様式2 学校名( 洲本市立五色中学校 ) 実施日:9月 24 日(5校時) 領 域:道徳 取組名:いじめ 対 象:2年2組 実施場所:教室 ア ねらい いじめを許さず、だれに対しても公正、公平に接しようとする実践意欲を育てる。 イ 指導内容(指導略案)や取組の概要 ・ [別紙①]を読んだ感想を発表させる。 ・ 「私」が男子を殴ってしまった怒りを考えさえ、話し合わせる。 ・ いじめは続くが、 「私」の行動は無意味だったのか、 「私」の行動の価値を考えさせ、班で話し合わせ て班ごとに発表させる。 [別紙②] 授業後の感想をまとめ、発表させる。 [別紙③] ウ 連携先:校区内各小学校人権教育担当教員 校区内主任児童委員 市教育委員会指導主事 淡路地区人権研究協議会関係者 エ 連携にむけての取組 ・ 校区内各小学校人権教育担当教員に参加を要請して、授業後には研究協議を行って指導内容や指導方 法及び、生徒の9年間の成長のようすについて意見交流する。また、校区内主任児童委員にも参加を依 頼し、研究協議で授業参観の感想や人権教育について意見を聞く。 ・ 淡路地区内に住む先輩教員で、淡路地区人権研究協議会副会長に講師を依頼し、人権教育の在り方に ついての講義を聞く。また、市教委指導主事から指導助言を受ける。 オ 組織的な取組とその点検・評価を行ううえでの工夫点 ・ 校内推進委員会で、授業の進め方について協議し、指導案を検討する。特に生徒が課題意識をもち主 体的に学習に参加できるように、班学習を取り入れたり、ICTを活用するなど指導方法についても検 討する。 点検・評価の工夫 ・ 点検・評価の視点を明確にする。 (人権教育の目標に対して授業のねらいが適切であったか、生徒が主 体的に学習するように指導方法が工夫されていたか、等) カ 評価の方法 ・ 研究協議の中で出た本校の教職員及び上記の推進委員会のメンバーの意見より評価する。 ・ 生徒が書いた授業後の感想より評価する。 [別紙③] キ 成果 生徒が主体的に学習に参加できた。生徒一人ひとりが学習課題について考えたことを、表現できた。班 では、生徒が自主的に司会や記録係など役割分担をして、協力しながら学習を進めることができた。 資料の中の「私」の行動は、いじめを憎み、人をいじめる言動を許さない態度の表れで、生徒に学習を 通して公正、公平について考えさることができた。 身近なところにもいじめが存在することに気づかせ、だれに対しても公正、公平に接しようとする実践 意欲を育てることができた。 ク 課題 いじめなど深刻な人権侵害を生じさせないためには、授業で学んだことを知的理解にとどまらせず、実 践につなげることが大切である。自分たちの身近なところでいじめに気づき、自分が傍観者ではなく、自 分から正義の実現に向けて行動することが大切である。そこで、いじめを止める行動を「人として当たり 前の行動」と考え、解決しようとする行動力を身に付けさせることが必要である。 第2学年 道 徳 学 習 指 導(略)案 日 時 平成 25 年 9月 24 日 5校時 対 象 2年2組 35 名(男子 19 名、女子 16 名) 主題名 「正義、公正・公平 内容項目4-(3) 」 人権教育の内容 2-(1)―イ 差別や不合理への憤りとその解消に向けて 資料名 「私もいじめた一人なのに・・・」 (資料1) 主題設定の理由 学級の生徒は明るく、純朴である。ただ、生徒は「善」 「悪」の正しい判断はするが、 「損」 「得」で行動す ることが多い。一時期、中学生や高校生などに使われた『KY』の言葉に代表されるように、 「周りと同じ行 動をとれば、自分は安全である。 」と、いじめに気付いても見て見ぬふりをして関わろうとしない。 この資料では、 「私」がいじめは許されないと知りながら、自分がいじめの被害にあうことを恐れていじめ に同調する。やがて、あることがきっかけになり、 「私」はいじめている生徒に対して、勇気を出して一度だ け毅然とした厳しい態度をとる。そのきっかけとは、いじめの被害者がクラスの一人一人の鉢に水やりをして いる姿を見たことだ。 「私」は、そのことをクラスの生徒に伝えるが、 「私」が転校するまでその生徒へのいじ めは続いた。 資料の中で、いじめは解決していないが、 「私」やいじめの被害に合っている生徒の気持ちを考えさせて、 正義を重んじ、公正な態度でいじめに立ち向かうことの大切さを学ばせたい。 本時の目標 いじめを許さず、だれに対しても公正、公平に接しようとする実践意欲を育てる。 指導過程 学習内容 学 習 活 動 指導上の留意点 導入 最も印象に残ったのは、どの場面か。 (印象を発 1 範読を聞いて、印象に残った場面を発表する。 ○深入りしない。 表する) ・ 「私」は男子を殴った ・ 「彼女」が「ありがとう」と書いてくれた ・ 「私」は涙が出た ○次の発問につなげる。 