中小企業におけるOA化について 昭和61年度 中小企業技術経営研究会(OA化研究部会) はじめに 20世紀も終わりに近づいている現在、社会を根底から変える大きな波がやって来 ました。第三の波とも言われているコンピュータ革命です。外国と比較すると日本は、 最先端技術が職場や家庭にまで入り込んで来ています。そのためか、コンピュータに 対する過大な期待や、その逆に不安や、恐れからのコンピュータアレルギーなども起 こりやすいと思われます。 今回、OA化研究部会を開催するにあたり、弊社の社内教育用資料を元に、OA化 を5つのパートに分けてまとめてみました。専門家でもない私が、つたない文章でまと めたものですから、偏見や、間違った記述があるかも知れません。また社内を対象と していましたので、今回の主旨とは、違ったところもあるかと存じますが、御容赦のほ どをお願い致します。後から読み返しますと、当り前の事ばかりになってしまい、参考 にして頂くには程遠いかも知れませんが、一つでも何かお目に止まるところがあれば、 幸いに存じます。 昭和61年7月 スター電機株式会社 代表取締役 森永登 第一部 総論 OA化は今や企業の常識となっています。しかし、導入はしたのだが、少しも利益に 結びつかないという声をよく聞きます。銀行や大企業はコンピュータ化で、能率を上げ ているのに、中小企業ではうまくいかないのは何故でしょうか。コンピュータを売り込 みにくる営業マンは、「コンピュータを使えば、何でもできますよ 何でもできますよ。必ず利益が上がりま 利益が上がりま 何でもできますよ す。」と言います。この言葉を鵜呑みにしても良いのでしょうか。 第一章では、コンピュータとは一体どういうものなのかを、述べています。コンピュ ータアレルギー等は未知の物に対する恐れが、原因しているように思います。コンピ ュータを、一種の道具として捉え、OA化に対しての具体的なイメージを掴んで下さ い。 第二章では、導入に当たって注意する点を述べています。コンピュータを導入して 利益を上げるには、それなりの準備が必要です。準備の大切さと、具体的には何をし たら良いのかを述べます。 第三章では、コンピュータを使って、利益に結び付ける使い方のポイントを述べて います。コンピュータは、キーを叩いてさえいれば利益の上がるものではありません。 導入前よりも効率を悪くし、企業に損害を与えることも少なくありません。 第一章 コンピュータとは何か 第一節 コンピュータは何ができるか コンピュータは何ができるか コンピュータとは一体なんでしょうか。コンピュータは、特別な機械ではありません。 単純に言えば、事務処理機械です。コンピュータでできることは、記録・計算・分類・整 列・印刷・検索などです。これをうまく組み合わせると、給与計算や在庫管理ができる のです。ここで注意して頂きたいのは、コンピュータでできることは、時間さえかけれ コンピュータでできることは、時間さえかけれ ば、人間でもできることだということです。逆に考えれば、人間でできないことは、コン ば、人間でもできることだということ ピュータでもできないということになります。従って、営業マンの「何でもできる」と言う のは100%正しいとはいえません。コンピュータは、記録、計算等を、人間より早くこ なすだけだと思っていただければ間違いないでしょう。以上のように、コンピュータを 恐れる必要はありませんが、バカにもできないのも事実です。 第二節 コンピュータ導入が、利益に結びつくか 販売管理システムを導入したが、売掛金の回収率がいっこうに上がらないと不満を 言う方があります。しかし当然の事です。販売管理システム 販売管理システムは、どの客先にいくら売 販売管理システム 掛があるかという、営業マンが作る資料の、時間短縮をするのが目的で、コンピュー コンピュー タが、売掛先を回って、代金の回収をしてくるシステムではない タが、売掛先を回って、代金の回収をしてくるシステムではないのです。このようにコ ムではない ンピュータは人間の手助けをしてくれるだけであって、人間の代わりになる訳ではあり ません。ある意味では、客先まで行く時間短縮のための自動車と対してかわりのない ものです。自動車を購入したからといって利益が上がるとは限らないでしょう。利益を 上げようとするなら、ガソリン代、車検代以上の売上を上げなければなりません。その ためには、今まで20件の得意先を回っていたなら、自動車で短縮された分の時間を、 更に多くの得意先を回るのに費やさなければならないでしょう。自動車で例えれば当 り前の事が、コンピュータという見なれぬ機械だと、特別に考えてしまいがちです。し たがってコンピュータ導入が、利益に結び付くのでなく、コンピュータ化によって生み コンピュータ化によって生み 出された、時間、資料をいかに活用するかが、利益に結び付けるポイントとなります。 出された、時間、資料をいかに活用するかが、利益に結び付けるポイント 全てはコンピュータを使う人間の能力にかかっています。 第三節 コンピュータ化による人員削減 ”コンピュータで人員削減を”と言いますが、実際はどのくらい可能なのでしょうか。 大企業で経理部に10人いたとし、その内の5人が計算や、伝票集計のための人たち だったとします。コンピュータを導入し、その10人の内、2人をキーパンチャー、1人を オペレーターに養成できたとすれば、後の2人の人員削減は可能です。コンピュータ で合理化をすれば10人が、3人くらいで済むのではないかと思いますが、実際は8人 にするのが精いっぱいでしょう。なぜそれだけしかできないのか、それはコンピュータ は計算、集計の代行ができるだけなので、その仕事に携わっていた人たちのみが削 減の対象になるだけだからです。その他の人々、つまり予算を立てたり、指示をだし たりしていた人の仕事までコンピュータではできないからです。あとで述べますが、厳 密にはコンピュータでも、一部は可能です。しかし現在では費用を考えれば、やらない 方がよいでしょう。 大企業では2人が削減できましたが、中小企業の場合はどうでしょう。中小企業の 場合、計算・集計を専門にする人はいませんし、計算の量もたいしたことはありませ ん。しかし作業の種類は、大企業と殆ど変わらないものです。コンピュータのキーパン チャーやオペレーターの仕事を、現在いるメンバーで替わりができないとすれば、人 員削減どころではなく、逆に人数を増やさなければならなくなります。残念ながら、中 中 小企業の人員削減は不可能です。しかしコンピュータ化は、無駄ではありません。コ 小企業の人員削減は不可能 ンピュータ化で、作業の効率化・分析・時間短縮を行えば良いのです。また会社の規 模が大きくなり、従業員が増えて取引が大きくなっても、間接業務の人員を増やす必 要はなくなります。中小企業の場合、人員削減を目指すのではなく、作業の効率・改 中小企業の場合、人員削減を目指すのではなく、作業の効率・改 善を目標にすべきでしょう。 善を目標にすべき 第二章 コンピュータ化の前に コンピュータを導入しさえすれば、すぐにでも利益が上がるような事を言う営業マン がいます。コンピュータを導入する前にしておくことはないでしょうか。自動車を初めて 購入する時、経営者は様々な事を考えるはずです。駐車場をどうするか。会社の門を 自動車が通れるか。歩道と車道を分けたり、倉庫の入口を車の積み卸しができるよう に変える必要はないか。それよりも、自動車の免許を持っている人がいたか。クドクド と書きましたが、少なくとも自動車のセールスマンが、このようなことまで心配して、セ ールスをしているとは考えられません。自動車のセールスマンは、自動車を売って、 セールスマンは、自動車を売って、 自分の会社の利益を上げるのが目的で、お客様の利益を上げるのが直接の目的で はないからです。 はない 自動車の場合に限らず、コンピュータでも同様の準備が必要です。このような準備 は、コンピュータのセールスマンもやはりしてくれないので、自分で考えるしかありま せん。 第一節 作業マニュアルを作る 作業マニュアルを作って下さい。コンピュータ化と、どういう関係があるかと思われ る方もあるでしょうが、これさえ作っていれば、準備のほとんどができたといっても良 いでしょう。 作業マニュアルは、いわば家の設計図のようなものです。家の設計では、見た目も さることながら、構造力学上に則ったものでなければ、家が崩れてしまいます。力の 架かる所には、太い柱が必要でしょうし、床柱には見た目にも良い材料がいいでしょ う。業務でも家の大黒柱のように、人手も時間もかかる所や、お客様にお出しする見 積書など見た目の良い方が望まれるものもあります。このようなことを見るには、作業 マニュアルがあれば一目で解ります。作業マニュアルを作ってみると、太い柱が必要 でない所に使われていたり、余分な柱が幾つもあったりするものです。それらを解決 するだけで、コンピュータを使わずとも、現在の作業効率をかなり高める事が可能 コンピュータを使わずとも、現在の作業効率をかなり高める事が可能と コンピュータを使わずとも、現在の作業効率をかなり高める事が可能 なります。 家を新築する場合、自分の希望を大工さんに伝えなければなりません。設計図が なければ、打ち合せに手間取るばかりでなく、自分の希望する家とはかけ離れたもの ができるかも知れません。大工さんを、プログラマーとすれば、オリジナルプログラム を作る際にも、是非必要だということが、お解り頂けると思います。プログラム作りに ついては後から述べますが、作業マニュアルを作っておいて損なことはありません。 