季節と脳血管障害 中村市立市民病院 脳神経外科 大畠 義憲 日に日に寒さが本格的になってきました。 今回は季節、特に冬の脳血管障害について述べてみたいと思います。 脳血管障害には大きく分けて、閉塞性脳血管障害である脳梗塞と、出血性脳血 管障害である脳出血・くも膜下出血に分けられます。 このうちの脳出血は冬期に発症し、また死亡することが多く、夏から秋にかけ て減少するという報告があり、また経験的にもそう感じることが多くありました。 しかし、ほぼ日本の人口比率と同じ久山町の疫学調査によると、おもしろいこと に、脳出血・脳梗塞ともに1、2月の冬期に発症のピークがあり、気温の日内変 動の大きさとよく相関していました。 では、冬期に脳血管障害をおこさないようにするにはどうしたらよいのでしょ うか。 脳血管障害の予防は、まず危険因子をできるだけ排除することにつきると思い ます。 脳血管障害の危険因子には 1)高血圧2)アルコール3)たばこ4)コレステロー ル 5)気候、季節等があります。それぞれについて簡単に述べていきます。 1)高 血 圧:収縮期圧が180mmHg以上、拡張期圧が110mmHg以上あった高 血圧の人は、上記の久山町疫学調査によると18年間に約20% が脳梗塞や脳出血のいずれかをきたしていました。 2)アルコール:1.5合以上飲む人は飲まない人に比べて脳梗塞も脳出血も明らか に増加していました。でも、1 . 5 合未満の人は飲まない人と差は ありませんでした。個人差が大きいとは思いますが一日に1合 くらいまでが適量でしょう。 3)た ば こ:海外のデータでは、たばこは脳梗塞・脳出血の明らかな危険因 子でした。控えてください。 4)コレステロール:心筋梗塞や脳梗塞ではコレステロール値が高いと発症しやすい のに対して、脳出血では逆に低すぎると発症しやすくなります。 5)気候、季節:最初に述べたように日内変動の大きい日には要注意です。 それでは、お体に気をつけてお過ごしください。
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