デキるグローバルビジネスパーソンになるための財務塾2014 第1回 企業価値創造の総まとめ 「どのように企業は再生されるのか?」 2014年1月15日 インサイトフィナンシャル株式会社 代表取締役 手島直樹 1 本日のテーマ 企業価値創造経営に関する私の見解 企業再生に関する私の見解 企業再生のメカニズム ケーススタディ:日産自動車 ケーススタディ:オリンパス ケーススタディ:パナソニック 2 企業価値創造経営の一般的なイメージ 企業価値創造のためのよくある6つの方針 ROE 目標 株主還元 IR活動 成長 戦略 社外 取締役 ストック オプション 3 企業価値の創造はカンタン 松下幸之助に聞いてみましょう。 「いい製品を作って、それを適正な利益を取って販売し、集金を厳格にやる。」 「なすべきことをキチンとなしていれば、経営というものは必ずうまくいくものである。その意 味では、経営はきわめて簡単なのである」 拙著「はじめに」より 「私が理想とする経営像は、株価や株主、短期的な業績などは気にせずモノづくりに勤しんだかつ ての日本企業なのです」 企業価値創造経営だのファイナンス戦略だのややこしく考えている時間があれば商売をしてお金を稼ぎましょう 4 私の企業価値創造経営のイメージ 企業価値創造のための6つ柱 優秀な 経営者 優秀な 社員 優れた商品 ・サービス 管理会計 パートナーと しての株主 盤石な 財務状況 人材と彼らが生み出す商品・サービスこそが企業価値創造の源泉であり、ファイナンス 機能は彼らが能力を出せる環境を築くことが役割だと考えます。 5 本日のテーマ 企業価値創造経営に関する私の見解 企業再生に関する私の見解 企業再生のメカニズム ケーススタディ:日産自動車 ケーススタディ:オリンパス ケーススタディ:パナソニック 6 企業再生に関する私の見解 ■経営の視点 ・企業再生は、自作自演に過ぎず、褒められたものではない ・企業再生には、まずデタラメな経営をしなければならない ・企業再生ファンドが活躍するためには、無能な経営者が多数存在しないといけない ■ガバナンスの視点 ・赤字になるのを待つのではなく、収益性が悪化すれば、何らかの手を打つべき ・コーポレートガバナンスの問題ではなく、経営者(社員)の意識(自律)の問題に過ぎない ・創業経営者はアクションが早く、ガバナンスの視点では非常に安心できる 7 企業経営の本来あるべき姿:イチロー選手 常に右肩上がりではないが、ダウンサイドは限定的であり、長期間に渡り高いパフォーマンスを維 持しています。 (本) 8 企業経営の本来あるべき姿:オリエンタルランド(1/2) 減益の期間もあるが、その後一気に増益を突き進んでいます。 (百万円) 9 企業経営の本来あるべき姿:オリエンタルランド(2/2) TOPIXを大幅に下回った期間もあるが、10年という長期間ではTOPIXを大幅に上回っています。 10 企業経営の本来あるべき姿:JT(1/2) JT、政府より海外株主 好業績下、国内たばこを大リストラ 完全民営化へ市場を意識 2013/11/14日本経済新聞 朝刊 2013年4~9月期の連結純利益が過去最高を更新した日本たばこ産業(JT)。業 績好調のJTが国内たばこ事業の大規模なリストラに乗り出す。民営化から30年 近くたった現在も日本政府が33.3%を出資する「国策会社」が従業員の削減にま で踏み込む大なたを振るうのはなぜか。背景を探ると、株式市場を強く意識した 経営に軸足を移す姿が浮かび上がる。 (中略) リストラ発表以降、JT株は2%上昇した。14年3月期は通期も過去最高益を更新 する見通しだ。海外事業の拡大や国内事業のリストラ効果で積み上がる資金をど う活用するか。市場を意識した次の一手が繰り出されるのは意外と早いかもしれ ない。 11 企業経営の本来あるべき姿:JT(2/2) 上場企業としてやるべきことをやり続ければ、JTのようにTOPIXを大幅に上回ることも可能なのか もしれません。 