第二節 コンピュータを選ぶ 食堂が出前をするのに、ダンプカーを使ったり、納品に行くのに、高級外車で行く必 要があるでしょうか。必要ないに決っていますが、コンピュータでは、ダンプカーに出 前を積んで走っていることもしばしばあるようです。だからといって、軽自動車に荷物 を満載して行くのも考えものです。少し荷物が多くなれば、全く動かなくなってしまいま す。このように自動車でも同じ事ですが、予算によって選ぶのではなく、何をどの位乗 予算によって選ぶのではなく、何をどの位乗 せるのか、つまりどういうデーターをどれくらいの量処理するかで決めなければなりま せん。 荷物運びなら、バンかトラックが便利です。バンは小量の荷物を、アチコチに運ぶ 時に便利です。トラックなら、大量の荷物を毎日決まった場所まで運ぶ時に威力を発 揮します。バンはパソコン、トラックはオフコンと考えていただければ良いと思います。 つまりパソコンは単発の仕事が多く、処理データー量もそれほどない場合。オフコン は定型業務が多く、大量のデーターを扱う時です。 データー量は、荷物にもカサや重さがあるように、一該には計れません。専門家に 判断してもらい、機械もそれに見合った余裕のある選択が大切です。コンピュータでも、 容量が大きいとか、高価だとかが良いとは限りません。 第三節 オペレーターを育てる 自動車を運転するには、免許が必要です。コンピュータでは免許はありませんが、 操作をするのに知識が必要なことは言うまでもありません。最低でも機械の操作マニ ュアルを読んで理解できる人が必要です。特にパソコンの場合は、販売するメーカー のサポートは、期待できません。簡単なプログラムが組め、DOS、言語、データー交 換、ワープロ、簡易言語が使える人が欲しいところです。 中小企業の場合、人材の確保は特に難しい問題ですが、最低二人はいないと心配 です。コンピュータに携わる人には、キーパンチャー、オペレーター、プログラマー、コ ーディネーター等の作業者が必要になります。キーパンチャーは、データー入力を専 門にしている人で、コンピュータの知識を特別必要としませんから、育成は難しくはあ りません。コンピュータを使える人というと、以前はBASICでプログラムの組める人と いうイメージがありました。このような人は分類から言えばプログラマーです。プログラ マーを社内で育成するのは、自動車会社でもないのに、自動車のメカニックマンを社 内で養成するようなものですから、居ればそれに越したことはありませんが、現在で は特別必要とは思えません。それよりも必要なのがオペレーター、つまりコンピュータ を操作する人です。自動車なら運転手と考えて頂いてかまいません。このオペレータ オペレータ ーを育成できるかどうかが、コンピュータ活用の鍵を握っています。 第三章 コンピュータの生かした使い方 コンピュータの生かした使い方 第一節 プログラムは作らない 大工さんや、設計士との話を進めていると、わざわざ設計図面を引いて頼まなくて も、建売住宅で十分なことがあります。建売住宅は、設計士が機能的に考えて作った 家なので、完全に希望に合うことは少ないでしょう。だからといって注文住宅にすれば、 自分の好みにはぴったりとしたものができますが、時間も費用も膨大なものがかかり ます。初めてなら、建売住宅の方が無難です。 プログラム作りなら、大工さんはプログラマー、設計士はコーディネーター、建売住 宅は市販プログラム、注文住宅はオリジナルプログラムといえます。市販のプログラ ムの機能や値段に不満がある時は、オリジナルソフトを考えたくなります。オリジナル ソフトには自社開発と他社開発があります。しかし自社開発は、素人が自分で家を立 てるようなものですから、時間も、労力もかかった割には、できの悪いものが多いよう です。他社に依頼する場合にも、詳しい設計図と、かなりの費用がかかることが予想 されます。このようなことを考えれば、プログラムは作らず、できるだけ市販のソフトを プログラムは作らず、できるだけ市販のソフトを 使う事を考えた方が危険が少ないと言えます。市販ソフトは、業務に合わないことが 使う事を考えた方が危険が少ない 多いものです。なぜなら市販ソフトは、一般の業務の平均レベルで作成されているか らです。自社の業務に合わない理由としては、二つ考えられます。作業内容が自己流 の場合と特殊な処理がある場合です。自己流の場合は、一般のものに合わせた方が 良くなるかもしれません。後者の場合は、機能を重視するので、オリジナルソフトを作 らざるおえません。 ソフトには市販ソフト・オリジナルソフトのほかに簡易言語というものがあります。こ の簡易言語は、組立式の建物のようなもので、組合せによれば、いろいろな業務に役 立てることができます。事務処理の集計、計算などは殆どこの簡易言語で間に合いま す。最近はこの簡易言語の活用で、コンピュータ知識のない人々でも、かなりコンピュ ータを使って、業務の合理化を行えるようになりました。オリジナルプログラムだけで、 コンピュータを使う事を考えず、これらのソフトの組合せを行うことで、価格面だけでな ソフトの組合せを行うことで、価格面だけでな く、OA化の効果を早くあげる事も可能になります。 く、OA化の効果を早くあげる事も可能 第二節 人間との役割分担をする コンピュータで、事務の完全自動化を実現するというのは、現在のところ大変困難 なことです。経理部門の場合、現在なら数百万円投資すれば、タイムカードを集計し、 給与計算をやり、銀行に振込まで自動でおこなうことも可能です。ではどうしてそのよ うなソフトがないのでしょうか。それは銀行振込など、人間がやればアルバイトででき 人間がやればアルバイトででき ることが、機械では、何百万もかかってしまうからです。また完全自動化は、一部に不 ることが、機械では、何百万もかかってしまう 都合が起きた時やコンピュータの技術者が、退社してしまった時にも、業務が止まっ てしまいます。現在の時点では、コンピュータ処理を業務から切り放すこともできた方 が、より安全です。将来は、コンピュータと通信網、データーベースと人工知能などに より、人間の行う部分が次第に少なくなると思われます。現在の自動車は、冬でもエ ンジンのかかりは良くなり、雨を感知してワイパーを自動で動かすことも可能になりま した。現代の自動車同様にコンピュータが成熟するまでには、まだ時間がかかります。 それまでは、完全自動化よりも、人間との連携プレーを中心に考えた方が、ずっと効 完全自動化よりも、人間との連携プレーを中心に考えた方が、ずっと効 果的だと思われます。 果的 第三節 見えない負担 例題:「車庫から50メートル離れた所にポストがあります。歩いて行くには、時間が かかるので自動車を使って投函しに行きました。果して、効率的と言えるでしょう か?」。 確かに、道路を走っている時間は短いでしょうが、車庫の出し入れの時間や、ガソ リン代等を考えれば、効率が良いとは言えません。コンピュータでは、電源をいれて、 プログラムが起動する時間や、人間が待っている時の人件費、プリンター用紙のセッ ト等、キーを叩いている時間だけではありません。 キーを叩いている時間だけではありません。紙代、ディスケット代などコストの高 キーを叩いている時間だけではありません。 い消耗費がかかります。こういう気付かない時間や、費用も含めてコンピュータの効 率化を考えないと、利益には結び付いてきません。 第四節 処理量とコンピュータ化 第三節の例題で、効率低下の原因は、自動車の使用と50メートルという距離です。 つまりこの距離なら、歩けば良いのです。これは第二節で述べた、人間との役割分担 の一つです。自動車を使うというのならもっと距離があれば良かったのです。コンピュ ータでは、人間がついていなくても計算はしてくれますので、時間というものを余り考 えなくても良いものです。例えば10人の中から1人捜すのも、100人の中から1人捜 すのもコンピュータでは大した時間の差はでてきません、人間では、10人と100人で は大変時間が違ってきます。第三節の、コンピュータを使うための準備の時間も含め て、人間がやった場合との、時間の差を出そうとすれば、処理量を考える必要があり ます。コンピュータを買ったのだから、何が何でも使えと言うのは、処理する量を考え 処理する量を考え ないと、効率低下の原因となります。 第一部 あとがき コンピュータを仕事の中で、生かそうと思った時には、必ず人間とコンピュータの役 割分担を考えなくてはならなくなります。「従業員は、適材適所に使え」と言うのは、良 く言われることですが、コンピュータの場合も、全く同じ事なのです。作業を内容によっ て、コンピュータ向きのものと、人間向きのものとに分担をしなくてはなりません。コン ピュータ向きのものでも量によっては、人間がやった方が早いものもあります。ここで 更に、人間とコンピュータとの役割分担が生まれます。 ハード選びにしても、オフコン、パソコンで、役割を分担させなければ、もったいない 結果になります。ソフトについても、オリジナルソフトで揃えれば、業務には合います が、採算が取れません。そこで、オリジナルプログラムと市販ソフト、簡易言語、それ ぞれの特徴を生かした役割分担が必要となるのです。中小企業の場合は特に、使い 中小企業の場合は特に、使い 方を誤るとデメリットの方が多くなってしまいますので、役割分担は重要な問題です。 方を誤るとデメリットの方が多くなってしまいます 特徴を知ると言っても実際には、どういうソフトやハードがあり、どの業務をコンピュ ータ化すれば、利益が出るのかは、大変難しい問題です。今後は、この様な知識や 状況判断をするコーディーネーターの存在が重視されるようになるでしょう。