3差別投書・落書き・電話

③差別投書・ 落書き ・ 電話
昨年度版でも 報告し た福岡県立花町連続差別ハガキ事件が、 二〇〇七年度も 引き 続いて起き ている 。
こ の連続差別ハガキ事件は、 立花町役場に勤務する A さ んに部落出身を 理由に辞職を 迫り 、 さ ら には命
を も 脅かす悪質なも の。 事件は、 二〇〇三年一二月三日、 立花町役場で嘱託職員と し て働く A さ んに「 部
落のあなたが子ど も を 指導する と 、 子ど も に部落が伝わり ま す」 と いう 一通の差別ハガキが送り つけら れ
たと こ ろ から はじ ま っ た。 二〇〇七年の八月末現在で、 足かけ五年にわたっ て一九回、 四一通( A さ んあ
てには一九通) におよ んでいる 。 こ の間、 福岡県連では「 立花町連続差別ハガキ事件糾弾闘争本部」 を 発
足さ せ、 真相報告集会を 立花町で開いたほか、 町行政、 警察署へと り く み協力を 要請し てき た。 し かし 、
こ う し た動き を あざ わら う かのよ う に、 〇五年三月にはA さ ん宅が「 空き 巣」 被害にあい、 差別ハガキの
犯人と 思われる 者によ る 犯行を におわす差別ハガキが送ら れて き た。 そし て 、 二〇〇七年八月には、「 ゴ
メ イ ワク ツ イ デニ/ブ ラ ク ニ/1 0 0 0 0 0 0 円プ レ ゼン ト 」 と 書いた文面と カ ッ タ ーの刃を 、 封書で送
り つけてき た。 一〇月四日、 福岡県議会警察委員会で林祐二議員が、 警察の捜査姿勢等について福岡県警
に質問、 A さ んや地元・ 部落解放同盟筑後地協は一〇月二四日、 八女警察署に出向き 差出人不詳のま ま 告
訴状を 提出、 同警察署が受理し た。
東京を 中心に全国にま たがっ た「 連続・ 大量差別ハガキ事件」 の実行者である S への糾弾会を 二〇〇八
年一月一九日午後、 東京都人権プ ラ ザで行い、 S は事実を 認める と と も に、 反省文を 読み上げ、 被害者に
謝罪し た。
S は、 二〇〇四年一〇月に逮捕さ れた。 その間の一年半ほど の間に東京の部落解放同盟員を 中心に、 全
国に四〇〇通を こ える 差別ハガキや手紙を ばら ま いた。 電気を 止める よ う にニセのハガキを だすなど 、 悪
質な行為を 執拗に繰り 返し た。 ま た、 部落解放同盟東京都連の同盟員の名を かたり 、 障害者団体や在日朝
鮮人団体、 ハン セン 病施設にも 差別ハガキを 出し て いた。 し かし 、 部落差別事件と し て 警察は受理せず、
「 脅迫罪」 と 「 名誉毀損」 での告訴受理と なり 、 検察も 同様の罪状で起訴し た。 〇五年七月に、 東京地裁
で懲役二年の実刑判決がださ れ、 刑務所に服役。 〇七年二月に満期出所し た後は、 東京都連から 「 事件の
真相を 究明し 、 再発防止の課題を 明ら かにする ため、 事実確認に協力し ても ら いたい」 と の求めに対し 、
本人の同意を 得て都連と 中央本部で九回の事実確認を 重ね、 こ の日の糾弾会と なっ た。 S は、 公判中から
、 解放同盟の糾弾を 受けたいと 表明し て おり 、 こ の日の糾弾会で も 、「 信頼を 感じ 、 糾弾を 受けたいと 思
っ た」 と 述べた。 こ のほか出所の一年前から 月一回一人だけで 人権教育を 受けたが、「 具体性はな く 、 心
に響く も のはなかっ た。 本で知っ ている こ と の再確認にすぎなかっ た」 と 所内研修の感想を 述べた。
糾弾会では、 藤本東京都連委員長代行が事件の経緯と 背景を 報告し 、 S に道義的責任と し て「 被害者へ
の謝罪と 反省を 表明し 、 差別を 許さ ない立場に立つ」 こ と を 求めた。 S は、 犯行の背景に、 ①『 同和利権
の真相』 で解放同盟はひど いこ と を し ている 団体だと 信じ た、 ②解放同盟が出版し ている 『 あいつぐ 差別
事件』 に載せたかっ た、 ③働いていた職場から リ スト ラ にあっ た不満など があっ たこ と を あげた。 差別ハ
ガキについても 「 そのう ち 無視さ れる と 思っ ていたが、 被害者の意見陳述書を 読んで初めて自分がし たこ
と の大変さ に気づいた」 と 述べた。 S の謝罪を 受けて、 被害を 受けた個人と 団体から 五人がS に恐怖と 苦
痛のなかでの生活であっ たこ と を 訴え、 それぞれが憤り を 懸命に押し と ど めながら 、 苦し みに満ち た一年
半の生活を 語り かけ、 重みを 真剣に考え、 さ ら に反省を 深める よ う 求めた。
東京都では、 部落出身者を 雇用から 排除する こ と を 要求する 差別投書が二〇〇七年六月二〇日、 東京二
三区清掃一部事務組合総務部総務課に送り つけら れる 差別事件が起き ている 。 こ の差別投書は前日の一九
日に渋谷の郵便局から 投函さ れたも の。 内容は、「 いつにな っ たら わかる んだ。 千歳工のバカ 職員ど も は
。 おま えら の職員に同和関係の親威がいる こ と は知っ ている ぞ。 世間を 甘く 見る なよ な。 見てる ぞ。 同和
の親戚関係職員はつかう なよ 。 し っ かり 仕事を し ろ よ 。 ア ホな千歳よ 。 自称世田谷工、 同和人撲滅の会」
と 書かれ、 内情に精通し た者の犯行である と 推測さ れる 。
大阪府では、 浪速・ 西成・ 阿倍野・ 天王寺の四区で二〇〇六年九月から 〇八年にかけて浪速区八七件・
西成区一〇六件・ 天王寺区四件・ 阿倍野区一件ののべ一九八件にわたる 連続差別落書き が起こ っ ていたが
、 〇八年一月一八日リ バテ ィ おおさ かで犯人が現行犯逮捕さ れている 。
こ の他にも 、 東京都、 和歌山県、 京都府、 高知県など で連続差別落書き 事件が起こ っ ている 。 差別投書
・ 落書き ・ 電話があいついで起こ る 背景には、 被害者が特定さ れない限り 、 差別行為への規制や救済は不
可能と いう 現行の刑事法( 名誉毀損・ 侮辱罪) や民事法の根本的な欠陥がある 。