青森、平8不 4、平 10不3、平12.3.7 命 令 書 申立人 柴田女子高等 学校教職 員組合 申立人 青森県私立学 校教職員 組合連合 被申立人 学校法人 柴 田学園 主 文 本件申立て をいずれ も棄却する。 理 第1 由 認定し た事実 1 当事者 ⑴ 申立人柴 田女子高 等学校教職員 組合(以 下「組合」とい う。)は、柴田 女子高等学校 の教職員 で組織され、 青森県私 立学校教職員 組合連合 に加 盟しており、 本件申立 て時の組合員 数は 35名である。 ⑵ 申立人青 森県私立 学校教職員組 合連合は 、青森県内の 私立学校 教 職員 組合で組織す る労働組 合であり 、本件申 立て 時の構成組合 数は8組 合(総 組合員数249名)であ る。 ⑶ 被申立人 学校法人 柴田学園( 以下「法 人 」という 。)は 、肩書 地及びそ の周辺におい て柴田女 子高等学校の 他、東北 女子大学、東 北女子短 期大 学、東北栄 養専門学 校 、東北コン ピュータ 専 門学校、弘 前経理専 門 学校、 柴田幼稚園を 経営し、 従業員数は 183名であ る。 柴田女子 高等学校(以下「柴田高 校」と いう。)は 、弘前市 大 字豊原一 丁目2番地1 号に所在 し、本件申 立て時、教 職員数は 54名、生徒 数 は 868 名である。 2 これまで の労使 関 係等 ⑴ 組合は、 過去に二 度にわたって 、当委員 会に不当労働 行為の救 済申立 てを行ってお り、以下 はその概要で ある。 ア 昭和59年(不)第 1号事件 (ア) 法人は、 組合が昭 和 58年9月14日に行っ たストライキ を理由と し て、同年10月7日に組 合員 35名に対して戒告 処分及び昇給 延伸を行 った。また、 組合が同 年5月 30日から同年9 月 14日までに 行った組 合旗等の設置 及びビラ 配付を理由と して組合 執行部三役に 対して同 年12月28日に戒告処分 を行った。 (イ) 組合は、 法人の上 記処分は正当 な組合活 動を理由とす る不当労 働 行為であると して、昭 和 59年1月9 日に処分 の取消を求め て当委員 会に救済申立 てを行い 、当委員会は 昭和 60年5月16日に法人の処分 - 1 - を不当労 働行為 であるとして処分 の取消 を命 じる救 済命令 を発 した。 (ウ) 法人は、 上記命令 を不服として 昭和 60年6月19日に中央労働委 員 会に再審査申 立てを行 ったが、昭 和 62年12月25日に和解が成立した。 イ 平成2年 (不)第 7号事件 (ア) 平成元年 12月6日 、組合執行委 員長外1 名は、非組合 員である 一 教諭が組合及 び組合員 を誹謗・中傷 したとし て、同教諭に 抗議を行 った。 被申立人は、 同委員長 ら の行為が同 教諭に精 神的打撃を与 え、職 場の秩序と融 和を乱す ものであり、 就業規則 に抵触するも のである としで、同委 員長に戒 告処分及び昇 給延伸を 行った (イ) 組合は、 法人の上 記処分は正当 な組合活 動を理由とす る不当労 働 行為であると して、平 成2年 11月22日に処分 の取消を求め て当委員 会に救済申立てを行ったが、平成6年4月5日に和解が成立した。 3 平成8年 (不)第 4号・平成 10年(不) 第3号事件及 び当該事 件に係る 労使関係につ いて ⑴ 校長交替 後におけ る新校長の学 校改革の 推進等と組合 の対立 ア 新校長の 学校運営 について 平成5年 4月にD 校長の後任と して赴任 したE校長( 以下「校 長」 と い う 。) は 、 柴 田 高 校 と し て の 特 色 を 出 す と い う こ と で 、 学 校 改 革 を目標に校務 分掌の改 革に着手して 「特進学 習部」等を設 けたり、 海 外(中国、台 湾)への 修学旅行や、 問題を起 こした生徒の 指導とし て 身体障害者更 生施設等 でのボランテ ィア活動 をさせる等の 新方針を 打 ち出した。 しかし、 組合は校 長の以下の言 動をとら えて批判し、 校長と教 職員 との間に対立 が生じた 。 (ア) 職員会議 で退学処 分をすること にした生 徒について、 校長は、 生 徒の母親の懇 請を受け 、退学処分を 撤回した 。 (イ) 平成6年 1月 31日の職員会議で 「2年か ら3年進級時 のクラス 替 え は な し 。」 と 確 認 さ れ た に も 拘 わ ら ず 、 生 徒 と そ の 親 か ら 匿 名 で 「 い じ め が あ る 。 助 け て ほ し い 。 是 非 ク ラ ス 替 え を 。」 と い う 電 話 と手紙による 訴えを理 由に、3月 16日の職員 会議で、校長 は、クラ ス替えを行う ことを決 めた。 (ウ) 平成6年 度の卒業 式終了後に居 酒屋で「 卒業打ち上げ 会」を企 画 した3学年の 生徒3人 を、校長は、 卒業延期 処分にした。 イ 校長は、 学校改革 に着手し、そ の一環と して、大学等 への進学 者を 増やすため、進 学希望 者に対し組織 的な補 習 授業を行う「特 進学習 部」 を発足させた 。そして 、教師は生徒 の教育指 導を使命とす ることを 徹 底させるため に、平成 5年 12月3日の職員会 議で、以下の発 言をし た。 「先生方が燃 えること 。わかる授業 をするこ と。勤務時間 とかを考 え ず、組合 とかなん とか を考えず 、生徒と 先生 が本気になっ て取り組 む。 - 2 - 先生が変わらなければ生徒は変わらない。勤務時間にこだわらない。 本校は組合的 発想が強 すぎる。私も 組合員で あったのでわ かりすぎ る ほどわかる。 今自分の してきたこと を後悔し ている。先生 方が輝く た めには組合的 発想をな くさなければ できない 。」 ウ 校長は 、柴田 高校 の建学の精神 である「 教育即生活 」から 、 「 師は範 たれ」、「師弟 同行」の 実践を通じて 、生徒に 対して挨拶、 服装 、礼 儀 等の指導を徹 底させる こととした。 平成6年 1月 31日、朝礼で、F教諭(当 時 組合執行委員 長、以下「F」 と い う 。) に 対 し て 、 1 月 29日 の 「 P T A ・ O B 会 総 会 並 び に 創 立 十 周年記念式典 」に出席 した時の 服装 に関して 、名指しで注 意した。 後日、F は上記注 意は不当とし て校長に 抗議した。そ れに対し て校 長 は 、「 こ の 会 合 は 時 間 外 に 実 施 さ れ た が 重 要 な も の で あ り 、 元 及 び 前校長も来賓 として出 席し、 会長は 式服、そ の他の出席者 は、平服 な がら正装をし て臨んだ が、Fのみラ フな 服装 であり、校長 は上司と し て恥ずかしい 思いをさ せられた。し たがって 、校長の学校 運営に協 力 す べ き 組 合 を 率 い る 委 員 長 と し て 特 に 注 意 し た 。」 と 述 べ 、 反 省 を 求 めた。 エ 校長は 、教師に 求 められる資質 として 、 「生徒に対 する厳し さ 」を求 め 、「 物 分 か り の よ い 教 師 」 や 「 お 友 達 教 師 」 で あ っ て は な ら な い こ とを強調し、 生徒に対 する指導力の 強化を掲 げた。 そして、F とB教 諭(当時組合書 記長、以下「B」という 。)は、こ の資質と教育に対する使命感に欠け、生徒の進学指導が不適として、 次のような措 置をした 。 (ア) 平成6年 3月、F をBコース( 進学コー ス)の担当を 外し、平 成 6年度からク ラス担任 を外した (イ) 平成6年 に、Bを 進学補習クラ スの担当 を外した。 