12 本日のテーマ 企業価値創造経営に関する私の見解 企業再生に関する私の見解 企業再生のメカニズム ケーススタディ:日産自動車 ケーススタディ:オリンパス ケーススタディ:パナソニック 13 企業価値創造の全体像 事業バリュー ドライバー 他のバリュー 決定要因 売上成長率 現金ベース の税率 営業利益率 追加投資率 資本コスト 予測期間 フリーキャッシュフロー 株主価値 営業利益 -現金ベースの税金 NOPAT -投資額 FCF 事業価値 +非事業資産 -負債 株主価値 出所:Expectations Investing 簡単に言えば、小さな資産で大きな利益を生み出せる会社こそが、企業価値を創造で きる企業だと言えます(ROICは利益の効率性を把握する指標)。 14 ROIC(投下資本利益率) 本業からの利益 ROIC = NOPLAT(税引後営業利益) Invested capital(投下資本) 本業に活用する資産 もちろん企業再生においてもROICを改善することは大事ですが、通常の企業価値創造 経営と異なる点があるのに注意をしましょう。 15 企業再生の特殊性 多額の負債を抱えて首が回らない状況であるため、早い段階で結果が出るアプローチにフォーカ スしないと会社が倒産しかねないのが通常の企業価値創造経営との大きな違いです。 ①コスト削減による営業利益の改善⇔付加価値アップによる営業利益の改善 ②ノンコア資産を売却し現金化し、負債の返済に回す ③投資(運転資金、設備投資)を減らし、現金を負債の返済に回す ②と③はやろうと思えばすぐにできるので、結果が素早く出ます。大企業にはノンコア 資産が多いこともあり、②は非常に有効です。 16 資産売却の効用 ノンコア資産を売却し、負債の返済に回すことにより、デットエクイティレシオだけでなく、資産効率 性(ROA)も改善します。ROICはノンコア資産を除外して考えるため、不変です。 コア資産 (投下資本) 負債 ノンコア資産 資本 コア資産 (投下資本) 負債 資本 17 本日のテーマ 企業価値創造経営に関する私の見解 企業再生に関する私の見解 企業再生のメカニズム ケーススタディ:日産自動車 ケーススタディ:オリンパス ケーススタディ:パナソニック 18 当期純利益の推移 1990年代は赤字が普通。 (億円) 19 営業利益率 営業赤字の年度まであり、営業利益率は良くても3%程度。 20 有利子負債(自動車事業) 赤字の企業が2兆円を超える負債を抱えていれば、日産のような歴史のある企業でも倒産の可能 性が出てきます。 (億円) 日産はルノーとの提携により危機的状況からの復活を目指しました。 21 1999年の沿革 3月27日:ルノーとの資本提携に調印 5月28日:資本受入完了 ルノーに対する第三者割当増資で6430億円を調達。これによりルノーが36.8%の大 株主となる。その後ワラントを行使した結果、現在は43.4%を保有する。 6月25日:株主総会が取締役を選任 6月25日:取締役会がCEO、COO、EVP、SVPを任命 カルロス・ゴーン氏がCOOとなる(現在はCEO) 7月1日:新組織始動 9月1日:17人のルノー管理職が日産に赴任 10月18日:リバイバルプラン発表 22 日産リバイバルプラン(NRP) 組織横断型のクロスファンクショナルチーム(CFT)が以下の9つの分野に対する対応策を策定しま した。 