良くわか らないで使うよりも、使わなければ、損失は少なくとも免れます。「コンピュータは、わ コンピュータは、わ からないなら使うな。使うなら適材適所に」これを結論にしたいと思います。 からないなら使うな。使うなら適材適所に 第二部 ワープロ 最近、低価格のワープロが数多く発売されています。その多くは、個人ユーザー向 けのものです。ビジネス向けには、数十万から、数百万のものまで発売されています。 この低価格ワープロはビジネスに使用可能でしょうか。今、OA機器の中で一番身近 になったこのワープロで、事務の合理化を図るためのポイントをあげてみたいと思い ます。 第一章 ワープロとは何か ワープロとは、ワードプロセッサの略(以下ワープロとします)です。日本語にすれ ば、文章編集印刷機と言えるかも知れません。数年前までは、活字で文章を印刷しよ うと思えば、印刷業者に依頼するか、日本語タイプライター(以下、日本語タイプとしま す)を使うかしかありませんでした。日本語タイプは、活字捜しに熟練が必要で、修正 などの編集が殆ど不可能でした。これらの問題を一気に解決したワープロは、画期的 な存在です。しかしこの使いやすさが、仕事にマイナスしている場合があります。ワー ワー プロは自動文章作成機ではありませんし、文章清書機でもありません。 第一節 ワープロの必要性 アメリカでは、タイプライターが以前から普及していました。それは、手書きよりも速 くきれいにできるという理由からでした。これなら企業が導入するのも諾けます。しか し日本語タイプはアメリカほど発達しませんでした。その理由はきれいに仕上がるが、 書くよりも何倍も時間がかかるということに原因していました。 コンピュータの発達と共に、ワープロが作られ、英文タイプライターの唯一の欠点で あった編集、つまり追加や訂正などの作業が非常に簡単にできるようになり、普及に 更に拍車がかかりました。日本語ワープロは、カナ漢字変換とすることで日本語タイ プの欠点であった、漢字捜しから解放され、時間短縮を計って手書きに迫る機器とな りました。 企業が導入を考えだしたのも、このような発達があったからです。しかし誰にでも、 手書きより速く文章ができるというわけではありません。従って、日本語タイプを今ま 日本語タイプを今ま で必要としなかった企業には、余り効果がない で必要としなかった企業には、余り効果がないと考えるべきです。しかし多くの企業が り効果がない OA化の手始めとして導入をしています。本当に必要で導入したのか疑問の残る場合 がかなりあります。今まで、日本語タイプを使用していなかったなら、導入は慎重に考 えた方が良いでしょう。 第二節 ワープロで経費削減がなるか? 今まで大企業でも、日本語タイプ専用要員は少なかったと思われます。従って総論 でも述べたように、ワープロ導入での人員削減は考えられません。大企業では今まで、 文章をもっと効率よく作り、整理したいと考えていました。そのため現在ではワープロ 専用要員を作り、入力に専念しています。逆に人員は増えたわけですが、このような 目的なら、その分の効果は得られるでしょう。中小企業の場合は、大企業のように、 書類自体も少なく、そのような要望も余りないのではないかと思われます。したがって ワープロ専用要員を作ることは無駄ですし、機械を購入する必要もないように思いま す。しかし、使えば便利なことがあるのも事実です。中小企業の場合は、ワープロ導 中小企業の場合は、ワープロ導 入にそれほど熱心になる必要はないと思います。 入にそれほど熱心になる必要はない 第二章 機械を選ぶ 機械選びの前に、導入の準備としてどのような作業をワープロに置き換えるか。 オペレーターの養育をどうするかと言う問題があります。中小企業の場合、前者の問 題を考えても、実際には前節の理由から、導入しても仕方がないという結論になる場 合が多いと思われます。後者にしても、ワープロの各機種で共通しているのは、キー の配列の部分だけで、追加、修正などの操作のためのキーはどれもバラバラです。 購入してからでないと、ワープロオペレーターの養育は無理でしょう。ここでは、購入 を前提とし、どのような機械を選んだらよいかのガイドラインを示します。 第一節 ワープロの種類 ワープロには二種類あります。一つはワープロ専用機、もう一つはパソコンにワー プロのソフトを走らせて、使うやり方です(以下、ワープロソフトとします)。ワープロ専 用機には大きく分けて2種類あります。企業で使う、大量の文章を扱い、高速で印刷 するためワープロ専門の機械(以下、専用機とします)と、最近でてきた、個人ユーザ ー向けの携帯用のものです(以下、携帯機とします)。 第二節 文章の整理 文章の保存・整理は、文章の数が多くなってきたときには必ず必要です。文章の種 類によって、ディスクを分けないと文章整理にはなりません。専用機でも、この機能が 専用機でも、この機能が 貧弱なものがあります。ワープロソフトの場合、たとえ機能がない場合でも、DOSを 貧弱なものがあります。 使えば可能ですが、専用機の場合、初めから機能がない場合には、かなり面倒なこ とをしなければならないようです。携帯機では、フロッピーなどの文章記録装置自体 がない場合が多いので論外です。 文章の互換性については、あまり注意を払われていませんが、知っておく必要があ ります。作成した文章は、ディスクに記録されますが、この記録の方式や状態が、各メ ーカーはおろか、機種によってもバラバラです。このことは機種や、メーカーを変えた 機種や、メーカーを変えた いと思っても、互換性を保つための機能やメーカー側のサポートがない場合には、そ いと思っても、互換性を保つための機能やメーカー側のサポートがない場合には、そ れまで作成した文章が使えないことになります。ワープロソフトの場合は、簡易言語ソ れまで作成した文章が使えない フトなどとのデーター交換のため、この機能がついている場合が多いのですが、専用 機・携帯機のときには、注意が必要です。 第三節 漢字変換 現在、文節変換が一般的ですが、最近では、連文節変換・文章一括変換・逐次変 換等、高度な変換方式のものがでてきました。「わたしはとうきょうにいきます。」という 文章を「私は東京に行きます。」と漢字混じりに変換するとします。文節変換では、「わ たしは/とうきょうに/いきます。/」と/の部分の文節の区切りで変換キーを押す必 要がありますから、全部で3回変換キーを押さなければなりません。連文節変換は、 最後の/の部分で1回押すだけで、自動的に文節の区切りを判断して、変換してくれ ます。逐次変換では、変換キーは全く押す必要がなく、最後の”。”を入力した時点で、 コンピュータが自動的に文節の句切りを判断して、漢字に直してくれます。勿論、ワー プロは文節の区切りや同音異義語を間違えたりしますので、どの方式が一番良いと は言えませんが、ワープロで一番手間のかかる部分ですから、できるだけ変換効率 できるだけ変換効率 の良いものを選んだ方が良いでしょう。 の良いものを選んだ方が良いでしょう。 第四節 編集機能 編集機能も、スムーズに文章を作るためには、重要なポイントです。印刷、修正を 繰り返していては、紙も時間も無駄です。画面上で、文章レイアウトや、全体のバラン 文章レイアウトや、全体のバラン ス、文章の表現や、誤字脱字の確認をしたいものです。ワープロは他の部分から文 ス、文章の表現や、誤字脱字の確認をしたい 章をコピーすることも可能ですから、このような機能を活用することで、効率化を図る 事ができます。携帯機では、表示行数2行、レイアウト表示ナシというものも珍しくあり ません。また印刷にも時間がかかるため、文章を効率よく作るのは難しいでしょう。 第五節 第五節 操作性 ワープロソフトと専用機・携帯機を比較した場合、キーボードの操作性は、後者の 方が良いといえます。なぜなら前者は、パソコンのキーボードを流用していますから、 専用機と比較すれば、どうしてもキー操作がしにくくなります。しかし操作性はキーボ ードだけではありません。打ち間違えた時には、間違えたところだけ訂正したいもので すが、実際は、正しい部分も含めて初めから入力し直さないといけない機器もありま す。操作方法がわからなくなった時のヘルプ機能など、ソフトウェア自体の完成度も 重要なポイントです。技術革新の進歩や、他社との価格競争のために、操作性よりも 操作性よりも 機能重視の傾向がありますので注意が必要です。 機能重視の傾向がありますので注意が必要 第六節 印刷 ワープロは印字の美しさも大切なことです。印字の美しさは、プリンターのドット数で 決まります。プリンターの文字は、ドット(点)の集まりで構成されています。したがって ドットの数が多いほど、活字に近くなります。携帯機では、16ドットのものが主流です が、ビジネスに使用するなら、24ドットは必要 ビジネスに使用するなら、24ドットは必要でしょう。その他文字の大きさを変える ビジネスに使用するなら、24ドットは必要 ことのできる機械もありますが、ドットが少ないと粗さが余計に目だちます。 ワープロの宣伝では、文字の大きさが何種類も印字できたり、葉書印刷・図形処理 可能という機器もありますが、基本的な機能を重視しないと、大変使いにくいものです。 ワープロソフトの場合は、バージョンアップという形で、改良されて行くことが多いので すが、専用機や携帯機だと、新機種に変わってしまい、買い換えなければなりません。 専用機や携帯機だと、新機種に変わってしまい、買い換えなければなりません。 中小企業の場合、先にも述べたように、ワープロに比重を置く必要はありませんので、 専用機を買うまでもないでしょうが、携帯機ではやはり仕事になりません。