オ 校長は生 徒が問題 行動を起こし た時には 、校長のとこ ろへ直接 報告 に来るように と指示し ていたが、B が担任を 受け持ってい るクラス の 生徒が問題行 動を起こ したとき校長 に報告し なかったため 、処分を 決 定するための職員会議で、校長はBを「ミスターズヘラ」と言った。 この発言 について 、組合員である G教諭 が校長に対し て、 「 前 の 職場 ニ ュ ー ス ( 平 成 6 年 3 月 16日 付 け 、 後 述 ) の こ と が あ る の か 。」 と 質 し た と こ ろ 、 校 長 は 、「 も ち ろ ん あ る 。 そ の と き の こ と が 何 も 反 省 材 料になってい ない 。」 と言った。 カ 校長は、 修学旅行 の行先を変更 し、平成 5年度は従来 の国内コ ース の外に中国( 北京)コ ースを、また 、平成6 年度からは北 京及び台 湾 の海外2コー スで実施 したが、以下 の事態が 発生した。 (ア) 平成6年 10月に、 翌年3月の海 外修学旅 行の引率教員 数を限定 す る方針を進め た結果、 生徒の修学旅 行参加率 が最も高いク ラスの担 任教諭(組合 員)が引 率できなくな った。 - 3 - (イ) 平成7年 2月下旬 に、PTA役 員ら父母 が、上記に関 して事情 を 聞き、意見を 伝えるた めに校長に面 会した。 そ の 際 校 長 は 、「 予 算 の 関 係 で 、 事 前 調 査 に 参 加 し た 教 諭 は 引 率 できなくなっ た。」旨 答えた。 キ 校長は以 下のよう にPTA改革 を行った 。 (ア) 校長は、 教職員の 負担を軽減し 、教職員 本来の業務で ある生徒 の 生活指導・学 習指導に 専念させるた めに、平 成6年度にP TAの教 職員委員数の 減員を図 った。 (イ) 校長は、 学年委員 会の見直しを 図り、各 学年の必須の 機関であ っ た学年委員会 を、必要 に応じて設け ることが できるとする PTAの 会則の改正を 提案し、 平成7年4月 19日、そ の改正案を平 成7年度 事業計画案及 び予算案 と併せて、P TA総会 前の三役委員 長会議で 説明したが、三役等からは議題として提案することが拒否された。 (ウ) 4月22日、PTA 総会で、校長 は、上記 事業計画案と 予算案が 議 題にされない ことにな っていたので 、これら と密接不可分 の関係に あるPTAの 会則の改 正案と併せて 臨時総会 で議題にする ことを提 案 し た が 、 会 場 か ら 「 採 決 、 採 決 。」 と 叫 ぶ 声 や 、 F の 「 校 長 に 臨 時 総 会 を 招 集 す る 権 限 が あ る の か 。」 と の 発 言 等 が あ り 、 議 題 と し て審議される こととな った。その後 、PTA 会長の「校長 の改正案 は、学年PT Aをなく するのと同じ であり、 PTA活動に 支障をき た す た め 賛 成 で き な い 。」 と の 発 言 等 に よ り 、 最 終 的 に 改 正 案 は 否 決された。 (エ)「PTAの存 在を 否定するよう な校長と はやっていけ ない 。」 とし て、PTAの 会長はじ め一部役員( 副会長2 名)は辞職し 、PTA は自然消滅し た。 ⑵ 平成8年 (不)第 4号事件 ア 当該事件 に係る懲 戒処分に至る 経緯 (ア) 平成6年 1月 31日の職員会議で 、2年か ら3年進級時 のクラス 替 えを行わないことが確認され、生徒にも発表していたが、その後、 校長に匿名で 「いじめ がある。助け てほしい 。是非クラス 替えを 。」 という電話と 手紙によ る訴えがあっ たため、 3月 15日にクラス替え を討議する職 員会議が 開催された。 当会議 は午後1時 開催予定であったが、校長が1時 間遅れたため、 午後2時から 開催され た。遅れた理 由につい て校長は、午 前 10時か ら開催された 東北女子 短期大学の学 生寮の竣 工式及び祝賀 会に出席 して、酒を口 にせざる を得ず、また 、途中退 席ができなか ったから と弁明したが 、酒を飲 んで会議に出 席したこ とで紛糾し、 会議は中 止された。 (イ) 上記会議 の翌日、 3月 16日にBは、昨日 の校長の姿勢 を批判し た 「職場ニュー ス」を編 集・印刷し、 教職員に 配付した。 - 4 - その「職場ニ ュース」 が若干部数印 刷室に残 された。 (ウ) 同日校長 は、校内 巡視の際に、 印刷室に あった「職場 ニュース 」 を発見し、許 可なく印 刷室を使用し たほか、 不当なニュー ス内容を 公開したとし て、F及 びBを校長室 に呼んで 顛末書の提出 を指示し た。 (エ) 3 月 19日 、 B は 校 長 に 、 顛 末 書 で は な く 個 人 的 な 手 紙 を 提 出 し 、 同日Fは、組 合執行委 員長の名で顛 末書を提 出した。 (オ) 平成7年 度に校長 は、校務分掌 を改正し 、校内清掃担 当係 を環 境 衛生部から生 徒指導部 に移管し、名 称を「行 事・校内清掃 」係とし た。また、生 徒指導部 の「合宿・(清掃 点検)」係と「部活 動」係を 統合し、「部活動 ・合 宿・会館」係 とした。 更 に 、 同 年 度 か ら 「 学 習 の 場 を 浄 め る 」 と い う 目 的 で 、「 校 内 一 斉清掃」を実 施した。 (カ) 同年度 、校長は 、Bを生徒指導 部の「 部 活動・合宿・会館」係 に、 Fを「行事・ 校内清掃 」係に、そし てH教諭 (組合員、以 下「H」 という。)を生徒 指導 部長に任命し た。 (キ) 平成7年 6月 23日、校長が生徒 指導部室 を点検したと ころ、室 内 にタバコの吸 殻がバケ ツの 3分の2 ほど溜ま っていたり、 私用のテ レビが持ち込 まれてい た。そのため 、校長は 生徒指導部教 員を全員 集めて、生徒 指導部室 をきれいにす るように 指示した。 (ク) 8月30日、校長が 、9月 13日に当校で開 催予定の「県 下青少年 赤 十字活動研究 発表会」 で他校生徒の 昼食場所 に予定されて いた生徒 会館を点検し ていたと ころ、厨房流 しにウジ が発生してい るのを発 見した。 (ケ) 翌8月31日、校長 は職員朝礼で 、ウジが 発生していた ことを報 告 す る と と も に 、 校 内 清 掃 の 徹 底 を 呼 び か け 、「 校 舎 内 の 点 検 箇 所 を 指導したい。 3日間の 猶予を与える から 点検 指導の日を決 めて欲し い。」と 指示した 。 同 日 、 校 長 は B 及 び F に 対 し て 、 上 記 (ク)の よ う な こ と が 無 い よ う生徒指導部において生徒会館の清掃点検を行うべき旨注意した。 し か し 、 B 及 び F は 、「 生 徒 会 館 の 管 轄 は 本 部 で あ り 、 こ れ に 連 なる事務部で ある。し たがって、わ れわれに は清掃点検の 責任はな い。」と 言った。 (コ) 9月2日 、校長は 、8月 31日の指示に基 づく校内の点 検指導を 実 施したが、生 徒指導部 教員は参加し なかった 。 (サ) 9月6日 、校長は 職員会議で、 年度初め に明示した校 務分掌に よ る生徒指導部 の「部活 動・ 合宿・会 館」係の 職責を果たす よう改め て職務命令と して指示 した。 (シ) 平成8年 1月 31日午前10時、校長は校内 巡視の際に、 校舎トイ レ 内に雑巾が置 かれ、ま た洗面所の詰 まりが放 置されたまま になって - 5 - いたのを発見 し、生徒 指導部長のH に対して 係員に全校の 点検をさ せるよう指示 し、係員 のBに対して も「 H先 生にも言った けれども 、 校内のきたな いところ を点検するよ うに 」と 指示した。 同日夕方 、校長が 指示の結果を 確認する ために校内を 一巡した と ころ、生徒指 導部室に は職員用机の 上にトイ レットぺーパ ーが置か れ、書棚の上 に醬油 ビ ンが置かれ、 付属の小 部屋のソファ ーに毛布 が置かれてい たのを発 見した。 (ス) 2月1日 、校長は 放課後、生徒 指導部教 員を集めて上 記事実に 関 し て 事 情 聴 取 を 行 っ た 。 そ の 際 に 、 B 、 F 及 び H は 、「 ト イ レ ッ ト ペーパーは、 石油スト ーブの点火用 に使用し ている。醬油 は以前か らそこに置か れていた 。」と言 った。 これらの やりとり を、校長はテ ープに録 音するため、 テープレ コ ーダーの操作 を行った 。 (セ) 2 月 2 日 、 校 長 は 、 B 、 F 及 び H に 対 し て 、「 生 徒 指 導 部 室 に 対 する度重なる 整理整頓 の指摘、注意 にも拘わ らず、行わな かったこ と(B、F、H)及び1 月 31日の個別 の清掃点 検指示にも拘 わらず、 生 徒 指 導 部 室 の 整 理 整 頓 を 怠 っ て い た こ と ( H 、 B )」 に つ い て の 顛末書の提出 を指示し た。 (ソ) 同 日 、 B 、 F 及 び H は 、「 顛 末 書 を 書 く 参 考 と す る た め 録 音 し た テープを貸し てくださ い。」と 言ったが 、校 長は、「 門外不出 だか ら 貸せない 。」と言 って 貸さなかった 。 (タ) 平 成 8 年 度 の 校 務 分 掌 希 望 調 査 書 で 、 B は 、「 教 科 科 目 」、「 校 務 分掌」及び「 学年担任 」の欄に斜線 を引いて 提出したため 、校長の 意 向 を 受 け た 教 頭 が 、「 こ の よ う な 内 容 な ら ば や め さ せ ら れ て も 文 句は言えない 。」 と言 った。 (チ) 3 月 19日 、 B 、 F 及 び H は 上 記 (セ)の 顛 末 書 の 代 わ り に 各 々 「 報 告書」を提出 した。 (ツ) 3月20日、B、F 及びHは次の とおり処 分された。 B ……・出 勤停止2 日(給与半額 支給) ・平 成8年3 月 21日以後6 か月の昇 給延伸 F ……・出 勤停止1 日(給与半額 支給) ・平 成8年3 月 21日以後6 か月の昇 給延伸 H ……・戒 告 ・平 成8年3 月 21日以後3 か月の昇 給延伸 イ 当該事件 の内容 法人は、B、F 及びHに 対して以下の (ア)から(オ)までの理由 により、 柴田学園職員 就業規則 に よる懲戒事 由に該当 するとして、 同規則及 び 柴田学園職員 給与規程 を適用して前 記の処分 を行った。 (ア) Bは、平 成6年3 月 16日付「職 場ニュー ス」の印刷・ 発行につ い て、許可なく 印刷室を 使用した外、 不当なニ ュース内容の 公開とみ - 6 - なされる行為 があり、 それについて 提出を求 めた 顛末書を 提出しな かった。 (イ) Bは、平 成8年度 校務分掌希望 調査書に ついて、部活 動以外一 切 の記載をしな いで提出 し、校長に対 し反抗的 態度に出た。 (ウ) B及びF は、平成 7年8月 31日、生徒会 館のウジ発生 事件で、 校 長の注意に対して、他の教職員の前で声を荒げて不当に反抗した。 (エ) B、F及 びHは、 生徒指導部室 の整理・ 整頓について 、年度当 初 から7回にわ たり校長 の注意、指示 があり、 平成8年1月 31日に個 別の指示があ ったにも 拘わらず、十 全の点検 をしなかった 。特にH は生徒指導部 長として の部員の指導 監督を怠 った。 (オ) B、F及 びHは、 平成8年2月 2日に校 長が命じた顛 末書を長 期 間放置して提 出しなか った。 ウ この処分 に対して 組合は、労働 組合法第 7条第1号に 該当する 不当 労働行為であ るとして 、平成8年 10月4日、 当委員会に以 下のよう な 救済を求めた 。 ① 被申立人 学校法人 柴田学園は、 申立人柴 田女子高等学 校教職員 組 合の組合員で あるB、 F、及びHに 対する平 成8年3月 21日付の各 懲戒処分及び 同処分に 伴う同日付昇 給延伸措 置を取り消し 、これら の処分がなか ったもの として取り扱 うこと。 ② 被申立人 は、本命 令受領後、7 日以内に 、申立人に対 し、陳謝 文 を掲示し手交 すること 。 ⑶ 校長退陣 要求問題 ア 平成8年 秋頃に、 校長は、現行 の午後4 時終業を変更 し、週休 2日 制の実現に向 けて「タ イムカード」 制を導入 することを試 みたが、 殆 どの教職員か ら反発を 受けた。特に 現行の午 後4時終業の 変更とい う 労働時間に係 わる問題 として、組合 は理事長 に対して団体 交渉 の申 入 れをするなど 働きかけ を行ったが解 決しなか ったため、組 合は校長 退 陣要求書を提 出し、理 事会に「意見 書」や「 抗議文及び質 問書」を 提 出した。 週休2日 制及びタ イムカード制 は実現さ れず、校長退 陣要求問 題は 立ち消えにな った。 イ 平成9年 5月に、 校長が街頭で 柴田高校 の生徒の写真 を撮 っ て いる ことを組合が 問題視し 、6月5日、 校長退陣 要求書を提出 した。 ウ 法人は、 9月2日 付け文書で、 次の事項 について事実 関係の確 認を 求めた。 ① 校長が市 内巡視し た際、警察官 か ら職務 質問を受けた という件 ② 校長が市 内巡視の 際に撮った写 真を生徒 に見せ、また そのこと を 公言したとい う件 ③ 校長の市 内巡視に 対し、父兄か ら抗議さ れたという件 ④ 退陣要求 書提出に 係る経緯 - 7 - エ 組合は、 9月 25日付け文書で次 の主旨の 回答をした。 ① 校長が警 察の職務 質問を受けた という噂 が広まってい た。校長 が 市中で生徒の 写真を撮 る行為は、肖 像権侵害 、人権侵害の 可能性が ある。 ② 新 入 生 の 研 修 の 際 、「 校 長 講 話 」 の 中 で 市 内 巡 視 で 撮 っ た 写 真 を 見せた。 ③ 服装違反 の3人の 生徒を捕まえ 、証拠写 真を撮ったと ころを通 り がかりの市民 に抗議さ れた。 7月14日の東奥日報明 鏡欄に本校生 徒の母親 が投書してい る。 ④ タイムカ ード制の 導入、退下時 刻の記入 強要など不当 に労働条 件 に介入してき たことか ら、平成8年 9月に校 長退陣要求書 を提出し たが、理事会 の回答は 期待したもの ではなか った。 その後も生徒 会費を一 方的に値上げ する文書 を配付するな ど、校 長の学校運営 が混乱を 積み重ねて、 今回の生 活指導の問題 が生じた ため、退陣要 求になっ た。 オ 法人は、 組合の回 答には具体的 な根拠が ないとして、 10月28日付け 及び12月24日付け文書 で根拠を示し た回答 を 求めた。 カ 組合は、 平成 10年2月4日付け 文書で次 の主旨の回答 をした。 ① 職務質問 の件は 、そのことを事 実として 追及している のではな く、 「 そ の よ う な 噂 が 流 れ る に 至 っ た 現 況 に つ い て 問 題 で あ る 。」 