(KILM)データ入手方法解説書

活用しよう!
KILM (Key indicators of the Labour Market)
主要労働市場指標
1.KILMとは
主要労働市場指標(KILM)は、1999年から出版が開始され、世界各国の労働市場に関する最新のデータを、多様か
つ包括的な項目に分け記載しています。世界各国の労働事情について理解を深め、的確な政策決定を行うために不可欠
なデータを網羅しています。KILMには様々な用途があり、労働市場に関わる問題、ILOが21世紀の活動目標とするディー
セント・ワークに関わる問題、国連が2000年に採択したミレニアム開発目標の進展度合い、労働市場における男女平等な
どの評価、また、男女賃金格差がない国や失業率低下に成功している国の把握などにも有用です。
ILO統計局は国際機関の中でも、最も包括的な労働統計を有しています。1921年から収集した世界各国の労働・労
働者事情に関するデータを、「Yearbook of Labour Statistics」と題する出版物として1935年から毎年発行しています。
1955年からは、(財)日本ILO協会が、この和訳版を「国際労働経済統計年鑑」として発行しています(2005年まで)。この
年鑑に収容されているデータは、ILO統計局ホームページからも閲覧・ダウンロード(英語)できます。このデータは、各国の労
働統計に基づくものですが、他の資料からの情報やデータも利用して、データの精度と国際比較度を高めたのが、KILMのデ
ータです。
2.KILMで得られる情報
KILMでは以下の情報が得られます。
2-(1) 指標
1.労働力率 [Labor force participation rate]:生産年齢人口(生産活動ができる年齢の人々。国により異なり日本は15
歳以上)に占める労働力(就業中、就職活動中という形で労働市場に積極的に関わっている人々)の割合で、財やサービ
スの生産に従事できる労働者の相対的規模を示します。
2.就業率 [Employment-to-population ratio]:生産年齢人口に占める就業者(働いている人)の割合で、国の雇用創出力
を示します。
3.従業上の地位 [Status in employment]:就業者を、a)賃金または給与を受け取り生活している労働者、b)自営業者、c)
家族従業者(事業主の家族である労働者)に分類し、その総数、及び、就業者総数に占める各々の割合を算出したもの。
労働市場変遷などを理解するのに役立ちます。
4.産業別就業人口
(1)産業別就業人口 [Employment be aggregate sector]:農業、鉱工業、サービス業の三大産業別に合計就業者数に占
める就業者の総数および割合。
(2)産業部門別就業人口 [Employment by 1-digit sector level]:以下のA)~U)の産業部門別に合計就業者数に占める
就業者の総数および割合。
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A) 農業、林業、漁業
L) 不動産業
B) 採掘、採石業
M) 専門的、科学的、技術的職業
C) 製造業
N) 管理および支援サービス業
D) 電気、ガス、蒸気および熱供給業
O) 行政および防衛―強制的社会保障
E) 水道供給、下水、廃棄物処理、改修活動
P) 教育
F) 建設業
Q) 人間の健康および社会事業に関わる活動
G) 卸売・小売業、自動車およびオートバイの修理
R) 芸術、娯楽およびレクリエーション
H) 運輸および保管業
S) その他のサービス業
I ) 宿泊及び飲食業
T) 雇用者としての家事活動、家事における自己使用のため
の無差別型の品物およびサービスを生産する活動
J) 情報通信業
U) 治外法権の組織および団体における活動
K) 金融および保険業
5. 業務別就業人口 [Employment by occupation]:以下の1)~0)の業務別に合計就業者数に占める就業者数の割合
を示します。
1)立法者、上級職員および管理職
6)熟練した農業・漁業労働者
2)専門家
7)工芸およびその売買に関連する労働者
3)技術職およびアソシエイトの専門家
8)工場施設工、機械工および組立工
4)事務員
9)初歩的な業務
5)サービス労働者および店舗と市場の販売員
0)軍隊
6.パートタイム労働者人口:フルタイム労働者よりも働く時間が短い労働者の総数および割合を示します。
7.労働時間:労働者の健康や福利厚生とともに、事業所の生産性水準や労働費用にも影響を与える労働時間の動向を
計測したものです。
(1)週間労働時間別人口 [Employment by hours worked per week]:1週間あたりの労働時間別労働者の総数および
割合。
(2)年間実労働時間 [Annual hours actually worked per person]:労働者一人あたりの平均実労働時間
8.インフォーマル経済就労者:インフォーマル経済に就労する労働者の総数や割合。
インフォーマル・セクターは「世帯保有の非法人企業内における生産単位」と定義されます。インフォーマル経済就労者に
は、所定の基準期間中にこの定義を満たす一つ以上の生産単位で働いた全ての人が含まれます。
9.失業者:失業者の総数および割合。
失業者は「該当期間中に働いていないが、働くことができ、仕事を探している特定年齢以上の人口」と定義され、失業率
は失業者が労働力人口に占める割合を示すものです。
10.若年者失業:若年者を15〜24歳の若者と定義し、失業者数と失業率、25歳以上失業率と若年者失業率の比率、合
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計失業者数に占める若者の割合、若者人口に占める若者失業者数の割合などを示しています。