ワープロソ ワープロソ フトなら、機能・値段・機械使用の効率から言っても、一番良いと思います。 フトなら、機能・値段・機械使用の効率から言っても、一番良い 第三章 使い方のポイント ワープロを使うと、今まで印刷業者に頼んでいたことが、手軽にできるため、清書 機械のように思います。しかし印刷業者でもないのにそれでは、利益に結び付きませ ん。コンピュータ化では、対象となるものと、作業時間が問題 コンピュータ化では、対象となるものと、作業時間が問題となります。ワープロの コンピュータ化では、対象となるものと、作業時間が問題 場合も例外ではありません。総論で述べたことがワープロではどうなるか考えてみま しょう。 第一節 オペレータ ワープロは、コンピュータではありません。コンピュータを使ってはいますが、基本 的には、入力された仮名を、それに対応する漢字を捜して表示しているだけです。通 常の作業では、熟練者と初心者では時間的にも結果についても大きな差が生じます。 しかしコンピュータを使えば、素人でも熟練者でも結果は同じです。それもコンピュー タの特徴の一つなのですが、ワープロはそうではありません。つまり、熟練者と初心 者では大きく差が生じるのです。そのような意味でコンピュータとは言い難いのです。 ワープロは正しいキー操作の訓練をすれば、手で書くより速く文章が作れるように なります。ワープロは機械の性能よりも、オペレータの能力によって差がでるもの ワープロは機械の性能よりも、オペレータの能力によって差がでるものなの ワープロは機械の性能よりも、オペレータの能力によって差がでるもの です。 第二節 文章の量 ワープロは、慣れれば手書きより速く文章を作ることが可能となります。しかし、紙 のセットから印刷時間を考えるとかなりの量がなければ、本当の時間短縮にはなりま せん。印刷の間は、ついていなくても良いのですから、ある程度まとまった量になって から入力し、まとめて印刷した方が良いと思います。短い文章をちょこちょこ作る電卓 短い文章をちょこちょこ作る電卓 的な使い方では、あまりメリットはでません。 第三節 文章の種類 ワープロの特徴の一つに、編集機能があります。挨拶文や、マニュアル、説明文な どを作成する時は、文章の入れ替え・追加・削除などが頻繁に必要になります。手書 きでは、下書き・添削文・清書と、3回は文章を書き直す必要がありますが、ワープロ ワープロ なら下書きを、清書文にすることができます。このように編集機能をフルに活用できる なら下書きを、清書文にすることができます。 文章を選んで、ワープロを使用する事も大切です。 第四節 文章の再利用 案内文など、同じ文章で一部違うというようなものがあります。日付を変えれば何 度でも使えます。切り貼りや、手書きでも良いのですが、仕上がりはきれいではありま せん。ワープロの企業での使い方は、これが中心となるはずです。ワープロは、文章 を何度も再利用することにより、手書き以上の効果をだすことができます。従って、一 一 度しか利用されない文章を、ワープロで打つのは無駄だと言わざるおえません。 度しか利用されない文章を、ワープロで打つのは無駄 第五節 文書の清書 清書機械ではないとは言いましたが、清書に使うのも間違いではありません。お客 様に提出する見積書など、きれいなものの方が良い場合があります。また大勢の人 が見る場合など、手書きでない方が良い場合もあります。このように見栄えが必要な ときにも確かに有効です。しかしこのような使い方は、美しさが大きな効果を生む場合 美しさが大きな効果を生む場合 に限らないとメリットがありません。 第二部 あとがき 日本語タイプを見直そう 今さら日本語タイプも変ですが、日本語タイプを使う時の気持ちは大切です。日本 語タイプは、文章を作るのに時間がかかり、失敗すれば初めから打たなければならな いため、本当に必要のある時だけに使用していたはずです。しかしワープロは手軽に 使用できるため、メモがわりに使ったりしがちです。手書きは古いとか、ワープロを使 用している事がOA化になっているという錯覚をしている人もいます。 ワープロはコンピュータではありません。OA化とは、人員削減か、時間短縮か、作 業の高度化をすることです。作業の高度化は、初心者が熟練者並の作業をすること です。例えば財務コンピュータでは、初心者が振替伝票を入力することにより、総勘 定元帳を始め、経営分析、バランスシートなど、熟練者並の結果を得ることができま す。つまり入力される以上に出力が多いのです。しかしワープロはどうでしょう。入力 入力 したものが、そのまま出力されるだけですから、作業の高度化にはならないのです。 したものが、そのまま出力されるだけですから、作業の高度化にはならない ワープロは、文章作成時間の短縮でしか使えません。 文章作成時間の短縮でしか使えません。ディスケット代や、紙代もかか 文章作成時間の短縮でしか使えません。 ります。このような経費にも注意しながら、使用する目的をしっかり把握した上で、生 かした使い方をして下さい。個人使用ならかまいませんが、企業で興味本意で使うの は危険です。 第三部 簡易言語 数年前のマイコンスクールブームから現在に至るまで、コンピュータの勉強と言え ば、BASIC言語の習得が中心 BASIC言語の習得が中心でした。その習得率たるや、1000人中6人とも 習得率たるや、1000人中6人とも言わ BASIC言語の習得が中心 習得率たるや、1000人中6人とも れ、仕事に生かすとなれば並み大抵の事ではありませんでした。この難解なプログラ ム言語を習得せずに、何とか仕事にコンピュータを使いたいというのが多くの人々の 願いでした。そんな中でソードがノンプログラミング言語と名打って”PIPS”という言語 を発表しました。これが現在の簡易言語の走りとなり、最近ではプログラムの知識が プログラムの知識が なくても、この簡易言語を使って、コンピュータ化を進めている企業も珍しくなくなりま なくても、この簡易言語を使って、コンピュータ化を進めている企業も珍しくなくなりま した。ではこの簡易言語とはどういうものなのか、何に使えるのかを中心に述べたい した。 と思います。 第一章 簡易言語とは 人間が紙の上で行う作業を簡単にコンピュータに置き換えられないかという希望は、 誰しもが持つ願望です。簡単なアルバイトの時間給計算にしても実際にBASICでプ ログラムを組むとなれば、数日はかかります。しかし簡易言語を使えば30分もあれば 十分です。さらに希望とあれば、時間給の高い順のリスト、年間の集計などほんの数 分でできてしまいます。これがプログラムの知識のない、素人でも可能なのですから、 コンピュータ活用の鍵を握っていると言っても過言ではないと思います。 コンピュータ活用の鍵を握っている 第一節 簡易言語で何ができるか 簡易言語は、言語の一種ですから、どの業務に使うという目的を持って作られては いません。単純に言えば、計算業務を中心とした全ての業務に使えます。 計算業務を中心とした全ての業務に使えます。一言で説 計算業務を中心とした全ての業務に使えます。 明するのは難しいのですが、機能別プログラムの集まりとも言えます。この機能を組 み合わせて使うことにより、在庫管理、販売管理、顧客管理等に使えるのです。 第二節 プログラムとの違い アルバイトの給与計算を例に取りましょう。プログラムなら、勤務時間を入力しさえ すれば、後は比較的簡単に明細書まで印刷してくれます。しかし簡易言語は途中に いくつかの指示をしてやらないと、明細書まで印刷してくれません。プログラムの場合、 入力から出力までが給与計算の手順として記録されていますが、簡易言語は機能の 組合せで一つの作業を行うようになっているため目的のものを出力するためには、人 間が次の指示をコンピュータにしてやらなければならないのです。逆に言えば、プロ グラムは手順が記録されているため、給与計算しかできませんが、簡易言語は手順 手順 をその都度指定する事により、組合せによっては様々な作業ができる をその都度指定する事により、組合せによっては様々な作業ができることになりま 都度指定する事により、組合せによっては様々な作業ができる す。 第三節 特徴 簡易言語の長所は、どんな作業にも使える。プログラムを作らなくても、コンピュー タが使える。グラフなど手作業だとかなり時間のかかることが簡単にできる。一部の 数字を変えて、何度でも再計算ができる。検索、整列、印字など、コンピュータの得意 な作業だけ使うことができるなどです。逆に簡易言語の短所は、大量のデータを扱う には時間がかかる。次の手順を指示しなくてはならないので、仕事やコンピュータの 知識が必要。複雑な処理ができない。手順を間 手順を間違えると間違った結果がでてしまう 手順を間違えると間違った結果がでてしまうな 違えると間違った結果がでてしまう どです。 第四節 本当に簡易か プログラムを組んで仕事をするには、仕事の手順・言語・プログラミングと3つの知 識が必要です。しかし簡易言語なら、仕事の手順の知識さえあれば使うことができま 仕事の手順の知識さえあれば使うことができま す。基本的な使い方のみをマスターするだけなら、数時間の指導で可能です。コンピ す。 ュータを全く使ったことのない人にとっては、簡易とは言えないかも知れません。しか しこの基本的な使い方でできる作業を、言語を学びプログラムを組んで作業するとす れば数カ月は必要なことを考えれば、遥かに簡易であるといえます。 第二章 簡易言語を選ぶ 簡易言語は、カルク系とカード系 カルク系とカード系の二種類に大別できます。カルク系(以下、カルク カルク系とカード系 式とします)は、縦横計算を中心に行うものです。