【シリーズ】 日米安保条約を問うQ&A ⑤

シリーズ
日米安保条約を問う Q&A ⑤
Ⅰ.日本は本当に独立国か?
Q6: 「世界でも異常な日本の米軍基地」と言われますが?
異常な点の第一は米原子力空母の母港が置かれているのは世界でも日本だけだという
ことです。横須賀米軍基地に配備されています。米政府はイギリスやイタリアなどに母
港受け入れを拒否されました。1972 年米政府は日本へ母港化を押し付けました。日本政
府は「向こう 3 年」とか「あらたな施設建設は行わない」などの米政府の説明を鵜呑み
にして母港受け入を決めました。ところが空母はすでに 39 年間居座り続けています。ま
た、厚木基地では空母艦載機の夜間離発着訓練場があらたに建設され周辺住民に爆音被
害をもたらしています。このように空母母港化は国民をだまして配備が強行されました。
第二は世界でただ一つ、米軍の「殴り込み部隊」といわれる海兵隊の前進基地が置か
れていることです。米国は三つの海兵師団を持っています。米本土の東海岸と西海岸に
それぞれ一個、残りは沖縄と岩国(海兵航空団)です。米海兵隊は日本防衛の任務を持
ってはいません。米国が他国へ侵攻するとき、いつでもどこでも真っ先に突撃する部隊
です。こうして、日本は常に米軍の最前線出撃基地になりました。
第三は東京はじめ首都圏に戦後 66 年にわたって米軍基地が存在し続けていることです。
東京には東京ドームの 156 倍の面積をもつ横田基地があります。一国の首都に外国軍の
基地を置かせているのは今では日本ぐらいです。外国の軍隊が首都に駐留するのはまさ
しく主権の侵害であり、主権国家として恥ずべきことです。
Q7:なぜ米軍基地は沖縄に集中しているのですか?
沖縄県の面積は日本全体の 0.6%に過ぎませんが、
米軍基地の 75%が集中しています。
なかでも沖縄本島面積の約 18%が米軍基地に占有されています。
その理由の一つは沖縄米軍基地の特異性です。1960 年、安保条約が改定された時、沖
縄は条約 5 条の適用区域外(=共同防衛の対象外)とされました。当時の岸首相は「沖
縄はアメリカ自身が防衛の全責任をもっているので条約区域に入れなくてもよい」と国
会で答弁しています。安保以前にさかのぼれば、沖縄の米軍基地の大部分は 1945 年の沖
縄戦で対日攻撃基地として建設されました。1952 年に締結された「サンフランシスコ平
和条約」で米軍の占領統治は終わりましたが、沖縄は本土から切り離され、基地の「使
用権原」はそのまま維持され、さらに米ソの冷戦下で「銃剣とブルドーザー」によって
基地が拡大強化されました。このような例は本土のどこにもありません。
1972 年 5 月の「沖縄返還協定」により沖縄の本土復帰が実現しましたが、米軍基地は
びくともせず、沖縄県民の多くが望んだ「核も基地もない沖縄」の願いもむなしく、
「協
定」は安保条約に基づく継続使用を容認しました。そして現在、地理的に重要な位置に
あるとして、日米両政府は「抑止力論」
「中国脅威論」をふりかざし、沖縄県民の意思を
無視し国民を欺いて、基地の存続をはかっているのです。
忘れてならないのは外国軍の基地をどこにおくかは、受入れ国が決めるものだという
点です。戦中・戦後のいきさつがあるにせよ、米国にきっぱりものを言う勇気がないた
め、米軍基地の沖縄への集中を日本自身が許しているというのが、もう一つの理由だと
言えます。1995 年の米兵による少女暴行事件をきっかけに、米政府は日本側が望むなら
兵力の本土移転も検討する腹積もりでした。当時のペリー国防長官が米国議会で「日本
のすべての提案を検討する」と証言していることがそれを証明しています。
米国の意図はどうあれ、今や、沖縄のみならず「世界でも異常な日本の米軍基地」の
可否について国民的な論議を巻き起こす時が来ているのではないでしょうか。
(編集部)