帰ってみると穴をあけて逃げ去っていた。熊本の
夏は蒸し暑く、二人の子供を連れて江津湖で涼をとるのが楽しみであった。
昭和59年7月に在外研究員としてサセックス大学のロレンス・ラーナー教
授に師事してイギリス演劇、小説などを研究した。ブライトンの下宿先からラ
ーナー教授の家までは歩いて5分程度の距離だったので、時々ご自宅にお邪魔
することができた。空港の免税店で大吟醸酒をお土産に用意したところ、口に
含まれてはじめのうちは微妙な面持ちであったが、すぐに「おいしい」とおっ
しゃってくださった。奥さまは料理がご趣味でいろいろ御馳走してくださった。
チャーハンを作られたことがあったが、濃厚なダシが利いていて、すこぶるお
いしかった。居間の吹き抜けの天井が高く、冬の暖房が利かないとこぼされて
おられた。
サセックス大学の建物は高さを抑えて設計されていて、遠くから見ると森に
埋もれていた。ブライトン駅からファルモア駅までの乗客のほとんどはサセッ
クス大学に通う学生たちであった。鬱蒼とした樹木に囲まれた静謐なチャペル
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で心を鎮めることができた。
行楽地として名を馳せているブライトンの海岸には陸から海に突き出してい
るピアーズがいくつかあり、海上の遊技場でゲームや食事を楽しむことができ
た。夏になって海水浴を楽しもうと海に入ったが、温度が低くて震えてしまっ
た。イギリス人たちは何事もないかのように長時間海水浴を楽しんでいた。皮
下脂肪の厚さの違いを見せつけられた気がした。
平成3年7月には、平成 3 年度英語教員英国派遣計画に採用されてレディン
グ大学で「外国人のための英語教授法」TEFL(Teaching English as a Foreign
Language)の講習会に参加することができた。論文審査と文部省で行われたブ
リティッシカウンセル職員による面接を経て国内から14名の大学教員が選出
された。英語教員の精鋭部隊のような実力派が集結する中で、私は身の置き所
が無かった。この講習は、朝から晩まで英語教授法の習得を目的として厳しく
しごかれるインテンシヴ・コースであったが、週末にはカウチが用意されてい
ろいろなところに案内していただいた。
近くの小学校への授業参観、オックスフォード大学、シェークスピアゆかり
のストラットフォード散策と観劇、16 世紀に建てられたカントリー・ハウス
The Vyne 訪問、温泉町バース、ウィンザー城とイートン・スクール、等々。
イートン校ではエリザベス 1 世の肖像が掲げられている大食堂や、中庭、礼拝
堂などを案内していただいた。後で考えるとハリー・ポッターの学寮生活を覗
いたような気がした。夏休み期間中でイートン校の生徒がいないので、特別に
入校を許可していただいたとのことであった。ブリティッシ・カウンセルのご
厚意に改めて感謝したい。英国文化の実際の姿を自分自身の目で確かめられる
この企画はとても有益であった。テキストを読んで単に意味をとるだけの訳読
式ではなくて、英詩を読んだ後でそのタイトルを推測させたり、英詩の中のキ
ーワードの穴埋め問題として、総合的な英語力を養成しようとする文学教育法
は斬新さがあり、各種のリソース・ブックを頼りに静大に戻ってから授業の中
に取り入れた。
この講座の演題には、
「視聴覚教材の利用方法」(The Use of Video in TEFL)
も含まれており、保守的と思っていた英国の教授法が映像資料の利用法にも門
戸を開いていることはさわやかな驚きであった。
この留学をきっかけに、ややもすれば訳読式英語教授法一辺倒で来た私のこ
れまでの英語教育法に一区切りをつけ、映像資料を取り入れた英語教育を本腰
を入れて研究しはじめることができた。主な音声・映像資料は NHK による BBC
放送を利用することが多かった。音楽サヴァン少年のマット・サヴィッジ、一
度見た光景を正確に再現できる人間カメラ少年スティーヴン・ウィルトシャー、
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五次元世界の可能性を提唱したリサ・ランドール博士、居酒屋の閉店の後で街
の暴行事件をなくそうとしてチョコレートを配るボーンマス警察のカーティス
巡査、クラシカル・コンサートの聴衆を魅了する7歳のピアニストのマーク・
ユーとその母親のクロエ、まるで旧知の友であるかのように思いだされる。
英語スクリプトを書き取る中で、こうした人物の会話音声を繰り返し聞き取
ろうとする試みを重ねることによって、映像の人物が生身の人間以上に親しく
感じられてくるのである。現実以上にリアルなイメージとして記憶されている。
BBC 番組を教材として用いる利点は、少なくない。最新の学問的知見を番組
化しているので興味深い番組内容を知ることができる。それにより全方位的に
世の中の進歩発展する内容を理解することができる。日英二か国語で放送され
るので、内容のある英語学習が可能である。その際日本語放送を参考にしなが
ら、英語スクリプトを書き取る習慣をつけると様々な分野での英語表現力をつ
けることができる。
視聴覚資料を利用する試みの一環として、英米文学史では文芸映画作品を利
用した。
『テス』
『ジェーン・エア』
『ロミオとジュリエット』
『プライドと偏見』
などが学生の間で好評であった。原作の訳読を基本に置きながらも映像・音声・
映画スクリプトを導入することにより、楽しく学べる英文学史の授業を心掛け
ることができた。映画スクリプトを聞き取り、その会話が原作でどのように表
現されているか比較しながら、原作を読み始める導入教材とすることができた。
本号では、このような視聴覚教材を大幅に取り入れた授業の感想を卒業生や在
学生から寄稿していただいた。
丸山先生からは、粋の極致とも言うべき珠玉の詩篇をいただいた。アクロス
ティックである。左端のアルファベットを縦につないでいただきたい。右端の
脚韻の響きも見事なものである。こうした決まり事の中でリズムと意味を紡い
でゆくためには始終言葉を磨いていなければならない。静大の英語科では確か
な英語力を持つ先生が粛々とご専門の研究を深めておられるのである。
こうしてこれまでに授業で扱ってきた内容を振り返ると、相当に高度の英語
力を必要とするものが少なくない。静岡大学の学生はよく授業についてきてく
れた。メールで届けられる学生レポートも自分なりの興味を探求したグラフィ
ック・アートのセンスが豊かに感じられるものが少なくなかった。教員として
自分の興味の赴くままに内容の豊かな教材を用いながら、学生と共に学ぶこと
ができたことは幸いなことであった。
駿河湾
片帆の別れ
淡き春
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林先生との思い出と感謝の意
英語科共同研究室
丸山 圭子
英語科共同研究室に13年余り在籍させて戴きまして、林先生には大変お世
話になりました。林先生とのエピソード、思い出を少し綴らせて頂きます。
共通 L 棟に研究室があった頃、初めて書類をお届けした日の事。
林先生の研究室のドアをノックし、先生の「はあい」と気さくで優しい声が聞
こえドアを開けるとそこに重量感のある両袖机が最初に目に飛び込み窓の光を
背にしてこちらを向いて座っている先生がいらっしゃいました。部屋に足を踏
み入れなくても書類を渡せる距離、なんてユニークなレイアウト、
「林先生って
面白いユーモアのある先生」が第一印象でした。
英語科共同研究室にて大学院の授業をされた事が幾度かありましたが、その
都度、事務の傍ら聴講させて頂きました。英米文学作品の映画やイギリスの美
しい風景や古城などの DVD を観ながら大事なポイントで画像を止めて分かり
やすく時にはジョークを交えながら解説される授業はとても和やかで楽しいも
のでした。授業終了後、林マジックにかかってしまいもっと講義を聴いてみた
いという思いが残りました。
林ゼミの学生達が口々に「林先生は引き出しの多い先生なのでいろいろ勉強
になるし楽しい」とよく耳にします。確かに文学以外の分野も良くご存知で時
折お話の中に脳科学や宇宙、天文学など話題が大変豊富でいらっしゃるので、
つい『へーへーへー』と心のボタンを押してしまいます。また、流行にも敏感
でいらっしゃるのでその時代の人気作品を取り入れた授業や、学生達が大好き
なディズニーや宮崎駿のアニメなども多く取り入れていらっしゃる事が林先生
の人気のひとつだったと思います。そして、女子には癒し系で人気だったよう
です。
最後に林先生には事務の面で多々ご迷惑をお掛けしたことをお詫び申し上げ
ます。そして先生との出会いでいろいろ学ばせて頂けた事に感謝申し上げます。
これからもご研究を続けられるものと拝察致しますが、『眺めの良い終の住処』
でどうぞご健康に留意され、ご活躍されることをお祈り申し上げます。
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『トムは真夜中の庭で』
、『ダーバヴィル家のテス』
、そしてその他
静岡県立高校教諭
佐野
澄広
林正雄先生との出会いは2006年になってしばらく後の電話から始まりま
した。電話口の声に英文学・文化領域のみならず、長年のご研究からのアメリ
カ文学に対する造詣の深さが滲み出ている響きを感じた覚えがあります。受講
の機会に恵まれた授業では伝統的、正統的な形式展開を楽しむことに加え、I
CT活用による音声映像教材を駆使しての内容からも多くを享受することがで
きました。個々のこうした時間や場面での色々なやり取りは数多く思い浮かぶ
ところですが、今回は林先生の講義で取り上げられた作品を2つほど、そして
私の修士論文作成に関わる思い出について述べさせていただければと思います。
Philippa Pearce の Tom’s Midnight Garden は 林先生の授業で取り上げて
もらえなかったとしたら、おそらくずっと接することのなかった作品です。少
