PAL NEWS 2013/03 パル動物病院 ~人と動物の絆~ よりよい関係を目指して 私たちは最先端の診療技術を生かし、地域に 密着した動物病院を目標にしております。 パルニュース 2013 年 3 月 ●ノミ、マダニにより引き起こされる疾患 ●重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について 診療時間 ●裾野センター病院 月~土 午前 9:00 ~ 午後 14:00 ~ 日・祝 午前 9:00 ~ 午後 14:00 ~ 12:00 (11:30) 21:00 (20:30) 12:00 (11:30) 19:00 (18:30) ●沼津病院 平日 午前 9:00 ~ 12:00 (11:30) 午後 14:00 ~ 19:00 (18:30) 日 午前 9:00 ~ 12:00 (11:30) 木・祝日休診 括弧内の時間までが受付時間となります。 お問合せ ●裾野センター病院 静岡県裾野市伊豆島田 843-5 TEL: 055-993-3135 ●沼津病院 静岡県沼津市沼北町 1 丁目 5-27 TEL: 055-922-6255 ●ウェブサイト http://pal-ah.jp ノミ、マダニにより引き起こされる疾患 ● 今月の専門科診療 ● 春めいてくると、ノミやダニに感染する機会も増えてきます。そこで今回は、 ノミやダニの感染により起こりうる疾患についてお話します。 今月は下記の日程で専門科の診察を行います。 ご希望の方は事前にご予約ください。 ●ノミ ○ノミとは 動物の体表に寄生して吸血する節足動物 です。ノミは梅雨の前後の時期から発生しま すが、住宅環境の変化により通年の生息が 可能となっており、犬や猫では年間を通して、 その寄生に注意しなくてはなりません。 ○ノミの感染により引き起こされる疾患 ・貧血:ノミは小さくても、大量寄生するこ とで貧血を引き起こします。 ・ノミアレルギー性皮膚炎:ノミの唾液由 来のアレルゲンにより、痒みが引き起こ されます。痒みの程度はさまざまですが、 毎年悪化していく傾向があります。初期 病変は丘疹ですが、痒みで舐めたりか いたりすることにより、脱毛、ふけ、痂 皮などが認められます。 ・瓜実条虫症:瓜実条虫は消化管内寄生虫 です。瓜実条虫の幼虫を体内にもったノ ミを、グルーミングなどによって犬や猫 が口から摂取することで感染します。大 量に寄生すると下痢が引き起こされます。 ○ノミ寄生の確認法 ノミの寄生が少数だった場合は成虫を見つ けることは困難ですが、ノミとりの櫛で全身を すくと、黒い顆粒や白い卵が検出できることが あります。黒い顆粒を濡れたティッシュの上に 置いて、赤く滲んだら、吸血したノミの糞です。 ●マダニ ○マダニとは マダニは動物の体表に寄生し吸血する節 足動物です。マダニの発育期の脱皮や産卵 には吸血が不可欠で、その際に、動物にウイ ルスや細菌など様々な病原体を媒介すること があります。 マダニは初夏から秋にかけて盛んに活動し ます。 ○マダニの寄生により引き起こされる疾患 ・貧血:ノミ同様、大量寄生したときに貧 血が起こります。 ・犬のバベシア症:マダニが犬を吸血する ことにより、バベシア原虫が犬に感染す ることがあります。バベシアが赤血球に 寄生することで赤血球が破壊され、貧 血が引き起こされます。この他、血小板 減少症、発熱、脾腫なども引き起こさ れます。 ・猫ヘモプラズマ感染症:猫への感染経路 の詳細は、いまだ全ては明らかにはなっ ていませんが、ダニが猫を吸血した際 や、猫のけんかによる咬傷、母子感染 と考えられています。ヘモプラズマが赤 血球に寄生することで、赤血球が破壊さ れて貧血が引き起こされます。 (カッコ内はカレンダー内の省略形です) ◆歯科(歯) 歯学博士 奥田 綾子 先生 ◆エキゾチックペット(エキゾ) エキゾチックペットクリニック つるの 霍野 晋吉 先生 ◆腫瘍科(腫瘍) 麻布大学獣医学部附属動物病院 川村 裕子 先生 ◆画像診断科(画) 獣医学博士 小野 晋 先生 ◆眼科 獣医学博士 当院:小野 啓 毎週火曜~土曜日 (カレンダーには表記していません) 学会等で不在のこともありますので、 事前のご予約をお願いいたします。 ○マダニ寄生の確認法 顔周囲、耳先、足先などを観察します。マ ダニの大きさは吸血の度合いにより砂状~小 豆大ですが、目で確認することができます。 <ノミ・マダニの予防法> 首の背側に薬剤を滴下するスポットタイプの 薬が効果的です。ノミやマダニは、皮膚疾患 だけでなく、さまざまな病気を媒介します。少 なくとも春から秋までの予防をお勧めします。 参考文献 バイエル薬品株式会社資料 犬と猫の治療ガイド 2012 月 火 水 木 4 5 6 11 18 12 腫瘍 19 14 13 歯・画 21 20 25 26 27 1 金 2 土 3 日 8 9 10 15 16 17 22 23 24 29 28 エキゾ 30 31 7 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について マダニが媒介する新しい感染症「重症熱性血小板減少症候群 (SFTS)」のニュースを聞いて、不安に 思われた方は多いのではないでしょうか。日本国内においても、このウイルスに感染し、5 名の方が 亡くなられています(2013 年 2 月 28 日時点)。今回は、この病気について、現在どのようなことが 分かっているのか、簡単にお話しいたします。 ○病原体 この病気の病原体は SFTS ウイルスで、ウイルスを持った血液に接触 することで感染します。 吸血するマダニが病気を媒介すると言われています。 ○病気の発見 2009 年春から初夏にかけて、中国で原因不明の疾患が発症し、本 感染症の存在が明らかになりました。同年 6 月に、患者の血液から新 種のウイルスが分離され、2011 年に SFTS ウイルスと名付けられました。 発生地域ではフタトゲチマダニ等のマダニが SFTS ウイルスを保有して いました。 ○日本での発生状況 2012 年夏以降に 3 人、2013 年 1 月に 1 人の方が亡くなっており、 血液中から SFTS ウイルスが検出されました。いずれも渡航歴がなく、さ らに、中国で発見されたウイルスと、遺伝子の一部が異なるため、以前 から日本にあった SFTS ウイルスに感染した可能性が高いと言われてい ます。日本のマダニ類がこのウイルスを保有しているのかどうか、まだ 分かっていません。 ○症状 ウイルスに感染してから症状が現れるまでを潜伏期間と言いますが、 この期間は 6 日から 2 週間といわれています。 発症すると、発熱、倦怠感、消化器症状、リンパ節腫脹、止血異常 などの症状がみられます。中国での死亡率は、約 10 数%と言われて います。 ○動物における感染状況 中国では、ウイルスに感染した哺乳動物はみつかっていますが、発 症した事例は報告されていません。日本では現在調査中で、はっきり と分かっていません。 ○今後の日本の対応 これまで、感染が疑われる患者の血液は、国立感染症研究所一カ 所で検査してきました。この 3 月より、ウイルス検出作業を各都道府 県の機関でも行えるようにしていくとのことで、病気を迅速に発見でき るようになることでしょう。また、日本のマダニ類のウイルス保有率の 調査なども検討するとのことです。 SFTS はまだ分かっていないことが多い病気です。犬猫に関しては、 ダニ予防を定期的に行い、マダニが生息している草むら等にはなるべ く踏み入らないよう、注意してください。散歩中は、飼い主のみなさ んも長袖長ズボンを着用するなど、マダニに噛まれないよう対処をと ることが、勧められています。 また、万が一マダニに噛まれた場合には無理に取らないでください。 人間が噛まれた場合は人医へ、動物が噛まれた場合は当院にご相談 ください。 参考文献 「厚生労働省検疫所 FORTH ホームページ」(http://www.forth.go.jp/) パルニュース 2013 年 3 月号
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