国立天文台アーカイブ 2013 年 12 月 21 日,月例講座, 中桐正夫(国立天文台) 国立天文台は 1988 年 7 月 1 日発足だから、 その歴史はたった 25 年ということになるが、 その前身の一つである東京天文台は 1888 年設立、その前身の東京大学観象台は 1878 年に 設立されているから、135 年の歴史を持っている。 国立天文台は天文学研究の中核を担ってきた中枢機関であり、最先端の天文学研究に最 大限の力を注ぎ研究を進めてきた。その一方、観測を支え役目を終えた観測機器、測定機 器、天体写真乾板を初めとする機器類、資料などの保存には熱心であったとは言えない。 2008 年に国立天文台天文情報センターにアーカイブ室が立ち上げ、国立天文台に遺され た歴史的に貴重な観測機器類、測定機類の収集、整備、保存を始め、1880 年のドイツ製レ プソルド子午儀(写真 1)を発掘、整備し、国の重要文化財に指定を受ける快挙もあった。 写真 1 写真 2 写真 3 また国立天文台から散逸した貴重な望遠鏡を回収し、復元、整備、展示を行うなど機器 類のアーカイブを進めてきた。また、1945 年 2 月の東京天文台本館の火災で失われたと思 われていた戦前の 100 年以上前の写真乾板を発見し、日本人として初めて小惑星を発見し た 1900 年 3 月 6 日の写真乾板(写真 2)を発見するなどの成果を上げている。 2013 年には、 新たに 7 件の東京天文台の歴史的な建造物を登録有形文化財として申請し、 文化庁文化審議会の議を経て登録が文部科学大臣の答申されるなどの成果を上げている。 その一つがゴーチェ子午環室(写真 3)である。 国立天文台において、初めて歴史的な貴重な歴史遺産のアーカイブを 2008 年に始め、子 午儀資料館、天文機器資料館、分光器資料館を作り、国立天文台博物館を目指した活動に ついてお話しする。
© Copyright 2024 Paperzz