名 アジア美術史(一)

講義コード
科
目
名
1A580988
授業形態
講義
アジア美術史
(一)
事前登録の有無
担 当 教 員 開 講 期 安田 治樹
第1期
履修前提条件
備
考
インド美術史(インダス文明・古代初期)
インドに行われた美術は殆ど宗教美術によって占められる。ことに古代期(前500頃-後650頃)は仏教の造形活動によって
独占され、それはわが国を含む東アジアおよび東南アジア一帯にも波及して各地で多様な展開を遂げ、それぞれの歴史文化
授業の目的
に重要な影響を及ぼした。本講義ではこのインド美術に関し、先ずインダス文明期にまで遡って眺め、次いで古代初期に位
置づけられるマウリヤ朝とシュンガ朝、さらにサータヴァーハナ朝前期における、仏教美術の萌芽から無仏像をもって特徴
づけられるその初期の展開をたどる。
インダス文明の歴史文化史上の意義、前5世紀頃以降のガンジス中流域の歴史事情とマウリヤ朝の成立、アショーカ王の事
到 達 目 標 蹟、仏教の成立と造形美術開始への経緯、仏教美術における無仏像固守の事情等の大要を把握し、かつこれらを自らの知識
として、要約的に説明ができること。
この授業では、毎回図書館他において準備のための授業外学修(予習・復習等)を行うこととし、これに要する時間は、単
授業外学修
元ごとに課すレポート作成や展覧会見学等と合わせ、原則として合計60時間以上とする。
作品紹介、理解のため、パワー・ポイントによる映像資料を交え、概ね以下の内容に従い講義形式で進める。
【第 1 回】インダス文明と都市の文化①
【第 2 回】インダス文明と都市の文化②
【第 3 回】ガンジス流域諸国とマウリヤ朝の台頭
【第 4 回】アショーカ王とマウリヤ朝美術
【第 5 回】園林の寄進と伽藍の成立
【第 6 回】仏塔の崇拝と荘厳
授 業 計 画 【第 7 回】シュンガ朝 バールフットの欄楯浮彫 ① - 仏伝図と本生図 【第 8 回】シュンガ朝 バールフットの欄楯浮彫 ② - 仏陀なき仏伝図 【第 9 回】シュンガ朝 ボードガヤーの欄楯浮彫
【第10回】サータヴァーハナ朝前期 サーンチーの塔門浮彫 ①
【第11回】サータヴァーハナ朝前期 サーンチーの塔門浮彫 ②
【第12回】サータヴァーハナ朝前期 初期石窟寺院 ①
【第13回】サータヴァーハナ朝前期 初期石窟寺院 ②
【第14回】クシャーン朝 仏像創始へ(ガンダーラ・マトゥラーの美術)
【第15回】総括
成績評価の方法 授業への取り組み姿勢(20%)、及びレポート(30%)、期末の筆記試験(50%)により評価する
教
科 書
指 定 図 書
『死者の丘・涅槃の塔』(沈黙の世界史8 インド)』曽野寿彦・西川幸治(新潮社)1970、『インド美術史』宮治昭(吉川弘
文館)1981、『図説ブッダ』安田治樹編(河出書房新社)1996、『仏教の説話と美術』
(講談社学術文庫)』高田修(講談社)
参
考 書
2004、『世界美術大全集 東洋編 第13巻 インド(1)』肥塚隆・宮治昭(小学館)2000、『世界美術大全集 東洋編 第15
巻 中央アジア』田辺勝美・前田耕作(小学館)1999、『インド古代史』上、下』中村元(春秋社)1963,1966
インド美術は、一見して理解しづらく、晦渋で明朗さに乏しいといわれる。それは彼地の精神主義、宗教第一義の文化性格
教員からの
に由来し、むしろ西洋的な美の観点からは測り得ない深さを内包する。インド美術の魅力に触れ、宗教文化一般への理解の
お 知 ら せ
深まる機会となることを期待する。
そ
の 他 教科書は特に用いないが、必要に応じて上記の図書を参照する。