第 28 回和牛枝肉共励会報告 一般財団法人畜産ニューテック協会主催「第 28 回和牛枝肉共励会」について、 以下のとおり報告します。 [ 開催内容 ] 1. 共励会名称: 第 28 回和牛枝肉共励会 2. 主催団体 : 一般財団法人畜産ニューテック協会 3. 協賛団体 : (一社)家畜改良事業団、東京食肉市場㈱ 4. 開催場所 : 東京都中央卸売市場食肉市場、東京食肉市場㈱ 5. 開催日程 : 平成 26 年 7 月 30 日(水)∼ 8 月 1 日(金) 6. 情報交換会 (1) 日 時: 平成 26 年 7 月 31 日(木) 17:30∼20:00 (2) 場 所: なかよし2号店 (港区港南2丁目 4‐18) (3) 主席者: 31 名((出品者、購買者、関係団体等) 7. 枝肉共励会 (1) 日 時: 平成 26 年 8 月 1 日(金) 9:30∼12:00 (2) 販 売: 東京都中央卸売市場食肉市場 セリ販売 (3) 出品頭数: 50 頭 (去勢 35 頭、雌 15 頭) (4) 褒賞授与式 ① 場 所 : 東京食肉市場株式会社 会議室 ② 主催者挨拶 : (一財)畜産ニューテック協会 理事長 海老澤 清 ③ 協賛団体挨拶: (一社)家畜改良事業団 理事長 信國 卓史 東京食肉市場㈱ 常務取締役 大塚 勇 ④ 審査講評 : (公社)日本食肉格付協会 関東支所 支所長 佐々木 勝彦 ⑤ 褒賞授与 ア. (一財)畜産ニューテック協会 最優秀賞 1 点 優秀賞 3点 優良賞 4 点 イ. (一社)家畜改良事業団 最優秀賞 1 点 優秀賞 3点 優良賞 4 点 ウ. 東京食肉市場㈱: 最優秀賞 1 点 優秀賞 3点 8. 審査講評 審査委員長の審査講評について、 以下にその内容を掲載します。 審 査 報 告 第28回和牛枝肉共励会(受精卵産子)が本日盛大に開催されましたことに 対し、先ずもってお祝い申し上げます。日頃より丹精込めて育てられた出品牛 の成果を競い、開催趣旨の「家畜改良事業団の種雄牛を使用した受精卵での黒 毛和種の枝肉を広く需要者にアピ‐ルするとともに、その生産振興に寄与する 事を目的とする」本共励会は誠に意義深いものであり、出品者皆様のご熱意に 深く敬服し、また主催の一般財団法人畜産ニュ‐テック協会はじめ関係各位の ご尽力に厚く敬意を表する次第であります。 審査委員を代表しまして審査の経過および結果について全国の成績との比較 をおりまぜながらご報告させていただきます。 本共励会の審査につきましては、「牛枝肉取引規格」を基準とし、その他に 出品資格との整合性、格付成績や流通的評価等を総合的に検討し審査員の投票 制を用い公平に行いました。 今回の出品頭数は全国9道県より黒毛和種50頭(めす15頭、去勢35頭) まず枝肉重量についてご報告いたします。 去勢の枝肉重量は最大620kg、最小414㎏で平均533.9kgでした。 (前回547.2㎏、昨年夏528.5㎏) めすでは同重量が最大547kg、最小385㎏で平均480.3kgでした。 (前回512.3㎏、昨年夏451.9㎏) 昨年夏の同月開催第26回共励会との比較では去勢、めす共に平均枝肉重量の 増大がみられました。特にめすでは約28㎏の増大がありました。 出品頭数が多い去勢を中心にご報告します。 平成25年度の全国における黒毛和牛去勢の平均は477.6㎏(+1.6㎏)と なっております。東京市場における生体屠畜での平均重量は500kg超過と かなり全国数値を上回っています。 枝肉重量と共に歩留等級を決定する胸最長筋面積(ロース面積)、ばら の厚さ、皮下脂肪の厚さの各計測値平均をみますと、 去勢の平均が65.7c㎡、8.2cm、2.5cm (昨年夏63.8c㎡、8.8cm、2.5cm) めすの平均が68.7c㎡、7.9cm、2.4cm (昨年夏71.6c㎡、9.1cm、2.8cm) で25年度の全国黒毛和種去勢の平均57.8c㎡、7.8cm、2.4cmとの 比較では去勢でロ‐ス面積が約8 c㎡大きく、ばらの厚さも0 .cm厚く、めす も同様に全国平均を上回っておりました。 特に去勢については昨今の枝肉重量大型化を考慮しますと60c㎡に満たない 枝肉は物足らなくさえ感じます。今回の平均では60c㎡上回っておりますが、 60c㎡に満たないものも15頭30%もあり全体として大小かなりばらつき、 105c㎡から43c㎡まで2倍強の差もあり個体による格差は大きいもので ありました。また、ばらは商品価値としてまず腹鋸筋を厚く、そして筋間脂肪 は厚過ぎずが目標かと思います。ばらにおいても個体間格差がみられ10cm から6.2㎝とひらきの大きさを感じました。 全体的には枝肉重量では大きいものと小さいものでは200kgもひらきがみ られる等大小の不揃いが有りましたが、ロース芯が大変大きく、ばらも厚く肉 量に富んだ枝肉も多く見られました。