1/2 2010年12月4日 『友人からの贈り物、「星の王子さま」を読んで』 京都府断酒平安会 山科支部 阿部 孝義 (写真:瀬戸内に浮かぶ島の上に輝く金星と月・愛媛県松山市高浜) 先日、友人 N 氏から小包が届きました。その中に、「星の王子さま」の本が入っていました。かなり昔に読んだ 本ですが、子ども(王子さま)の目線でモノを見ている本であったと記憶しています。その本に付箋がしてあり、そ のページを見て、驚きと感動を覚えました。それは、王子さまと呑み助との遭遇の部分でした。 「何で飲んでいるの?」、「忘れたいから!」。「どうして忘れたいの?」、王子さまからの問いかけに対して、 「恥ずかしいのを忘れるためだよ!」。王子さまは、「どうして恥ずかしいの?」。すると呑み助は言いました、「お 酒を飲むのが恥ずかしいんだよ!」。王子さまは旅を続けながら考えていました・・・・、「大人って、とっても、とっ てもおかしいんだな」。 その内容は2ページに亘って書かれていました。酔っ払って飲んでいる呑み助の大人を、子どもから見た思い、 「おかしい」、を再度知らされた内容でした。王子さまにとって、呑み助はアカの他人。飲んでいる人に対して、 「医者から止めろと言われているのに、何故飲むの。体に悪いから、このまま飲んでいたら死を迎えるぞ」、と言 ってしまうことがあります。 酒を止めた私がこの本を再び読んで、酒を飲んでいた頃は、「何故、何で・・・・・、この呑み助はおかしい」、とこ の王子さまと同じ目で私は周りから見られていたに違いありません。アルコール依存症であった私は、この呑み 助と同じ思いで飲んでいました。 どうしても酒を切れない自分が情けない。それは忘れるために飲む、時には死ぬための飲酒だったのかも知 い ま れません。現在、過去を振り返るとそんなことを思い出します。家内は、そんな私を軽蔑していましたが、娘は王 子さまと同じ思いをしていたのでしょうね また、自分の父親が酒を飲んで変わって行く姿を見て、娘はどう思っていたのでしょうか。 本当に恥ずかしい、 本当に情けない、本当に惨めな父親と思っていたでしょう。でも、娘と家内は、このままでは駄目になってしまう、 呑み助の私を何とかしよう、何とかこの呑み助を変えなくては、と王子さまのようには旅をせず、私を断酒会に導 いてくれました。 2/2 今酒を飲んでいる人、今酒を止めたいと思っている人が、あの時の私なのです。今酒を飲まない私が断酒し ている生活に満足して、過去を忘れてしまう。また、忘れようとしていることは、あの時の惨めで情けない、恥ず かしい私に戻ることになるかも知れません! (写真は明神山からの星の眺め:愛媛県・旧双海町)-----> 例会に出席して語る内容は違うかも知れませんが、過去における惨 めな私・・・、情けない私・・・、恥ずかしい私の姿を掘り起こし、その頃の 家族の気持ちを思い出しながら体験を語り続けることで、飲まない生活 を仲間の方々と共に続けていければと思います。 私がアルコール依存症になった後で、友人 N 氏からの励ましの手紙と本を送っていただいたことがあります。 再び、私は、「星の王子さま」と出会うことができました。友人 N 氏に感謝し、星の王子さまと何処かで出会うこと があるかも知れないし、いつも何処かで私を見ていることを忘れないようにして、お酒を止め続けて行きたいと思 っています。(了)
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