11.長期失業:労働力に占める1年以上失業者の割合と、合計失業者数に占める1年以上失業者の割合を示していま
す。
12.労働時間に基づく不完全就業率 [time-related underemployment]:
「労働時間に基づく不完全就業」とは、本人が従事したいと希望し、従事することのできる代替的な雇用状況に比してその
労働時間が不十分な全ての就業者です。
不完全就業は労働者の生産能力が十分に活用されていないことを示唆します。労働力の不十分な活用に関する唯一の
指標です。
13.非労働力率 [Inactivity]: 就業中でなく、就職活動も行っていない人(つまり、労働力でない人々)の人口に占める割
合。
14.教育水準及び非識字率
(1)教育水準別労働者:初等、中等、高等教育水準など五つの最終学歴に分け、合計労働者数に占める各々の分類
に該当する人々の割合を示します。
(2)教育水準別失業:初等、中等、高等教育水準など五つの最終学歴に分け、合計失業者数に占める各々の分類に
該当する人々の割合を示します。失業しやすい労働者の集団を把握などに有用です。
(3)非識字率:文字の読み書きが出来ない労働者の総数および割合を示します。
15.平均月収賃金:実質賃金を含む平均月収賃金の推移を示します。
16.時間当たり報酬費用(製造業) [Hourly compensation costs in manufacturing]:
賃金・給与の総報酬額、年金・社会保障の企業負担分など、企業が従業員を雇用するのに関連して支払う費用の合
計を労働費用と呼び、報酬費用とはそこから、募集費、訓練費、法定外福利費などを除いたものを指します
(1)全従業員の時間当たり報酬費用[Hourly compensation costs of all employees in manufacturing] と、
(2)生産労働者の時間当たり報酬費用[Hourly compensation costs of production workers in manufacturing]
をみることができます。
17.労働生産性 [labour productivity]:
「労働生産性」とは、投入した労働単位量当たりの産出量と定義されます。
ここでは、労働生産性の指標として、①従業員一人あたりのGDP と、②労働一時間あたりのGDP をみることができま
す。
18.貧困、貧困労働者、所得分布
(1)貧困および所得分布[poverty and income distribution]:
各国の貧困率、世界銀行が定める1日1人当り1ドル及び2ドルの国際貧困線に関するデータ、所得・支出に基づく
不平等度を示すジニ係数の推移を示します。
(2)貧困労働者[working poverty]:貧困線以下世帯に属する就業者の総数および割合の推計を示します。
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・その他に背景指標 [back ground indicators] として、
A1 マクロ経済 (各国のGDPや、GDPに占める総資本形成、総投資割合 等)
A2 人口 (各国の総人口や、年齢別の人口構成 等)
についての基本情報も参照できます。
2-(2) 地理的分類
KILMは、およそ230の国、地域および領土のデータを網羅しています。KILMのデータは、他の国際統計資料と同様、各国、
地域および領土の統計資料を基に作成されていますが、データの統一性を高めることで、各国の比較が最大限に可能となるよ
うな編集を行っています。
2-(3) データの期間
表示されるデータの期間は、各国、地域および領土の統計資料に従います。書籍では、最新(2011年)を含む複数年のデ
ータが記載されています。ソフトウェア版では、表示される年を選ぶことができます。
2-(4) 人口構成
表示されるデータの人口構成も、各国、地域および領土の統計資料に従いますが、ほとんどの項目では男女別の表示がさ
れています。また、年齢構成別(15歳以上、15-24歳、25-34歳、35-54歳、55-64歳、65歳以上)での表示があるものもあり
ます。ソフトウェア版では、性別、年齢別の表示範囲を選ぶことができます。
3.KILMデータの入手方法
KILM のデータは、ILO ホームページからソフトウェア版を入手することができます。
http://kilm.ilo.org/2011/Installation/Application/kilm7install.htm
書籍、CD-Rom 版 をご購入の場合は以下のサイトをご参照ください。(注文は ILO 駐日事務所まで)
http://www.ilo.org/global/publications/ilo-bookstore/order-online/books/WCMS_166348/lan
g--en/index.htm
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ILO ホームページからソフトウェア版をダウンロードする方法
(注)ソフトウェア版は、Windows でのみダウンロード可能です。
(1) KILM ソフトウェア版をダウンロードする手順
1. www.ilo.orgの画面上部右端、“Statistics and databases”をクリック。
(http://www.ilo.org/empelm/what/lang--en/WCMS_114240 を入力すれば、手順1-2.を経ず手順3.に
、http://kilm.ilo.org/2011/Installation/Application/kilm7install.htm を入力すれば、手順1-3.を経ず手順4.に進みます)