年少女向け冒険物という枠にとどまらない、心を広げてくれる物語で、今でも
内容を思い出したり、一部を読み返したりしています。現実の時間から想像上
の時間へと飛翔する Tom が Hatty と出会い、その架空の時間と実際の時間と
が物語が終盤へ近づくにつれ、接近していく、そして主人公 Tom も一歩大人へ
と成長する―子供時代に持っていた sensitivity を少し失うという犠牲を払い
ながら。自然環境豊かな作者 Pearce の生まれ育った田園地帯が産業資本主義
社会へと移行し、便利さと引き換えに次第に現代文明に汚染されていく過程が
重ねられるように描かれることと相まって、多くのことを考えさせてくれます。
作品講読の合間に英国の自然の映像を林先生が流し、建物紹介にも触れ、英国
人は頑丈な造りの家を建て、何世代にも渡ってその同じ家に住むことが可能な
ので、日本のように子の世代がマイホームに関して経済的負担や出費を強いら
れるのとは対照的だといったお話をされたことも思い起こされます。
林先生のもしかするとライフワークの一つといえるかもしれない Thomas
Hardy に関しても映像中心に授業内容のいくつかの断片がよみがえってきま
す。実は私は Tess のビデオを大学1年次に先輩学生から見せてもらった記憶が
あります。しかし当時は内容をしっかりと追えず、その後はずっとその作品名
と大まかな粗筋のみわかっているだけという状態に終わっておりました。それ
が林先生の授業にて内容あるものに昇華しました。悲劇といえば悲劇、不条理
劇と表現すれば不条理な世界ですが、映像の影響を差し引いても、映像的視覚
効果を目の前に映し出してくれる文学作品の魅力を教えてもらえました。
大学院修了の条件としての修士論文作成では林先生の頭の中の引き出しから
様々なものを提示してもらいました。living-will power や thanatos やら
10
memento mori などこちらの好き勝手と思えるような思考過程に付き合ってい
ただき、大変感謝しております。研究室で私がおぼろげながら考えている事柄
を話すと、関連すると思われる多くの知見が含蓄した答が返ってくるのですが、
それらを一旦受け止め、そして咀嚼し、自分の論につなげる作業がその後に待
っています。頭を使う骨の折れる過程でしたが、同時に自分自身の考え、思考
を活性化させる非常に楽しい、有意義なプロセスでもありました。メールでの
やり取りでも数え切れないほどお世話になり、その履歴自体が私の思考過程の
記録にもなっており、財産です。
今後も文書やメールでのご助言、ご指導を賜りたいところですが、直接お会
いする機会も何度か取っていただけることを望んでおります。長年にわたる静
岡大学での教鞭生活の一区切り、ご退官を心よりお祝い申し上げます。ご指導、
ありがとうございました。
(2009年3月静岡大学大学院教育学研究科英語教育専攻英米文学専修修了)
11
英語科教育特別研究を受講して
常葉学園短期大学
新妻
明子
1. はじめに
私が受講させていただいた林先生の授業は、大学院での「英語科教育特別研
究」であった。授業で主に扱った作品は以下のとおりである。
(1)A Room with a View(『眺めのある部屋』)
E. M. Forster
(2)The Da Vinci Code(『ダ・ヴィンチ・コード』)Dan Brown
(3)Alice in Wonderland(『不思議の国のアリス』) Lewis Carroll
(4)Narrative
J. Hillis Miller
(5)Mood Food~BBC ドキュメンタリー番組より~
作品の読解というよりは、それぞれの題材をもとにメディアを有効活用した
授業展開や、作品の背景知識を学ぶことによる題材の発展的展開について、様々
な可能性を考察した。作品の内容が多岐に渡っており、それぞれに多様な展開
の可能性を見出すことができた。ここでは、その中でも特に印象に残った The
Da Vinci Code と Alice in Wonderland について振り返る。
2.The Da Vinci Code(『ダ・ヴィンチ・コード』)
この作品は、世界中でベストセラーとなり映画化も実現したが、キリスト教
史についての知識やダ・ヴィンチが描いた『最後の晩餐』などの知識がなければ、
本文を読んで深く理解することは困難である。しかし、そのような知識がほと
んどなくても楽しむことができて人気があるのは、暗号を解いていく展開にあ
ると思われる。林(2005)では、「暗号」というテーマについて次のように述
べられている。
この小説の主要なテーマとなっている<コード(暗号)>は小説冒頭の描
写から始まって、最終章まで貫流している。世界はコード化されているとい
う考え方は、表面に見える現象の背後に真の原理が暗在すると言う思考形態
である。これは、自然界の仕組みの解明を目指そうとする真理探究の原動力
にもなりうるものである。現代でも生命科学の<生命の暗号>、物質の構造
を解明しようとする<超ヒモ理論>、銀河誕生の謎を解明しようとする<巨
大ブラック・ホール理論>などあらゆる学問研究の基礎となっている。
『ダ・ヴィンチ・コード』における最も重要なコードは、ダ・ヴィンチが
描いた『最後の晩餐』には表立って口にすることができない秘密情報が暗号
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化されている、というものである。小説最大のこのコードを際立たせるため
の布石として、作者は分かりやすいコードから紹介し始める。それが各種の
anagrams であり、Fibonacci sequence であり、golden ratio であり pentacle
である。これらの暗号は小説の主要テーマと直接の関連は薄いが、意外性を
秘めており読者を小説世界に引き込むために効果的である。
(林 (2005: 1-2))
暗号を解読していく展開に加えて、
「女性原理の復権」というテーマなども絡
み合い、いつの間にか物語に引き込まれていくところが最大の魅力といってよ
いだろう。そして、キリスト教史における事実に基づいたプロット展開になっ
ているため、読み進めていくうちに、どこまでが現実でどこまでがフィクショ
ンなのか惑わされ、読者にとってはすべてが真実であるかのように感じる。実
際に、パリにあるサン・シュルピス教会には、
『ダ・ヴィンチ・コード』のロー
ズラインを実際に見てみようという観光客がたくさん訪れるため、
「この教会は
『ダ・ヴィンチ・コード』のローズライン(子午線)とは関係ありません。」と
いう掲示が出ていた。私自身もそのような観光客の一人であったのだが、誰で
も「実はこのような暗号が隠されている」ということを知ると、その謎に興味
を惹きつけられるものであり、そのような心理を巧みに利用した展開になって
いる作品であるといえるだろう。
そのような「暗号」について授業で扱う際には、暗号を解読する部分だけを
詳しく取り上げながら展開を追うなどの方法が考えられる。また、DVD によ
る映像を利用することにより、
『最後の晩餐』を実際に見ながら暗号解読に迫っ
ていくことができるため、小説を読むこととの相乗効果が図れると思われる。
世界中から観光客が訪れるルーヴル美術館の建物を見ることができるというだ
けでも、映像を見ることには価値があるだろう。いずれにしても、テーマ性の
強い作品については、ひとつのテーマを採り上げてそれを掘り下げていくこと
によって、一度読んだだけでは得られないような深い理解を得ることができ、
新たな発見も生まれると思われる。また、
『ダ・ヴィンチ・コード』のような映
画は、原作を読んでいないと理解するのは難しいと考えられるが、授業におい
て映像を見てテーマの一部を理解することによって、さらに原作を読んでみよ
うという意欲をかきたてる機会を与えることができるかもしれない。
3. Alice in Wonderland(『不思議の国のアリス』)
ディズニー作品には児童から大人まで楽しめるものが多いため、英語の授業
の教材として有効活用したいところである。授業で扱った『不思議の国のアリ
13
ス』にはさまざまな空想世界のキャラクターが登場するため、挿絵や DVD の
映像はビジュアル的にも大いに楽しめると思われる。そして、歌や名文句が数
多く出てくるので、授業で有効利用できる点は多い。なぜなら、読んだり歌っ
たりして声に出すことを楽しめる教材となっているからである。新倉(2007)
でもこのような「名(迷)表現を愉しむ」ことを薦めており、
『不思議の国』の
第 9 章「ニセ海亀の物語」を次のように取り上げている。
論理とルールの世界を逃れて、非合理的な自由の世界に遊ぶ『不思議の国』
の第 9 章「ニセ海亀の物語」は、海の学校とアリスの学校とを比べて、息つく
ひまもなく「語呂合わせ」
(pun)の問答を繰り広げる。ノンセンスの公案と呼
んでもいいおもしろさだ。
(中略)アリスの合理主義(センス)と海亀の不合理
主義(ナンセンス)との対照がおもしろい。(新倉 (2007))
このような表現は苦労して翻訳してあるため、原文とのギャップがあること
が多く、原文を実際に耳にしたり、声に出して読んだりしながら英語での表現
を楽しむのに適していると思われる。また、翻訳と原文を読み比べてもよいし、
高校生や大学生であれば、翻訳にチャレンジしても面白いかもしれない。実際
に、大学院における授業においても聴き取りを行ったり、そのような表現の解
説を聞いたりすることによって、言葉のおもしろさを知ることができたと思う。
また、文学作品には興味深い表現が数多く出てくる。そのような表現は、英
語学の研究における事例としても取り上げられることが多く、
『不思議の国のア
リス』の中に出てくる文も Carrier & Randall(1989)で結果構文の例文として
取り上げられている。
(1)Alice ate the cake tall.