カード系(以下、カード式とします)は、 情報カードのように、検索や分類が主な目的です。 第一節 種類と作業 行う作業によって簡易言語の種類を選ぶことが必要です。カード式は、社員カード 行う作業によって簡易言語の種類を選ぶことが必要 のように、カードの方が一覧表にするよりも管理がしやすい時に使います。カルク式 には2種類あります。ひとつはスプレドシート(SS)型で、画面を集計用紙に見立て、 紙と同じ様なことができるようにしたものです。予算組などを行うには便利です。もう 一つはデータベース(DB)・リレーショナルデータベース(RDB)型で、横に項目を決 め、縦にはそれぞれの項目のデータがならぶ形式のものです。在庫データなどを扱う 時には便利です。 第二節 機能 簡易言語の機能は大きく基本機能及び応用機能に分かれます。基本機能とは、入 力、計算、集計、印刷、日本語処理等の使いやすさと、金額のカンマ・カラー・二段表 示などの見やすさがポイントです。応用機能とは、グラフ、出力指定、自動実行、デー タ交換などです。簡易言語の場合、応用機能も重視する必要があります。応用機能 が貧弱な場合は、ただの集計用紙の替わりにしかなりませんが、充実している場合 充実している場合 には、グラフ機能や自動実行機能で、プログラムに近い処理や、思いどうりの資料を 作ることができます。 第三節 項目数とデータ量 簡易言語は、項目とデータ数で一度に扱える量が決まります。データの量は多い に越したことはありませんが、数千件ともなると計算処理に時間がかかり実用とは言 えなくなります。項目は少ないと大きな表が作れません。データ件数よりも項目数を重 データ件数よりも項目数を重 視した方が応用範囲が広がります。 第四節 データ交換 簡易言語にデータ交換機能があれば応用範囲がさらに広がります。 データ交換機能があれば応用範囲がさらに広がります。例えば、プロ データ交換機能があれば応用範囲がさらに広がります。 グラム作成を行いながら、簡易言語でデータを蓄えておき、完成時に一緒にしたり、 在庫管理など通常、数字でしか量を把握できませんが、簡易言語にデータを移すこと ができれば、グラフ化することも可能です。また手作業をまず簡易言語で置き換えて おき、データ量やスピードに不満が出始めた時点で、プログラムに切り替えるなど、デ ータを無駄にせずに、つなぎとしても役立てる事ができます。 第五節 設計変更 簡易言語を使う場合、初めに項目の、項目名・型(数字又は文字)・幅(数字なら桁 数、文字なら文字数)の3つを設定します。この内の型及び幅は後から変更できない 型及び幅は後から変更できない ものがあります。例えば、住所録を作る場合、氏名の項目を5文字分で設定し、後か ものがあります。 ら6文字必要な事に気付いたとしても幅を広げる事ができない事になります。そのほ か、氏名と住所の間に郵便番号を入れたいと思っても後からではできないことがあり ます。設計変更が可能かどうかを注意しないと、何度も初めから表を作り直さなけれ ばならなくなります。 第六節 リレーショナルデータベース RDBの場合、表と表との間で様々なことができます。例えば、住所録から名前の 列を取り出し、試験点数の項目を追加して成績表にすることができます。RDBでない DBの場合は成績表を作るなら、氏名を又入力する必要があります。列を取り出す射 影、二つの表の共通データや不一致データを捜す比較など、表を操作する機能がな 表を操作する機能がな ければRDB形式であっても役に立ちません。 第三章 簡易言語の生かした使い方 第一節 使用目的 給与計算プログラムの場合、使用目的と言えば当然、給与計算ということになりま す。簡易言語は使用の業務を特定しませんから、目的をはっきりさせずに使いがちで す。しかし特徴を生かした使い方をしないとメリットはでません。具体的には、第一章・ 第三節をふまえた使い方です。さらに簡易言語の種類によっては在庫管理や給与計 算プログラムに近い処理も可能なものがあります。しかし現在の時点では簡易言語を 業務の中心に置くより、コンピュータ処理の補助的な役割で考えた方が良いと思いま コンピュータ処理の補助的な役割で考えた方が良いと思いま す。 第二節 作業者 コンピュータでの処理は、誰が行ってもデータ入力を正しく行えば、正しい結果が出 力されるのが普通です。しかし簡易言語の場合、第一章・第二節のように作業者が指 示をしたり、第一章・第四節のように作業の理解度が結果に大きく影響します。したが って作業者はある程度の簡易言語の操作方法を学ぶのは当然として、仕事の内容、 目的、結果について良く理解していないと間違った結果がでる可能性があります。そ の反面第四節でも述べますが、工夫次第で思った通りのものができます。簡易言語 は特に、生かすも殺すも作業者次第 生かすも殺すも作業者次第と言えます。 生かすも殺すも作業者次第 第三節 再利用 コンピュータは、何度も再使用することによって時間短縮が図れることは、周知の 通りです。第二章・第六節のように住所録の氏名を利用すれば、新たに氏名を入力し 直すことはないはずです。毎月の統計データなども、第一章・第四節でも述べたよう にプログラムでは大変手間がかかりますが、簡易言語なら集計用紙感覚で扱えます。 しかし5項目10行程度の表を1回しか使わないのであれば、手作業の方が遥かに効 率的です。簡易言語でも、一度入力したデータはとことん活用し、毎月繰り返し再利 一度入力したデータはとことん活用し、毎月繰り返し再利 用することが大切です。 用することが大切 第四節 資料 賃金台帳があるとします。社員番号順に並んだものならただの台帳にしか過ぎま せん。この表を、ふりがな、総支給額、入社年月日、誕生日、欠勤日数などの項目を キーにして簡易言語で整列せされば、社員名簿、長者番付、勤続番付、誕生日表、 欠勤表ができあがります。さらにこれらが瞬時にグラフになります。このように使い方 を工夫すれば賃金台帳から、何倍もの価値のある資料が生まれます。作業者の工夫 工夫 次第で作業の高度化、時間短縮はいくらでも可能です。 次第で作業の高度化、時間短縮はいくらでも可能 第三部 あとがき 現在、ソフトは市販ソフトから簡易言語に主役が移りつつあります。その原因は、市 販ソフトが業務に合わない、値段が高いなどの不満からだと思われます。その点、簡 易言語はユーザーの変更できる部分が多く、業務に合わせ易いと言えます。どんな 作業もできると言っても、全ての作業を簡易言語で行うのではなく、簡 全ての作業を簡易言語で行うのではなく、簡易言語の長所 全ての作業を簡易言語で行うのではなく、簡易言語の長所 を生かした使い方が大切です。 を生かした使い方が大切 簡易言語は、市販ソフトとプログラム言語との中間に位置しているものですから、 市販ソフトのように簡単には使えません。しかし一旦使い方さえ、マスターすれば資料 作りには強力な武器になります。 今後市販ソフトはなくなり、プログラム言語の習得は無意味になるでしょうか?。たぶ んそうはならないでしょう。例えば、簡易言語を使って財務会計ソフトに近いものは確 かにできます。しかしデータ量・スピード・操作性を比較すれば市販のソフトの方が遥 かに優れています。「万能器具は様々な用途に使えるが、裏を返せば、何一つを取っ ても専用器具の満足は得られない。」と言えるかもしれません。 現在の時点では、固定業務は市販ソフト、資料作りやデータ量・単純処理の小規 資料作りやデータ量・単純処理の小規 模プログラムは簡易言語を使うのが効率的と言えると思います。 模プログラムは簡易言語を使うのが効率的 第四部 プログラム コンピュータと言えば、ソフト&ハードと言われるように、この二つで性能が決まりま す。コンピュータ以外の機械では、ソフトに相当する部分が、機械の機構や使う人の 能力に当たっていたため、ハードの中にソフトも含まれていました。しかしコンピュータ では、このソフトの部分がプログラムとして完全に分離しています。この事は「弘法、 筆を選ばず」の諺の通り、ソフトの性能によってハードの機能を生かしも殺しもできる ソフトの性能によってハードの機能を生かしも殺しもできる と言うことです。勿論ビジネスでは、「良い・安い・早い」の三条件が揃わなくてはなり ません。プログラム作りでもこの三条件をいかに克服するかが大きな課題となりま す。 第一章 作成準備 プログラム作成は時間と労力がかかり、失敗すれば大変な損失を企業に与えます。 時間と労力がかかり、失敗すれば大変な損失を企業に与えます。 したがってプログラムはできるだけ作らないで、簡易言語や市販ソフトを使うことを考 えた方が良いと考えるのは当然です。しかしプログラムを作成して大きなメリットを出 すのも事実です。この章では、プログラム作成の決定及び準備について述べたいと 思います。 第一節 作成時期 最近では市販ソフトの種類も豊富になり機能も充実してきました。しかしソフトハウ スも、需要の大きなものしか作りませんから、需要の少ない特殊な業種や作業を含む 場合には、いくら待ってみてもソフトは発売されません。特殊な作業を含む場合でも、 標準に合わせられることもありますから検討の余地があります。作成する場合は他節 で述べる事項を確認し、条件を満たした時に初めて取り組むべきです。プログラムは 材料がかからないといって、簡単に考えるのは禁物です。 第二節 スピードと量 コンピュータは、大量のデータを高速で処理することが大きな特徴です。ある程度 の量がなければ、メリットがでないことは総論で述べた通りです。