2. “Statistics and databases”のページが出たら、“Labour statistics”の2項目の “Key indicators of the Labour Market (KILM)” をクリック。
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3. “Key Indicators of the Labour Market (KILM)” のページが出たらスクロールダウンして、“Click here to download KILM 7th Edition
software” をクリック。
4. インストールページが別ウィンドウで開くので、“Install” をクリックしてダウンロードします。
インターネットエクスプローラーなどのブラウザー設定によっては、“発信元を確認できませんでした。このソフトウェアを実行しますか?” というダ
イアローグボックスが出ることがあります。この場合は“実行する” を選択してください。KILMソフトウェア版が自動的にダウンロードされます。
5. コンピューターのスタートボタンをクリックすると “新しいプログラムがインストールされました” のメッセージが表れ、 “KILM 7th Edition” ”Key
Indicators of the Labour Market, 7th edition” のアイコンが表示されます。
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(2) KILM ソフトウェア版でのデータ検索の方法
1. 上述手順5. の “KILM 7th Edition” のアイコンをクリックすると KILM が起動し、自動的に情報の更新の有無をチェックします。更新が
ある場合は、ダウンロードの確認ダイアローグボックス (“Updates are available. Do you want to download them now?”) が表示されます。
“はい” をクリックすると更新内容が表示され、画面右 ”update” をクリックするとダウンロードが開始されます(“close” をクリックすると、更新
内容はダウンロードされません)。ダウンロードが終了すると、“update complete” [更新終了] のダイアローグボックスが表示されます。
“OK” をクリックすると、“main menu” [メインメニュー] 画面になります。
“はい”をクリック
“checking for upgrade…”
“update”をクリック
“OK”をクリック
2. “main menu”では、“Manuscript-Table of contents” [目次] “Select data” [データ選択]、“Preferences/information/Links” [書式選択/
情報/リンク] が表示されます。“Manuscript-Table of contents” は書籍版 KILM に準じており、該当項目をクリックすると、PDF形式で
内容が表示されます。 “Select data” は以下に解説します。
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2.2. “select data” [データ選択]
2.2 (a1). “Standard query”: 選択した指標(複数選択可能)に関する選択した国(複数選択可能)のデータを表示します。ここをクリックすると、
指標(表)リストが表示されます (図I. このリストは書籍版、オンライン版と同様です)。
ここでは例として、“Table 1a: Labour force participation rate (ILO estimate; by sex and age group)” を選びます。Table 1a をクリックしボック
スにチェックをつけると、画面上部に“next”バナーが表れます。この “next” をクリックすると “select country/region (189)” というリスト画面
に移動します(図J)。このリストから、参照したい国のボックスをクリックし、チェックをつけて選択します。最初は全てのボックスにチェックがつい
ています。このチェックを全て外したい場合は、左側の “clear all”バナーをクリックします。再び全てのボックスをチェックしたい場合は、“select
all” バナーをクリックします)。国を選択したら、再び “next” をクリックします。すると、年度 (working…、あるいは、latest year) 及び性別
(sex)を選択する画面に移動しますので、データを参照したい年度と性別のボックスをクリックしてチェックを付けます (最新年度のものをご
覧になりたい場合は“latest year” を選択してください)。そして、画面上部右端の “view data” バナーをクリックすれば、データを見ることが
出来ます。
また、上記の国のリストからではなく、地域リストを表示してデータを参照したい国あるいは地域を選択したいときは、“select country/region
(189)” というリスト画面で、“menu”バナーをクリックするか、または右クリックをし、“switch” を選択すると、地域別のリストに切り替わります
(図K)。国を選択した後の手順は、上記と同様です。
図I
図J
図K
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2.2(a2). Table 1a の指標に関する先ほど選択した国のデータが表示されます。画面上と左の項目を使い、データ表示方法や加工などが行
えます。
画面上(下記項目A)