CFT 事業の発展 目標 利益ある成長 購買 3年間で20%のコスト削減(およびその早期実現) 製造 車種削減 最適生産効率/最適 コストの達成 研究開発 研究開発能力の有効活用 組織と意思決定プロセス 地域別組織からグローバル組織への変革 販売・マーケティング 一般管理費 販売費および一般管理費の20%削減 財務コスト 財務管理の強化/財務コストの削減 23 購買 3年間で20%のコスト削減のための活動: ・部品・素材の集中購買化 ・グローバル購買戦略にサービスを含める ・サプライヤー数の削減(3年間で半減) ・競争力のあるグローバルサプライヤーとのパートナーシップ ・「仕様削減と標準化」への挑戦 ・ルノーとの提携 財務上のインパクト:売上原価が下がるため、営業利益が増える 24 製造 生産能力の最適化のための活動(の一部): ■車両組立工場閉鎖: 村山工場 2001年3月 日産車体京都工場 2001年3月 愛知機械港工場 2001年3月 ■ユニット工場閉鎖: 久里浜工場 九州ユニット工場 2002年3月 2002年3月 財務上のインパクト:工場がなくなるため、固定資産が減り、資産効率性が向上する 25 販売費および一般管理費 販売費および一般管理費の20%削減のための活動: ・ ブランドパワーの向上によるインセンティブの削減 ・グローバル化による広告費の削減 ・販売網のスリム化 ・固定費の削減 財務上のインパクト:販売費および一般管理費が減るため、営業利益が増える 26 財務コスト 財務管理の強化/財務コストの削減のための活動: ・グローバルレベルでの財務業務の集中化 ・グローバル財務管理 /リスクマネージメントの実現 ・グローバルレベルでの会計、資金、キャッシュ管理の構築 ・戦略的な株式保有の取りやめ ・不動産、有価証券および自動車関連以外の資産の売却 ・30%の在庫削減 ・ルノーとの提携 財務上のインパクト:・資産が減り資産効率性が上昇する ・資産売却や在庫削減によって得た資金を有利子負債の返済に回す 27 期待効果とコミットメント ■期待効果 ・グローバルレベルで21,000人の人員削減 ・コスト削減1兆円(購買:60%、販売費および一般管理費:28%、製造:10%) 財務上のインパクト: 3年間合計の営業利益が1兆円増加 ■コミットメント ①FY00に黒字へ ②FY02には営業利益率4.5%以上 ③有利子負債をFY02にはFY99の半分の7000億円にまで減らす さて結果はどうなったのでしょうか? 28 コミットメント①:当期純利益の黒字化 コミットメント通り、FY00に黒字転換を実現。 (億円) リストラ関連引当金2000億円を含む 29 コミットメント②:営業利益率4.5%の実現 2年前倒しで、FY00に営業利益率4.5%を上回る。 30 売上高と営業利益 売上高がほぼフラットな状況で、営業利益が大幅に増加しているということは、コスト削減により利 益を創出していることを意味します。 (億円) 実際、購買コストの削減も1年前倒しで実現し、また従業員数の削減も目標を上回りま した。 31 コミットメント③:有利子負債7000億円まで削減 1年前倒しで、FY01に有利子負債が4350億円まで削減。 (億円) 32 資産売却 FY00とFY01の2年間で、5300億円相当の資産を売却しました。 (億円) 33 運転資金 運転資金も大幅に減少しており、キャッシュをより有効に活用(負債の返済など)できるようになり ました。 (億円) 34 投資額の推移 研究開発費と設備投資額の推移をみると、将来への投資を削減して、短期的に利益を生み出した わけではないことがわかります。 35 株価パフォーマンス リバイバルプランの期間の株価パフォーマンスは日産がダントツでトップ。 36 リバイバルプラン以降の業績(営業利益率) 営業利益率が10%を上回ることもあったが、その後は利益率の改善は止まり、トヨタとホンダとほ ぼ同水準となっています。 【営業利益率の推移】 37 過去10年の株価パフォーマンス リバイバルプラン以降の業績改善のスローダウンを受けて、日産の株価パフォーマンスは競合他 社だけでなく、TOPIXも大きく下回っています。 