したがって、現在の 作業時間・人件費・今後の作業量の増減などを考慮し、コンピュータ化した時との効 コンピュータ化した時との効 率計算をしなくてはなりません。この計算をしないと、今まで自転車で出前をしていた 率計算をしなくてはなりません。 ものが、高級車で出前をすることになりかねません。 第三節 例外作業 タイムカードの集計一つにしても、必ずしも全員がきちんと出勤・退社をしていると は限りません。遅刻・早退・有給休暇・徹夜など僅かですが、例外処理が入ってきま す。このような例外処理はプログラムを作る上で大きな妨げになります。 例外処理はプログラムを作る上で大きな妨げになります。一番良いの 例外処理はプログラムを作る上で大きな妨げになります。 は、この例外処理を総て盛り込み、今後発生する可能性をも網羅して作成することで すが、これは不可能です。従って対策は、実際の作業上で例外作業をなくするか、例 外作業のみを手作業で行うかのいずれかになります。実際には、例外作業はできる だけ減らし、プログラムで処理する場合は例外部分の範囲をはっきり決め、その範囲 外のものは手作業で行うしかありません。つまり作業指示・プログラム・手作業処理 の各部分に携わる人が協力して解決することです。プログラムにだけしわ寄せをすれ ば、いつになってもコンピュータ化はできません。 第四節 作成範囲 タイムカードを自動集計し、給与計算、銀行振込まで、総て全自動でできれば良い と思うのは当然です。このような全自動プログラムは、インターチェンジのない東名高 速道路のようなもので、東京から名古屋まで移動するのには都合が良いのですが、 横浜から静岡まで利用したいと思ってもできないことになります。それに作るのも大変 で、全線開通までは全く利用できません。更に危険なのは、どこか一ヶ所でも事故が あると全線不通になってしまいます。したがってプログラムは作業範囲を決めその作 作業範囲を決めその作 業毎に作成した方が、作成時間や安全面においても良いと言えます。 業毎に作成した方が、作成時間や安全面においても良い 第五節 使用時間 プログラムは何度も利用することによって初めて採算が合います。 何度も利用することによって初めて採算が合います。従っていつまで 何度も利用することによって初めて採算が合います。 利用するのかを見極めなければなりません。同じコストのプログラムでも、100回利 用すればコストは100分の1になり、またいくつかの部署で利用できるなら更にコスト が下がります。したがってコンピュータ化する作業は、人手のかかる変化のない作業 で、人や年代に影響されないものでないと、1つのプログラムが大変高いものになり ます。 第六節 使用者のレベル プログラムを良く理解している者が使うなら、数十分・数十行で済むものが、素人に 使って貰おうとすると、何日もかかることが珍しくありません。しかし作業者全員にプロ グラムの知識を持たせることは不可能ですし、それほど意味のあることではありませ ん。作成時間だけから考えれば、使う人のレベルに合わせて作る方が効率的なよう な気がしますが、このような途中半端なプログラムでは、使用者が変わったりすれば、 全く使えなくなり無価値なプログラムとなってしまいます。したがってプログラムは、専 門家が使い捨てで作る暫定プログラムと、誰でも使用できる完成プログラムとにはっ 誰でも使用できる完成プログラムとにはっ きり区別すべきです。不完全なプログラムを使用者の能力でカバーさせるべきではあ きり区別すべき りません。 第二章 プログラム作成 最近は、ハードの技術が進み、メモリやスピードも一昔前とは比較にならなくなりま した。それに比べプログラム作成は、ハードほど進歩せずジレンマとの戦いです。使 いやすい言語はスピードが遅く制限が多いが、開発時間が短くて済み、難しい言語は、 高速で制限が少ないが、開発に時間がかかることに変わりはありません。しかしメモ リとスピードの向上で、プログラムもテクニックや処理スピードよりも、作り易さや使い テクニックや処理スピードよりも、作り易さや使い 易さに重点が置かれつつあると思います。この章では作り易さとはどう言うことかを述 易さに重点 べたいと思います。 第一節 変更 プログラム作りでは、変更はつきものです。変更にも2通りあります。一つはプログ ラムの中での変更です。この変更は作成時から念頭に置く 変更は作成時から念頭に置く必要があります。この作成 変更は作成時から念頭に置く 時のポイントとしては、1.言語を選ぶこと、2.処理毎にプログラムを分けること、3. 基本的なプログラムからバージョンアップで改良すること、4.見やすいプログラムを 作ることの4つです。もうひとつは機種の変更です。以前は機種が異なればプログラ ムは再度入力し直さなければなりませんでした。現在では、データ通信やOSの統一 でかなり楽になりましたが完全に互換性があるわけではありません。したがってその 機種独得のコマンド等がある場合には、その部分を分けて作るような注意を払えばず いぶん違うと思います。 第二節 メンテナンス 以前の時計は、細かい精密部品が数百点も必要でしたが、現在のデジタル時計は それを数点にしてしまいました。プログラムも現在は数百から数千のコマンドの集合 で、これを減らすことは応用性の低下につながりますから、機能毎にブロックにまとめ て作るような方法しかありません。そして分かりやすさを第一に置いて作るべき 分かりやすさを第一に置いて作るべきです。 分かりやすさを第一に置いて作るべき こうしないと誰にも修理できないプログラムになってしまいます。メモリやスピードは犠 牲になるかも知れませんが、このようにした方がメンテナンス・改良の場合においても、 効率面でかなり差がでてきます。 第三節 ツール 以前の8ビット機や大型コンピュータでは、カタカナしか使えませんでした。これを漢 字に直すのは、普通なら総て打ち直さなければなりません。しかしこのカタカナを平仮 名に換えることができれば日本語ワープロの自動変換機能で、漢字に直すことが可 能になります。このカタカナから平仮名に変換するプログラムはBASICで20行程度 ですから難しいプログラムではありませんが、有ると無いとでは効率がかなり違いま す。このような自作ツールの活用も開発効率を高める 自作ツールの活用も開発効率を高めるのに役立ちます。 自作ツールの活用も開発効率を高める 第四節 言語 現在パソコンのプログラミング言語は十数種類にのぼります。しかし決め手という 言語はなくそれぞれ一長一短があります。一般的なBASICは、多機能・応用性に優 れている反面、ファイルの取扱が難しく事務処理に最適とは言えません。将来ミニコ ンに換えるならCOBOL、パソコンのみを使うつもりならdBASE等のプログラミング 簡易言語の方が、開発しやすいと思います。最近ではOS上で言語が作動しているた め、言語の組合せも可能です。一つの言語で全ての部分を作成しようとすれば、応用 性のあるBASIC・C・アセンブリ等の言語が必要になりますが、今後は言語を組み合 言語を組み合 わせ、短所を補うやり方の方が、開発期間も短縮できて良いと思います。 わせ、短所を補う 第五節 機能 プログラムはいわば作業者のノウハウの集積ですから、素人でも熟練工並の作業 が可能です。したがってオリジナルプログラムを作るのなら、その特徴をフルに生かし たものにすべきです。例えばある金額以上は取り扱えないようにするロック機能や、 手形発行プログラムなら、手形の郵送先の宛名ラベルまで印刷させるなど、それぞれ バラバラでやっていたのでは効率の上がらない事でも付加機能で随分効率アップが 付加機能で随分効率アップが 可能です。このようなオリジナル機能をつけられるところが、開発の強みですから是 可能です。 非取り入れるべきですし、またここまで作らないととても採算の合うものとは言えませ ん。 第三章 使い易さ プログラムを作成または購入しても、殆ど使用されないで終ってしまうことがありま す。その理由としては、1.手作業より効率が悪い、2.手作業でできた事ができない、 3.使い方が難しいの3点が考えられます。これらの事を踏まえて使い易いとはどう言 うことかを考えたいと思います。 第一節 無人 ”コンピュータで無人化を”とは良く言われることです。しかしコンピュータに人がつ いていなければ作業が進まない場合が多いのも事実です。実際にはこのコンピュー タについている時間をいかに短くするかが無人化、並列作業のポイントになります。し たがって人間がどうしても必要な入力の部分はまとめ、後の計算・集計・印刷はつい ていなくてもできるようにすべきです。もし途中にいくつかの指示が必要な場合には、 バッチ処理として登録したり、また時間のかかる処理なら終わりまでどれだけかかる のかや、今どこまで終了したか、作業終了時のブザーなど、待ち時間に人間に他の 作業ができるような経過情報を示してくれると便利です。プログラムの処理からすれ ばこのような経過情報を表示することは、スピードの低下になるので省いてしまうこと が多いのですが、経過情報こそ重要 経過情報こそ重要だと思います。 経過情報こそ重要 第二節 Where? プログラムは普通、ツリー状に体系づけて作られます。こうしないと元の処理に戻り たいとか、別の処理をしたいとか考えたときにうまくいかないからです。しかし素人が 無計画に作ると迷路のようなプログラムになりがちです。プログラム実行中に、作業を 進めたり戻したりができなくなったり、今、自分がどの処理の部分にいるのかさえ解ら なくなり、電源を切る以外に方法がなくなってしまう事があります。したがって入力フォ ーマットも統一が必要です。戻るとき、進むとき、YES、NOなどその度に答え方が違 っていては混乱してしまいます。