(Carrier & Randall (1989: 92))
これは、「アリスはケーキを食べて大きくなった」、つまり「ケーキを食べた結
果背が伸びた」という結果構文の解釈となる。この文で、結果を表す語に当た
る tall は、individual-level 述語と呼ばれ、次の例のように Carlson(1977)によ
ると、結果構文に現れることはできないとされてきた。
(2) a. John laughed himself {sick / *intelligent}.
b. John ate himself {full / *tall}.
結果構文では結果述語になることが可能なのは stage-level 述語であると考
14
えられている。しかし、(1)の例はその反例になるものであり、『不思議の国の
アリス』におけるコンテクストにおいては文法的に正しい文となる。このよう
な事実が何を意味しているのかを考えていくことは興味深いことであるが、い
ずれにしても、非現実的なコンテクストが与えられる文というのは、英語学的
に検証していく際にも様々な問題を提起してくれるように思う。
4. まとめ
2 つの作品について、講義において学んだことも含めて個人的見解を述べた
が、その他の題材もそれぞれに興味深い内容であった。ひとつの題材であって
も、どのような学生を対象にしてどのような目標を設定するかによって授業内
容は大きく変化する。教師というのはまさに「題材を教える」のではなくて「題
材で教え」なければならない、ということを改めて実感させられた授業であっ
た。そして、授業で扱う題材だけでなく、内容に関連した映像や資料を利用し
て自分自身の知識を深める重要性を感じた。それをどのように学生に提示する
かは次のステップの課題であるかもしれないが、まずは題材に関する自分の知
識を深めることによって、
「ひとつの題材を深く掘り下げて学んでいくことの楽
しさ」ともいえる知的興味関心を高める働きかけを学生に行っていく必要性が
あるのではないかと感じた。
また、授業で学んだ『最後の晩餐』を、その直後、実際に見に行き、その隠
された秘密についてじっくりと間近で見学できたことは生涯忘れられない思い
出となるだろう。多様な視点から思考を掘り下げていくことの面白さをご教授
いただいた林先生には、心より感謝している。
【参考文献】
Carlson, Gregory (1977) Reference to Kinds in English, Doctoral
dissertation, University of Massachusetts, Amherst. [Published by
Garland, New York, 1980]
Carrier, Jill and Janet H. Randall (1989) “From Conceptual Structure to
Syntax: Projecting from Resultatives,” ms., Harvard University and
Northeastern University.
林正雄(2005)『ダ・ヴィンチ・コード』の暗号―『ダ・ヴィンチ・コード』が
提起した諸問題―『平成 17 年度静岡大学教育学部研究報告
人文科学篇
第 56 号』pp.1-2
新倉俊一(2007)「『不思議の国のアリス』の名(迷)表現を愉しむ」(2007)
英語教育 2007 年 10 月増刊号
pp.42-43
15
ご退官を心よりお慶び申し上げます。
都立高校教諭
小島直子
林正雄先生のご退官を心よりお慶び申し上げます。また、私などが文章を書
かせて頂く事を、大変恐縮に思うと同時に、大変な幸せに感じております。
私は 2003 年 3 月に静岡大学を卒業しました。1998 年に入学し、1年間の留
学も含め5年間、教育学部生涯教育課程国際理解教育専攻(一期生)に在籍し
ました。最初から教員になるという絞込みもない中、英語は勉強したいと思い、
授業を選択しました。その結果、教員免許を取得する友人と何ら時間割の違い
がなかったため、免許も取る事にしました。その中で林先生の授業も受け、さ
らには留学・就職についてのご相談に、何度も研究室のドアを叩かせて頂きま
した。その後は、年賀状でのやり取りをさせて頂いております。
林先生は、指名される時「小島君」とおっしゃられたので、私にとって衝撃
的でした。大学の先生はそうやって呼ぶ方もいらっしゃるのだなと、少し嬉し
く恥ずかしい気持ちでおりました。
林先生と言えば、私の中では何と言っても「詩」です。「英米文学作品研究」
の授業では、英詩についてご講義頂いた事が非常に印象に残っております。そ
して授業中、あの瞬間を忘れる事はできません。ちょうど秋の季節に、キーツ
(John Keats)の‘Ode to Autumn’を読んでいた時のことです。いつものように、
林先生の温かみのある、そして優しい口調の授業を受けていました。
Season of mists and mellow fruitfulness,
Close bosom-friend of the maturing sun;
Conspiring with him how to load and bless
With fruit the vines that round the thatch-eaves run;
その詩は鮮やかで生命力を感じ、オレンジ色、茶色、深緑色、紫色を想像さ
せ、日常会話では使わない渋みのある、そして渋みの中にも明るさのある、そ
んな単語ばかりが続きます。上記の冒頭部分は特に印象的で、林先生のリズム
とトーン、表情さえも思い起こすほどです。静岡大学のキャンパスも、紅葉が
綺麗に色づき、その空気も秋そのもので、午後 2 時くらいには日差しもあり暖
かく、それは、それは、素敵な授業風景でした。その授業中、林先生は、まさ
に季節もぴったりのその詩を読みながら、
「こんな日には、今から散歩でも行き
たいですね。」とおっしゃられたのです。もちろん、本当に散歩には行きません
でしたが、趣のある詩を読んでいて、そのような事をこの絶好のタイミングで
16
おっしゃられる林先生の感性の素晴らしさに、私は感銘を受けました。という
のも、もしかしたらそれは、林先生となら本当にその散歩が叶う気がしたから
かもしれません。時には形にとらわれず、心の赴くままに、動く、生きる、…
そんな林先生のゆったりとして感受性の豊かな人間性に触れることができ、授
業の度に、私は林先生の大ファンになっていきました。もちろん、読んでいた
詩の林先生の深みのある声で発音する写実的な英単語も残っています。
林先生の授業で使った教科書(『英詩鑑賞入門』、新井明著、研究社出版)を
開くと、
「暗誦」というマークが何箇所も付いています。私は英文学を専攻した
訳ではありません。それでも、暗誦する事により、英文、英詩が自分の身体に
入り、少しでもその世界に近づけた気がしたのは確かです。また林先生と読ん
だことで、私は何故かこの‘Ode to Autumn’の詩が好きになりました。なぜなら、
私にとっては林先生そのものが生きている「詩」だったからかもしれません。
感じたままを表現する、私にとって、林先生はまさにそういう存在でした。
また大学 4 年生の時に、私は留学の事で大変困った事態におりました。その
時に手を差し伸べてくださったのも、林先生です。このことは一生忘れません。
今でも静岡大学の姉妹校、カナダのアルバータ大学へ留学出来たことは、大き
な財産となっております。
アルバータ大学の英語の授業(English 101)では、たくさんの詩、小説な
どの文学作品を読み(読まされ)ました。クラスメートとペアで、Percy Bysshe
Shelley を調べ、発表もし、その妻の Mary Shelley の“Frankenstein”にも
授業でかなりの時間を費やしました。彼ら二人の作品は私の血肉となり、いつ
しか特別な作家となっていました。キーツがそのシェリーとも親しく、二人と
も若くして亡くなり、同じ墓地のすぐ近くに眠っているということを、この文
章を寄せるにあたり初めて知ることとなりました。今になってようやく、キー
ツとシェリーの関係がつながったこの不思議さは、林先生が引き合わせてくれ
た小さな奇跡のように思います。
大学を卒業し、早 9 年が経ちます。静岡大学は、学生に対する先生の数がと
ても恵まれていました。多くの先生方が、学科を越えて学生の名前を認識して
くださっていたように感じます。そのような環境の中でも、林先生と出逢え、
たくさんの事を教えて頂けた事は、私にとって大きな幸福であったと思います。
この度、文章を寄せるにあたり、初めて林先生のご経歴を拝見し大変驚きま
した。ああ、それで、あのように授業が深かったのだなと、思い返している次
第です。現在わたくしは結婚をし、3歳の子どもを持ちながら都立高校で教員
をしています。今更ながら、また先生の授業を受けたいと本気で思っています。
まだまだ教えて頂きたい事がたくさんあるような気がしてなりません。ご退官
17
後は、県立短期大学と私立常葉学園大学で、非常勤講師をなさると伺いました。