ホンダ トヨタ 日産 38 まとめ ■経営視点 ・日産は奇跡的なスピードで競合他社水準のパフォーマンスにキャッチアップした ・さすがにワールドクラスの競合他社のパフォーマンスを持続的に上回るのは困難 ・「ダメな会社」から「良い会社」にはなったが、「すごい会社」になかなかなれない ■投資家視点 ・経営再建の結果が出る前に投資し、競合他社のパフォーマンス水準にキャッチアップし た時点で売却するのが一番儲かる戦略であった ・ルノーによる投資のタイミングで投資した投資家こそが本物(もちろん存在する) ・「良い会社」から「すごい会社」になれると信じられれば今から投資 ・個人的な見解としては、配当狙いの銘柄 39 株価を動かすのは期待と実績の差 期待水準が低いとポジティブサプライズを生み出しやすいが、期待水準が高くなるとそう簡単には サプライズさせることはできず、「良い会社」にとどまることになります。 高 ② 株価パフォーマンス 再生成功 ① ② ダメな会社 すごい会社 ③ 良い会社 低 低 期待水準 高 40 本日のテーマ 企業価値創造経営に関する私の見解 企業再生に関する私の見解 企業再生のメカニズム ケーススタディ:日産自動車 ケーススタディ:オリンパス ケーススタディ:パナソニック 41 オリンパス事件 巨額の損失を「飛ばし」という手法で損益を10年以上の長期にわたって隠し続けた末に、 これを不正な粉飾会計で処理した事件。上場廃止は免れたが、「特設注意市場銘柄」に 指定される。 オリンパスの菊川前社長(元会長)、森久前副社長、前常勤監査役などが逮捕される。 42 売上高・営業利益率 不正会計以前の問題として、本業の業績は下降傾向にありました。 (百万円) 43 当期純利益 減損やのれんの償却といった特別損失の影響でFY06とFY11は最終赤字となっています。 (百万円) 44 有利子負債とネットデット 負債水準は高い水準でほぼ一定。 (百万円) 45 自己資本比率 当期純利益の赤字などにより純資産が減少する中で、負債水準は一定であったため、自己資本 比率は減少を続けました。 46 キャッシュフロー 本業の収益の停滞によりCFOも伸び悩み、FCFも減少傾向にありました。 (百万円) 47 中期ビジョン(5カ年) ■基本戦略 ①事業ポートフォリオの再構築・経営資源の最適配分 ②コスト構造の見直し ③財務の健全化 ④ガバナンスの再構築 48 事業ポートフォリオの再構築・経営資源の最適配分 ■事業ドメインの明確化 ■非事業ドメインの見極め・整理 ■経営資源の最適配分を促すしくみの整理 財務上のインパクト:事業売却による資産の軽減、及び現金化による負債の返済 49 コスト構造の見直し ■原価低減 製造拠点再編と調達力強化による原価低減により、売上原価率を2ポイント(15年3月期)、 3ポイント(17年3月期)改善 ■間接費用の大幅削減 売上高販売管理費率を53.2%(12年3月期)から48.0% (15年3月期)、46.6%(17年3月期) へと6.6%削減 ■間接要員の最適化 14年3月期までに全世界で2700人(7%)の要員が減少 財務上のインパクト:売上原価率、販売管理費率が減少することで、営業利益率が改善 50 財務の健全化 ■資産のスリム化(有形固定資産・運転資本の圧縮) ・有形固定資産の圧縮:15億円の遊休不動産の売却(14年3月期) ・棚卸資産の圧縮:1.4ヶ月短縮、280億円削減(17年3月期) ■キャッシュフローの最大化 ・5年間で2500億円のFCFを創出し、有利子負債を3500億円削減し3000億円にする(17年 3月期) ・現預金保有残高の最適化 ■安定した事業収益の確保 株主資本を着実に積み増す 財務上のインパクト:売上原価率、販売管理費率が減少することで、営業利益率が改善 51 評価指標と目標水準 企業価値の創造と財務の健全化を評価する指標を業績評価に活用しています(日産はリバイバル プラン以降の中期計画にROIC目標を導入)。 評価指標 実績値(12年3月期) 目標水準(17年3月期) ROIC 2.7% 10%以上 営業利益率 4.2% 10%以上 FCF -48億円 700億円以上 自己資本比率 4.6% 30%以上 さて結果はどうなったのでしょうか? 