と 指 摘したもので ある。 ② 校長が撮 った写真 を見せた生徒 の名前を 挙げることは 、非教育 的 である。 ③ 校長の市 内巡視に 対して抗議し た市民と は、弘前実業 高校に通 学 する生徒の母 親であり 、本校生徒の 母親が理 事長に抗議の 電話をし たことは、東 奥日報明 鏡欄の投書に 書かれて いる。 ④ 校長退陣 要求は、 校長の学校運 営による 混乱の積み 重 ねに対す る ものである。 キ 法人は、 2月 25日付け文書で、 次の主旨 の反論をした 。 ① 組合の回 答に根拠 を裏付ける具 体的事実 はない。根拠 のない噂 の 真偽を確かめ ることな く、校長の責 任を追及 して退陣要求 したこと は不当である 。 ② 写真を生 徒に見せ たのは、自転 車に2人 乗りしている 不鮮明な 写 真を、警告の 意味で掲 げて見せたに 過ぎない 。 ③ 東奥日報 明鏡欄の 投書は、学校 の教育方 針と校長の生 徒指導を 正 しく理解しな い者の誤 った非難であ る。 ④ ク 校長退陣 要求は撤 回されるべき である。 以後、4 月 27日付け組合からの 意見書、 5月12日付け法人から の反 論が取り交わ され、校 長退陣要求問 題につい ての双方合わ せて 12回の 文書のやりと りにより 、校長退陣要 求問題は 終息した。 - 8 - ⑷ 平成10年(不)第 3号事件 ア 当該事件 に係る懲 戒処分に至る 経緯 (ア) 平 成 10年 4 月 8 日 に 行 わ れ た 柴 田 高 校 の 入 学 式 に お い て 、 F が 、 担任の新入生 の呼名を するに不具合 があり、 また、登壇の 際、国旗 に敬礼しなか ったとし て、翌4月9 日、校長 から注意され 、このま までは学級担任として失格であり、担任を下ろされることになる。 それは、教師 としての 最低のレッテ ルを張ら れることであ るとも注 意された。 (イ) 4月10日の放課後 にFは、校長 から再度 呼ばれて、始 末書を提 出 するように言 われた。 Fは、「 少し考え させ てもらいます 。」 と言 っ て 、 一 度 退 席 し た 後 、 I 学 年 主 任 ( 組 合 員 、 以 下 「 I 」 と い う 。) に相談して、 Iを交え て校長と始末 書提出に ついて話し合 った。 (ウ) Fは、始 末書を提 出しなかった 。その代 わりに4月 17日、組合 は 理事長あてに 「F教諭 に対する始末 書提出要 求についての 抗議文」 を提出し、校 長の始末 書提出指示の 撤回を求 め団体 交渉を 申し込ん だ。 (エ) 4月24日、校長は Fに対して「 入学式当 日 の服務に係 る注意事 項 の確認につい て」によ り、校長が注 意したこ とは、教職員 一般の服 務・指導の態 度に属す る事柄につい てであり 組合員か否か は関係な く、また、始 末書提出 は直ちに懲戒 処分に結 びつくもので はないこ とを述べて、 始末書提 出を拒否する 理由につ いて回答する よう指示 した。 同日、法 人は、組 合の4月 17日付け抗議 文に対して、 Fの入学 式 での態度が遺憾であるとして、校長に厳 重注 意を命じたことを伝 え、 Fの入学式で の態度に ついて組合の 見解を質 した。 (オ) 4月28日、Fは回 答書を校長に 提出した 。 始 末 書 提 出 拒 否 の 理 由 と し て 、「 校 長 が 『 地 労 委 に 生 徒 の 服 装 問 題で撮った写 真の件を 提出するので あれば、 こちらも今回 の始末書 を 提 出 す る 。』 と 発 言 し た こ と で 、 こ れ は 明 ら か に 、 こ の 度 の 地 労 委の問題に絡 め、組合 員である自分 を敵視し たことからの 始末書要 求であると考 えた 。」 と記述した。 (カ) 5月7日 、組合は 、Fの入学式 での態度 は意図的なも のではな く 些 細 な ミ ス で あ る と の 見 解 を 示 し 、 前 記 (イ)の 、 校 長 が F に 始 末 書 の提出を求め たことは 、服務上のミ スにつけ こんだ組合員 差別であ ると述べた。 (キ) 5月8日 、Fは次 のとおり処分 され、更 に5月 12日に担任から 外 された。 ・出勤停止4 日(給与 半額支給) イ 当該事件 の内容 法人は、Fが、平成 10年4月8日に行 われた同 校の入学式に おいて、 - 9 - (ア) Fが担任 するクラ スの生徒の氏 名を呼び 上げる際に全 く投げや り な声音、態度 に終始し た。 (イ) 担任紹介 のために 登壇した際に 、学校の 指導に反し敢 えて一人 だ け国旗に敬礼 しなかっ た。 (ウ) これらに 関して求 められた始末 書の提出 を拒否した。 ことを理由と して、同 人に対し、柴 田学園就 業規則に定め る懲戒事 由に該当するとして、同就業規則 を適用して前記の懲戒 処分を行 った。 そして、クラ ス担任か ら外した。 ウ これらの ことにつ いて組合は、 労働組合 法第7条第1 号に該当 する 不当労働行為 であると して、平成 10年5月21日、当委員会 に以下の よ うな救済を求 めた。 ① Fに対す る平成 10年5月8日付 の懲戒処 分を取り消し 、これら の 処分がなかっ たものと して取り扱う こと。 ② Fを平成 10年度入 学1年3組の 担任に戻 すこと。 ③ 本命令受 領後、7 日以内に陳謝 文を手交 するとともに 、同陳謝 文 を掲示するこ と。 当委員会は、 平成 10年11月18日、平成8年( 不)第4号事 件と併合 し て審査した。 第2 判断及 び法律上 の根拠 1 校長交替 後におけ る新校長の学 校改革の 推進等と組合 の対立 ⑴ 組合の主 張 ア 校長が赴 任した平 成5年度当初 は、柴田 高校の特色を 出すとい うこ とで、学校改 革を目標 に校務分掌の 改革に着 手して「特進 学習部」 等 を設けたり、 海外(中 国、台湾)へ の修学旅 行や、問題を 起こした 生 徒の指導とし て身体障 害者更生施設 等でのボ ランティア活 動をさせ る 等の新方針 を打 ち出し、バイタリティあふれる教育熱心 な校長 として、 教職員から評 判が良か った。 しかし、平成 5年の暮 れ頃から、職 員会議等 で初めは教職 員等の話 を聞くが、最 後は自分 の意思 を押し 通す傾向 となり、独善 的な学校 運 営を行うよう になった 。 (ア) 職員会議 で退学処 分をすること にした生 徒について、 教職員の 反 対を押し切っ て退学処 分を撤回した 。 退学処分 の撤回に ついて、校長 は執行猶 予の形で3月 一杯様子 を 見ると言った が、毎月、県に生徒の在 籍数を報 告しなければ ならず、 執行猶予は学 校には合 わないやり方 である。 (イ) 校長は、 3月 16日の職員会議で 、教職員 の反対を押し 切り、ク ラ ス替えを強行 した。 教 職 員 は 、「 い じ め に 遭 っ た 生 徒 が 誰 で あ る か が 分 か ら な い ま ま クラス替えを 行っても 、また同じクラ スにな る可能性もあ る。」、 「生 徒へのアンケ ートを取 ってみてから クラス替 えをするかど うか決め - 10 - る べ き だ 。」、 ま た 、「 手 紙 及 び 電 話 の み で 職 員 会 議 の 決 定 が 変 わ る よ う で は 、 職 員 会 議 の 権 威 は な い 。」 な ど の 異 論 が 出 た に も 拘 わ ら ず、結局は校 長の一存 でクラス替え が行われ た。 (ウ)「 卒 業 打 ち 上 げ 会 」 は 未 然 に 阻 止 さ れ 、 企 画 し た 生 徒 3 人 は 名 乗 り出ているこ とから、 卒業延期処分 はあまり にも厳しい処 分である と、教職員の 間から批 判が出たにも 拘わらず 、校長は処分 を行った ものであり、 この処分 は行き過ぎで ある。 イ 平成5年12月3日 の校長の 「組 合的発想 」発言は、労 働組合や 申立 人組合に対す る敵意が 極めて鮮明で ある。 ウ 校長がF の 服装に ついて注意し た理由と して、 「 組 合の委員 長だ から 特 に 注 意 し た の だ 。」 と の 発 言 は 、 申 立 人 組 合 に 対 す る 敵 視 ・ 攻 撃 で ある。 また単に 服装 問題 のみで、個人 的に意見 なり忠告をす るならば とも かく、朝礼で 名指しで 「注意」を与 えること は、言い掛か り的かつ 打 撃的なやり方 であり、 当時の組合執 行委員長 を見せしめ的 に 攻撃 す る ことで、組合 を牽制し ようとしたも のである 。 エ F及びB に対する 進学担当外し は、組合 員に対する差 別である 。 特 に B に つ い て は 、「 職 場 ニ ュ ー ス 」 の 件 に 対 す る 報 復 及 び 嫌 が ら せである。 オ 従来高校 では、問 題行動を起こ した生徒 の扱いについ ては、ま ず、 生徒指導部が 連絡を受 け、担任が事 情聴取し て、当該学年 の教諭と 生 徒指導部との 合同会議 で処分原案を 作成し、 職員会議の前 に生徒指 導 部長から校長 へ報告さ れ、校長への 直接報告 を要さない手 続きが採 ら れており、B もそれに 従ったまでで ある。 なお 、校長が Bに 対して「 ミスター ズヘ ラ」と発 言したこ とは 、 「職 場ニュース」 問題を根 に持ち、申立 人組合に 対する敵意に 基づく不 当 な言動である 。 カ「中国修学 旅行」に ついては、そ の年の学 年末に関西方 面へ行く こと に決定してい たにも拘 わらず、校長 は変更し たものである 。 また、校 長は「父 母の方から何 かあった ら、是非校長 まで来る よう に話して欲し い。」と 発言している が、この 主旨は、「父母に 言い たい ことがあるな らば校長 まで来させれ ばよい 。」と解釈でき る。 キ 父母と教 職員の意 思疎通に重要 な役割を 果たしている 学年委員 会を 校長が「原則廃 止」と したのは 、 「PTA と 組合がつるん でいる 。」、 「組 合 が 一 部 の 父 母 を 煽 っ て 校 長 に 対 立 す る よ う に 仕 向 け て い る 。」 等 の 校長の曲解及 び邪推 に よるものであ る。 ⑵ 法人の主 張 ア 校長の学 校改革な いし改善は、 校長の権 限に基づいて 推進され てき たものであり 、教職員 の意見も聞く べきもの は聞いた上で 、最終的 に は校長の権限 で決定し たものである 。 - 11 - この学校改革 が推進さ れるに従って 、生徒の 教育指導を第 一に考え る校長と労働 者として の教師の立場 を優先し て考える組合 の立場の 食 い違いが増大 するに至 った。 (ア) 退学処分 の撤回は 、生徒の母親 が、校長 及び教頭の面 前で土下 座 までして復学 を嘆願し たため、職員 会議に諮 り、仮出校と いう形で 復学を許した ものであ る。これは、 懲戒退 学 の執行猶予的 な措置で ある。また、 同会議で は一部に異論 が出たと いう事実はあ るが、最 終的には校長 に一任す るという教職 員の了解 を得たもので ある。 (イ) 校長が、ク ラス替 えを提案した のは、匿 名の手紙及び 電話によ り、 「いじめがあ る。助け てほしい。ぜ ひクラス 替えを……」 という訴 えがあったた めであり 、これは全く やむを得 ない措置であ った。 (ウ) 校 長 は 、「 学 校 の 名 誉 を 汚 す よ う な 行 動 を と っ た 者 に 対 し て は 、 卒 業 を 取 り 消 し 、 卒 業 生 名 簿 か ら 抹 消 す る 。」 と 厳 重 注 意 を 行 っ た ば か り で あ り 、「 卒 業 打 ち 上 げ 会 」 の よ う な 非 行 行 為 に 対 し て け じ めをつけると ともに、 すでに就職の 決まって いる生徒らの 将来にも 配慮したもの として、 卒業延期処分 は最も妥 当な措置であ る。 イ 校長の「 組合的発 想」発言につ いては、 教師は労働者 という面 を主 張するだけで はなく、 生徒を教え育 てる仕事 に携わる教育 者という 面 にもう少し重 点をおい てもらいたい というこ とであり、何 ら他意は な い。 ウ Fの服装 について は、校長はこ れまで個 別に二度も注 意してき たに も拘わらず、 自己の 服 装について、 全く意に 介さない無反 省な態度 に 出ていたため 、そのま ま放置出来ず 、職員朝 礼で名指しで 注意を与 え た。 また 、「組合 の委 員長 だから注 意した 。」ことについ ては、中 労委の 和 解 に お い て 、「 学 園 の 建 学 の 精 神 及 び 高 校 の 教 育 方 針 に の っ と り 、 高校教育の充 実と学校 運営の円滑化 のため協 力する。」との 誓約から 、 組合の執行委 員長とし て反省させる ためにも このように注 意したの で ある。 エ 各教科の 担当を決 めることは校 長の権限 であり、教科 担当を誰 にす るかの最終決 定権は校 長にある。校 務分掌の 決定に当たっ ては、職 務 状況等をみた 上で、能 力、適性、業 務の繁忙 度などを勘案 して公正 に 判断した結果 、Fは、 英語力に問題 があった り、Bは教育 に当たる 者 としての資質 に欠ける と判断したか らである 。 オ 問題行動 を起こし た生徒の扱い について 、従来は申立 人が主張 する ような手続き が採られ ていたが、校 長が問題 行動ゼロの対 策を打ち 出 し、それに率 先して取 り組むように なってか らは、クラス 担任が学 年 主任とともに 校長に報 告するように なってい たものである 。特にB の 場合は、先に 担任のク ラスから退学 者が出た 際に、前もっ て校長に 報 告するよう注 意された 前例があるこ とからも 、怠慢ぶりを 問題にし た - 12 - ものである。 校長がB に「ミス ターズヘラ」 と発言し たことは、B の仕事に 対す る怠慢を非難 すると と もに、職責の 自覚を促 す意味を込め て発言し た のであって、 Bや組合 に対する中傷 ではない 。 カ 修学旅行 の引率教 員については 、学校側 の諸事情を勘 案して決 定し た も の で あ り 、 職 員 会 議 で は 、「 行 か せ る 、 行 か せ な い は 学 校 側 の 事 情 に よ る 。 父 兄 に 対 し て は あ ま り 親 切 で あ る 必 要 は な い 。」 と 発 言 し ており、父兄 の要望を 持って来るよ うには薦 めていない。 キ 校長がP TAの改 革を行ったの は、PT Aの組織・運 営の改善 及び 合理化のため である 。特に、 「学年委 員会 」は、独自 の事業を 有さ ず、 主として父母 との懇親 の場であるに 過ぎなか ったため、こ れ を常置 の 機関とはせず に、必要 に応じて設け るように PTAの規約 の改正を 提 案したもので ある。 したがって規約 の改正は校 務改善 の一環 として提案 したものであり、 PTAの正常 な運営を 阻害するもの ではない 。 ⑶ 当委員会 の判断 ア 校長は学 校運営の 最高責任者で あり、校 務をつかさど り、所属 職員 を監督する立 場にある 。校務の分掌 を定め、 所属職員に校 務の分担 を 命ずる権限は もとより 、職員会議を 主宰して 学校運営につ いての決 定 をする権限は 校長にあ るもので 、職員会 議は、協議決定機関 ではなく 、 校長の諮問機 関である と認められる 。また、 柴田女子高等 学校学則 第 28条及び第29条により 、退学等生徒 に対する 処分は、校長 の専管事 項 であると認め られる。 イ 校長の「勤務時 間 とかを考えず 、組合 と かを考えず… …」の 発 言は、 反組合的なも のが感じ られるが、校 長は、教 職員は労働者 意識にば か りとらわれて はならず 、教育者とい う面にも 重点を置いて もらいた い ことを訴えて おり、組 合に対する差 別発言と は認められな い。 ウ Fは服装 について 、校長からそ れまで個 別に二度注意 されてお り、 無反省な態度 が認めら れることから 、校長の 注意は、Fが 組合員で あ ることを理由 とした差 別的発言 とは 認められ ない。 エ Fに英語 力が不足 していたとの 校長の判 断は、一方的 な見方と も思 われるが、総 合的に判 断すると、F 及びBは 、 服装問題等 から見ら れ るように教 職者としての使命感と責任感に欠 けるとした校長の判 断 に、 組合員に対す る敵意は 認め難い。 また、前 記アから 校長には、所 属職員に 校務の分担を 命ずる権 限を 有すると認め られる。 オ Bは従来 の手続き に従ったが、 校長が問 題行動ゼロの 対策を打 ち出 し、率先して 取り組む ようになって からは、 クラス担任が 学年主任 と ともに校長に 報告する ようになった 。Bは、 先にB担任の クラス か ら 退学者が出た 際に、前 もって校長に 報告する よう注意され た前例が あ - 13 - る こ と か ら 、 一 度 注 意 さ れ た こ と を 守 ら な か っ た こ と と 、「 職 場 ニ ュ ース」の顛末 書が提出 されていない ことを理 由に、校長か ら「ミス タ ーズヘラ」と 言われた のであり、こ の校長の 発言は、組合 に敵意を 抱 いた不当な言 動とは言 えない。 カ 修学旅行 先に海外 を選んだのは 、校長の 学校改革の一 環であり 、引 率教員の決定 は校長が 判断し、最終 的には法 人が決裁する こととな っ ている。 キ 校長が学 校改革の 一環として改 正を提案 したPTA会 則の学年 委員 会 の 規 定 は 、 従 来 、「 各 学 年 は 学 年 全 父 母 と 学 年 主 任 を 含 む 学 級 担 任 をもって学年 全体会を 構成する 。」とし てい たものを 、「各学 年は 、必 要 に 応 じ 学 年 委 員 会 を 設 け る こ と が で き る 。」 と 改 正 し よ う と し た も のあり、組合 の主張 する学年委員 会を廃 止するものとは認 められない。 2 平成8年 (不)第 4号事件 ⑴ 組合の主 張 ア 印刷室を 使用して 「職場ニュー ス」を印 刷することは 確立され た労 使慣行であり 、職場ニ ュースの置き 忘れにつ いては、執行 委員長名 の 顛末書の提出 で解決済 みである。ま た、Bは 顛末書を提出 したが、 個 人的に出した ものであ り、校長から 顛末書の 再提出は求め ら れてい な い。 イ Bは「校 務分掌希 望調査書」に 部活動以 外の記載はし なかった が、 他の欄に記載 しなかっ たのは理由が あり 、「 校長に対する 反抗的態 度」 には該当しな い。担当 教科について は、Bは 化学の担当で あり、敢 え て「化学」と書かなくても他教科の担当にされる訳ではなく、また、 それ以外に斜 線を引い て提出したの は、一任 するという意 味も含め て いる。 ウ 生徒会館 に関して は、前任のD 校長時代 にPTAの寄 付金によ り建 設され、当初 は高校の 管理であった が建設費 用の返済が終 わると学 園 (本部)に管 理が移行 されたもので ある。 だから 、前校長 か らは、生徒 会館につ い ては、今後 は本部が 管 理し、 高校では一切 関知する 必要が無い旨 を言われ てきた。 また、生 徒指導部 内の「部活動 ・合宿・ 会館」係につ いては、 生徒 会館の清掃点 検は含ま れていない。 したがっ て、生徒 会館の管理担 当は生徒 指導部ではな く、学校 事務 局 の 管 轄 で あ る と 、 校 長 に 対 し て 指 摘 ・ 反 論 し た も の で あ り 、「 反 抗 的言辞」では ない。 エ 懲戒処分 の原因と なった平成7 年1月 31日の生徒指導 部室の乱 れに ついては、外 の部屋と 比べて乱雑で はなかっ た。 また、校 長が生徒 指導部の整理 整頓につ いて、 「年 度当初か ら 7回も 注 意 ・ 指 示 し た 。」 と い う こ と は 、 事 実 に 反 す る も の で あ る 。 ま た 、 B は 、 校 長 に た ま た ま 「 H 先 生 に 言 っ て お い た の で や っ て く れ 。」 と - 14 - いう程度のこ とを言わ れただけであ り、明確 な全校清掃点 検の指示 を 受けていない 。 更に、生徒指導 部 が既に全教職 員に発表 した「清掃 計画」によ ると、 平成8年1月 31日は清 掃日ではなく 、この清 掃計画を無視 するよう な 校長の指示自 体がむし ろ不当である 。 オ 平成8年 2月2日 に校長が命じ た生徒指 導部室の整理 整頓に係 る顛 末書は、提出期限のないものである。特にこの時期は学年末であり、 入学試験、生 徒の成績 整理、入学式 の準備な ど教職員にと っては多 忙 な 時 期 で あ り 、 校 長 自 身 か ら 「 提 出 期 限 は つ け な い 。」 と 言 わ れ て い る こ と か ら も 、 3 月 19日 に 提 出 さ れ た こ と を 責 め る こ と は で き な い 。 これらにより 、本来な らば全く理由 になり得 ない行為に対 して言い 掛 かりを付けて きたもの に過ぎず、組 合に打擊 を与えるべく 、3名が 組 合員であるこ と若しく は労働組合の 正当な行 為をしたこと を理由と し て不利益な取 扱いを加 えた不当労働 行為であ る。 ⑵ 法人の主 張 ア 組合が組 合活動の ために教室等 を使用す る場合は、教 室等使用 願を 提出するよう に 、印刷 室ないし印刷 機の使用 許可願は必要 であるに も 拘わらず、使 用許可願 を提出しなか った。そ の上、印刷し た 12枚を公 開したも同然 の状態で 放置していた 。 校長は、 Bが顛末 書を再提出す れば処分 を行わない考 えであり 、団 体交渉等を利 用して顛 末書の再提出 を催促し たが、Bは、 誠意ある 顛 末書を提出し ないばか りか、申立人 組合執行 委員長名義の 顛末書が 提 出 さ れ て い る こ と を も っ て 、 既 に 「 紛 議 は 収 ま っ て い る 。」 と い う 独 善的な考えか ら、校長 の催促を無視 し続けた 。 イ 校長は、 校務分掌 希望調査書に 部活動以 外一切の記載 をしなか った Bに対し、教 頭を通じ て厳重に注意 し、学校 運営に支障が ないよう 協 力を求めたが 、頑とし てこれを聞き 入れず、 明らかに校長 に対し反 抗 的な態度に出 た。 