両大学の学生に嫉妬を感じながらも、私もまだまだ勉強不足ですので、いつか
大学院で学ぼうという野望を持ち続け、タイミングを見計らっております。私
が学んだ大学が静岡大学であったこと、そして林先生であったことに感謝と誇
りを感じております。林先生には、これからも独特のゆったりとして広く大き
く、温かみのある講義を続けて頂きたいと思います。どうぞお身体にお気をつ
けてますますのご活躍をされますよう、ご健勝とご発展を心よりお祈り申し上
げます。
林先生の授業の思いで
英語教育専修4年
小野
亜理沙
林先生、この度はご定年をお迎えになられ、誠におめでとうございます。
先生は、いつも穏やかで、マイペースな方でした。授業は、イングリッシュ・
ガーデン、イギリス文学中心の内容でした。美しい英国の庭園や、シェイク
スピアの『ロミオとジュリエット』、『真夏の夜の夢』、『ハムレット』などの
映像を見せてくださいました。それまで、英国の文学作品に触れる機会が少
なかった私にとって、林先生の授業は貴重な機会となりました。中でも、真
夏の夜の夢は、とてもおもしろかったです。「シェイクスピアといえば悲劇」
というイメージを持っていたので、カップルが入れ替わったり、喧嘩したり、
なんだかいたずらっぽい喜劇は新鮮でした。そして、イングリッシュ・ガー
デンの映像は本当に美しかったです。日本の庭園とは違う風景庭園で、とて
も広いイメージをもちました。昨年の秋にイギリスに旅行した際に、イング
リッシュ・ガーデンには行けなかったものの、オックスフォードやコッツウ
ォルズ、ストラトフォード、ストーンヘンジ、ロンドンに足を運びました。
どの場所も、とても魅力的で、歴史があり、また訪れたいと思いました。ス
トーンヘンジへ行った時は、授業の中で鑑賞した『ダーバビル家のテス』を
思い出しました。
林先生は、イングリッシュ・ガーデンや英国鉄道、シェイクスピア作品につ
いて、いつもとても楽しそうに魅力を語ってくれました。先生が楽しそうに語
ることで、作品の魅力がより伝わってきました。私がイギリスへ行ってみたい
と強く思うようになったきっかけは林先生の授業でした。
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私は学籍番号が若いので、一番前の、先生の目の前の席でした。そして、い
つも午後に授業があったので映画を見ている時など、たまにうとっとしてしま
う時もありました。しかし、目の前に先生がいたので「あ、寝ちゃだめだー」
と思いながら、やっぱりうとうとしてしまった思い出があります。
私は、林先生の朗読が好きでした。英語は英語でも、アメリカ人の英会話と
は全く違い、一言一言をはっきりと力強く読む姿が印象的でした。私は、春か
ら高校の英語教員として働きます。その中で、単語や文法だけでなく、英米文
学の魅力や、イギリスの魅力などを伝えていきたいと思います。
今まで、ありがとうございました。
林先生のこと
英語教育専修4年
青山晴香
林先生、本当にお世話になりました。私は授業ではもちろん、ゼミでも林先
生に教えていただき、たくさん面倒を見ていただいたと思います。
林先生の授業では英米文学について、映画やドキュメンタリー映像を使った
視聴覚教材を中心に楽しく英語を学ばせていただきました。
『千と千尋の神隠し』
の英語吹き替え版や様々なディズニー映画を英語で見て、英語でのリスニング
を楽しむことができました。また、Tess などのイギリス映画を見せていただき、
イギリス文化やイギリスの英語を体験することもできました。先生はとても博
識で、様々な知識を私たちに教えてくださいました。
私がカナダに1年間留学していたときは、時々メールをいただき、とても嬉
しく思いました。先生が作られた俳句を添えてくださるなど、義務的なメール
ではなくいつもあたたかさを感じられるメールを送ってくださいました。
留学後は私の進路について、たくさん応援していただきました。うまくいか
ず不安な時もありましたが、きれいな青空の写真と応援のメッセージをメール
で送ってくださった時はとても元気がでました。先生のあたたかく優しい言葉
に癒されました。
私はゼミ生ということで、林先生のはからいで大学院生の授業に参加したこ
ともありました。とても勉強になり、院生の方とお話できる良い経験をさせて
いただきました。ゼミでは中国茶を飲んでまったりしながら、いろいろな話を
しました。先生と過ごす時間はとても楽しく、また、沢山のことを私に与えて
くださいました。
19
私は林先生のお人柄が好きで、先生のゼミを選びました。もちろん私は文学
に興味があり、英米文学をやりたかったのもありますが、先生の常に学び続け
る姿勢や、映画などの視聴覚教材を使ったユニークな授業の展開の仕方、そし
て何よりも先生の学生に話をされる暖かな対応にとても惹かれたのです。そし
てそれはいつも変わらず、とても充実した時間を過ごさせていただきました。
卒論はなかなか進まない私でしたが、先生はすぐにメールで校正やアドバイ
スを送ってくださいました。内容に関しては私がやりたいようにやらせてもら
い、私自身楽しんで卒論を仕上げることができました。最後までしっかりサポ
ートしてくださり、本当に感謝しています。
春がきたら先生はご退官、そして私も卒業であり、お互いに静岡大学を離れ
ることとなります。とても寂しく思いますが、先生はこれからも学生に教え続
けられるということなので、心から応援しています。どうか健康に留意され、
お元気でご活躍ください。いままで本当にお世話になりました。ありがとうご
ざいました。
林先生の授業を受けて
英語教育専修3年
安形結衣
私が一番印象に残っている授業は3年生前期で受けた英文学史の授業です。
この授業では、ドキュメンタリー番組や映画を見たり、イギリスの庭園につい
て学んだりすることができました。私は、イギリスの文化や歴史に興味があっ
たので、毎週、先生の授業を受けることを本当に楽しみにしていました。特に
イギリスの庭園についての授業では、先生がさまざまな資料や映像を見せてく
れたり、時には先生がイギリスに行かれた際の写真を見せてくださったりしま
した。その中でもコッツウォルズについての授業は、世界にはこんなにも綺麗
でのどかな場所があるのかと、本当に驚きました。私は先生の授業を受けるま
で、コッツウォルズという名前も場所も知りませんでした。しかし先生が授業
中、何度もコッツウォルズの庭園について見せてくださったので、その美しい
景色や庭園に本当に心を惹かれ、一度自分でコッツウォルズに行き、自分の目
でそれらを見てみたいと強く感じるようになりました。そして3年時の夏休み
に、ついに3週間留学でコッツウォルズに行くことに決めました。このことを
先生にお話しすると、おすすめの場所や注意するべきことなど、優しくアドバ
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イスをくださいました。3週間の留学は本当にあっという間でした。留学では、
私がコッツウォルズについて知り、興味を持つことが出来た先生の授業で学ん
ださまざまな庭園や、2年生の時に学んだロンドンの聖堂や名所に行きました。
実際に自分で足を運んで自分の目で見たコッツウォルズの地は、本当に美しく、
人も温かく素晴らしい場所でした。先生にコッツウォルズについて教えていた
だいたおかげで、このような素晴らしい経験をすることができ、本当に感謝し
ています。
1年生の時には私達の担当教員として、新入生セミナーなども受け持ってく
ださいました。入学したばかりの時は、毎日不安でいっぱいだったので、先生
の優しく穏やかな雰囲気や言葉に何度も救われました。私は来年、教員採用試
験を受けることを考えています。先生が私に留学に行くきっかけを与えてくだ
さったように、私も児童生徒に学習の楽しみを教えたり、興味・関心を深めた
りできるような授業ができる教師を目指したいです。また、児童生徒に安心を
与えられるような穏やかで優しい教師になりたいです。3年間本当にありがと
うございました。
林先生との授業の思い出
英語教育専修4年
平塚友利恵
この度、林先生が退官なさるということで、ご退官のお祝いを申し上げます。
林先生には大学での授業で大変お世話になりましたので、林先生との授業の思
い出を書きたいと思います。
林先生の授業は視聴覚教材をよく使ったものが多く、楽しく英語の学習がで
きました。特に、英米文学の授業を林先生は行ってくださいました。文学にあ
まり親しんだことのなかった私は、英米文学はただ難しい作品だと思っていま
したが、ビデオを見ることにより難しい作品の内容を理解でき、私が英米文学
に興味を持つきっかけにもなりました。あの有名なシェイクスピアの『ロミオ
とジュリエット』や、
『真夏の夜の夢』などのビデオを授業で見ましたが、有名
な作品に出会う機会ができて良かったと感じています。
『ロミオとジュリエット』
では詩を歌う場面がありましたが、その詩を先生と共に読んだことを覚えてい
ます。作品のビデオを見る時、林先生はよく有名な詩や、先生の気に入ってい
る詩が出る度にビデオを止めて、みんなで声をそろえて読みました。