52 評価指標のアップデート FCFと自己資本比率が大幅に改善しました。 実績値(12年3月期) 実績値(13年3月期) 目標水準(17年3月期) ROIC 2.7% 2.7% 10%以上 営業利益率 4.2% 4.7% 10%以上 FCF -48億円 587億円 700億円以上 自己資本比率 4.6% 28.7% (FY14-2Q) 30%以上 評価指標 53 売上高・営業利益率 評価基準の一つである営業利益率は4.2%から4.7%へ上昇。今期の予想では10.1%へ上昇の見込 み。 (百万円) 54 当期純利益 FY12は黒字に転換し、今期は130億円にまで上昇する見込みです。 (百万円) 55 有利子負債とネットデット 有利子負債は4300億円であり、目標値の3000億円に向けて順調に減少しています。 (百万円) 56 自己資本比率 FY12にソニーとの資本提携(500億円)、FY13に公募増資(1180億円)を行ったこともあり、自己資 本比率は大幅に改善し、30%の目標にもあとわずかと迫っています。 57 キャッシュフロー FCFが大幅に増加しました。これはCFIが子会社株式売却(526億円)によりプラスになったことが 大きな要因です。事業ポートフォリオの再構成の影響だと思われます。 (百万円) 58 中期ビジョンの上方修正 当初の予想値が修正されました。売上高は減少するものの、営業利益(及び率)は増加するという 見通しとなっています。売上よりも利益を重視する姿勢がうかがわれます。 12年3月(実績) 15年3月(予想) 17年3月(予想) 売上高 8485億円 10100億円→7600億円 11600億円→9200億円 営業利益 (営業利益率) 355億円 (4%) 900億円 (9%) 1300億円 (11%) 当期純利益 -490億円 400億円→450億円 930億円 (12%) 1430億円 (16%) 850億円据え置き 59 過去2年間の株価パフォーマンス 増資があったにもかかわらず、TOPIXを大幅に上回るパフォーマンスとなっています。 60 まとめ:日産との比較 ■類似点 ・増資による資本調達でとりあえず何とかした ・企業再生を実現するための戦略が明確 ・コスト削減、資産売却などにより負債の返済を加速 ・企業価値創造ベース(ROICなど)と健全性ベース(有利子負債など)の経営指標を活用 ・企業価値創造と健全化を同時に実現(リストラだけの守りではない) ■相違点 ・日産はフランス系企業となったが、オリンパスは独立を維持(ソニーが筆頭株主だが) ・オリンパスの方が自律の点で優れていたと言える(一部の経営陣の暴走が業績悪化の 原因だったからかもしれない) 61 本日のテーマ 企業価値創造経営に関する私の見解 企業再生に関する私の見解 企業再生のメカニズム ケーススタディ:日産自動車 ケーススタディ:オリンパス ケーススタディ:パナソニック 62 売上高・営業利益率 売上は減少傾向にあり、営業利益率は低水準で推移している。 (百万円) 63 当期純利益 FY11とFY12では多額の減損があったため、大幅な最終赤字となりました。 (百万円) 64 有利子負債とネットデット かつては松下銀行と呼ばれるほどでしたが、FY08からFY11の間に有利子負債が大幅に増加し、 ネットデットが約1兆円にまで上昇しました。 (百万円) 65 自己資本比率 負債の増加と最終赤字などによる株主資本の減少により、自己資本比率は大幅に下落しました。 (百万円) 66 キャッシュフロー 本業の収益の停滞によりCFOも伸び悩み、FCFも減少傾向にありました。 (百万円) 67 新中期計画(2013年3月28日発表) 数値以外の発表内容もありましたが、わかりにくかったため数値のみを示します。