学塾英語通信 Vol.1/1 Do you like 一般動詞・主語が三人称単数で現在(サン・タン・ゲン)の時 動詞の語尾に S をつけるのはどうして? 中学一年生で、一般動詞、現在時制、主語が三人称単数 he, she, it の場合は、動詞の語尾に‘s’をつける と習いますよね?では、どうして、三人称だけ?と疑問に思ったこととはありますか? 今回はそのサンタンゲンの S の疑問に迫ってみます。 実は、英語と同じ「語族(言葉のグループ) 」とされる、フランス語やドイツ語、イタリア語などの他のヨ ーロッパ言語からみれば、英語だけが主語に合わせての語尾変化が少ないという言葉なのです。 では、まずは、他の言葉の動詞をちょっと見てみましょう。 英語に似たワードを選んでみました。下線部分が語尾変化です。 フランス語 (原形・不定形 changer ⇔ 英語 change ⇔ 交換する)語幹 chang- 人称 1 2 3 ドイツ語 単数 je change きみは tu changes 彼は il change 彼女は elle change 私は 2 3 あなた/あなたたちは 彼らは 彼女らは ⇔ 来る) 語幹 komm- 単数 ich komme きみは du kommst 私は 彼は 彼女は それら er kommt sie kommt es kommt nous changeon vous changez ils changent elles changent 私たちは (原形・不定形 kommen ⇔ 英語 come 人称 1 複数 複数 私たちは きみたちは あなた/あなたたち 彼らは 彼女らは wir kommen ihr kommt Sie kommen sie kommen 上にあげたフランス語とドイツ語の動詞は、規則的な動詞の例です。 不規則のものも沢山あるので、覚えるのがたいへ~ん!その点、英語は簡単! ところが、英語においても主語によって語尾が変化する時代がありました。 日本語でも、百人一首や竹取物語、源氏物語などの古典と現代ではずいぶん言葉が違いますよね? ざっくりと、英語という言葉の歴史をいうと、 <裏へ> 1 古英語<5 世紀~11 世紀中頃>⇒ 中(中世)英語<11 世紀~15 世紀頃>⇒ 初期近代英語<16 世紀~ 17世紀>⇒ 近代英語<17 世紀~19 世紀>⇒ 現代英語<20 世紀以降>となります。 15 世紀頃の英語を見てみましょう。 ◆think 考える 人称 1 単数 私は 2 3 きみは 彼は 複数 I thinke 私たちは we thinken thou thinkst きみたちは あなた/あなたたち ye thinken he thinketh 彼らは they thinken あれ?何か見たことがない代名詞がありますね。 現在は単数も複数も you で表される二人称が、単数 thou 、複数と目上の人に対する敬称の ye となってい ます。この時代は、フランス語、ドイツ語と同様、英語でも、二人称単数は、自 分より立場が下の人、親しい人に対して使い、目上の人、初対面の人などには、 2 人称複数を使います。だから 2 人称単数 thou は「あんた、君、おまえ」、2人 称複数の ye は「貴殿、貴女」と「あなたたち」です。 16 世紀になると徐々に ye(ィェイ)の発音が you(ユー)へと傾いていくと同時 に、下の表のように複数形の語尾-en の n が落ちてしまいます。 人称 単数 複数 1 私は I thinke 私たちは we thinke 2 きみは thou(you)thinkst きみたちは あなた/あなたたち you thinke 3 彼は he thinketh 彼らは they thinke そして時代がさらに進むと、まず、語尾の‘発音しない’e がおちて、thinke → think に。 17 世紀頃には、二人称の thou、ye とも一般的な口語には使われなくなり、単数も複数も you となります。 そして 2 人称単数の thou が you となると、語尾変化では、複数の you と合わせて think に。 ここで、三人称だけ語尾変化が残ります! また、三人称の語尾 -eth がイギリスの北部の方言であった-s が一般的となります。 thinketh → thinks ということで・・・ 動詞の三人称単数現在、語尾の-s は英語のなが~い歴史の中で生き残ったものだったのです。 何故、この語尾変化だけが生き残ったのかは、言語学者の間でも明快な解答は出ていないとのこと。 言葉は生き物です。だから将来、この‘s’がなくなる可能性もゼロではありません。 サン・タン・ゲンsの生き残りの謎が解明されるのが先か?語尾のsが消えるのが先か? Who knows? To be continued… 2
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