z data:上記のデータの表示です。
z parameters: 表示されているデータの情報を、“refresh data” [データを再読み込み]、“select all” [全選択]、“clear all” [全選択
解除]、を使い、変更、加工できます。“close” で画面を閉じます。
z definitions:用語の定義が表示されます。右側メニューで、“copy-definitions” [定義のコピー]、“export: definitions” [定義をワード
形式で表示します] が選べ、“close” で画面を閉じます。
z repositories:データの出典が表示されます。右側メニューで、“copy -repositories” [出典のコピー]、“export: repositories” [出典を
ワード形式で表示します] が選べ、“close” で画面を閉じます。
z notes-table:指標の説明が表示されます。右側メニューで、“copy -repositories” [指標のコピー]、“export: repositories” [指標を
ワード形式で表示します] が選べ、“close” で画面を閉じます。
画面左(下記項目B)
z menu ※画面上を右クリックしてもmenuと同じ内容が表示されます。
¾ select all: 表示されているデータ全てを選択します。
¾ copy: 上で選択したデータをコピーします。
¾ sort: ここで選択した項目について、多いものから 【“▼”を選択した場合】、または、少ないものから 【“▲”を選択した場合】
順に、データを並べ替えて表示します。
¾ show/hide columns: データのうち必要な項目のみ選択し、選択しなかった項目を消して表示することができます。
¾ view the manuscript : 上で選択したデータに関する説明文の原稿が表示されます。
z export: コピーしたデータを “Excel” [Excelにエクスポート/保存]、“to comma-delimited” [カンマ区切りのファイル形式としてエクスポ
ート/保存]、“to clipboard” [クリッピボードにエクスポート/保存]、“to Access” [Accessにエクスポート/保存] します。
z graph:選択したデータをグラフ形式で表示します。
z report:選択したデータをレポート形式で表示します。
close:画面を閉じます。
項目 A
項目 B
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2.3. “two-click query”: 個別の国に関し存在するデータを検索できます。
画面左の“view” で、indicator [指標] を選択すると、指標リストが表示されます。ここで参照したい指標を選択すると、当該指標に関する
データの存在する国別リストが表示されるので、参照したい国を選択すれば、当該国の当該指標に関するデータが表示されます。
また、同じく “view” で、country [国] を選択すると、当該国に関しデータが存在する指標のリストが表示されるので、参照したい指標を選
択すれば、当該国の当該指標に関するデータが表示されます。
2.4. “world data map”【世界統計地図】:指標に関する全世界ベースのデータが参照できます。
参照したい指標をクリックし、その次の画面で当該指標に関して参照したい年度、性別、年代、データをそれぞれ選択し、画面上部の
“next”バナーをクリックすると、選択したデータが世界地図上に表示されます。画面右の表には国別のデータが表示されますし、地図上の
国にカーソルを合わせると、各国のデータが表示されます。
さらに、画面下部の“area”から地域を選択すると、上で選択した指標の当該年度、性別、年代、データに関する、その地域のデータが
表示されます。
なお、地図上の色については、画面下部の“Select map color”をクリックすると、好きな色を選択できます。
画面左の“print”バナーをクリックすれば、印刷が出来ます。また、その下の“save image”バナーを選択すると、大きな画面に切り替わり、
“save image”【保存】、”copy”【印刷】、”resize”【サイズの変更】が出来ます。“close” をクリックすると終了します。
2.5. “country report”【国別レポート】:
“select country/region” の国リストから参照したい国を選択すると、“select tables” の指標リストに移動するので、参照したい指標を選択し
“next”バナーをクリックします。次の画面で当該指標に関して参照したい年度、性別、年代、データをそれぞれ選択し、画面上部の“next”
バナーをクリックします。すると“table name”の画面に移動するので “next”バナーから “print” をクリックすればワード形式で、“Excel” をクリッ
クすればエクセル形式で、それぞれ上で選択したデータが表示されます。
2.6.“world and regional agreements”[ 世界累計及び地域累計]: 選択した指標に関する世界累計または地域累計のデータが参照でき
ます。
“region” 画面で参照したい地域を選択し、“next” バナーをクリックします。次の画面で当該指標に関して参照したい年度、性別、年代、
データをそれぞれ選択し、画面上部の“view data”バナーをクリックすると、選択したデータが表示されます。この先の使い方は、2.2(a2)と同
様です。
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