21
授業を受けていて、林先生は本当に多くのことに興味を持っていていらっし
ゃる方だと感じました。先ほど書いた、有名な作品だけでなく、ディズニーの
作品、イングリッシュ・ガーデンや、J 文学というテキストとビデオで日本文
学を英語で学習もしました。ディズニーの作品を鑑賞する時もまた、先生は特
に詩に注目し私たちに詩の良さを伝えて下さいました。常に林先生からは私が
気付かずにいた良さを教えてもらった気がします。あの授業がきっかけとなり、
学生で集まってディズニーの作品を英語で見たりもしました。
その中でも特に J 文学の教材を使った授業も私はとても好きでした。日本語
の作品を英語で楽しみ、また作品についてのいろいろな解釈をビデオで見まし
た。同じ作品でも日本語と英語ではセリフのニュアンスが違っていて、とても
興味深かったです。日本語と英語では完全に表現を訳すことはできない、日本
語と英語それぞれ特有の表現がたくさんあり、それがまたその作品の良さを作
り出しているように私は感じました。とても面白い教材に出会えて良かったで
す。
イングリッシュ・ガーデンについても私にとっては新しい出会いで興味深い
授業でした。イギリスの庭園にはあんなにも長い歴史があったとは知りません
でした。イギリスの庭園を通じて、イギリスやヨーロッパの歴史についても調
べる機会もでき、私の世界が多少広がった気がします。
林先生には本当にたくさんの作品、そして教材に出会わせてもらいました。
どれも、林先生独自のもので、他の授業にはない面白さがあり楽しく英米文学、
そして英語を学ぶことができました。英語を使っていろいろなことが学べると
いうことを教えていただいたように思います。また視聴覚教材はとても親しみ
やすい教材ですが、その有効的な活用の方法もたくさん体験することができま
した。林先生はきっとこれからも多くの事に興味を持っていかれると思います
が、ますますのご活躍をされることを祈っています。長い間、私たちをご指導
頂きまして本当にありがとうございました。
ご退官おめでとうございます
英語教育専修 4 年
児玉朱音
林先生、ご退官おめでとうございます。長い間静岡大学で教鞭を執ってこら
れたと思いますが、本当にお疲れ様でした。
22
私は林先生には、大学 1、2、3 年生のときの授業で大変お世話になりました。
林先生の穏やかな人柄が授業に反映され、毎回とても和やかな雰囲気で授業が
進められていたなあと思います。
林先生の授業で特に印象的なことは、イングリッシュ・ガーデンです。授業
では、英国の庭園についての英文を読んだり、映像を見たり、私は授業を通し
て英国の庭園を見てみたいと思うようになりました。また先生が実際にヨーロ
ッパを訪れた際の話を聞いたり、写真を授業で拝見したりして、より一層行っ
てみたいなあと思いました。
イングリッシュ・ガーデン以外にも、様々な種類のビデオを見たのを覚えて
います。中でも楽しかった授業は、ディズニーのアニメーションを英語で見た
ときです。元々ディズニー映画は好きでしたが、英語で観る機会がなかったの
で、先生の授業を通して英語で観ることも面白いなあと感じました。また授業
で観たディズニー映画の続きが早く知りたくなり友人と一緒に授業後に家で観
た思い出があります。
最後になりましたが、4 年間本当にありがとうございました。そして長い間
お疲れ様でした。私は、英語科という素敵な学科に入ることができ、英語科の
仲間や林先生を始めとする先生方と出会うことができたことにとても感謝して
います。私も大学で得たことを糧に、4 月から新たな環境で精一杯頑張ります。
林先生の新たな場所でのご活躍を心よりお祈り申し上げます。また英語科のリ
ユニオンでお会いするのを楽しみにしています。
林先生の授業
平成22年度卒業小学校教諭
生谷あや
林先生の授業で特に心に残っているのは、Tom’s Midnight Garden と『ダ・
ヴィンチ・コード』です。普段、文学作品や映画を手に取らない私にはとても
貴重な機会でもありました。初心者の私でも映像を見たり、英文を読んだりい
ろんな方法で学ぶことで、作品を楽しむことができました。私は英文をじっく
り和訳していくのも好きだったので、林先生が提示してくださった文をああで
もない、こうでもないと考えるのも面白かったです。作品のあらすじがわかっ
てくると一層読み進めるのが楽しみでした。読む、書く、聞く、観るというい
ろんな方法で文学を楽しく学べました。
23
卒論では、相談に行かせていただくといつもいろんな資料を紹介してくださ
ったり、アドバイスをくださったりしました。とてもうれしかったのはいつも
励ましてくださったことです。採用試験前もそうでした。気がはっている時期
でも林先生とお話していると気持ちが和み、励ましていただいて元気もでまし
た。
おかげさまで、卒論も採用試験も楽しく乗り切ることができました。卒論で
扱った「えいごリアン」も、少しですが学級で活用することもできました。小
学校2年生なので外国語活動は学期に1度ですが、学んだことを生かして楽し
く授業しています。
英米文学入門
授業感想レポート
英語教育専修 2 年
佐々木彩乃
私は、これまでの授業を通して最も印象を受けたのは、様々な英米文学から
英語に楽しく触れることができるという事のすばらしさです。特に多くの英詩
を教材に取り上げてくださり、その英詩を読み取る活動から英語特有の表現や
言い回しの根本的な意味や活用の仕方を学び取ることができたように思います。
中でも「韻」に関して、脚韻を踏むことで、聞こえの良い耳になじみ英語の流れ
が意識されている点が奥深いと感じました。‘What is a youth?’ などは顕著な
例だと思います。どの連にも巧みに組み込まれていて、また語彙も意味が取り
やすい簡単なレベルであるため、理解しやすいのではないかと感じました。英
詩的許容について、強調したい部分を倒置させたり、例えば‘shallの運命、強
い意志などの助動詞のもつ多様な意味をもりこんで作られている点などは、英
語の文法知識を学ぶ上でもうまく活用できるのではないかと思いました。
また、英詩を学ぶ上でやはり忘れてはならないのはシェイクスピアの作品で
す。これらは英詩に問わず、作品中のセリフなどにも多くその技法が盛り込ま
れているということを学びました。 作品鑑賞をすることから、字幕の活用の仕
方を工夫すればリスニング練習やシャドウイングなども行えるのが良い点だと
感じました。英詩を暗唱することで、英語教育で重要な音読もさせられるので、
様々な利点があると思いました。
以上のことから、英詩を授業で扱うことに、どのような価値があるのかを私
24
は次の5つにまとめられると考えました。
1 短かくて、イメージが広がり安く、想像力・創造力を育むことができる。
2 リズムがあり、同じ文型の繰返しも多く、記憶しやすい。印象に残る。
3 短いので、時間の余ったときなど小話程度でも活用できる。
4 鑑賞をもとに、自己表現を詩の形で促すことができる。
5 文集化して、留学など海外との交流に使える。異文化理解への発展性。
このように、英詩を授業の教材として活用することには多くのメリットがあ
るということを林先生の授業から学ばせていただきました。今後、教育現場に
おいて英語教育に携わるうえで、これらのことを十分に生かした授業を行いた
いと思います。そのために、授業で学んだ英詩はもちろんのことながら、他に
も有名な作品を調べて理解を深め、さらに英詩を覚えこみ、それを次のステッ
プに活用できるようにしていきたいと思います。とても有意義な授業時間を与
えていただきありがとうございました。
林先生の授業
英語教育学専修4年
福田彩夏
林先生の授業といえば視聴覚教材です!林先生の授業の思い出は、多くのデ
ィズニー映画、
『千と千尋の神隠し』やサバンの映像を観たことです。何度も繰
り返し映像をみるので、今でも内容を覚えています。また、自分たちが知って
いる話を英語で聞くことができ、とても理解しやすかったです。加えて、将来
教壇に立つときに、私もぜひ使ってみたいという教材でした。とても参考にな
りました。
多くの作品を観た中で、私が思い出深いものは、
『千と千尋の神隠し』と『ロ
ミオとジュリエット』です。ジブリ映画を英語で観たことがなかったので、と
ても感動しました。英語科のみんなで林先生から『千と千尋の神隠し』の DVD
を貸していただき、みんなで観たのもいい思い出です。子どもの興味を引く作
品を選び、授業に活かすことはとても大切なことだと改めて感じました。次に、
『ロミオとジュリエット』は、林先生のおかげで私の好きな映画の一つになり
ました。映画を観るまで、有名なセリフである「あぁロミオ、なぜあなたはロ
ミオなの?」という言葉しかしりませんでした。しかし、授業を通してそのフ
レーズがどこで使われ、どんな意味を持つのかということを知ることができま
25
した。とても悲しく切ない二人の恋愛を描く作品であり、私に衝撃を与える作
品でした。しばらく見ていないので、改めて『ロミオとジュリエット』を観て
みたいと思います。
林先生は、フェイスブックのお友達になってくださり、カナダにいる時も連