ウ「部活動・ 合宿・会 館」係は、従 来から生 徒会館の使用 許可のみ なら ず、会館の「 清掃点検 」も含まれる ものであ るにも拘わら ず、B及 び Fは、その職 責を認識 しないで、校 長の正当 な注意指導に 対し、他 の 教師の面前で これを否 定する反抗的 言辞を弄 した。 エ 生徒指導 部は、平 成7年度当初 以来の校 長の注意・指 示に従わ ず、 生徒指導部室 の整理・ 整頓をないが しろにし 、乱雑さを改 善しなか っ た。 校長は、 平成8年 1月 31日夕方、校内巡 視を行ったと ころ、生 徒の 生活指導の本 拠であり 、かつ生徒の 相談室で もある生徒指 導部室が 特 に乱雑であったため、生徒指導部員 を集めて事情聴取を行ったところ、 4名いる「行 事・校内 清掃」係のう ちB及び F並びに生徒 指導部長 の Hが校長の注 意に対し 、反抗的な態 度を示し 、責任回避の ための弁 解 - 15 - をし、反省の 色を示さ なかった。 また、校 長は、H に対し全校の 清掃点検 を指示したも のであり 、H は 、 校 長 の 指 示 に も 拘 わ ら ず 、「 行 事 ・ 校 内 清 掃 」 係 に 対 し て な ん の 指示も与えな かった。 オ 校長はB、F及びHが平成8年2月1日 に行われた事情聴 取の際に、 校長の注意に 反抗し、 いたずらに責 任回避の 弁明をし、反 省の色を 示 さなかったた め、翌日 の2月2日に B、F及 びHに対して 顛末書を 提 出するように 指示した が、三教諭は 46日間と いう長期間に わたり顛 末 書を提出しな かった。 3月19日に三教諭 は顛末書と言 えない報 告書を提出し たが、求 めた 趣旨のもので はなかっ た。しかも前 日の 18日には懲戒処分 は決定し て いた。 ⑶ 当委員会 の判断 ア 印刷室を 使用して 「職場ニュー ス」を印 刷した件につ いては、 これ まで校長の許 可なく印 刷室を使用し て印刷 し ており、「職場ニ ュー ス」 の印刷に関し て、許可 なく印刷室を 使用する ことを禁じた ことの疎 明 はなかった。 また、当 該ニュー スの記事内容 等につい ては公正な見 解とは言 えな いが、印刷室 に残され たのは置き忘 れたもの と思われ、被 申立人の 主 張するように故意に不当なニュース内容を公 開したものとは認め難い。 但し、こ の件に関 して校長が提 出を求め た 顛末書をB が提出し なか ったことは、 職務命令 違反である。 イ Bが校務 分掌希望 調査書を初め に教頭に 提出した際に 、校長の 意を 受けた教頭か ら「こう いう書き方で はやめさ せられても文 句は 言え な い 。」 と 注 意 さ れ た に も 拘 わ ら ず 、 釈 明 及 び 弁 明 を す る こ と も な く 、 これを無視し たことは 、校長に対す る反抗的 態度と認めら れる。 ウ 組合は 、 「生徒 会 館は、学園本 部の管轄 になっている から何も しなく てもよい 。」と主 張す るが、校長 は、平成 7 年3月 20日の職員会議 で、 平成7年度の 校務分掌 について説明 し、生徒 指導部の「部活 動・合 宿・ 会館」係の職 責を明確 にしており、 それには 生徒会館の清 掃点検が 含 まれていると 認められ る。 エ 組合は 、 「生 徒指 導部室は他の 部屋と比 べて乱雑では なく、ま た、当 時は既に2月 の入学試 験までの清掃 計 画が立 てられており 、1月 31日 に全校清掃の 点検をさ せることは、 この計画 を無視するこ とになる 。」 と主張するが 、生徒指 導部室には、 タバコの 吸い殻がバケ ツの中に 3 分の2ほど溜 まってお り、私用のテ レビが持 ち込まれてい ること、 校 長が平成7年 4月から 平成8年1月 31日まで に数回注意し ているこ と が 認 め ら れ 、 ま た 、「 1 月 29日 に 全 職 員 に 配 付 し た 清 掃 計 画 書 を 無 視 し た 校 長 の 指 示 は 不 当 で あ る 。」 と 主 張 す る が 、 こ の 計 画 書 は 入 学 試 験のための清 掃計画書 であり、これ とは別に 毎日の清掃点 検として 指 - 16 - 示したことが 認められ る。 オ 平成8年 2月 2日 に校長が命じ た生徒指 導部室の整理 整頓に係 る顛 末書の提出に ついて校 長が期限を定 めなかっ たとは言え、 それを 46日 間提出しなか ったこと は、提出しな いと思わ れてもやむを 得ない。 また、校 長は顛末 書の記載内容 を書面で 指示したにも 拘わらず 、最 終的に提出さ れたもの は顛末書では なく、校 長の指導等に 反発する 内 容が書かれた 報告書で あり、校長が 求めたも のではない。 3 平成10年(不)第 3号事件 ⑴ 組合の主 張 ア 入学式に おける担 任の新入生へ の呼名に 当たり、Fは 緊張のた め幾 分早口になったことや姓と名 との間 に間 ができた部 分 が若干 あったが、 「投げやりな 声音、態 度」で呼名に 臨んだも のではない。 また、呼名の 際、返事 をして起立す る生徒の 動作が先順位 の生徒と 重なり合った ことは認 めるが、それ が式の乱 れとは思われ ない。 イ 国旗に対 して敬礼 するか否かは 個人の内 心における自 由の問題 であ り、柴田高校 では国旗 に対して、崇 敬の念を 持ち、それを 言動で表 す よう生徒を指 導してき たことはない 。 国旗に敬 礼しなか ったことをも って懲戒 処分とするこ とは、憲 法第 19条(思想 及び良心 の 自由の保障 )の趣旨 及 び民法第 90条(公序 良 俗) にも反し、法 的には無 効である。 また、入 学式等に おいて、F以 外にも国 旗に敬礼しな かった教 諭も いるのに、F が独りこ れを行わなか ったとい う処分理由は 事実に反 す るものである 。 ウ 平成10年4月9日 放課後の校長 との話し 合いの際に入 学式での 呼名 の際に不具合 があった ことについて 、「 以後 十分気をつけ る。」旨 回答 しており、通 常であれ ば口頭での注 意をもっ て事が終わる はずの小 さ なミスに対し て、始未 書の提出を求 め、提出 しないことに 対して懲 戒 処分を加える ことは不 合理である。 また、そ もそも懲 戒処分に値し ない事実 をもって、始 末書の提 出を 指示すること 自体が不 当・不合理な もので、 始末書を提出 しなかっ た ことは社会通 念上、妥 当なことであ る。 エ 校長が始 末書の提 出を求めた際 に、 「 組合 が地労委に生 徒の 服装 問題 で撮影した写 真の件を 提出するなら ば、こち らも今回の始 末書を提 出 す る 。」 と 発 言 し た 。 こ の 発 言 は 、 F 個 人 に 関 す る 一 般 服 務 上 の 問 題 に基づくもの ではなく 、地労委で係 争中の組 合活動と結び つけられ た ものである。 被申立人 は、この ことに関して 平成 10年4月17日付けの抗議文 には 触れていない 旨追及 し ているが、こ の抗議文 では、Fに対 する始末 書 要求はFが組 合員であ り、地労委に おいて係 争中の労働争 議の報復 的 措置に対抗す るものと してなされた 旨記載し たもので、詳 細な事実 主 - 17 - 張をせずに概 括的に述 べたものであ る。一方 同年4月 28日付けの回 答 書は、抗議文 を敷衍し て、校長から の始末書 要求をめぐる やりとり の 具体的な経過 を細かく 説明したもの である。 