但し、一方ではロース芯面積が小さいも のとして50c㎡を下回ったものが4頭あり、またロース芯が変形したものも 少なからずあり、これらは改善が望まれます。 格付結果から申し上げますと、歩留等級「A」が全体の94%でした。 (全国93%ほど)皮下脂肪厚さが極厚でB等級になるものが多いのですが、 今回はロース芯面積が50c㎡を下回ったもので3頭がB等級になりました。 枝肉重量が大きくなりますと、より皮下脂肪の厚さやロース芯面積が影響しや すくなる場合があります。引き続き留意していただきたいと思います。 肉質等級につきましては 規格別の等級発生数、割合を申し上げるとめす去勢全体で「5」等級が16 頭32%、「4」等級が27頭54%「3」等級が7頭14%の成績でした。 「4」等級以上率(上物率)は全体で86%となっています。(昨年夏82%) 去勢の「5」等級率31.4%で「4」等級以上率85.7% (同「5」率34.9%、「4」等級以上率81.4%) めすの「5」等級率33.3%で「4」等級以上率86.7% (同「5」率42.9%、「4」等級以上率85.7%) 昨年夏開催との比較では「5」等級率は共に低下がみられましたが「4」等級 以上率は共に上昇しました。「5」等級も減少したが「3」等級の発生も減少 したという結果です。 25年度全国黒毛和牛去勢の「4等級以上率66%ですので今回の去勢での比 較では約20ポイント高い結果となる好成績でありました。 肉質等級では去勢の平均BMSNoが6.9(前回7.2)となっており、全国の平 均6.1と比較すると0.8ポイント平均脂肪交雑Noが高くなっておりました。 BMSNo8以上の発生は11頭で割合31.4%は全国平均の約24%との 比較においてもかなり上回っていました。BCSNoの平均は3.7で(全国平均 3.9)でNo3が最近の共励会等との比較でも少し多く発生していました。 そして最近話題のオレイン酸等脂肪の質においては、あくまでも分析機器は使 っていない肉眼での感覚ですが、ボソボソで粘りが少ない硬めの脂肪は殆どみ られず、光沢が良く、適度な硬さや粘りのあるものが多く揃っていました。 また、これまでも感じておりましたが「瑕疵」発生が2頭と少なく、皆様の飼 養管理技術の高さを裏付けるものとして評価できます。「瑕疵の」の発生は商 品価値を低下させるもので今後も引き続きご留意していただきたいと思います。 審査員一同で審議し、また投票を取り入れての審査にて、最優秀賞1点、優 秀賞3点、優良賞4点を選出いたしました。 上位入賞枝肉並びに出品者を申し上げます。全て「A-5」等級です。 最優秀賞は上場番号103号宮城県 伊藤 恭一さん出品の去勢枝肉で枝肉重 量588kg、ロース面積が105c㎡、ばらの厚さ9.4cm、皮下脂肪の厚 さは1.8cmで歩留基準値は80.3 と極めて高い数値です。 腹鋸筋4cmと厚みがあり、大型で前、中 後躯の充実感、体型バランスが極 めて良好でした。ロース芯面積が極めて大きく切開面における各筋肉構成も良 く、かつ充実していて筋間脂肪も適度であり無駄のないまさに歩留の高さを期 待できる枝肉でした。脂肪交雑はBMS№12で万遍なくきめ細かくと言うよ りは派手にこれでもかと言わんばかりの交雑度合いで、肉色はBCS№3で光 沢の優れた脂肪の質も良い迫力満点の見事な枝肉でした。 最優秀賞の入賞条件を踏まえ審査委員満場一致で決定しました。 優秀賞3点(75号、83号、88号)から1点申し上げます。 上場番号83号山口県 三宅牧場さん出品のめす枝肉で枝肉重量547kgで ロース面積が96c㎡、ばらの厚さ8.5cm、皮下脂肪は2.3㎝で歩留基準 値は78.8で最優秀同様に大変高い数値でした。 大型で体型バランスが良好です。特に切開面ロース芯における霜降り状態が素 晴らしく、非常に万遍なくきめ細かく交雑しており見事でした。脂肪交雑はB MS№12で肉色はBCS№3で光沢の優れた脂肪の質も良いすばらしい枝肉 でした。腹鋸筋の厚さが3.3cmでした。もう少し厚ければ更に見栄えのする ものとなったのではないかと思います。 最優秀賞の枝肉に勝るとも劣らない枝肉でしたが、こちらは優秀賞として審査 委員満場一致により決定しました。 このほか優良賞として4点を入賞牛として選出しましたが、BMSNoや肉質、 迫力といった点で一歩及ばずでしたがいずれも上位入賞牛に勝るとも劣らない 優れた品質でした。 最後に出品者皆様におかれては、今後の和牛素牛増産には欠かせない「受精 卵産子」が高品質で安定されたものとなり品質の優秀性が更に全国に広がりま すよう、併せて関係各位皆々様も含め、今後のご健勝とご繁栄をご祈念申し上 げ審査報告とさせていただきます。 平成26年8月 1日 第28回和牛枝肉共励会(受精卵) 審査委員代表(公社)日本食肉格付協会 関東支所長 佐々木 勝彦
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