絡を取ることができ、とても嬉しく思いました。また、フェイスブックに英語
科の集合写真やリユニオンの写真を載せていただき、とても感謝しています。
それと同時に、林先生のパソコンの技術に驚かされました。私はこの春卒業し
ますが、これからもフェイスブックなどで連絡をとれると思うと、とても嬉し
く、心強く感じます。
また、教員採用試験の時は、「調子はどうですか?」と声をかけてくださっ
たり、
「大丈夫でしょう」と言っていただいたり、本当に嬉しかったです。あり
がとうございます。林先生と I 棟で会うことは少なかったですが、会うたびに
お話ししてくださり、私たちのことを覚えていてくださり、とても感謝してい
ます。また機会があればお話ししたいです。今まで本当にお世話になりました。
ありがとうございます。体に気をつけて、これからもがんばってください。フ
ェイスブックで林先生の写真を見るのを楽しみにしています。
林先生の授業
英語教育専修4年
深谷趣里
林先生の授業では、
『ロミオとジュリエット』や『ジェーン・エア』、
『嵐が丘』
などの名前はよく耳にするが読んだことや見たことのなかった名作たちを、た
だ読むだけではなく DVD も見ながら、分かりにくい人物の相関関係などは先
生が説明を加えて話を進めてくれたので内容も分かりやすく、文学作品を楽し
むことができました。
また、別の授業ではイギリス庭園をたくさん紹介していただきました。日本
の庭園とは全く様式の違うイギリス庭園をたくさんの写真とあわせて、イギリ
ス庭園をとりあげた番組の映像も使って紹介していただきました。日本庭園と
は違ったイギリス庭園の良さや、様々な形式の庭園があることが分かり、とて
も勉強になりました。いつかイギリスへ行く機会があったら、先生の授業でと
りあげられていたイギリス庭園を訪れてみたいと思います。
林先生の授業は、私にとって興味の持てる内容がたくさん取り入れられてい
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て、とても楽しかったです。また、先生はとても穏やかで、入学時から私たち
の学年の指導教員としていつも優しくご指導していただきました。本当にあり
がとうございました。
英米文学史
授業の感想
国語教育専修2年
加藤 悠乃
今まで、英米文学についてほとんど知らず、英米文学に対し難しくかたそう
なイメージをいだいていたため英米文学史の授業に不安を抱いていました。し
かし林先生の授業では、単に座学で文学史を読んで暗記したり訳したりするの
ではなく主に実際の作品のDVDなどの映像をみながら登場人物の台詞の表現
や作品のかかれた時代背景に注目して学習が進んでいきました。シェイクスピ
アのハムレットについて、あまり知らなかったのですが、DVDをみることで
大変分かりやすくストーリーや登場人物どうしの関係を理解することができた
と思いました。DVDなどの映像のような視覚を用いた教材を通して学習する
ことによって、興味・関心がわくことはもちろんその分かりやすさから理解が
スムーズになるだろうしその後さらにその教材について知りたいというような
学習意欲もわいてくると思います。実際私自身がそうでした。
授業では、有名な作品につかわれている独特で少し特徴のある表現や台詞を
暗記したり、英文学史を自分なりにまとめたりする課題がいくつか出ました。
暗記したり、自分のやり方でまとめたりする過程はとても苦労しましたがこう
いったことを通して作品で用いられる表現方法が自分自身にしみこみ、使える
ものにできたし自分なりにまとめをすることで頭の中が整理され自分なりにつ
くったものである英文学史が頭にはいった気がします。
こういった授業を通して、今まで興味をもってこなかった英文学や英文学史
をずっと身近に面白く感じるようになりました。私は、国語科に所属し日本の
古典文学や日本の古代・近代文学に以前から興味をもって学んできました。英
文学を学ぶことを通し日本文学の良さ・魅力を再認識すると共に英文学の今ま
で知らなかった面白さに気づくことができました。
27
英米文学入門
授業の感想
教育実践学専修2年
長谷川夕紀
授業では、
『ロミオとジュリエット』や『ハムレット』などの映像教材を見た。
名前は聞いたことはあったが、内容についてはほとんど知らなかった。映像は
全部英語だったので理解するのに少し苦労したが、先生が「この人は~~です
ね。
」と解説して下さったり、物語に出てくる英文をみんなで発音して、日本語
訳を考えてみたりしたので、ただ単に見るという行為よりすごく頭に入りやす
かった。また、その物語が作られた当時の時代背景や、文学史についても先生
は教えて下さり、その物語と合わせて覚えることができた。また、物語中に出
てくる詩についてもすごく興味深かった。日本語の詩では、第何連は韻を踏む、
という決まりがあるが、英語の詩においてもそういった韻を踏む決まりがある
のかなと考えられた。どの詩においても綺麗に韻が踏んであってすごいなと思
った。もし日本語で詩を考えたとしても韻を考えるのは難しいと思う。それを
英語で考えるとなると、さらに難しくなるかと思ったけど、学期末には頑張っ
て良い詩を考えて達成感を味わいたいと思う。
また、授業中には何度か小テストを行った。小テストを行うことによって、
知識はより深くなると思うし、より英米文学に興味をもつことができるように
考えられた。そのほかには、先生がたまに小ネタのようなこと、例えば、叙事
詩と抒情詩の違いなどのようなことも教えて下さり、全く知らなかったことを
知ることができた。
私が授業の中で一番興味深いと思ったのは、
『ロミオとジュリエット』である。
『ロミオとジュリエット』についても内容はほとんど知らなかった。恋愛につ
いての話ということぐらいしか分からなかった。恋愛の内容ということで、先
が気になるストーリーであった。やはり英語が時には分からないこともあり、
ストーリーがあやふやな場面もあった。だが、小テストで、
『ロミオとジュリエ
ット』の内容を調べたときに、授業で見た時には分からなかった場面も理解す
ることができた。
『ロミオとジュリエット』の中で出てきた‘What is a youth? ’
の詩もとても興味深かった。韻を踏ませるためには語順を入れ替えたりするこ
とも非常に興味深い。それは日本語でいうと倒置法のようなものであるのかな
と感じた。その詩の内容もすごく深い内容で、今現在にあるような恋愛観につ
いて語る詩とは全く異なる単語、言葉が使われているように思った。
残りあと 2 カ月ほどだが、英米文学史の知識とともに、英語の知識ももっと
増やしていけたらなと思う。
28
<英米文学入門> ~授業の感想~
英語教育専修2年
栗田香好美‫‏‬
この授業では、映像機器を用いて臨場感を味わいながら、文学や英語に触れ
ることができました。名作である『ロミオとジュリエット』を始めとして、
『ハ
ムレット』や『エリザベス』等を鑑賞しました。有名なセリフや歌などは、巻
き戻しをして何度もみんなで発音しました。巻き戻しをしたり、時には早送り
をしたり、字幕がでたり・・・これは映像機器ならではの利点だと思いました。
パソコンが一人一台ある部屋を使用していたので、みんなが見ることができる
し、音の迫力もあって楽しく授業ができたと思います。また、あらすじや人間
関係を大事に扱っていたので、知っているようで知らなかった名作たちの内容
を知ることができた、とてもいい機会でした。時には時代背景にも触れること
ができたので、高校のときに学習した世界史を懐かしく思うこともありました。
こういうふうに大学での勉強につながっていると思うと、なんだか嬉しく思い
ました。最終課題として、英米文学史について自分なりにまとめるという作業
がありますが、それも英語学習者である自分にとってはいい機会になると思い
ます。パソコンの不具合や時間の関係で最後まで映画をみることができないな
ど、残念なこともありましたが、映像機器を用いることで、難しくなりがちな
文学について効率よく、そして興味を持ちながら取り組める授業であったと思
います。ありがとうございました。
講義感想
英語教育専修2年
下條理子
林先生には、主に英米文学についてたくさんのことを教えていただきました。
「英米文学入門」では、私はきっとこの講義を受けなければ一生学ぶことがな
かったと思うことを多く学ぶことができました。実際に『ハムレット』や『ロ
ミオとジュリエット』などの映画を見る機会を与えてくれたことで、興味をも
って積極的に文学について学ぶことができましたし、林先生のユーモアあふれ
るお話で毎週楽しく講義に臨めました。また実際に見た映画の内容や、それに
付随する詩や歌なども含めて、それらを改めて、テストという形で復習したこ
とによって、ストーリーがしっかりと頭に残りました。テストになると少しプ
29
レッシャーがかかりましたが、いい緊張感で取り組めたと思います。
「英語文学教材研究」では、コッツウォルズなどの綺麗でのどかな情景を見
ていると、本当にイギリスに行ってみたくなりました。写真ばかりでなく、イ
ギリスの時代背景も合わせて、偉人について知識を深めることもできました。