実際発表翌日は 株価は7%下落しました。 13年3月(実績) 14年3月(予想) 16年3月(予想) 営業利益 (営業利益率) 1610億円 (2.2%) 2500億円 (3.5%) 当期純利益 -7543億円 500億円→1000億円 FCF 3552億円 2000億円以上 株主資本比率 23.4% 25%以上 ROE -60% 10%以上 2700億円 (3.6%) 3500億円以上 (5%以上) 累計6000億円以上 日経新聞の報道では、「15年度に実質無借金」、「13年度に復配(達成済み)」という目標もある 68 パナソニックが取ったリストラアクション(1/2) ■事業売却 ・三洋デジカメ事業をアドバンテッジパートナーズに売却(2013年3月) ・医療機器子会社パナソニックヘルスケアの超音波診断装置事業をコニカミノルタに売却 (2013年7月) ・携帯電話の修理サービス子会社のパナソニックモバイルテクニカルサービスを米国の携 帯電話アフターサービス大手に売却(2014年1月) ・ヘルスケア事業、KKRに1500億円で売却(2013年9月) ■株式売却 ・持ち合い株1400億円売却(2013年3月期) ・携帯電話販売大手アイ・ティー・シーネットワーク(ITCN)の株式すべてを同社に90億円 で売却( 2013年8月) ■財務戦略 ・確定拠出年金を導入(2014年3月期以降) ・代金決済で電子記録債権を導入+30日間の支払い延長要請(2013年10月から) 69 パナソニックが取ったリストラアクション(2/2) ■資産売却 ・東京・汐留の自社ビル売却(2013年3月) ・高槻工場(大阪府高槻市)の一部を売却する方針を固める(2013年6月) ・プラズマテレビ向けパネル生産を停止し、生産拠点の尼崎工場も売却する方針で同事 業から完全撤退(2013年度末) ・三洋電機の本社ビルを売却する方針を示す(2013年10月) ・国内の半導体主力3工場を分社し、イスラエル企業に株式の過半を売却することで大筋 合意。海外の半導体工場もシンガポール企業に売却する方向(2013年11月) さて結果はどうなったのでしょうか? 津賀一宏社長 (2012年6月社長就任) 70 売上高・営業利益率 当初の目標値を上方修正しました。 (百万円) 71 当期純利益 当初の目標値を上方修正しました。 (百万円) 72 有利子負債とネットデット 有利子負債は、1兆円を下回りました。 (百万円) 10月に期限が切れた6000億円の融資枠契約(コミットメントライン)を更新せず。業績不振に伴う 資金の調達難に備えて昨年設定したが、その後の資産売却などの取り組みで資金繰りが改善 したため(日経2013年8月24日) 73 自己資本比率 自己資本比率は、27.5%に上昇しました。 (百万円) 74 過去1年間の株価パフォーマンス TOPIXを大幅に上回っています。 75 まとめ:日産及びオリンパスとの比較 ■類似点 ・短期的に結果を出した ・コスト削減、資産売却などにより負債の返済を加速 ・企業価値創造ベース(FCF)と健全性ベース(有利子負債など)の経営指標を活用 ・オリンパスと同様、自律の面では優れたものがある ■相違点 ・再生計画がわかりにくい(発表後に株価が暴落) ・増資を行っていないため、完全な「独立企業」である ・家電はさまざまな事業があるため、事業の売却が活用できた 76 まとめ:投資家視点(日産のケースから) 企業再生は、Buy Low Sell Highのチャンス! 1.優良企業の業績悪化は買い(企業再生に着手する直前を狙いたい) 2.再生完了の期待が株価に織り込まれた時点で売り(再生後は株価は低迷する) 77 告知 あなたの会社で講演します! 興味のある方はお声掛けください! 78 ご清聴どうもありがとうございました 79
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