展開1 (考える) 「私」が男子を殴ってしまったのは、どんな気持ちから か。 2 「私」の怒りを考える。 ○用紙に自分の考えを書かせ ・ 鉢をけるなんてひどい る。 ・ 鉢を世話してくれている子の気持ちが分からない ○「おもわず」に着目させる。 のか ・ 「みんなで花を見に行こう」と提案した意味が分 ○「私」の行動の変化を考えさ からないのか せる。 展開2 「いじめは続いた」とあるが、 「私」の行動は無意味だっ (班で話し たのか。 合い、発表 3 「私」の行動の「価値」を考える。 ○班で話し合わせ、班ごとに発 する) ・ 「ありがとう」と言ってくれたから無意味でない 表させる。 (ICTの活用) ・ 「私」は勇気を出せたから、意味がある ・ 周りの人もこれまでの行動を振り返ったはずだ ・ いじめが続いたのだから、無意味だった ○場合によっては、 「あなたも いじめを続けたか」と問う。 まとめ 4 本時の学習を振り返り、感想をまとめる。 [別紙①] 「わたしもいじめた一人なのに…」 「中学生の道徳 1 自分を見つめる」あかつき より 私が小学校中学年のとき、同じクラスになった子がいます。アレルギー性のアトピーを持った子で、顔や 頭が赤くはれていました。勉強はあまり得意でなかったけれど、運動は普通にできていました。そして、そ の子は誰よりもおとなしい子でした。 ちょうどそのころ流行っていた遊びが、 「菌まわし」という遊びで、授業中や朝礼の時によく、その菌が まわってきました。そして菌はいつも彼女のものでした。男子がわざとぶつかって「きたねぇ」と言いなが らどんどん人にその菌をまわすのです。私はいつも「かわいそうだな。誰か止めないかな」と、自分にまわ ってこないように願っているばかりでした。しかし、自分にまわってきた時は、みんなと同じように人にま わしていました。人にまわさなかったら、今度は私が、 「きたない」と言われて、自分がこんな風にされる と思うと怖くて「やめよう」の一言がいつも喉につかえていました。きっと同じ気持ちの人もたくさんいた と思います。彼女は何をされても泣かずに、いつも悲しそうに笑っているだけでした。いったいどんな気持 ちだったのでしょう。私だったらとっくに泣いていたと思います。けれど、幼い私には、彼女がどんな気持 ちで涙を耐えているのかがさっぱりわかりませんでした。今考えてみると、死ぬほど辛かったと思います。 私もそのころの彼女を苦しめていた一人だと思うと、いたたまれない気持ちになります。 彼女は無遅刻、無欠席でいつも朝は一番に学校に来ていました。 ある日、私がたまたま早く学校へ行ったとき彼女はもう来ていて、春にみんなが植えた花に水をやってい ました。私はその時まで、その花のことなど忘れていました。私はすぐに運動場の端までいって水やりを手 伝いました。彼女は最初びっくりしていたようですが、すぐに笑って一つの鉢を指しました。咲き乱れる花 の中で、私の鉢の中にもきれいなピンク色の花が咲いていました。私は胸が苦しくなりました。みんなにい じめられて、辛くて悲しくて怖くて、きっと私を憎んでいるだろうと、ずっとそう考えていたのに、彼女は 憎むどころか、自分をいじめている人の鉢まで、誰にも言わずに毎日毎日一人で世話をしていたのです。彼 女はじょうろをかたづけながら、 「みんなの花がきれいに咲いてよかった」と笑っていました。 私はその日、みんなが来るのを待って、みんなで花を見に行こうと提案しました。みんな自分の花がきれ いに咲いているのを見て喜んでいました。私は今まで一人で世話をしてくれていたのは彼女なんだと言いま した。女の子は「ありがとう」と言って話をしていたのですが、一人の男の子が「じゃあこの花きたねぇな」 と言って鉢をけったのです。 彼女はその時はじめてみんなの前で泣きました。 私はその男子がゆるせなくて、 おもわずその男子の頬を殴っていました。 それでも彼女に対するいじめは私が転校するまで続いていました。 私が転校するときに、みんなにサイン帳を書いてもらいました。そのサイン帳に彼女は、 「私がいじめら れている時、かばってくれてありがとう」と書いてくれました。私は涙が出ました。 「ずっとみんなと一緒 になっていじめられてきたのに。たった一回かばっただけなのに…」と。 [別紙②] 授業後の感想を書きましょう。 2組( )番 名前[ ] 2組( ◆「 2組( 」 )番 名前[ ] ◆「 」 (例) ・・・だから、 ・・・と思う。 )番 名前[ ] [別紙③] 授業後の生徒の感想及び研究協議 1.生徒の授業後の感想より ・ 私は、 「私もいじめた一人なのに…」の授業をして、菌まわしはよくないと思ったのと、彼女が自分をい じめている人の分も、水やりをしていたことに驚きました。 ・ 私がもし、いじめられていたら、水やりをするどころか、学校にも行けないと思います。そう思うと、彼 女の心はとても強いんだなぁと感動しました。 ・ 「私」が男子を殴っていたのは、きっと彼女の気持ちを無視して、努力を踏みにじったからだと私は思い ます。私はこの話のように、いじめを止められるような強い心を持ちたいです。 ・ 「私」がみんなと一緒にいじめているのに、それがだめだと自分で分かり、行動に移せたことがよかった と思う。 (いじめられていた)彼女の本当の気持ちが分かったから、 「私」は頬を殴ったのだと思う。そのこ とがきっかけで、彼女は自信ができたと思う。 (いじめていた)男子は、自分たちがやってきたことは間違 いだと気付いてほしいと思う。ぼくは、いじめている人がいたらきちんと気付き、間違っている人にいじめ をやめるよう行動すると思う。 ・ いじめられている彼女は、人に相談するべきだと思う。一人で悩まず、友達、親、先生など周りには必ず 味方がいると思う。 ・ 道徳で、 「私もいじめた一人なのに…」という勉強をして、いろんなことを感じたり学ぶことができまし た。 ・ 私はいじめられている子の気持ちになることが大切なのではないかと思いました。自分の周りにも何か困 っていたり、いじめられて嫌な思いをしている人がいるかも知れないと思いました。 だから、私もそんなことがあったら、勇気をもってその子を助けられる人になりたいと思います。 ・ 「自分もみんなのように一緒にしていないと次に自分がいじめられる」という、いじめでよく聞く怖い考 えです。そこで、どれだけ勇気を出して止められるかが、今の私には必要なことだと思います。 「悪いことは悪い」と声を出して言えるようになりたいです。 2.研究協議より (1)授業者 「人権が尊重される学習活動」 、 「一人ひとりが大切にされ、互いのよさや可能性を発揮できる授業」を目 指した。 特に、教師の指導が一方的にならないように気をつけた。教師の発問に、生徒が主体的に考え、考えたこ とを用紙にまとめ、発表することに重きを置いた。 班活動では、司会・記録係・発表者に役割分担して、協力して共同で進める場面を設けた。参加的な学習 と考える。主体的に参加することで班の他の人や他の班の発表にも注意して聞くようになる。他の人を尊重 することにつながると思う。 また、班でまとめた意見を拡大表示するなど、ICTの活用は、関心を高め、理解することに役立ったと 考える。 (2)参加者 ・ 発問内容が予想と違っていた。 「私は涙が出ました」のところで、私の気持ちを考えさせることが主発 問ではなかったか。また、2つの発問の関連がよく分からない。特別な意図があるのか。 ・ 班でまとめる場面では、多くの答えが出ると思う。特にまとめられなくてもよいのではないか。 ・ 主題設定の理由の中で、 「損」 ・ 「得」で行動する子どもが多いと書いているが、小学生についても同感 である。 ・ 中学生の授業を見たのは、久しぶりである。こうした機会は貴重で、中学生の様子を知ることにつなが ると思う。生徒は発表している時、生き生きとしていた。もう1時間、深めてほしいと感じた。 ・ 今の社会も、競争社会で、いじめの多い時代だと思う。最近見た人気のドラマからも思う。 (3)指導助言 ・ いじめの定義が 2013 年の「いじめ防止対策推進法」の中で、明記されている。いじめは、人権侵害で あり、差別である。集団の問題として捉え、取り組まなければならない。 ・ 人権教育について、2008 年の人権教育指導方法等の在り方について[第三次とりまとめ]の中で、4側面 が示された。①教育が人権として保障され、生きる力につながる学力を身につけさせなければならない。 ②「それは間違っている」 「これはおかしい」との思いを意識して、自分の行動につないでいくことが大切 である。③学校や学級が、子供たちにとって安心・安全だと思える居場所でなければならない。④これま での側面を全部合わせた知識、スキル、態度を子供たちが備えることが求められている。 ・ 道徳の授業である限り、道徳の時間の目標を達成することが明確で、その上で人権教育との関連を図っ ていかなければならない。①人権に関するする知識を身につけること。②人権感覚を身につけること。 道徳の時間に、人権に関する何を学ぶのか、具体的に設定しておかなければいけない。①道徳の時間の価 値に沿うように展開しながら、人権感覚に関する諸技能を身につけられるような学習形過程を展開する。 ②道徳の時間に人権問題に関わるものを資料とすることで、道徳的な価値を学ぶと同時に人権に関する知 識を身につけさせる。 ・ 文科省の[第三次とりまとめ]の中で、 「人権教育を通じて育てたい資質・能力」について模式図が示 された。人権に関する知識理解を深化する「知識的側面」 、人権感覚を高める「価値的・態度的側面」 ・ 「技 能的側面」が記されている。本日の授業は、 「技能的側面」に重きを置いた授業であったと考える。
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