また、自分でレポートとしてまとめている際にインターネットなどで調べてい
ると、さらにイギリスについて深く知ることができて、自分の中のイギリスの
イメージが、どんどんふくらんでいって楽しかったです。
文学というものは何を学ぶのか、よくわからなかった私でさえも楽しんで講
義を受けることができて、知らぬ間に英米文学についての教養を得ることがで
きている、そんな講義でした。今までありがとうございました。
英米文学入門
国際理解教育専攻3年
齋藤 瞳
文学というと文章や詩などが頭に浮かびますが、この授業では映像を多く使
っていたために難しくならず、抵抗感もなく文学史に触れることができたと思
います。特に『ロミオとジュリエット』や『ハムレット』などは、言葉のみや
紙媒体で説明をされるよりも映像で観たことで内容や流れ、状況なども分かり
やすく、内容が楽に頭に入ってきました。また、個人的には映像を観ることで
より抵抗感なく登場人物の気持ちや考え方を理解できたように思います。映画
のすべてを観るとかなりの時間がかかりますが、いくつかの要所を掻い摘んで
観ても内容が理解できるような場面の選択の仕方であったので、すべてを観な
くても話の流れや内容を理解することができました。
また、映画の途中に出てくる詩(歌)はその場で映像を止めて何回も見返した
り、復唱したりすることで英語の詩というものが理解しやすくなったと感じま
す。私たちは普段英詩などに接する機会がなかなかないので、一度観たり聞い
たりしただけではその詩の構成や素晴らしさを理解することができません。そ
こで実際に文章に起こして自分たちで訳をしたり、復唱をして、そこにさらに
解説をしていただいたことで英詩が分かりやすくなりました。
全体的に見て、映像を使ったこの授業は内容をとらえやすく、非常に分かり
やすくて非常に楽しかったです。これは、映像ならではの効果が出た結果では
ないかと感じます。また、今までこの授業で観たような文学的な映画作品を観
30
たことはなかったのですが、この授業で観てからはこのようなジャンルの他の
作品も観てみたいと思うようになりました。またこのような映像を観て考える
ような機会が授業の中であればいいなと思います。
英米文学入門
授業感想
英語教育専修2年 朽名志保
『ロミオとジュリエット』、『ハムレット』など英文学の代表とも言えるシェ
イクスピアのとても有名な作品が最初に取り上げられたので、英米文学への関
心がすごく高まりました。正直私はそれらの有名な作品についても大雑把なこ
としか知らず、しっかり内容に触れたことがありませんでした。英語の教員に
なる以上、「教えるための英語」だけでなく、「英語に関するもの」つまり文学
や音声学、英語学などについての知識も増やしていきたいと考えていたので、
この授業でしっかり学ぶことができてとても良かったと感じています。時間の
関係で映画の内容を少しカットしながら授業が進められていましたが、結果と
してさらに自分で作品について調べ、映画を見よう!と思えるとても良い機会
になりました。林先生は文学作品の内容だけでなく、時代背景などに関する知
識もすごく豊富で、授業で本当にたくさんの「ためになる話」が聞けたと思い
ます。
「英詩」に関しては今まで全く触れたことがない分野だったのですが、授
業で取り上げていただけたので、自分の視野を広げることができたと思います。
英文学に関する知識はほとんど無かった私ですが、英米文学入門と前期の英
米文学研究の授業を受けてまだ少しだけですが英文学に触れることができたと
感じています。高校までの英語の授業で文学に触れる機会というものはなかな
かないというのが現状ですが、将来教員になった際には生徒が文学にも関心を
向けることができるような授業をしたいと思います。
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映像を用いた授業に対する感想
国語教育専修2年
伊藤佳澄
英米文学を学ぶ際、映像を用いたことは私にとって大きな意味があった。文
学作品というのは、日本のものであれ海外のものであれ、ただ概略を読んだり、
あらすじを読んだりするだけでは理解できないものである。その作品がもつ独
特の世界観や、作中で重要な意味を持つ台詞は、あらすじなどからくみ取り難
く、理解しえないものだ。ひとつひとつの言葉に作者の思いが込められている
からこそ、文学作品は「読む」ことに価値がある。それは、作品を「知る」こ
ととはまた違った意味をもっている。
授業で文学作品をテーマにする場合、ひとつひとつの作品を読むことは学生
にとって負担になりかねない。特に、英語で書かれたものであれば、なおさら
その傾向は強まると思われる。だから、今回の授業のように映像を用いて学ぶ
ことには、学生側の負担を減らし、純粋に授業に集中しやすくなる側面がある
のではないだろうか。また、視覚から入ってくる情報は、英語で時間をかけて
読むよりも、自分のなかにすっと入ってくるし、頭に残りやすいと思う。学習
意欲を強めるという面でも、映像は大きな効果をもたらすはずだ。
私自身、この授業でいくつかの映画を観ながら作品について学び、それぞれ
の作品からさまざまなことを感じとった。学習した作品は、有名な作品であっ
ても、自分ではなかなか手をつけてこなかったものばかりで、興味を持って取
り組むことができた。映画を観たことによって、ひとつひとつの作品に自分の
感想をしっかりともつことができたと思う。これは、ただ英語で作品を読むだ
けでは持てなかったものだと思う。映像を用いたことで、登場人物に感情移入
しやすく、また作品に描かれる風景、時代背景なども理解しやすかった。
さらに、学習意欲の向上という面からいえば、長編の作品を読むのと観るの
とでは、取り組みやすさに大きく差がうまれる。特に、英語に触れる機会がそ
れほど多くない学生にとっては、映像で学んでいくほうが格段に取り組みやす
く、学習への興味関心も持てると思う。
このように、映像を用いながら学習をすすめたことは、さまざまな面でプラ
スにつながった。今後の英語学習にむけて、特に興味関心、学習意欲という点
で大きく影響をうけたと感じる。
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学生からのレポート
私の授業ではある区切りがつくと授業内容を学生自身で発展させたり、調査
させてレポートを課すことにしていた。数々の優れたレポートが提出されたが、
そのなかで心に残るものを二編収録させていただく。
古き良き英国の古城・庭園から学ぶもの
~「つながる」を軸に今後の地域コミュニティ活性化の一考察~
教職大学院教育学研究科
大谷加奈子
1.はじめに
歴史的建築物の保護を目的として英国において設立されたボランティア団体
The National Trust の一人であるトニー・ニューアムはボランティア庭園ガイ
ドを務めており、次のようなコメントを言っていた。
The National Trust には多くのボランティアがおり、そのひとりひとりが誇
りを持って活動している。庭園は人が集う場である。20年後、50年後を見
据えて木を植えかえ、未来のために維持していかなくてはならない。”この言葉
を聞いた時、英国の庭園の存在が大きな意味を持っていることを感じた。また、
英国文化における古城や庭園の存在の大きさと、それにまつわる過去と現在、
そして未来が点ではなく連続体として一つの線で結ばれているようなイメージ
を持ち、大変感銘を受けた。
3.11の東日本大震災を受け、これから日本が大切にしていかなければな
らないことが叫ばれているが、その一つとして「人とのつながり」
「地域コミュ
ニティのあり方」がある。映像にあった英国の The National Trust の活動やボ
ランティアの方の思いは、日本人の持つ文化を継承しようとするものと相通じ
るものがあると感じた。日本のナショナルトラストが立ち上がったのも、英国
の The National Trust の影響を大いに受けたものであったはずである。そこで、
それぞれの地域の文化や歴史的建築物、あるいは憩いの場・人が集う場である
庭園(公園)を、地域住民が保護し、将来を見据えた共同的な活動を行ってい
くことで、人々がつながり、地域コミュニティの復活となっていくのではない
か、と考えた。また、自分自身が一教員としてできることを考えたとき、子ど
もたちに英国文化のすばらしさを教える中で日本あるいは自分たちの地域の歴
史や建造物に改めて焦点化させ、異文化との対比の中でより自国愛や郷土愛が
深まっていくような授業を展開してみたいと思った。
「異文化理解とは、同時に自国理解でもある」とこれまでも意識しながら授
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業を展開してきたものだったが、それによって人々が時間軸でつながり心的な
部分でもつながっていけるものとしての押さえを持てたことが、一番大きな収
穫だったように感じている。
ここでは、まず日英両国の庭園を文献より比較し、それを踏まえて具体的に
授業をどのように展開させるか、考えてみたい。