つまりプログラムは、計画的で完結 計画的で完結明瞭に 計画的で完結明瞭にという事で 明瞭に す。 第三節 手作業 プログラムは手作業を元に作られるのが普通です。つまり使う側にとっては手作業 手作業 でできることは当然として、それ以上のメリットがなければ慣れないキーボードを使う でできることは当然 気にはなれません。事務処理なら鉛筆とケシゴム、プログラムなら追加・訂正・削除・ 表示の四作業はいつでもできないと不便です。それに結果は画面で確認できないと、 印刷だけでは失敗作の山になり、ますます使いづらくなります。コンピュータの威力を 発揮するのは勿論、整列・検索・集計の応用機能ですが、ベースになる基本機能が 充実していないと、結局使われないで宝の持ち腐れとなってしまいます。 第四節 ハード 現在大部分のパソコンがCPUにi8086、クロックは8MHzという仕様ですのでスピ ードに大した差はありません。異なる点はメモリー・外部記憶装置・周辺機器ぐらいで す。メモリは多い方が良いですがそれを生かすソフトがなければ全く無駄です。メモリ はRAMディスクとして使えるものもあります。これはアクセスのスピードが速いので、 ワープロソフトやプログラム開発時には力を発揮します。フロッピーディスクは現在3 種類の大きさがありますが1Mの容量は必要だと思います。ハードディスクは在庫管 理など大量のデータを扱う時には必要です。周辺機器はCRTとプリンターが一般的 です。CRTは高価な方が目が疲れません。プリンターは事務処理なら漢字24ピン1 32桁は必要だと思います。 第四部 あとがき コンピュータのハードの部分はここ数年で飛躍的に進歩しました。最近ではミニコン のマルチユーザー・マルチタスク機能をもパソコンで行おうとしています。しかしこのよ うな高度機能がなくても、中小企業の事務処理にならスピード・容量とも十分と思われ るようになりました。それに引き換えソフト開発についてはそれほど進んでいません。 言語の問題・開発時間・改良作業どれも悩む問題です。将来自動プログラミングソフト ができない限り完全に解決することはないと思います。 現在のところ、言語の組合せを行い、基本機能を充実させ、独自の機能を生かすと言 うのが理想ですが容易な事ではありません。やはり市販ソフトの活用を考えた方が無 難と言えます。しかし将来のための布石とするなら、専門要員を作り真剣に取り組ん 専門要員を作り真剣に取り組ん でも価値のあるものです。兼任で、しかも試しで開発を行うのは、その者の本来の業 でも価値 務の効率を低下させるばかりでなく、会社全体の機構を狂わす事にもなりかねませ ん。 第五部 まとめ パソコンを使ったOA化として、気づいた点や注意すべき事について述べてきました。 この部では前四部のまとめと、現在のコンピュータ化の状況、今後の行方について述 べたいと思います。 第一章 各部のポイント 総論の第一章では、コンピュータは何ができるか。又導入しても余剰時間・資料の 活用をしなれば利益に結び付きませんし、人員削減は難しいことも述べました。第二 章では、コンピュータ化する前の準備が大切なこと。機械の選び方、オペレータの必 要性について述べました。第三章では、プログラムを作らないことと見えない負担。そ れに処理量についてと役割分担の重要性について述べました。ワープロの部では、 本当に必要かどうか?。選び方と使い方のポイントを述べました。簡易言語の部では、 その特徴と便利さ、生かした使い方と注意点について述べました。プログラムについ ては、取り掛かりの重要性と、作成上の注意。使いやすさとはどう言うことかを述べま した。 第二章 コンピュータ化の状況 毎年、OAショーなど現代の最先端をいく機器の展示会が多くあります。現実には それがどの程度各会社で活用されているのでしょうか。アンケートを取ってみると成 功例が多いのも事実です。しかし本当かどうか疑わしくないわけではありません。そ れはアンケートの回答者がコンピュータ技術者や経営者であったりするため、失敗を おおっぴらにはしたくない場合があるからです。実際の平均を予測すれば、ワープロ と顧客管理、在庫管理などのプログラムが2、3本動いている程度だと思います。そ れもかなりの人間の努力によって支えられている場合が多いような気がします。本当 に全社的にOA化を進めるとすれば、コンピュータコンサルタント会社などに依頼し、 多額の経費をかけなければならないでしょう。中小企業では、そうもいかないので少し ずつあせらずに進めることしかありません。 数年前のパソコンでは、漢字が表示されると言うだけで画期的でした。しかしその 漢字の指定の仕方も、4桁のコードを入力するやり方で、1文字表示するのに何分も かかりとても実用的とは言えませんでした。最近ではワープロでも最も高度と言われ る逐次変換方式を、OSに組み込むことができるようになり、OSの管理下で走るすべ てのソフトにこの方式で日本語の入力ができるようになりました。この時点になってデ ータの漢字化を始めたとしても遅れているとは言えないはずです。最新の物に注目す るのは良い事ですが、すぐに活用できるかどうかは別問題で、最新の機能があったと 最新の機能があったと しても利益に結び付くわけではありません。 第三章 今後の行方 現在のコンピュータを自動車に例えれば、やっと大衆の手にも渡りだした頃のもの と大した違いはありません。したがって舗装した道路や緩い坂などは、何とか登って いきますが、悪路や急な坂道は無理ですし、時々人間が後押しすることも必要になり ます。現在の自動車のように成熟するにはまだまだ時間がかかります。今後コンピュ ータはますますスピード化・多機能化するでしょうし、もっと人間にとって使いやすいシ ステムも開発される事でしょう。現在、研究の進められているものに、人工知能とINS があります。これらが完成するとコンピュータは推論と情報網の二つの力を持つ大人 へと変貌します。それまではコンピュータは計算の得意な子供 コンピュータは計算の得意な子供ぐらいに考えるべきで コンピュータは計算の得意な子供 す。今はこの手間のかかる子供をどうすればうまく使えるか、利用技術がすべてを握 利用技術がすべてを握 っています。 結び コンピュータに限らず、仕事は総て準備が重要です。しかし最近の異常なほどの技 術革新や情報の氾濫などにより、準備よりも行動に急ぎがちです。このような状況で あるからこそ、もう一度原点にかえって慎重になるべきだとも言えます。 各部とも総論に則り、準備・選択・使い方と三章にわけました。各章とも安易に考え がちな事や注意点、利益につなげるためのマイナス要因を中心に書きました。セール スマンの口上や世論とは違っているかもしれませんが、このような見方もあると考え て頂ければ幸いです。 エレクトロニクスの世界は日進月歩です。現在の問題点は徐々に改良されていくこと でしょう。21世紀にはここに書いたようなことは、昔話になってしまうかも知れません。 今後のエレクトロニクスの発展が、私達の社会をより豊かで実りあるものにしてくれる ことを願ってやまない次第です。 (資)村松鉄工所 村松 利久 OA研究部会に参加するにあたり、私が心配した事は、1ヵ月に1回、計6回の研究 回についていけるか、又は、自分の為になるだろうかと言う点でした。いざ参加してみ ると回を重ねていく次第に、一般のパソコン教室とは違う事がわかってきました。 このOA研究会においては、視野をあくまでも、経営者及び、管理者の立場に置い ている事です。そして、OAとは、これからの社会においてのパソコンの役割及び、使 用方法、必要性等が、機能が簡潔にまとめられており、よく理解できるものでした。 客観的に現状を見渡してみると、私の会社も含めてですが、中小企業においては、 パソコン等は、まだまだ普及してない様に思われます。そして、OA及び、パソコン関 係等の情報は少なく、よほど注意していないと、社会経済の流れに乗り遅れてしまい ます。そして、導入の時期もむつかしく思われ、一歩誤ると、無駄な費用がかかるば かりか、貴重な時間までも失います。この事は大きな損失であり、経営者側にとって は大きな痛手となります。この事から、OA研究会だから、OAやパソコンを進めるとい うより、無駄なOA化、又は、パソコン導入はしないと云う視点に立っていると思われま す。 私の会社でも、まだしばらくは、導入には時間がかかりそうな気配がしますが、いざ 必要となった時では、対処が遅れ、あらかじめ枠組みだけは、準備しておかなければ なりません。そこで、今回の部会の参加する事により、導入の際の考え方が、経営者 側の立場にたった考え方が具体的に見えてきました。本当に勉強になりました。 ただ、残念な事は、もう少し時間をかけて、実際にパソコンを操作しながら、理論を すすめて欲しかったと思います。 (株)三光製作所 (株)三光製作所 川合 勝義 OA化と云う、とらえどころのない領域を1小企業で歩き始めるのは、大変骨の折れ る仕事です。 よく、「パソコンを入れて、OA化をした。」という話を聞きます。もっとひどい話になる と、パソコンは、押入にしまっておく道具という陰口をも聞かされます。 一体「OAとは何だろう」と云う、素朴な疑問で肩こりもひどくなる此頃です。幸い、此 度お忙しい折にもかかわらず、振興公社からのお願いに、心良く応じて下さった、OA 化の先発企業でもある、スター電機の森永社長さんの御好意で、コンピューターのハ ードやソフトの特徴や選び方に至る、もろもろのお話や貴重な体験を本音で教えてい ただき随分助けられました。しかし現実のOA化推進進展の段階になると、まだまだ 多くの問題が企業間格差として表われて来ると思います。 