挿し木苗の生産効率を向上させる発根誘導装置の開発

(様式1-3)
WEB版共同研究実績概要報告書
連携体共同研究
テ
ー
マ
実施企業
挿し木苗の生産効率を向上させる発根誘導装置の開発
名
株式会社
赤路電気水道
(コア企業)
共同研究機関
和歌山県農業協同組合連合会植物バイオセンター
研究目的
和歌山県工業技術センター
植物の挿し木苗の生産を簡便、高効率、迅速に行うために、挿し穂の発
及び目標
根誘導に必要な環境要件を明らかにし、その要件を満たす発根誘導装置を
試作・開発し、種苗生産業者(果樹、花木、植木、花壇苗など)や栽培農
家等に、幅広く利活用されることを目的とする。
本年度は、発根誘導に必要となる環境条件を明確にして、実証設備を試
作し、実証試験で必要となる修正を施し、挿し木苗の生産のための発根が
充分で、経済的にも競争力があり、消費電力や使用資材の少ない環境を考
慮して、「省エネルギー型」の設備開発を行う。
成果概要
植物の挿し木において、植物の光合成能力を充分引き出すために
25,000Lux の照明、ナノミストによる加湿、多湿条件下での温度調節、
2,000 ppm の二酸化炭素濃度、ナノバブルを用いた水耕装置を組み合わせ
た発根誘導装置を試作した。
この装置を用いて、花きのペチュニアをモデルに挿し木試験を行った結
果、強光のため葉枯れが生じたが、1日の明暗周期を複数回に分けること
によって、葉枯れを起こさずに順調に発根し、通常は7− 10日かかる発
根を3日で行わせることが可能であり、根の本数も通常の挿し芽の数倍の
本数が得られた(特願2008− 283047)。植物の挿し木における
エネルギー源が光合成によるものであると実証できた。
さらに、装置内の植物の光合成に影響を及ぼす環境要因を制御・計測す
るために、温度、湿度、照度、風速(以上各 10 点)および炭酸ガス濃度
(2点)を計測可能な画期的で安価に製作可能なセンサーシステムを開発
し、実証を開始した。
しかし、装置内は多湿のためカビが生え、水耕装置のタンク内にはナノ
バブルにより活性化された緑藻が繁茂した。加えて、組織培養により育成
したシュート(スターチスなど)では、空気中のミストの量が足りずに強
光下では枯れた。これらの欠点を補う簡便な改良を考案し、試験を継続中
である(特許化の可能性があるため内容は省略)。センサーシステムのデ
ータを元に「省エネルギー型」で「簡便」な発根誘導装置を開発中である。