第一章 はじめに 第二章 ハイブリッドカーについて

ハイブリッドカーは本当に消費者に優しいのか?
MK
第一章
第一節
はじめに
テーマ設定の理由
昨今の自動車会社は、ハイブリッドカーを低燃費で地球と消費者に優しいと、テレビ CM な
どでよく売り出している。その売り文句、特に消費者への優しさの有無、が正しいかどうか知
りたく思い、このテーマ設定をした。
第二節
研究の狙い
今回の研究では、実際にハイブリッドカーを使用している人からアンケートを取り、その結
果を元に、ハイブリッドカーの印象や、使用者に求められるものを考えていきたいと思う。
第三節
研究の内容と方法
1. 研究の内容
ハイブリッドカーを使用した上での感想や、その関連問題について考察する。
2. 研究の方法
アンケートや書籍、インターネットを利用した。
第二章
第一節
ハイブリッドカーについて
ハイブリッドカーとは?
ハイブリッドカーとは、混成物の意味を持つ『ハイブリッド』と、車を意味する『カー』か
ら名前が出来ている通り、異なった二種類の原動機を搭載した自動車のこと。
第二節
ハイブリッドカーの特徴
今回は、世界に先駆けハイブリッドカーを市販に踏み切った、トヨタ自動車の『プリウス』
を研究対象の中心にしたいと思う。さて、ではこの『プリウス』という名のハイブリッドカー
は、どのように低燃費を実現させているのか、について調べたことを、考察を織り交ぜ記そう
と思う。トヨタのハイブリッドシステムの特徴は、エンジンとモーターの長所を融合したもの
だ。エンジンが実力を最大限に発揮できるのは、中速域から高速域の範囲だ。一方モーターは、
アクセルを踏んだ瞬間から、低速域を得意ゾーンとする。これらのいいとこ取りがシステム最
大の特徴である。
第三節
ハイブリッドカーの仕組み
ハイブリッドカーの仕組みは、動作毎に別れており、それは大きく 6 つに分類される。
発進時、低速走行、通常走行、全開加速、原則、停車、である。この 6 つに対し、各々のシチ
ュエーションを得意とする原動機が主体となる。例えば、発進時はモーターを主体に、という
ことだが、これは先の「ハイブリッドカーの特徴」に記した通りである。
ここでは、通常走行時に行われる『余剰エネルギーの充電』と、減速時の『エネルギーの回収』
の仕組みを簡単にまとめるものとする。
1. 余剰エネルギーの充電
通常走行時は、エンジンを効率優先で運転しているため、エンジンで発生するパワーを、
使い切れない場合がある。エンジンで余分なパワーが生じた時には、ジェネレーターで電
気に変換して、無駄なくバッテリーに蓄えることができる。
出典:トヨタ企業サイト
2. エネルギーの回収
ブレーキを踏む時や、アクセルを緩めた時には、車輪の回転力で、モーターを回し、発電
機として使います。通常は熱エネルギーとして捨てられる減速時のエネルギーを電気エネ
ルギーに変換して、バッテリーに回収し再利用できる。
出典:トヨタ企業サイト
第四節
消費者に優しいか否かの判断をどう下すか
1. 何を持って判断を下すか
アンケートより、少数派意見を尊重しつつ、過半数の意見を基軸とし、その主張を資料
によって数値的に見定める。
2. 証明の難しさ
今回の証明は、使用者の感覚的意見と、資料による数としての両面からの視点を併せ持
つ必要があり、100%の答えには成りえない。その分、使用者の要望や立場に重きを置
けるので、数学的証明とは少し異なった証明となる。
第三章
アンケートからの意見
第一節 前置き
今回の研究に際して行ったアンケートについて説明する。
・対象者…ハイブリッドカーを使用している。
・アンケート内容
1. ハイブリッドカーが経済的に自分を支援していると思うか否か。
2. 1.で思うと答えた人は、ハイブリッドカーの価格も踏まえて、得になったと思うか
否か。
というような、簡単な「YES or NO」で答えられる質問を、対象者の条件に従い、20 人に行っ
た。また、答えに対する理由も一部まとめた。
第二節 アンケート結果・考察
簡単な票にしてまとめたいと思う。
YES
NO
質問 NO.1
17 人
3人
質問 NO.2
10 人
7人
という結果が出た。ここで注目すべきは NO.1 と NO.2 で「NO」と答えた人の数が倍以上違う
ことと、NO.1、NO.2 それぞれで「NO」と答えた理由である。
NO.1 は 100%が「YES」を選ぶように思えたが、三人の人はそうは答えなかった。その理由
を尋ねたところ、面白い意見が聞けた。それは、
「以前軽自動車を使っていたせいか、ハイブリ
ッドカーに大した差が感じられない。ガソリンの値段の変動もあるので、比べようがないが得
している感じは特にしない。
」というものだ。
NO.2 については、実際は「YES」
「NO」以前に「どちらとも言えない」という意見が最も
多かった。
「未来への投資」の様に考えている人が多かったよう見受けられた。そんな中でも「NO」
と答えた人は、
「ハイブリッドカーの値段の元を取れているか不安」という意見が多かった。
第三節 資料による判断
資料を元に、プリウスを他の車と比較し、元が取れるかどうか。元を取るのにどれほどかか
るか計算し、表にしてみようと思う。(この時年間走行距離を 1 万 2000 キロとする)
比較車両
プリウスα
カローラ・アクシオ
車両価格
約 230 万
約 170 万
燃費
21km/L
14km/L
使用燃料
571.4L
857.1L
154 円
154 円
8.79 万円
13.19 万円
ガソリン価格
(8 月の全国平均)
燃料費(1 年)
という結果が出た。これにより償却年数は 13.6 年程であるとわかる。
もちろん、ガソリン価格により、もっと早く元が取れるかも知れないし、場合によってはより
遅くなるかも知れない。どちらにしても、とても 5 年 6 年ではプリウスαに有利な状態になる
ようには思えない。アンケートにも出ていた「不安」は確かにありそうだ。
第四章
まとめ
ハイブリッドカーが使用者に対する経済的な助けになるかどうかは、やはり不安定な問題ら
しい。それはアンケート、資料、どちらの面から見ても明らかである。しかしながら、ハイブ
リッドカーに使われる技術には、目を見張るものがあった。物理の力を活用しきった、エネル
ギー変換には感動さえ覚えた。日々進化を遂げるテクノロジー。今回のハイブリッドカーを調
べている間にも、更に新しいものが(今回の議題とは関係ないのでここでは書かないが)あると知
った。純粋な好奇心をもって、そう言ったものに触れていきたいと思う。
第五章
参考文献
・両角 岳彦著『ハイブリッドカーは本当にエコなのか?』宝島社 2009 年出版
・碇
義朗著『ハイブリッドカーの時代―世界初量産車トヨタ「プリウス」開発物語』光人社
2009 年出版
・http://www.toyota.co.jp/
・http://carlifenavi.com/gs/prefavg