例えば、資金面や技術面、又、オフィスワークのシステム化進度やコミュニケーショ ン等々の困難が待ちうけています。 だから、複雑無定義なオフィスワークを迅速・正確なオフィスワークに変設するために、 高度情報通信化時代あるいは、ハイテク化時代と云われる今日オフィス効率化のた めの技術(ソフト)や道具(ハード)の目まぐるしい変化をも、ある程度予想・把握しない と、その企業は「OA化とは何か」の段階で取り残されてしまいます。 時々刻々と発売される新しいハードやソフトウェアー、ジャーナリズムがいささか誇 張してとりあげるOA化の影響等の最新ニュースをもいち早く活し、中小企業ならでは のアイデアに富んだ、OA化の推進方法を考える研究会として残れる様に望みます。 「OA化に終着駅はなし」 此の度は、御指導を戴きまして、大変ありがとうございました。 (株)松尾製作所 OA化担当 荒川 太郎 中小企業技術研究会のOA化研究部会に61年4月より各月1回参加したことは有 意義なことであった。特に、森永講師の明快なタッチによる4回の講義は大変参考に なりまた勉強にもなった。 このOA研究会の発足にあたり会員にアンケートが取られその結果経営者が16名、 管理者8名、専門職4名、と生産企業の多いことからコンピュータ利用の方向が、工 程管理、在庫管理、経理管理業務など生産面と、経理面の両方から経営問題の解決 をはかろうという参加者の意図がうかがわれた。 中小企業におけるコンピュータの活用は、プログラマ、システムエンジニアを中小 企業に独自で雇用することが難しい面があり、どうしても市販のソフトウェアを使うこと になる。この点に研究会のメンバーの目が注がれたことは的を得て正しいことであっ た。こうしたことから最初に森永講師が経営しておられるスター電機を見学して中小 企業におけるコンピュータ特にパソコンの使用を非常に上手に使いこなしている事例 を拝見できたことはこの研究会の発足に際しての方向付けとして事務局の配慮に感 謝をする。スター電機のコンピータ使用目的が企業の経営目標と一致していることを 従業員が十分に理解している点が見学者として非常に勉強になった。 これらの前提のもとにOA研究会の準備が進められ、パソコンの解説、ワープロ、 簡易言語、プログラムとコンピュータのハード面よりソフトが如何なるものであるかを 研究会メンバーに理解させたことは十分にOA研究会の機能を果したものと考えられ る。常に言い古されたことであるがコンピュータ(パソコンを含めた)の使用者側の使 用目的とコンピュータによってどの範囲までOA化にするかは使用者側の経営者と経 営管理者との間で十分な検討を加えて全体の合意の上で決めなければならないこと を理解しておくべきである。 最後にこの研究会の発足から今日までご指導いただいた森永講師および事務局に 感謝の意を表したいと思う。 (株)近藤機械製作所 近藤 保明 此の度の研究部会に参加させて頂く機会を得まして私なりに感じた点を二、三御報 告させて頂きます。先ず最初に熱心な参加者が大勢あるのに驚きました。その内で 私が最年長者である事に気付き二度びっくりしました。 若い人に混じって最後まで やれるか不安でしたが、講師と当部関係者の御熱意に引かれて最後までついて来ら れた事に感謝致して居ります。実は私共の様な小さな会社にOA化の必要ありやと、 迷っていた頃五十七年当部の一泊研修会で、(株)三光製作所、川合社長と、当講師 森永社長と同室の好機あり、夜の更けるのを忘れて、ご両人のOA化に対して進んだ 考え方を聞かせて戴き、感心致しました。其の二年後に息子と新宿・秋葉原等へ見学 へ行きましたが、帰ってすぐに息子がパソコン一セットを買ったのですが、利用の方法 に考え方の違いがあり、彼は他社で修業中の月給取り、金を払う側で、小さいながら も経営者の私との間では当然かも知れませんが、研究会が先にあったらばと思った 程でした。 今回の研究会の講師が会員であり中小企業の経営者のせいか、私共の気持ちを よく理解され、しかも自身は此の商売をして居ながらも私的な利を考慮する等の様子 は全くなく、我々の社益に結び付く様に経済観念を充分折り込んでの話が中心で、私 にはとてもよかったと思います。コンピューターに対し高度な知識がありながら私のた めにお付き合いして下さいました皆様や、レベルの差で苦労された講師や当部の 方々に申し訳なく思います。 小規模の我が社では、現在「クタビレタ」私の頭がコンピューターとしてフルに活躍 中でして、ここ当分は息子に買ってやったパソコンが充分活躍する事から始めるつも りです。今回の研究会で得られた、うどんの出前を高級乗用車で運ぶ愚をせぬ様に 心掛け、種々内容の講義を今後の参考に役立てたいと考えております。コンピュータ ーは気持ちの理解や決断はしてくれない。それを私がやる。お世話になった皆様に激 謝。 技研興業( 技研興業(株) 永井 真二 大企業、中企業はOA化を積極的に導入しています。又情報誌やOA機器メーカー では、OA化を導入しない企業は今後の社会に打ち勝って行けない、とまで宣伝して いる今日です。そんな社会情勢の中で我々中小企業はOA化とは何だろう、又どの部 位から導入していったら良いのだろうか、そしてそれが確実に社益を生むのだろうか、 など不安と戸惑いを持っている会社の方が多いと思います。そして今回の研究会に はその様な会社が多く参加していました。 当社も数台のパソコンとファクシミリ、ゼロックスを導入している程度で、パソコンも 毎日フルに稼働していません。これで良いのだろうか、又今後どの様にOA化を進め て行けば良いのか等々考えて、私も今回の研究会に参加しました。講義も総論から 始まって経営的立場から見たOA化の取り組み方を話されました。ワープロも現状で はタイプライターの代わりに活用する事以外にそれほどメリットが無い事や、本格的 なOA機器を導入する前に、パソコンを主体で考え、簡易言語のソフトやワープロ用ソ フト等を使用して、各社に合ったソフトを作成、運用し各社に適したOA化を進めて行く のが良い事など解りました。またソフト作成方法も中央の部分すなわち、標準化、規 格化、共通化できる部位までをプログラム化する事は良いが、回りの枝葉までプログ ラム化すると後々にそのソフト全体が使用できなくなる事も知りました。 懇談会での話の中で、財務、経理の処理を大型コンピュータを導入してOA化しよう と考えている方も見えましたが、当社の様な小企業ではとても手の出る物ではなく、 採算面でも見合う活用は出来ません。現在当社では財務・経理の処理は、大型コン ピューターを導入している計理事務所の方へ委託していますが。この手法が一番良 いことだと確信しました。又、職業上CADの話も出ました。当社もパソコンCADを導 入し運用していますが、パソコンCADのクラスではCADの基本的ベースを勉強する 程度で、社益を生み出す事は不可能です。しかし将来に向かって、大型CADを導入 するならば、パソコンCADを使用してシステムの考え方、作り方を根本から整理、分 析して全社員が勉強していけば大型CADも100%活用される事だと考えます。 以上OA化、コンピューター化も急激にするのではなく、各社に合ったOA化を毎 日々、少しずつ進めて行くのが最も良い手法だと解り、又確信しました。 最後に今 回のOA化研究会に参加して、経営的立場でのOA化に対する考え方が理解でき良 かったと思っています。 OA研究部会出席者名簿(順不同) 氏名 丹羽要 所属 丹清精工(株) 氏名 所属 野田真太郎 (有)野田工業製作所 北村純一 (株)半谷製作所 田中寿 (株)タナカ 村松利久 (資)村松鉄工所 豊田充 (株)豊田電研工業所 澤田由喜 (株)丸由制作所 近藤保明 (株)近藤機械製作所 牧野克則 (株)牧野鉄工所 長谷川洋 (株)長谷川製作所 川合勝義 (株)三光製作所 朝野金郎 朝野鐵工(株) 荒川太郎 (株)松尾製作所 永井真二 技研興業(株) 松尾秀雄 (株)松尾製作所 佐藤克宏 (株)城東製作所 鵜飼司郎 興和精密工業(株) 川出龍一郎 (有)日本エコン製作所 酒井正 新日本工業(株) 須田泰彦 名古屋精工(株) 森永登 スター電機(株) 編集後記 ニューメディア時代と言われる昨今、技術革新の速さに焦りがちです。この様な状 況の中で中小企業が社益につなげるOA化を行うためには、先ず社内での受入態勢 を整えることが肝心です。具体的には、1.コンピュータに対する考え方とモラル作り。 2.ルール、規格、マニュアル作り。3.棚の整理や、現状データの調査等を優先的に 考えてはどうでしょうか。 焦りでの、OA機器導入は危機導入にもなりかねません。同じ危機でも、社員に対 する危機感を持たせる意味での、OA機器導入にしたいものです。また無人化よりも、 「ムダ、ムリ、ムラ」の不要な部分をなくす、無塵化を目指してはどうでしょうか。OA= O A 最先端・省力化などと言うイメージから、簡単に「おーえーよ」と導入許可をなさるのは、 少々疑問が残ります。 厳しい円高不況の進む中、五回にわたるOA会も無事に終了いたしました。ご多忙 中にもかかわらず、多数ご参加下さいました会員の方々をはじめ、今回のOA会を開 催するに当たり、一方ならぬご支援を賜りました財団法人愛知県中小企業公社の皆 様方に、改めて御礼申し上げます。不手際が多くご迷惑をお掛けした事と思いますが、 御容赦のほどお願い致します。何か一つでも御参考になることが有れば、幸いに存じ ます。今後、益々皆様のご活躍、御発展をお祈り致します。
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