これらに より、F に対する処分 理由は、 合理性を欠い ており、 組合 に 対 す る 敵 意 が 見 ら れ 、「 処 分 の た め の 処 分 」 で あ る 。 し た が っ て 本 件処分は、労働組合法第7条第1号に規定する不当労働 行為である。 ⑵ 法人の主 張 ア 入学式 というのは、入学 を許可する厳粛 な儀式であるにも拘 わらず、 Fは用意した名簿を全く投げやりな声音、態度で棒読みしたもので、 呼名と呼名の 間に必要 な間隔を置か なかった ため、返事を して起立 す る生徒の動作 が間に合 わず、再三混 乱が生じ た。 イ 柴田学園 において は、国旗に対 する崇敬 の念を言動で 表すとい う考 えが建学の精 神に基づ くものとして 、連綿と 受け継がれて おり、儀 式 的な行事には 演壇正面 に国旗が掲げ られ、登 降壇の際、国 旗に敬礼 す ることが躾ら れて きた ものであり、 教師が率 先して行うこ とは当 然 で ある。 ウ 校長は今 後のこと を考え、けじ めをつけ る意味で、厳 重注意を 与え るとともに 、反省 を求 めた事実を明 らかにし ておく必要が あるとし て、 「当日の経過 と現在の 心境を述べた 始末書」 を作成して提 出するよ う 求めたもので あり、こ れは上司とし ての純然 たる服務上の 措置とし て 行ったもので 、Fも始 末書を提出す ることを 了承していた 。 しかしそ の後、組 合問題と結び 付けて、 始末書の提出 を拒否し たこ とから、上長 の職務上 の指示に不当 に従わな いものとして 処分した も のである。 エ「地労委に 写真の件 を提出すれば ……」の 発言は、後に な って始 末書 の提出を拒否 する口実 として作り出 された主 張であり、事 実無根で あ る。校長がF に始末書 を提出するこ とを説得 していた折に そのよう な 発言をすれば 、始末書 提出拒否の口 実とされ ただちに問題 となるの は 必定である。 平成10年4月 17日付けの組合の 抗議文で は、 「始末 書提出要 求 は、地 労 委 に お け る 係 争 中 の 労 働 争 議 の 報 復 的 措 置 と し て 出 さ れ た も の 。」 と抽象的な推 測の主張 に過ぎないの に、平成 10年4月28日付けのF の 回答書に初め て「地労 委に写真の件 云々」が 記載された。 当該発言 が あったなら、 抗議文に はそのように 記載され て いた筈であ る。 ⑶ 当委員会 の判断 ア 組合は、 入学式で Fが生徒の名 前を呼び 上げる際、必 要な間隔 を置 かず、そのた め生徒が 返事をして起 立する動 作が間に合わ ず、前後 の 生徒が重なっ たことを 認め、それに ついては 「緊張のため 幾分早口 に なった些細な ミスによ るものであり 、式は混 乱したとは思 われない 。」 と主張する。 - 18 - しかしF は、柴田 高校勤務 27年で学級担 任も 10年程度経験し、 入学 式の呼名も度 々行って いる。今回に 限って生 徒の動作も目 に入らな い 程緊張したと は認め難 い。 また、厳 粛な入学 式において新 入生が呼 名に返事して 起 立する 動作 が再三にわた って乱れ たことは、式 に混乱を 生じさせたと 言わざる を 得ない。 イ 国旗への 敬礼に関 して、法人は 、 「国旗に 対する崇敬の 念を言動 で表 すという教え が建学の 精神で、当校 に勤務す る限りは、率 先して行 わ なければなら ない 。」 と主張する。 確かに、 私学にお いてはその建 学の精神 を尊重すべき 主張は首 肯で きるが、しか し、柴田 高校では過去 において 、入学式等で の国旗掲 揚 が中断された 時期があ った。その後 国旗掲揚 が再び行われ るように な ったが、生徒に対して国旗に礼をするよう指導していた事実は無く、 国旗に対して 礼をす る ことが徹底し ていたと は認められな い。 ウ 組合は、 懲戒処分 に値しない事 実をもっ て始末書の提 出を指示 する こと自体が不 当・不合 理なもので、 Fが、始 末書を提出し なかった こ とは社会通念 上妥当な ことであると 主張する が、前記アの 不始末が 認 められ、始末 書の提出 を求めたこと は不当で はない。 エ 組合は、 始末書を 提出しない理 由の一つ として、校長 が平成 10年4 月 10日 、 F に 始 末 書 の 提 出 を 求 め た 際 に 、「 組 合 が 地 労 委 に 、 校 長 の 写真撮影問題 を持ち出 すならば、学 園側もF の始末書の問 題を持ち 出 す。」旨 の発言を した ためであると 主張する 。 この趣旨 は、校長 が市中で生徒 の写真を 撮った行為は 、肖像権 の侵 害、人権侵害 のおそれ があるもので あり、公 的機関で議論 の 俎上 に 乗 ることを恐れ て、これ を阻止する意 図の発言 だとの主張で ある。 この校長 の写真撮 影の件は、校 長退陣要 求の原因とな ったもの であ るが、校長が 市中で生 徒の写真を撮 ったこと は、自転車の 二人乗り 等 をしている生 徒に対す る指導のため に行った ものであり、 加えて組 合 が指摘した校 長退陣要 求の理由の一 つである 校長が市内巡 視の際に 警 察の職務質問 を受けた ということは 、根拠の ない噂であっ たことが 認 められた。 したがっ て、この 写真撮影の件 について は、校長にす れば、そ の事 実関係を明ら かにされ ることはむし ろ望むと ころであり、 労働委員 会 の審問の場で 取り上げ られることを 憂慮する 理由は無い。 また、当 日校長が 、FとIに対 して、F の始末書の提 出を説得 して いる際に、写 真撮影の 件の発言をし たとすれ ば、始末書の 提出を拒 否 する口実を与 えること になり、提出 を求める 行為と矛盾す る。 したがっ て、校長 の上記発言が あったと は認められず 、始末書 提出 拒否は不当で ある。 4 不当労働 行為の成 否 - 19 - 平成8年( 不)第4 号 事件について は、B が 許可なく印刷 室を使用 して、 「職場ニュー ス」を印 刷し、不当な ニュース 内容の公開と みなされ る行為 があったとし て処分を 行った処分理 由は是認 できないが、 それにつ いて校 長が求めた顛 末書を提 出しないこと は、処分 の対象となる 。 また、Bのそ の他の処 分理由及びF 、Hの処 分理由もそれ ぞれ就業 規則 の懲戒処分事 由に該当 し、処分は相 当である 。 平成10年(不)第3号 事件について は、国旗 の件を処分の 理由とし たこ とは是認でき ないが、 入学式での呼 名に落度 があることは 認められ 、それ に係る始末書 の提出拒 否の理由は認 めがたい 。 法人としては 始 末書を 提出すれば処 分はしな い方針であっ たところ 、そ の提出を不当な理 由で拒否したもので、就 業 規則の懲戒処分 事由に該当し、 処分は相当で ある。 したがって、 両事件に 係る処分は、 いずれも 労働組合法第 7条第1 号の 組合員に対す る不利益 取扱いとは認 められず 、不当労働行 為には該 当しな い。 5 法律上の 根拠 以上の認定し た事実及 び判断に基づ き、当委 員会は、労働 組合法第 27条 並びに労働委 員会規則 第 43条を適用 して、主 文のとおり命 令する。 平成12年3月7日 青森県地方労 働委員会 会長 - 20 - 高橋 牧夫 ㊞
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