2.日英両国の庭園の比較
日英両国の庭園を較べると,いずれも独自の歴史と伝統を持ち,自国の文化
的アイデンティティを備えている。ところが,公共施設や都市部の環境となる
と,いささか話が違ってくる。
例えば,日本の公園は,イギリスより一歩も二歩も遅れているように思える。
ロンドンなど大都市では,都市部の公園の質が,いかに高いかということを痛
感する。それも,どこの街角にでもある普通の公園の話だ。日本では,街中の
公園は,規則で定められた最低限度の面積しかなく,滑り台やブランコなどが
閑散と配置され,しかもサビが浮き出していたりする。中・高校生の溜まり場
になったり,ホームレスの人々がブルーシートのテントで野宿する場所になっ
たりしていて,吸い殻や空き缶が撒き散らされているかもしれない。
他方,ロンドンには,ハイド・パーク,ケンジントン・ガーデンズ,セント・
ジェイムズ・パーク,グリニッジ・パーク,グリーン・パーク,リージェント・
パークなどの公園があり,いずれもきちんと整備され,広々とした芝生,芝生
を縫う散歩道,きれいな花々の咲く花壇,水鳥が遊ぶ池,ゆったりとしたベン
チなどが,人々の心を和ませる。公園を訪れる人も,家族連れ,友人同士,老
夫婦,子どもたちであり,公園は,老若男女が集う憩いの場であり,リクリエ
ーションを楽しむ空間である。(1)
さらに,日本は高温多湿で夏草が茂りやすいのに対して,イギリスは緯度が
北海道より北で芝生の管理がしやすいなど,自然環境の違いもある。その結果,
日本では,公園の維持・管理費がかさむことも,日本にとってはマイナス要素
(2)
になるだろう。
3.イギリス庭園から私たちが学ぶべきもの
日本の地域社会や都市環境を改善するために、美しい庭園・公園の条件を考え
てみたい。
1)地域密着型
地域の歴史・文化・伝統を尊重するために、地域密着型で地方色の濃い景観造
りがよいのではないか。商業地では、このような方策はすでに採用されており、
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かなり功を奏していて、伊勢神宮の近くの「おかげ横町」では、江戸から明治
にかけての伊勢路の代表的な建築物を移築・再現している。このようなイメージ
づくりは、地域住民のための都市計画、地域の街づくり、村おこしにも、もっ
と生かされてよいのではないだろうか。
2)熟年パワーを活用したい
日本は現在、高齢化社会から高齢社会へと変化している。このことは、決し
て暗澹たるものではなく、世界に冠たる「庭園国家」建設の絶好のチャンスで
はなかろうか。
イギリスでは、20 世紀の初めに、鉄道網の整備と並行して、駅周辺や保養地
などに、華やかな花壇や整形式庭園が造られた。それに参加したのは、観光誘
致をもくろむ地域自治体と、保養地で暮らす定年退職の高齢者たちであった。
彼らは、公的な金銭的援助が得られ、かつ自分の庭がきれいになるということ
で、喜んでプロジェクトに協力したのである。まさに、公共投資と個人の庭作
りの趣味が合致したのであり、急速に高齢化を迎える日本が参考にすべき点は
多い。
すでに日本でも、松本市が昭和 27 年から「花いっぱい」運動を提唱し、今
や日本国内はもとより世界的な運動にまで発展していると聞く。このような市
民運動を、行政レベルでも展開できれば、さらに効果的であると思う。
4.授業(道徳あるいは総合の時間)「英国文化に学ぶ」の単元計画
ねらい:
「英国庭園によって人が集い、関わる」学習を通して、自国日本の
庭や建造物に目を向け、地域社会の在り方を考えるなかで自分たちにできるこ
とから考え、実践していこうとする態度を養う
授業計画
時間
1
学
習
内
容
留
意
点
○英国文化について知ろう
・DVD や写真等の映像資料によっ
・古城について
て古城の魅力や庭園が歴史と共に移
・庭園について
り変わっていく様子を伝えたい。ま
○それぞれ誰が、どのように、 た、そこに人々の思いがあることに
何のために守っているのか
気づかせたい。
※ワークシートに、
「誰・どのように・
○グループで意見を伝え合おう
何のために」が記入できるものを用
意する。
○グループ毎発表しよう
※個人が考えを持った後に考えをシ
ェアリングできるよう進める。
35
※考えを共感し合ったり異なる意見
を認め合ったりできるよう促した
い。
2
○前時の復習をしよう
※ワークシートを出させ、思い出す
○英国文化に学ぶ点を考えよう
手がかりとする。
・良さを見つけよう
・“良さ”の秘訣は?
※黒板に英国文化と日本文化をそれ
・生かせることは?
ぞれも模造紙に貼り出し、出てきた
○日本文化に目を向けてみよう
意見を記入していき、対比しながら
考えていけるようにする
3
○前時を振り返ろう
・模造紙を提示する
※地域に目を向け、地元の建造物や
○自分たちの地域を考えてみよ 庭園、公園など、いくつか出てきた
う
ところで、グループ毎分担する。
建造物や庭園(公園)など、守 ※この際、グループ毎調べ学習を組
む場合は,プラス 1 時間必要。地元
っていきたいものは?
○どうやってまもっていったら の方にインタビューしたり家族のも
よいだろう
のに聞いてきたりしたものをプレゼ
・自分たちに今できることはな ンできるよう準備させる。さらに、
いだろうか
地域の高齢者に目を向け、インタビ
ューを行ったり、実際に園芸ボラン
ティアをされている方を講師に招い
○まとめ
てお話を伺っても良いかと思う。
・授業を振り返り,感想を書こ ※地域のコミュニティ力が必要であ
う
ることが生徒に意見から出されるこ
とが願いであるが、出ない場合はこ
ちらから3.11の大震災とからめ
て最後に教師の説話として語りた
い。
5.おわりに
このような英国文化を通して自身の知見が広がったことで、新たに教材観が
たくましくなったことを感じる。今回は道徳あるいは総合の時間といった扱い
での授業計画をたててみたが、これは外国語の授業でも充分に応用されるであ
36
ろうと思われる。例えば、中学 2 年生の教材 Lesson4~ Shun in London ~
(Total EnglishⅡ:学校図書 )では、ロンドン観光の様子が描かれており、イギ
リスの文化に触れたりその中で自国の文化を新たな視点で振り返ったりできる
良い機会であり、異文化理解を深めることが期待できる。このような知見を広
げることを今後も意識的に求めていくことが、教師としての幅広い教養、ひい
ては生徒への様々なリテラシー教育における授業デザインを想像していくため
の基盤となっていくのではないかと思う。これからも、教師として、一人の人
間として、幅広く知見を増やし、学び続ける姿勢を忘れず精進していきたい。
6.引用・参考文献
『イギリス庭園の文化史』中山
理(2003)大修館書店
(1)
理(2003)240 頁-241 頁
(2)
理(2003)241 頁-242 頁
『イギリス庭園の文化史』中山
『イギリス庭園の文化史』中山
『英国ガーデン物語
庭園のエコロジー』赤川
DVD 資料より
37
裕(1997)研究社出版
☆ 編集後記 ☆
久しぶりに The Promising Age が発刊されることになった。第 29 号である。
前回の棚橋先生のご退職記念号発刊から 7 年を経ている。その間にカリキュラ
ム改正を経て、授業開講本数は大幅に減少されたが、一つ一つの授業において
学生とのつながりを強化することが望まれた。副免で英語免許取得を希望する
学生が多く、英語教育専修学生の専門性が薄められる傾向は否定できない。他
面多くの他教科の学生が英語の授業に参加している。本号においても英語科以
外の学生から熱い寄稿文をいただくことができた。教員の勤務内容にも変化が
起きて、教育と研究にばかり没頭してはいられなくなった。ほとんどの教員が
大学の運営に相当な労力を割いている。The Promising Age 29 も退職者自身に
編集していただけないかとの打診を受けて、ワンマン・ショーのごとき、思い
出のぎっしり詰まった特別記念号となった。これもまた一興である。英語教育
研究会会長の三浦先生はもとより、研究会を取りまとめてくださり、出版費用
捻出のためにご尽力いただいた内田恵先生に特に感謝申し上げる次第である。
(林
正雄)
The Promising Age 29 : Essays and Memoirs in Honour of Masao Hayashi
林 正雄 先生 静岡大学退職記念「思い出の記」
__________________________________
編集者 林
発行者 三浦
正雄
丸山
修
孝
__________________________________
2012 年 4 月 1 日発行
発行所 静岡大学教育学部英語研究会
〒422-8529
静岡市駿河区大谷 836
静岡大学教育学部
TEL/FAX
英語科共同研究室内
054(238)4291
印刷・製本 池田屋印刷株式会社
TEL 054(285)8275
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